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プロトンポンプインヒビター(PPI)は貧血の原因となる。

逆流性食道炎は高齢者に多い胸やけをおこす代表的な疾患で、患者さんもよく知っている病気である。これに対してはプロトンポンプインヒビター(PPI)が効果が高く、オメプラゾール、タケプロン、ランソプラゾールといった名前で処方をうけている患者さんも多い。効果が高いので医師も処方することが多いと思うが実はこの薬剤、色々と副作用がある。
 ある医学記事では鉄欠乏性貧血の原因としてこの薬剤あることが書かれていた。PPIは胃酸の酸の濃度を下げてpHが上がる。そうすることにより鉄の吸収もVitB12の吸収も悪くなる。長期間の使用は特に高齢者は控えたほうが良いとされている。バレット食道と食道裂孔ヘルニアがひどい場合には利益が増すと考えられれば長期的に使用するが、それ以外は高齢者では8週以内の使用にとどめ他の薬剤(H2ブロッカー)に変更し、さらに中止していくことが望ましいとされる。H2ブロッカーでもビタミンB12の吸収低下はおきるが、その比率はPPIよりも低い。2年以上PPIを服用している人のVitB12不足は、胃薬を飲んでいない人と比べてオッズ比1.65、2年以上H2ブロッカーを服用している人ではオッズ比1.25 で不足がみられるという( 2013 Dec 11;310(22):2435-42.) 。
PPIの長期的な副作用にはClostridium Difficileの感染症や低Mg血症になりやすかったり、骨塩量の低下により骨折のリスクが高くなる。また心血管系のイベント(つまり心筋梗塞など)のリスクを高めるという報告( 2015 Jun 10;10(6):e0124653)、腎機能障害を長期的に高めるという報告( 2016 Feb 1;176(2):238-46)などが出ているし、誤嚥性肺炎もおこしやすいという。これらから私も症状改善のために出しているPPI を一時中止したり薬剤変更を見直す必要性、またよく分からない貧血のときの鑑別として、長期間処方されているこれらの胃薬を思い出す必要がありそうである。