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ブログ

Peripheral artery occulusive disease in chronic phase chronic myeloid leukemia patients treated with nilotinib or imatinib

雑誌名

Leukemia 2013,27,1316-1321

背景

第2世代TKIは早く深い細胞遺伝学的、分子生物学的寛解に達するということで慢性期(CP)の慢性骨髄性白血病CMLの初期治療として認められているが、一方でnilotinib(タシグナ)にて治療した患者の一部に末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)が認められることが報告され、報告者によりその頻度はまちまちである。そこでベルリン医科大学単施設でのCP-CML患者にABIを行い対象患者にはエコーをおこない、動脈硬化のリスク因子や採血データなどを行なった。

対象患者と方法

2011.8-2012.11における当施設のCP-CML全患者対象。約半分は何らかの臨床試験に入っていたことがあるか、現在入っている人であった。
 同意がえられた患者に通常は3-6ヶ月に1回の診察をし、一度心臓血管系のリスクがないかどうか心血管系疾患の既往、DM、タバコ、年齢、体型、体重、歩行距離などについて質問に答えてもらう。また採血では空腹時血糖、HbA1c、 Chol、 LDL、 HDL、TGを測定した。またPAODのスクリーニングとしてABIを行い、異常(<0.9)の患者にはドップラーエコーにより病的血管を検索し、プラークなどの評価を行なった。臨床的PAODとは、典型的な潰瘍がありトップラーなどの検査で責任血管が同定できた場合と定義した。

結果

(1)159人が評価可能であった。治療内容により5群に分ける。
  (I) first-line imatinib  54
      (II) first-line nilotinib  33
      (III) はじめimatinibその後 nilotinib  33
  (IV) はじめnilotinibその後ほかのTKI 25(post-nilitinib) 25
      (V) nilotinib-naïve  Imatinibも投与なし 14

(2)TKI 効果 CHR 6.2%, MCyR 2.4%, CCyR 10.7%, CMR 71.7%
(3)治療期間
  imatinib 治療群: 102ヶ月
  nilotinib 治療群: 30ヶ月
(4)PAODのリスクの群での差  (V)群で喫煙者が少ない。Table3参照
(5)PAODのリスク採血結果 nilotinib群ではimatinib群よりもTC、LDLが高値。Table4参照 
(6)PAODのスクリーニング ABI 129人(81%)で施行。24人(18.6%)が<0.9で異常。
  うち41.7%が左右両側の異常。
  異常のあった各グループでの頻度は
    (I)6.3% (II) 26%(III)35.7%(IV)16.6% (V)12.5%
  Nilotinibの群があきらかに多い。
(7)ドップラーエコー  30人に施行 うち8人に典型的な動脈硬化性病変あり 26.7%
  (I)1人(II) 2人(III)2人(IV)3人 (V)0  nilotinib群と関係あり
(8)臨床的PAOD (I)0人(II)1人(III)3人(IV)1人 nilotinib群と関係あり
(9)(I) first-line imatinib と (II) first-line nilotinibだけを比べてみると 薬剤投与期間は(I)が
   409.8patient-years (II) 93.2 patient-yearsに対してABI異常が3件対7件、ドップラー異常が1件
   対2件、臨床的PAOD0件対1件、と投与期間が短いにもかかわらずnilotinib群のほうが多い。
(10)他センターなども含めたTKI投与中患者のPAOD患者を27人集めた。その27人の臨床症状などを比較
     した。皆治療開始前はPAODの症状はなかったが少なくとも1つ以上の心血管リスクをもっていた。
         平均nilotinib曝露時間は36ヶ月(6-72ヶ月)。やられている血管は下肢が多く、腓骨動脈、大腿動
         脈が多かった。PTA,ステント、さらには足切断をようした症例もあり。

結論

完全な前向き試験ではなく投与前の心血管系の評価がないという点にこのスタデイの限界があるが、しかしそれだけではこれだけのnilotinibとimatinibの差を説明することができないと述べている。Nilotinibを開始する前に心血管系、PAODのリスクを評価すべきであり、ABIやその他の動脈硬化性病変と関係する脂質代謝系の採血を投与前と比較してフォローしていくことが必要である。

Nilotinibによる心血管毒性
(1)なぜ今まで注目されてこなかったか  
   遅くおきる毒性でつかまえにくい。また悪性と心血管系毒性は結びつきにくい、またPAODは整形
   外科的な症状で見落とされやすいかもしれない。
(2)なぜおきるのか 
   nilotinibの血糖上昇や脂質代謝異常が関係するか?長期的なフォローがいる。ほかのキナーゼ抑制  
   たとえばDDR1,KIT,PDGFRが血管のホメオスターシスに関係するかもしれない。