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ブログ

造血器腫瘍における予防的血小板輸血をしない方針について

雑誌名

The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE 2013;368:1771-80

背景

最近は造血器腫瘍患者でも血小板輸血の予防的投与をできるだけ少なく行う方向性であるが、予防的に血小板輸血をしないことが予防的に投与をすることと効果、安全性で同等かをみるために非劣性試験が行われた。

方法

他施設共同での600人という中規模でのRCT非劣性試験である。16歳以上の造血器腫瘍患者で化学療法、幹細胞移植を行い、血小板数が5万/μLが5日以上続くような患者を対象として行われた。予防投与群は朝の採血でPLT<1万/μLで当日標準量のPLTを輸血、予防投与しない群は出血した時、侵襲的な処置をしたとき、臨床家の判断で行われた。
primary endpointは30日までのWHO grade2,3,4の出血合併症の頻度、
secondary endpointは
(1)WHO grade2,3,4の出血合併症が最初におきるまでの時間
(2)grade3,4の出血合併症
(3)RCC,PLT輸血量
(4)PLT<2万の期間
(5)PLT5万以上に回復するまでの期間
(6)入院期間
(7)合併症である。

結果

◎primary endpoint: 輸血なし群50%vs予防群43% (P=0.06) 
  統計的に非劣性とはいえない。
◎secondary endpoint:
(1)最初の出血まで 17.2vs 19.5 (P=0.02)
(2)grade3.4出血:6人vs 1人 統計的差はなし
(3)RCC輸血量は予防群で多い
(4)PLT<2万/μLの期間 6.9vs6.1日
(5)PLT5万/μL以上に回復するまでの時間 両群 14日 差はなし
(6)入院期間 ともに12日で差なし
(7)その他の合併症 差なし
層別解析:自家移植した群で解析 grade2,3,4の出血は47% vs 45%で差なし

結論

血小板輸血を予防的に行わないことは、行うことと出血という合併症においては同等とはいえず、頻度が高くまた重症な出血も多い傾向にある。

コメント

出血合併症WHO grade2は様々な要素を含んでいるため判定に誤差がでやすいが、この研究ではコンピューターによるgradingを行っており、判定するものの主観が入りにくいようにしている。PLT輸血は作今、予防輸血しないでもいけるのではないかという方向に流れつつあったが、出血の頻度はやはり多くなるため、現在ではガイドライン通り1万/μLを基準にして予防輸血は続けていくのが良いと判断される。