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TTMフォーラム in 東京

血液領域において骨髄腫やリンパ腫といった造血器腫瘍といわれるものの勉強会は多いが、実は凝固系の分野の勉強会はとても少ない。このTTMフォーラムは検査部の人に教えていただいた勉強会で、定期的に行われているものとして数少ない凝固のエキスパートが集まり、かつ相談しやすい会です。当院の伊藤亮治先生が大動脈解離からくる難治性慢性DICの難しい症例のコントロールについて、発表しがてらエキスパートの意見を求めることとしました。大動脈解離では血栓が出来やすい状態にあり、それを溶かそうとして体の仕組みとしては線溶(血栓を溶かす)系が活性化し、それが過剰となれば今度は出血しすぎてしまう(この症例は大きな筋肉出血を2回繰り返したのです)。それをまた固まろうとさせれば、また血栓が出来やすくなる。そして線溶系がまた亢進という堂々巡りの状態となることがあり、コントロールを何で行うか・どこを目標とするのか明確な解答は得られず、エキスパートの先生方も治療は難しいと言われていました。α2PIで線溶系の程度を見たほうがよい、とアドバイスをいただきました。
他院からの症例もなかなか面白いものがありました。蜂刺されのあとにAPTTが著明に延長するケース。APTTの測定は試薬によりデータが異なることがあること、蜂毒の中に含まれるホスホリパーゼA2が関係するのではないかという考察がありました。検査結果を信用している我々ですが、著明なデータ異常の時には試薬を変えて測定し直してみるということは非常に参考となりました。
また、新しい抗凝固薬(ワーファリンの次の世代といわれる、プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシア)ですが、これらではワーファリンとは違い採血で量の微調整がいらないと言われているものの、腎障害がある人には重篤な出血傾向をきたすことがあり、手術前や緊急出血時、過剰内服や腎機能低下のときにどの程度出血傾向があるのかを知るのが難しいとされます。それについての講演が北大名誉教授 松野一彦先生よりありました。血中濃度はまだ保険適応もないことから日本でその予測をするのにプラザキサではPT,APTTを併用して評価すると良いこと、イグザレルトではPTを参考に(しかし試薬間格差が問題となること)、エリキュースはモニターが難しい点を示してくださいました。これから研究がもう少し進んでくるのでしょうか。臨床的にはこれらの薬剤が脳梗塞、心臓領域でより使われるようになっていますが、出血に関しては注意が必要な薬剤であります。