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ATLに対する講演会 in 九州

ATLL(成人T細胞性白血病)が日本の九州に多いことは知られている。ATLの講演こそ九州の先生のものを聞いてみたいと思い、この日は他の講演会も重なるなか福岡に出掛けた。九州がんセンターの末廣陽子先生によるATLのワクチン療法のお話し、鹿児島大学病院の石塚賢治先生によるATLの治療の展望のお話しは、共に非常に充実したものであった。末廣先生のお話しは感銘を受けたのでまとめてみる。
 ATLは母乳感染が多いHTLV-1ウイルスによる疾患で、キャリアの5%が免疫抑制、あるいは高齢者になると腫瘍化してくる。免疫監視機構が低下し、遺伝子異常が集積して発症してくるのだと考えられている。その責任遺伝子としてTax遺伝子とHBZ遺伝子が知られている。
このTax特異的な細胞障害性Tリンパ球(CTL)が細胞増殖を抑制しているが、この働きが進行とともに低下している。そこで末廣先生たちは樹状細胞ワクチンを開発して臨床試験を行った。アフェレーシスで得られた患者自家末梢血から単球を分離し樹状細胞への分化誘導、成熟刺激後Tax ペプチド添加後に凍結保存した細胞を2週毎に計3 回、所属リンパ節近傍の皮下に接種して安全性・忍容性の検証を行った。急性型の患者 3 症例が登録され、その経過をお話しいただいた。
先生も強調されていたが4年以上も未治療で観察できる症例があり、一度効果が得られると長く効くようだとのこと。ほとんどのATLの進行期では強力な治療をしても13か月程度、移植しても4年生きられるのは27.8%ということからしても非常に患者にやさしく、良い治療であることがわかる。ATLは免疫関与が強い疾患でもあり、今後モガムリズマブ(抗CCR4抗体)、免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療開発が進んでいくであろうと、石塚先生も話されていた。将来ATL患者は母乳感染予防などの取り組みにより減っていくであろうが、なくなりはしない。むしろ高齢者の発症が増えてくるだろう。そんな中、強力な治療や移植に取り組めない患者さんにこの免疫療法は有用であろうし、将来発症しそうな段階でこの治療を行うことで、また落ち着いた状態にもっていけるのではないか、と考えられる。勉強になった会であった。