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治せる医師、治せない医師 

  治せる医師、治せない医師
  治せる医師、治せない医師

7・8年ぶりに再度手に取り直して読んでいる本です。1998年初版で築地書館から出版されたものです。著者はバーナード・ラウン氏。彼は著明な心臓専門の医師で、ジギタリスとカリウムの研究をされたり直流除細動器を開発された方ですが、80歳近くまで現役で臨床をされていました。今も生きていらしたら91歳になられる方の、到達した医療に対する洞察が深い言葉で述べられています。『研究という科学』と『医療というアート』の両面を重視してきた人だから言える、こちらも納得できる文章がそこには書かれています。医師とはどうあるべきか、どうしたら人を治してあげらるのか。我々が忘れていた、医師になる前の気持ちを思い出させてくれます。研修医の皆さんにも勧めたい本です。

この中で一番言いたいことはこの事なんだと思います。<<問診の重要性>>
 問診を十分したら、70%は症状がどこからきているか検査しなくてもおおよそ予測が出来る、と。また病気の背景にはその人を苦しめている環境・歴史・人間関係があり、それを把握することは治療の上ではとても大切である、と。ずっと胸痛に苦しめられていた高齢女性。実は誰にも言えなかった乳児を捨てた、という過去があったり。
 また患者の声をしっかり聴いていたら、たとえミスをしてもそんなに訴えられるものではない。訴訟は減るはずだ、とラウン氏は自分の経験から述べていました。技術の発展・訴訟から守ろうとする、まるで保険会社のような防御的な説明・時には脅しのような説明・高額な検査のほうが儲かるため、金にならない問診には時間をかけなくなり、患者は医師の言葉よりもデータを重視するようになってしまい、医療にはhealingというアート的な要素がなくなってきている、と書かれています。「ふーむ」と考えさせられると同時に、私のような一臨床医が普段心に思っていることが書かれていて安心しました。