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話題の腸内フローラと疾患の講演会

今年の大河ドラマは私の故郷である浜松の北に位置する井伊谷という場所です。正月に出掛け、その谷が見えるかつて城があったという山に登りました。谷が開け稲作が広く行われており、ここからの同じような風景を当時の人も見ていたであろうと思われます。右方面にみえるのは浜名湖です。

さて、正月早々病院内では色々な病気に関係するとされる腸内フローラの勉強会が開催されました。腸内フローラは約1000種、100兆個もあり便の10%を占めます。最近ではmicrobiotaと言うそう。腸の上皮に付着して宿主である人に対し色々なことをしています。最近の検査方法で次世代シーケンサーを用いることによりこれまで培養出来ていなかった菌も解るようになってきたといいます。ここでも遺伝子を用いた検査か・・・と血液疾患に関係する遺伝子が急に解明されてきたのと同じだなと感じました。
さて、腸内フローラが色々な疾患と関係していることが知られきていています。まず肥満と腸内フローラも関係しています。動物実験では肥満マウスのフローラを無菌マウスに入れると肥満になるそうです。人でも肥満の人とそうでない人とでは腸内フローラの違いが研究されていて、それらを肥満の治療に用いることが出来るのではないかと検討されています。また年齢で腸内フローラは変化するようです。3歳から60歳くらいまでは同じような腸内細菌なのですが、80歳位になるとビフィズス菌が減り大腸菌が増加するなどの変化がみられるそうです。元気でいるためにも特に高齢者ではビフィズス菌を飲ませるなどしたほうが良いのでしょうか。日本人が好きな発酵食品、また年をとると自然にさっぱりしたもの、野菜が摂りたくなるのも体が自然にそうさせているのかもしれません。
また高脂肪食が腸内細菌のバランスを変え、それが腸の細胞のバリアを低下させることで(tight junctionに関係)血液中に菌が回り、炎症を起こして糖尿病などのメタボを引き起こすという説が説明されていました。Ⅱ型糖尿病の人ではよく調べると28%の人が血液中から少量の菌がでるそうです。またICUなど重症な状態の人は腸内フローラが乱れ、24時間以内という早期に嫌気性菌・ブドウ球菌が増え、それらが乱れるほど死亡率が高いことも出ているそうです。
腸内有機酸(酪酸、酢酸、乳酸)は腸内細菌から作られますが、腸管の蠕動運動を亢進させたり、また腸管上皮の主なエネルギーになるようです。そして殺菌作用も持っています。糖尿病や重症患者ではこれらが低下することも知られています。腸内環境を改善することで疾患の予後も改善できるということが試みられており、腸管の手術の術前からヤクルト、ミルミル、オリゴ糖を投与することで腸管からのバクテリアルトランスロケーション(細菌の血中への移行)が抑制され、術後感染も抑えられるそうです。我々の化学療法の患者さんにも有効な考えかもしれないと思いました。まだまだ面白いことが出てきそうな領域です。