湘南鎌倉総合病院
  • 湘南鎌倉総合病院ホーム
  • 湘南鎌倉総合病院アクセス
  • 湘南鎌倉総合病院お問い合わせ
  • 湘南鎌倉総合病院プライバシーポリシー

 

骨髄腫の髄外腫瘤 診断と治療

雑誌名

blood 2016;127(8)971-976 フランス Nantes大学

1. 頻度:診断時で6-8%、経過中に30%くらいあることが、最近MRIやPETを骨髄腫にも行うようになってきて
       わかってきた。
2. 機序:なぜ骨髄外にでるのかはまだよくわかっていない。低酸素や接着分子が関係しているとされる。
3. 髄外腫瘤は独立した予後不良サインである。と同時に他の予後不良因子とも関連。高LDH,del(17p)など。
  経過中に髄外腫瘤ができたら予後は6ヶ月ともされる。しかし髄外腫瘤はheterogenousであり、治療はまだ開発
  途上である。
4. 髄外腫瘤の種類
 (1)骨由来の髄外腫瘤 長軸の骨に関連し、肋骨、椎体、頭蓋骨、胸骨、骨盤にできる。
 (2)血流播種による2次性髄外腫瘤:軟部組織にできる。肝臓、皮膚、中枢神経系、胸水、腎臓、リンパ節、
    膵臓など
    興味深いことに外科、カテーテル挿入などの手技が腫瘤形成の引き金になることがある。
 (3)形質細胞性白血病 末梢血中の形質細胞が20%以上か絶対数で2000/μL以上
 (4)孤立性形質細胞腫 局所的なクローナルな形質細胞の浸潤で骨髄中には10%以下で、骨病変はなく、
             また臓器障害もなし。放射線治療で80%が局所コントロール良好で長期的な 
             DFS(disease free survival)も骨由来なら30%、骨以外なら50-65%とよい。

5.以下はおもに(2)に対しての診断、治療
 (1)中枢神経浸潤 最も予後不良であり6ヶ月以内の平均生存期間である。検査はMRI,髄液検査を行う。
    髄液検査は細胞診の他に、フローサイトメトリー、電気泳動、免疫固定法を調べ、感染は否定しておく。
    FISHは難しい。
    治療はBBB(Blood Brain Barrier)を通過する薬剤を選ぶ、ステロイド、thalidemide, Lenalidemide、 
    Pomalidemideは通過する。中でもPomalidemideは非常によいらしい。Pom/DEXの治療メニューで髄液内
    の細胞が消失した症例も報告されている。Bortezomibをはじめとするプロテアゾームインヒビターには
    髄液通過のよいというエビデンスはなし。アルキル化剤もなし。さらに大量MTX、大量AraCも効果は
    なし。Bendamustine+thalidemideというメニューが効果があったという報告もある。
    これらの化学療法にあわせて、中枢神経の放射線治療と髄液注射の併用は治療反応性をあげる。
    よって治療としてはBBBを通過する全身的や薬剤投与と放射線治療、髄液注射をあわせて行うのがよい。

(2)軟部組織の髄外腫瘤 
   検査としてはPETが有効である。Pomalidemideは髄外腫瘤の再発で30%の成績を出しており良い。
   モノクローナル抗体としてdaratumumab,elotuzumabの効果はまだ十分葉データとして出ていない。 
   BRAFmutationがMMの3%くらいでみられるとされ、それが髄外腫瘤で多いとの報告があり。
   もし陽性ならvemurafenibが適応になる。(日本ではまだ骨髄腫には認められていないが)
   新たな治療として免疫療法も開発途上。軟部組織にも放射線は有効である。

6.最後に
  ある専門家は診断時にPET検査をすることをすすめている。
  髄外腫瘤が最初からあることもあり、それが予後不良につながるため、治療をよりaggressibveにいく必要が
  あるからである。
  髄外腫瘤の治療としては、寛解導入は3剤tripletでの化学療法を行い、その後大量化学療法+自家末梢血幹細胞
  移植、その後3剤での地固め療法を行い、維持療法にLenalidemideをいれて行く積極的な治療を薦めている。
  また自家移植はtandem(2回行う)を推奨する専門家もいる。
  今後臨床試験としてはdaratumumab,elotuzumabの効果を診るための試験がすすむであろう。

  この施設ではPET(positron emission tomography)検査は骨髄腫のどんなときにしているか?
 (1)髄外腫瘤を疑うとき
 (2)Light chain escapeがあるとき:治療の途中で免疫グロブリンのM蛋白は消失したが軽鎖(κ、λ)が増加
    してくる現象
 (3)非分泌型のステージング、経過観察に用いる

●ワンポイントアドバイス●
 Light chain escapeが起きるから多発性骨髄腫のルーチンフォローアップにBJP(Bence Jones Proteinuria)を
 入れたほうが良い。