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ブログ

医療講演にて ~つながりの体験~

 少し私事ではありますが、今日は私の臨床の業務の中で最近体験した「つながり」のお話がしたいなと思います。それは、とても感動的であり、また僕自身に少しの悲哀と感謝を与えてくれた出来事でした。
 「うれしさと切なさ」といった情感を同時に感じる体験、より「全人的な体験」だったのかもしれません。それを与えてくれたのもまた、「人」との「つながり」でした。

 私は月に一回ですが、病院の公開講座といって、地域の方々に日常や病院の中で活かせるような心理的理解や情報を提供していく講演の講師をさせていただいています。これは、田中江里先生であれば「血液内科」のお話をわかりやすくされていますし、各科の先生がそれぞれの専門分野のお話を地域の方にお伝えしていくことで、各々の健康管理に役立ててもらおうというものでもあります。

 ちなみに、心理士の今年度のテーマは「日常に活かす心理発達とコミュニケーション~病気との付き合い方~」と題して、「コミュニケーションの発達とそれをどう日常に活かせていけそうか」のお話をしています。

 その講演のときでした。講演は、参加される地域の方が時間に合わせてお越しくださり、私も業務の合間をぬって向かいますので、始まりのタイミングでは、どんな方がいらしているのかは容易に把握できるものではないのですが、会場に入ると「何か懐かしい感じの方がいるな」と感じました。
 
 最初はそれが何かがわからなかったのですが、いつもどおりに講演を進めていき、1時間くらい話をして、質疑の時間に移りました。この回では、なかなか質問が出ない中(通常質問は勇気がいるのでなかなか難しいものです)、一人の男性が手を挙げて質問をしてくださいました。「先生は覚えているかわかりませんが・・・」との前置きをして、ご質問をいただきました。
 私はお顔を拝見してすぐにハッとしました。それはまだ山崎の病院にいた頃にお話を聞かせていただいていた患者さんのご家族でした。ご家族は「新聞でチラシを見て、もしかしたら先生かなと思って」とおっしゃっていました。

 会場に入ったときの「懐かしい感覚」はご家族から醸し出されていたのかもしれません。それから、その患者さんのことや当時のご家族の様子などが私の頭をゆっくりと正確に浮かんでくるのを感じました。

 私はご家族が会いに来てくれたことへの感謝と同時に、自分の中で忘れつつある感覚があることに寂しさを感じました。それは、多くの患者さんとのやり取りがある中で、それぞれとのやり取りが私自身に埋もれてしまうことです。
 「仕方のないこと」なのかもしれませんが、それぞれの方々とのやり取りが私自身を成長させてくださっているという現実を意識しながら過ごしていくこと、その感謝をもっていること、その重要さを十分に理解していくことが大事なのだと考えます。

 この「つながり」が、また私に振り返りの機会を与えてくれました。それも「つながり」が成せることなのだと感じます。