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遺伝子変異からみた骨髄増殖性疾患

「血液腫瘍シンポジウム 2015」という研究会が東京で開催され、1/24参加してきました。次世代シークエンシング法の発達で高速で大量の遺伝子が読み取れることとなってから、血液の分野においても遺伝子のレベルで新しい知見がどんどん増えています。ちょうどこの間の12月にNEJM(医学雑誌)にある記事が出でました。その内容は年齢とともに遺伝子異常をもつクローン性造血というのが実は増えていて、70-79歳では9.5%、80-89歳では11.7%、90-108歳では18.4%の人に認められると。その種類として急性白血病でも多くみられる
 DMNT3A,TET2,ASXK1とう3種が多いという。これらのある人は造血器腫瘍になるリスクが11.1倍にもなるということが発表されました。
 この日のレクチャーでも骨髄増殖性疾患の発症に関連するとされる遺伝子JAK2とTET2の話が、宮崎大学の下田教授からありました。JAK2だけでは長期的な骨髄増殖能獲得が動物実験から難しく、TET2という遺伝子異常がinitiaterとしてあり、そこにJAK2が加わることでそれがdriverとなり長期の増殖優位性を獲得するのだということを、実験から理論立てて説明されました。今、骨髄線維症に対してはJAK2阻害剤が使用できます。これは脾腫や全身症状の改善の効果があり生命予後も改善しますが、線維化は治さないとされています。しかしMEK阻害薬というものが骨髄線維化を抑え、さらに造血も回復するという可能性を示されました。
また京都大学の小川誠司先生は再生不良性貧血におけるたくさんの症例のシークエンシングを行った中から、36%にmutationがあり、うち1/3は初診時からあるといいます。その変異はMDSとパターンが似ているということです。再生不良性貧血と低形成のMDSの鑑別が臨床的には難しいことはしばしば。また免疫抑制療法がよく効くMDSもあり。実はこれらの疾患、表現型が違うだけなのかもしれないと思ったのでした。非常に勉強になる研究会でした。