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ブログ

小野正嗣氏のドキュメンタリーから

NHKにて小野正嗣氏の<郷里>に対する思いがつづられた番組が放映されていた。小野氏は「九年前の祈り」で平成26年度第152回芥川賞を受賞。舞台は作家の故郷である大分県佐伯市の“浦”と呼ばれる小さな集落で、浦の人々から聞いた土地の逸話を小説化したもの。私は小説を読んだことはなかった。ドキュメンタリーは彼の兄と故郷を重ねあわせながら描かれていた。
彼の兄は地元の学校を卒業し、独身でまじめに働きながら弟へ仕送りをして支え応援し、まわりの誰からも「いい人だね」といわれ、静かな集落の生活を送っていた人。丘の上の墓をいつもお参りして守っていた。世の中に名前の出ることもないその人にも地元では生きる場所があり、必要となる場所があった。家族にも、村の人にとっても大切な人だった。‭そしてその兄は脳腫瘍にて長く生きることなく亡くなった。
私はその番組を通して<郷里>ということよりも、描かれていた兄を思う皆の気持ちに魅かれた。どんな人間にも幸せに生きていける場所がある。大切に思われて、派手でなくても他人に認められ生きていける居場所。それを大切にしようよと語りかけられている感じがした。

年をとったといって寂しがる患者さん、病気になってしまって迷惑ばかりかけ、何の価値もないという患者さん。どんなに年をとっても子供にとって親は大切な存在。病気をした患者さんだってその姿から励まされている人(我々も含めて)は周りにいるのです。その人の存在は目の前の人でなくても誰かの役に立ち、必要とされていることがある。そこに自分の居る価値を見出してほしいと思います。