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ブログ

ピンクリボン運動

 アメリカワシントン州シアトルで研究員をしていた時、世界で一番美しいと言われる夏のシーズンから、憂鬱な小糠雨と灰色の曇り空に変わる秋、街のあちこちにピンクが咲いた。ワシントン大学の売店のスナック売り場にはピンク色のM&Mが並び、デパートの化粧品売り場では華やかなピンクコフレがひときわ目立つショーケースに飾られた。シアトルマリナーズのスタジアムではピンクの応援Tシャツが販売され、ピンクのBMWが街を走った。乳がんの啓蒙活動であるピンクリボン運動の一環だった。


 アメリカのテレビドラマを見ていると、必ずと言っていいほど友人が乳がんになった、というテーマが出てくる。
アメリカでは6-7人に一人が罹患し、しかも30代-40代社会活動の旺盛な時期にかかることも多いため認知度も高いのだろう、通院生活で変わる生活スタイル、経済的・心理的負担、化学療法で変化するボディイメージ等々を通して、恋人や友人との関係が変化していく様子も、ストーリー展開を担う軸として克明に書き込まれていることに驚いた。

 特に印象に残っているのは、"pink ride"というイベントだ。乳がんと関係ない人でも、誰でもピンクのTシャツを着て参加していい。登録をして、コースを自転車やバイクで走りきるただのお祭りの自転車レースだ。アメリカドラマの中ではそれは「東京マラソン」 と同じような、年に一度の市民の人気のイベントとして描かれていた。当事者/支援者という言葉すらなく、単に遊びたい人が遊ぶわくわくするイベントだった。そして、その参加費の売りあげが乳がん研究団体や患者支援のために寄付される。
 我々日本人はまじめで、"啓蒙"というと常にお勉強しようとする。"支援してあげよう"と考える。難しいことを考えずとも、楽しむという新しい記憶をつくることがすなわち啓蒙活動になるという発想は、目から鱗だった。

 日本のピンク運動を見た個人的な雑感では、がんを特別なものとして対応しているように見える。アメリカのピンク運動を見ていると、日常の中にどう組み込んでいくか、隣にあるものとして付き合っていくものとしてとらえているように感じる。
 2人に1人ががんで死亡する平成の時代に、がんとがん患者を「私とは違う特別なもの」の領域においやることなく、なじみながら支援すること、日本でもそんな光景が見られることを心から願う。

10/30午後14:00から、病院2階のオンコロジーセンターの通路で、乳腺外科の医師達を主導に乳がんのイベントが行われる。
乳房の自己検診の人形や、ウィッグの試着、ネイルケアの紹介などを行う。乳がんの患者さんやご家族のみならず、興味のあるかたはぜひ足を運んでいただけると幸いです。