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松井啓隆先生によるDNAメチル化異常の講演会 in 横浜

この日はMultiple Myeloma Forumという、骨髄腫に関する神奈川県内の血液内科の勉強会。広島大学原爆放射線医科学研究所の松井啓隆先生による造血器腫瘍におけるDNAメチル化異常の話でした。この領域は次世代シークエンサーの開発進歩により非常に急激に研究がすすんでいる領域で、NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINEを読むにしても、ここいらの知識なしにはgene関連の論文が理解出来なくなっています。松井先生は私の出身大学と同じ浜松医大出身。それもあり話をききにいきました。
まず一つは7番染色体短腕の欠失での責任遺伝子の話。SAMD9,SAMD9L,MIKIという責任遺伝子が単離され、それらが欠失するとマウスでは細胞分裂の時に必要な紡錘糸がtensionが十分保てないものとなり、分裂期の異常が高頻度におき細胞分裂がうまくいかず、核の形態異常がおきるのだそうです。

もうひとつはTET2の話。MDSのエピゲノム異常には(1)DNAメチル化(2)ヒストン修飾に関連するものがあります。MDSでは(1)のほうが多いとされ、中でもTET2はMDSの20-25%に見られます。TET2が欠失、変異すると(1)造血器幹細胞の自己複製能が亢進し(2)赤血球系は分化阻害されるそうです。これをきいた時、高齢者のよく分からない貧血と関係があるんじゃないのかなーと思っていたら、なんと加齢依存的なTET2変異というのがあるそうです。年齢とともに正常造血はしているが一定の割合でTET2変異をもっているクローンがあるとのこと。TET2が欠失してもすぐに悪性になるわけではないようです。MDSのTET2変異がある幹細胞を調べてみると、mRNAのsplicing patternが変わっていてうまく翻訳できなくなっているとか。ここらへんが老化と結びついてきそうな感じがします。<次へ>

またもう一つはIDH1/2の話。AML(急性骨髄性白血病)の15-30%に認められ、その修飾によりTETの機能がうまく働かなくなるというものです(つまりTET2の欠失と同じ)。しかしIDH阻害により起きてくるのはそれ以外のヒストン修飾も関係しているとかで、IDH変異体阻害剤がすでに開発されているようです。このIDH変異の頻度はAMLだけではなくglioma にも多いそうです。
geneのところは難しいのですが今後避けては通れない領域であり、何度も聞くことで理解が深まると思い、これからもこのような機会をとらえて学習していこうと思います。そういう点で関東エリアは勉強会も多く、参加しやすい環境であることに感謝であります。