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ブログ

脆弱性のある高齢者への多発性骨髄腫の対応と治療

雑誌名

Blood126(19),2179-2185,2015

1.全身状態のアセスメント 
  ADLscale:セルフケア
    IADL scale:セルフケア
  CCI:Charson Comorbidity Index 併存疾患の重篤度をみる。

2.Frail 脆弱性があるとは・・・
  治療の際に非血液学的副作用のriskが大きい。治療の中断にかかわる。ということは治療成績が劣る。

3.いつ治療をするのがいいのか?
  脆弱性がある人ではCRAB(高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨症状)などの臓器障害がでてから治療を
  はじめる。でも脆弱性のある人は併存疾患により貧血を呈したり腎障害を来していたりということがあり、
  それが骨髄腫からきているものかどうかを判断する必要がある。

4.脆弱性のある患者の治療目標とは?
  結局毒性が強いと治療が続けなくなる。症状をコントロールし、自立した生活が維持でき、認知機能、QOLが
  維持できるようにすることが大切。症状のない安定した状態の達成を受け入れられればそれをゴールとして
  よく、数値だけみて治療を変更するべきではない。病勢のコントロールと毒性のバランスをとるのが大切で
  ある。

5.診断時の治療
  MPT(MP+thalidomide)
  MPB(MP+Bortezomib)
  Rd(Lenalidemide+dex)

  週1回のBortezomibは週2回に比べてgrade3-4の副作用が少なく、毒性のための治療中止が減る。
  皮下投与でさらに副作用は軽減された。Rdも高齢者に勧められる治療メニューである。

  病勢の勢いが強い場合にはBD(Bortezomib+DEX)療法が効果が発現が早くてよい。
  また腎機能障害がある場合にもよいメニューである。またそれほど進行の早くない、程度の軽い骨髄腫では
  Rdが経口であることから頻回に病院に来なくても良いこともあり勧められる治療である。
  (頻回の病院通いは脆弱性のあるかたの場合に家族も本人も負担である)
  また神経障害がもともとある人の場合にもRdが勧められる。

  脆弱性のある人では治療を開始する前に減量を検討する。Lenalidemideでは25mgで本来開始のところを
  10-15mg/日で開始して、腎機能や血液データをみながら増減するのがよい。
  また状況によってはG-CSFの併用をしてWBCを増加させたり、また抗生剤の予防投与を検討する。
  血栓症の既往があったり心血管系の病気があってもしっかり抗血栓療法を行えばLenalidemideは使用できる。

  また骨髄腫のkeydrugでしばしば併用されるステロイドは血圧をあげたり水分貯留をきたすので、
  週1回10mgDEX(通常40mg、脆弱性ない高齢者では20mg)に減量する。
  PSL25mg隔日投与で代用することもある。
  Bortezomibは週1回としても血小板減少がおきうる。
  神経障害が強いようならこれから出る新薬のCarfizomibやIxazomibも適応となる。

  認知機能が著しく低下している場合には積極的な治療は選択せず緩和ケアのみの選択も有用である。

6.維持療法
  FIRST trial
  継続的なRd(期限を設けずきいている間使い続ける)は無病再発期間を延長し、非常に有効である。
  その効果はこの試験で35%含まれた75歳以上に対しても認められた。ただし高齢者では毒性が強くなる。
  よってレブラミドの維持療法が勧められる

7.再発時の治療
  無症候性で血液的にだけ再発なら治療は待った方が良い。
  CRAB症状(臓器障害)がでてから始める。急に再発、2ヶ月でMたんぱく量が2倍になるような場合には進行
  している証拠であると判断できる。

  再発時のメニューは前回効果があり、12ヶ月反応が続いたなら再度試す価値はある。
  しかし6-12ヶ月しかもたなかった場合には違うメニューも検討する。
  治療は進行するまで変更せずに継続する。
  LenalidemideやBortezomibがだめなら少量cyclophophamide(50mg 1日おき)、Mel(2mg 1日おき)、
  Thalidomide(50mg1日おき)といった少量の弱い治療も適応となる。

8.合併症コントロール
  Bortezomib ヘルペス予防
  Lenalidemide、Pomalidemide 血栓予防
  ステロイド 消化性潰瘍予防
  骨髄抑制強い場合には抗菌薬の予防投与、G―CSFも