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多発性骨髄腫におえるクローン性増殖様式

これまで慢性骨髄性白血病にみられるようなlinear clonal evolutionが造血器悪性疾患の進展様式と考えられていたが、次世代シークエンシングなどによりminor cloneの検出ができるようになり、もっと早い段階(MGUS)で複数のクローンが発生していることなどがわかってきた(初発時でのクローン多様性)どの病期でも平均して3-6個のsubcloneが検出される。

1.Initiating step :14番染色体長腕14qを含む染色体転座の形成(50%)、高2倍体(hyperdiploidy) (40%)に
 より cyclinD1が強発現することでRBタンパク質の不活化を介して正常では増殖能を持たない形質細胞に       
   growth advantageがもたらされる。

2.形質細胞におけるcyclinD1強発現は、クロマチン構造やDNA損傷応答の異常を介してゲノムの不安定性を惹起
    し、それがclonal evolutionを誘導する。

3.MGUSから骨髄腫へのgrowth advantageをもたらす遺伝子は
    1)Ras mutation (2)c-Myc の強発現 (3)DNAの低メチル化 (4)del13 

4.さらなる病気の進行 髄外腫瘤:微小環境に依存せず増殖しアポトーシス抵抗性を獲得する。ゲノムの不安定性
    がさらに亢進するため17pの欠失(p53欠失)、1pの欠失(CDKN2C欠失)NF-κBの活性化が関係

5.骨髄腫の各段階における1塩基変異を比較(Walkerら Leukemia 28:384-390,2014)によるとMGUS 
  平均13個、無症候性骨髄腫平均28個、症候性骨髄腫平均31個、形質細胞性白血病 平均59個と病状の進展に伴い
    遺伝子異常が定量的に増加していく。

6.再燃時
 (1)初発時と同じ変異のクローンの再増殖
   (2)新規の変異が加わる場合clonal evolution
 (3)初発時にはみられなかった変異を有する新たなクローンの出現

7.クローンにより薬剤感受性が異なる。

8.腫瘍ごとの遺伝子変異数
 CML 1個、AML,ALL 13個、リンパ腫30個、骨髄腫35個、肺がん540個
 骨髄腫は急性白血病などと比べて遺伝子変異数は多いが肺がんと比べるとあきらかに少ない。
 これらの遺伝子変異数と化学療法の治療効果、予後の間には大まかな逆相関がある。

9.今後の問題点として
 (1)複数のクローンがあり薬剤感受性も異なるのであれば早くから併用療法で強力な治療をしたほうがよいのか
    どうか。ただし早期に耐性クローンを優位化させる可能性もあると思われる。
 (2)またMGUSなどの段階から治療をしたほうがよいのかどうか。

出典:血液フロンテイア vol24, No6,2014 P73-83