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キャッスルマン症候群診療の参照ガイド

雑誌名

臨床血液58(2)97-107,2017

1.疾患概年 分類
 非クローン‘性リンパ増殖性疾患
(1)単中心性 限局型(UCD)組織学的には硝子血管型
(2)多中心性(MCD) HHV-8関連:組織学的には形質細胞型
        特発性 組織学的には混合型、形質細胞型

2.発症年齢 UCD30歳代、MCD50歳代 我が国からはMCDの報告が多い
 HHVも8関連MCDではほとんどがHIV関連  
   MCDは日本では年間100万人に一人程度

3.病因論
 リンパ節で増加している細胞:成熟B細胞、形質細胞 多クローン性
 IL-6が増加→ IL-6が形質細胞への分化を誘導し、VEGFの発現を増加させて血管増生を促し、血小板増加、
 発熱、CRP上昇、小球’性貧血をもたらす。
   本疾患ではIL-6を産生しているのは、リンパろ胞の庇中心のB細胞である。

4.診断 病理診断が必須
AおよびBを満たすものをCastleman病とする。
 A:①腫大した1cm以上のリンパ節を認める。
    ②リンパ節または臓器の病理所見が以下に合致
     1)硝子血管型  2)形質細胞型 3)硝子血管型と形質細胞型の混合型

 B:リンパ節腫大として以下の疾患を除外
 1.悪性疾患:血管免疫芽球性T細胞性リンパ腫、Hodgkinリンパ腫、ろ胞樹状細胞肉腫、腎癌、悪性中皮腫、
         肺癌、子宮頚癌など
 2.感染症:非結核性抗酸菌症、ねこひっかき秒、リケッチア症、トキソプラズマ感染症、真菌性リンパ節炎、
        伝染性単核球症、慢性活動'性EBウイルス感染症、急性HIV感染症など
 3.自己免疫疾患:SLE,関節リウマチ、シェーグレン症候群など
 4.その他IgG4関連疾患、組織球性壊死性リンパ節炎、サルコイドーシス、特発性門脈圧冗進症

5.症状:さまざま
       頻度の高いものとして、発熱、全身倦怠感、体重減少、盗汗、リンパ節腫脹、皮疹、腹部膨満、
       浮腫、息偽入れ、呼吸困難感、出血傾向など

6.採血 :CRP上昇、IL-6上昇、小球性貧血、血小板増多、LDH低値、低アルブミン、
       高ALP血症、多クローン性の高γ-グロブリン血症、高いIgE血症、高VEGF血症、抗核抗体が陽性にも
     なる。
     腎障害、間質性の肺病変、自己免疫性溶血'性貧血、内分泌異常、アミロイドーシスを合併する。
     IgG4高値となることがあるが、発熱、CRP高値、小球性貧血、血小板増多などの高IL-6に伴う反応が
     ある場合にはIgG4関連疾患よりもキャッスルマン病の可能性を強く考える。

     POEMS症候群は単クローン性の癌AMグロブリン血症を伴う進行性のポリニューロパチーで、多発性
     骨髄腫類縁のリンパ系腫傷だが、キヤッスルマン病と重なる病態がある。TAFRO症候群は血小板
     減少、全身性浮腫、発熱、骨髄の線維化、肝牌腫を特徴とした臨床像から提唱された疾患概年であり、
     キャッスルマン病に合致するリンパ節病理組織像がみられることがあり、MCDとの異同が議論されて
     いる。

7.重症度分類
(1)外科切除などで局所療法が可能性なUCDは軽症
(2)以下が1ヶ月以上続くときには重症
   Hb<7もしくは定期的な輸血を必要となる貧血
   血小板減少症 輸血不応状態、輸血依存
   低アルブミン血症 ALB<1.5g/dl
   腎障害 GFR15ml/分/1.73,2
   肺病変 問質性陰影があり、安静時にも酸素が必要
   胸腹水 ドレナージを要する程度の胸水、腹水
   心不全 EF<40 NYHAIV度の心機能低下
(3)中等症
 Hb<9もしくは定期的な輸血を必要となる貧血
 血小板減少症 2万/μL
 低アルブミン血症 ALB<2.0g/dl
 腎障害 GFR45ml/分/1.73m2  尿蛋白Cr比 0.5g/g  Cre以上
 肺病変 問質性陰影があり、日常軽鎖で呼吸困難がみられる。
 胸腹水 画像上明らかな胸水、腹水
 心不全 EF<50 NYHAⅢ度の心機能低下
 病理診断された2次性 アミロイドーシスに起因する臓器障害

 8.病型別の臨床像、診断、治療、予後
(1)UCD 
  リンパ節腫大以外には自覚症状に乏しい。たまたま画像でみつかることも多 い。
  病変部位としては胸部が多くついで頚部、腹部、後腹膜。
  病変リンパ節はMCDよりもやや大きく、長径5-6cm程度のことが多い。病変部位が1カ所に限局していること、
  病理所見(硝子血管型)により診断。
  治療は局所療法により治癒が期待できる。完全にとりきくことが大切。全身症状があるときにはMCDに準じた
  治療を行なう。3年無病生存率は92.5%

 (2)特発性MCD
  多彩な症状 リンパ節腫脹のほか、肝牌腫、発熱、倦怠感、盗汗、 貧血、皮疹、浮腫、今日腹水、間質性の肺
  病変、関節痛。リンパ節は表在性が多く、大きさはUCDよりも小さめ。
  正から小球性貧血、多クローン性γ-グロブリン血症、高CRP血症、ALP上昇、LDH正常から低値、高いIL-6、
  高いVFGF。
  治療は症状が軽微なときには無治療で様子をみるが、多くの場合倦怠感などの症状を緩和するために症状介入。
  まずはPCL(臓器症状がなければ0.3mg/kg、あれば0.5-1mg/kg)で開始して症状が改善したら減量。
  完全に中止出来る例は多くない。
  炎症症状が強い場合や腎臓や肺に病変がある場合には、唯一有効性がある保険収載薬であるtocilizumab を検討
  する。この開始にあたっては生涯治療が必要であることを説明する。原則8mg/kgを2週間ごと。
  多くはtocilizumabを開始すると様々な炎症の症状やデータが改善し、PSLを減量できることも多い。
  腫大していた牌臓やリンパ節も縮小。TbcilizumabはCRPの上昇をおさえるので感染症の徴候をマスクする
  可能性があり、注意が必要である。またアナフイラキシーの出る比率は1%強。Tocilizumabは中止出来ない
  が、止むを得ずするときにはステロイドを一時的に投与して炎症症状のリバウンドを予防する必要がある。
  海外ではsiltuximabが発売されており、これはtocilizumabと匹敵する治療効果が認められている。
  治療効果が無いときにはR-CHOPが試みられている。

 (3)HHV-8関連MCD 
  HIV感染者が主であるがHIV感染者以外にもみられる。HHV-8ウイルスゲノム検出、HHV-8の免疫組織染色
  検査、vIL-6の発現を検査。Zidovudine+valganciclovir+Rx,Rx+liposomal doxorubicin+抗HIV薬