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江里ブログ

2017年

5月

13日

ATLに対する講演会 in 九州

ATLL(成人T細胞性白血病)が日本の九州に多いことは知られている。ATLの講演こそ九州の先生のものを聞いてみたいと思い、この日は他の講演会も重なるなか福岡に出掛けた。九州がんセンターの末廣陽子先生によるATLのワクチン療法のお話し、鹿児島大学病院の石塚賢治先生によるATLの治療の展望のお話しは、共に非常に充実したものであった。末廣先生のお話しは感銘を受けたのでまとめてみる。
 ATLは母乳感染が多いHTLV-1ウイルスによる疾患で、キャリアの5%が免疫抑制、あるいは高齢者になると腫瘍化してくる。免疫監視機構が低下し、遺伝子異常が集積して発症してくるのだと考えられている。その責任遺伝子としてTax遺伝子とHBZ遺伝子が知られている。
このTax特異的な細胞障害性Tリンパ球(CTL)が細胞増殖を抑制しているが、この働きが進行とともに低下している。そこで末廣先生たちは樹状細胞ワクチンを開発して臨床試験を行った。アフェレーシスで得られた患者自家末梢血から単球を分離し樹状細胞への分化誘導、成熟刺激後Tax ペプチド添加後に凍結保存した細胞を2週毎に計3 回、所属リンパ節近傍の皮下に接種して安全性・忍容性の検証を行った。急性型の患者 3 症例が登録され、その経過をお話しいただいた。
先生も強調されていたが4年以上も未治療で観察できる症例があり、一度効果が得られると長く効くようだとのこと。ほとんどのATLの進行期では強力な治療をしても13か月程度、移植しても4年生きられるのは27.8%ということからしても非常に患者にやさしく、良い治療であることがわかる。ATLは免疫関与が強い疾患でもあり、今後モガムリズマブ(抗CCR4抗体)、免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療開発が進んでいくであろうと、石塚先生も話されていた。将来ATL患者は母乳感染予防などの取り組みにより減っていくであろうが、なくなりはしない。むしろ高齢者の発症が増えてくるだろう。そんな中、強力な治療や移植に取り組めない患者さんにこの免疫療法は有用であろうし、将来発症しそうな段階でこの治療を行うことで、また落ち着いた状態にもっていけるのではないか、と考えられる。勉強になった会であった。

2017年

5月

12日

シクロスポリンと中枢神経障害

シクロスポリンは我々の領域では免疫抑制剤として、主に再生不良性貧血や赤芽球癆に用いられる薬剤である。経口剤は主に小腸で吸収されるが、体内薬物動態は個人差が大きく、血中濃度をチェックする。また脂肪に溶けやすい性質から脂肪の多い組織での局所濃度が高い(例えば肝臓、膵臓、腎臓、甲状腺、副腎、皮膚など)。脳血液関門は通過しない。
シクロスポリン投与中は血圧が急に高くなってくる人がいる。それにより頭痛などが生じる可能性もあるが、それ以外にも血中濃度の増加で振戦、しびれ、頭痛やけいれん、幻覚、小脳失調、白質脳症などまで神経障害を起こすことが知られている。
シクロスポリンを飲んでいる人は他にも複数の薬剤を免疫抑制に対して飲んでいることも多いため、それらの影響も考えつつシクロスポリンによる腎障害、腎臓からのマグネシウム再吸収低下で低マグネシウム血症になるなども関係しているかもしれない。臨床では様々な原因を同時に考えつつ、でもシクロスポリンそのものでも中枢神経副作用が起きることを知っておくことが必要である。

2017年

5月

07日

中枢神経リンパ腫 

悪性リンパ腫が脳だけに出ているものは原発性中枢神経リンパ腫といわれ、再発時に出てくるものを2次性中枢神経リンパ腫という。
リンパ腫の初診時から頭に病変があることは少ない。その後に出てくるものとしては精巣リンパ腫、乳房リンパ腫、副鼻腔、副腎などが知られているが、あとは文献により骨髄、肝臓、腎臓などと書かれているものもある。また血管内リンパ腫といわれるリンパ節を形成しないで血管内にリンパ腫病変が広がるリンパ腫では最初から中枢神経病変が存在することがしばしばある。バーキットリンパ腫でも中枢神経浸潤が多い。
これらの病変に対しては中枢神経に病変がなくても予防的に髄注の抗がん剤投与をしたり、大量MTXが入るメニューを行う。それ以外のもっと多い瀰漫性大細胞型、濾胞性リンパ腫ではどうしたら良いか。濾胞性リンパ腫では中枢神経再発の頻度は低いため、よぼど腫瘍量が多い場合を除いては予防投与はされていない。瀰漫性大細胞型でも最初からすべての中枢神経予防をしなくてはならない、とは書かれていない。しかし骨髄浸潤があるような症例や、非常に悪性度の高い場合には行うようにしている。

2017年

5月

06日

集中治療室患者での血小板減少症

集中治療室には重症な患者さんが入る。心臓外科や緊急の外科手術、脳外科手術などのかただけでなく、内科系でも重症な人が入室する。そのようなかたではしばしば血小板減少がおき、時々当科に相談がある。
 心臓外科のように体外循環といって血液を一度体内の外に出して循環させるような処置を手術中に伴うと、血小板減少はしばしば起きるとされる。また循環器系の疾患でカテーテルや心臓手術などを受ける際にヘパリン(血液を凝固しないようにする薬剤)を使用するが、5-14日くらいで血栓症状を伴いながら血小板が減るHIT(ヘパリンinduced thrombocytopenia)という病態がある。HIT抗体を調べて診断するが、実は心臓手術をした人の10%に抗体が陽性になるという報告もあり、診断は簡単ではない。
重度の外傷などで大量の輸血を要するような状態では、血漿が希釈されて血小板低下が起きることがある。
内科系では敗血症になった人では重症の人ほど血小板減少が起きる率が高く、またそれが長い人ほど予後が悪いということも解っている。敗血症で血小板減少が低下する要因としては複数の要因があり、血小板の骨髄での産生が低下することに加えて薬剤の影響、免疫が異常亢進することで血小板破壊が進ことや、DICという状態を合併することで血小板低下がみられる。1-2日で急激な血小板低下をきたした場合には、免疫関与が強いとされる。
 さらに難しい問題は悪性疾患を持っていたり、長期臥床の状態を強いられると血栓症が起きる可能性が高くなるが、そのような場合に血小板が低いとどうしたらいいか。つまり出血もしやすいし、また凝固もしやすいときにどちらの処置を優先するかである。中でも悪性疾患では、しばしば肺梗塞を起こしたりする。そのようなときには血小板が5万以下なら抗凝固療法は半分量で、3万以下なら予防投与量で、2万切ったら抗凝固は中止するという一つの基準が『blood』 のレビューに紹介されていた(Blood. 2016;128(26):3032-3042)。
 血小板低下した人が急激に回復する途中で血栓症を起こすことも知られている。とくにAPL(急性前骨髄球性白血病)では最初は重症な出血傾向だったところから、治療の過程で脳梗塞や血栓症をきたす率も他の白血病よりも高いことが知られている。

2017年

5月

03日

バラの開花が遅い今年

当院近くにある大船フラワーセンター(神奈川県立フラワーセンター大船植物園)は、私たち地元住民の憩いの場。いつもゴールデンウイークには家族づれが大勢訪れ、シャクヤクやバラが咲いて楽しませてくれる。が、今年はなぜかこの時期どちらの花も開花が遅れている。朝夕の気温がまだ低いため?藤は見事に咲いているし、つつじもそこそこ時期どおりなのにどうしてだろう?と思ってしまう。

このフラワーセンターは大規模回収のために7月3日から3月31日まで閉園となるそうだ。縮小されるのかどうなのか。何度も完全閉園の危機を迎えながら私達に季節の美しい花々を見させてくれたフラワーセンター。入園料を上げてでも、是非是非存続してもらいたいと、心より願っています。

2017年

5月

01日

AIが精神科の診断

人工知能がどんどん実臨床の中に入り込んでいる。IBM watson summit2017が4月27-28日と東京で開催されていたことが報道されていた。さまざまな事業への応用ということでビジネスモデルを紹介するイベントであったようだ。今、人工知能に関しての話題を見ない日はないくらいだから、きっと盛況だったのであろう。
医療に関連するというところではどうなるのか?ヘルスケアということで健診データなどからの健康管理、人事、労務管理への応用。また本当の臨床の現場では医師の代わりに診断補助がなされるようになるかもしれない。
あるニュースでいわれていたのは、精神科の診断を人工知能にさせたところ、50%の精度で診断が出来たという。これからは患者さんが自分で、病院に行く前にもっと簡単に診断補助出来るようになったり、病院でも問診である程度簡単に診断ができて、医師はその診断の間違いがないかどうかや、治療の選択肢が出てきたときの選択補助などをするようになるのかもしれない。今よりもっと心のケアなどをするようになるのか、それとも医師も過剰時代になってしまうのか。遠くない未来に我々も働きかたを変える時代が来るように思われる。

2017年

4月

20日

iPS細胞で輸血は可能になるのか?

輸血を外来でしている患者さんが当科は多いのだが、まだ神奈川県は供給に関して恵まれている。それでも緊急の時には手に入らないこともあるし、今後献血者はますます減るのでは、とも言われている。iPSからの血液細胞産生はどうなんですか?という質問を受けたが、ちょうど内科学会雑誌に京都大学の杉本直志先生が書かれた文章があったので紹介します(日本内科学会雑誌 106巻 第4号 843-849,2017)。
血小板を輸血量まで産生させるには大量な製造技術が必要であるということだが、それが莫大な手間がかかり実現されていなかった。しかし杉本先生のグループではヒトiPS細胞から不死化巨核球株を作成し、それにcMYC.BMI1遺伝子、次にBCL-XLを発現させることで自己複製能を獲得し増殖するようになった。それを凍結保存して必要時に解凍し、培養すれば短い期間で血小板が製造できる。またこれだけではダメで、巨核球が成熟して血小板を産生してくれなくてはならない。そのために薬剤を投入することで、良質な血小板が生体ほどではないが産生されるようになっているという。さらに産生された血小板が止血のために必要な分子を出していなくてはならず(CD42b)、それらの機能を維持させることも実現に近づいてきているようである。
また、こういう製剤は輸血しても血小板が上がらない輸血不応症に対しても期待されている。血小板輸血については実現に向けてだいぶ進んでいるようであるが、赤血球は輸血のために必要とされる赤血球数がさらに多く必要であり、赤血球産生の最終段階である脱核が難しいようで、実現にはまだまだのようである。

2017年

4月

16日

異常ヘモグロビン症

夜桜と満月・・・なかなかよく撮れています。
さて、異常ヘモグロビン症に対しての演題が日本内科学会総会で出ており、勉強になる症例でした。自分ではサラセミアを除いては見つけたことがないので、どのようにしたら見つけられるのか勉強してみました。
国内でも異常ヘモグロビン症の症例論文をみてみると、最近ではHbA1cが血糖値と比較して異常な値であったり、また検査場所により結果が大きく異なることで解るようです。
通常測られるHPLC法(高速液体クロマトグラフィー法)で異常値を呈するため、そのクロマトグラムと言われる蛋白のグラフを実際みて、正常と違うカーブが出ていないかどうか見ることが発見につながります。HbA1cについては免疫法などの他の手法で測定することが出来ますので、糖尿病疑いの人でHbA1c異常値の場合にはそちらを用いるといいでしょう。異常ヘモグロビン症が疑われたら、次はヘモグロビンの電気泳動を行います。もしくは福山臨床検査センターなどに送って検査していただくことも出来ます。
日本には3000人に1人位いるとも想定されており、しかし多くは無症候性です。20%が溶血性貧血などの症状を呈するとのこと。中には多血症傾向となることもあります。よってデータで多血症傾向+溶血パターンの人では鑑別にヘモグロビン異常症を思い浮かべたほうが良いと言えます。またRBCが多いがMCVが小さめで、貧血はそれほどないという人では注意して調べると良いでしょう、とある先生より教えていただきました。

2017年

4月

15日

日本内科学会総会 in 東京

遅い桜もいよいよ終わり。
今年も日本内科学会学会総会・講演会が東京国際フォーラムで4月14日~16日開催された。医学生・研修医のための部門もあり、当院からも先生方が発表。血液内科からも石堂先生が症例発表した。
1日しか参加出来なかったが、内科専門医を維持するうえでも総会出席はかかせない。
また内科系の本が一堂に並ぶため、手に取って購入出来るというメリットがある。実はこれを楽しみにしている先生方も多いはず。私も毎年ここで購入する一人である。
教育講演も普段聞いていない血液内科以外の領域のアップデートも出来るので、一部は聞くようにしている。さすがに最近は朝から晩まで聞く体力はないが。
会長講演は肝臓に関するもの。C型肝炎の悪化に肥満、インスリン抵抗性が関係し早期から脂肪肝を呈すること。また今B型肝炎、C型肝炎の抗ウイルス治療が進歩し、肝硬変、肝がんの起こらない時代になってきているかと油断しがちであるが、実はB型でもC型肝炎でもない、さらにNASHといわれる非アルコール性肝硬変でもない、よく解らない肝炎、肝硬変、肝臓がんが出てきているという。その他の講演では胃がん、肺がんの治療がオーバービュー出来た。また更なる高齢社会を迎えるにあたり心筋梗塞などによる死亡率は少なくなっているが、逆にそれらの方が心不全になり、それで最期を迎えることも増えていて、心不全増加時代に突入していると。それらをどう予防していくか、基本はやはり肥満の予防、塩分制限、禁煙、脂肪制限なんだという。これらの対策をとっていくことが、この春の循環器学会でも採択されたそうである。
すべての領域の進歩は早く、いつも思うがアップデートが追い付かない。

2017年

4月

13日

MPN case study in 横浜

福島県立医科大学の池田和彦先生をお招きし、講義をお願いするとともに骨髄増殖性疾患の症例検討を行う会が横浜で開催された。
池田先生の研究から骨髄増殖性疾患、ことに骨髄線維症で全例に発現するとされるHMGA2というがん遺伝子が病態と関係していることをお話しされた。HMGA2が増加すると巨核球が増加することは解っており、またLDH、脾腫、血栓症の頻度とも関係するようである。またこれが増加すると骨髄増殖性疾患幹細胞が自己複製能を増すことも解っていて、さらにこの遺伝子が抑制されると貧血、脾腫が改善する。しかしこの遺伝子は骨髄線維症から白血病になることとは関係していないようで、TP53が白血病にはより関係しているようだ。
症例は若手の先生がたが3例提示。当院からは佐藤淑先生が症例提示した。池田先生も多くの患者さんを診ているようで、治療アドバイスも実臨床に則していた。

 

2017年

4月

08日

慢性リンパ性白血病とイムブルビカの講演会

イムブルビカは昨年発売された薬で、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤という薬剤の種類です。内服薬で、保険適応は慢性リンパ性白血病(CLL)とマントル細胞リンパ腫(MCL)に通っています。
作用機序はブルトン型チロシンキナーゼを阻害することで、腫瘍性B細胞をリンパ節などから末梢血に遊離され、血液中に流れていく中でアポトーシス(細胞死)をきたすと考えられています。
白人には慢性リンパ性白血病CLLが非常に多いのですが、日本人などのアジア人には少なく、我々もまだ使用経験がありません。CLLになってもすぐに治療を開始するわけではなく、貧血や血小板減少、リンパ節が急激に増大したり脾臓が大きくなったりすると治療の対象になってきます。これまでは治療対象の患者さんでは元気であればFCR(フルダラビン、リツキサン、エンドキサン)を基本にした治療が行われてきましたが、この数年で他にも抗体薬で使用出来るものが出てきました。欧州のガイドラインではCLLにもTP53の変異がないかどうか(TP53変異があるものが一番予後が悪いとのこと)をみて治療方針を決定するようです。また、病気が進行してくるとともにTP53が強く出てくるようです。TP53の変異があればイムブルビカ投与、なければ元気ならFCR、もしくはBR(ベンダムスチン、リツキサン)、元気がなければリツキサン、ofatumumab、Alemtuzumabなどの抗体薬を考えるということでした。ただ、このイムブルビカの副作用で最近注目されているのが出血することと心房細動。やめても心房細動は残ることもあり、そうなると抗凝固療法の問題も出てくるのでやっかいです。
慢性リンパ性白血病の勉強は疾患数が少ないだけにあまりないのですが、レビュー出来て勉強になりました。

2017年

4月

07日

骨髄腫の治療 VRD単独と VRD+自家移植

多発性骨髄腫の診断後すぐの治療メニューとしては、元気であれば初めはベルケイドを用いた治療、高齢者で元気がなければレブラミドを用いた内服治療という感じで選択されることが多い。初回治療では3剤のほうがより効果が高いとされる。その中でもVRD(ベルケイド、レブラミド、デキサメサゾン)は強力な治療であるし、有効でもある。
その治療だけでいくのが良いか、自家移植を組み込んだほうが良いのかという研究成果がNEJM(The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE/ニューイングランド ジャーナル オブ メデイシン 有名な医学雑誌)に発表された。
700例という大規模な研究。1つの群は3回RVDをやり引き続きRVD5回追加してレブラミド1年維持療法。もう1群はRVDを3回やり高用量メルファランと自家移植をやる、さらに2回のRVDをやり1年間のレブラミド維持。その結果、無増悪生存期間(再発しないで生きている期間)の中央値は移植群のほうがRVD療法単独群よりも有意に長かった(50 ヵ月 対 36 ヵ月,P<0.001)。また完全寛解率も移植群のほうがRVD療法単独群よりも高かった(59% 対 48%,P=0.03)。以上から、良い薬剤が出て成績が上がっても自家移植が出来る場合には行ったほうが治療成績が良いことが示された。

2017年

4月

04日

湘南鎌倉総合病院の将来構想

玉縄地区の社会福祉協議会で発行されている冊子に当院の院長が今後の当院の構想を紹介していましたので、それをここでも紹介します。
当院は隣接している武田薬品工業の土地の一部を購入し敷地面積が2.7倍となり、そこを含めた土地を利用して7階建ての外傷センターを建て、救急センターをさらに拡充します。またがんセンターも併設し、最先端の放射線治療機器を充実させ総合病院と併設することでリスクの高い患者さん、末期がんなどにも総合的に対応できるセンターを作る予定です。また再生医療のセンターも構想しているようです。
月日の経つのは早いものです。工事も年内に始まるようです。こちらの新病院に移転してからも早6年半をすぎましたが、日々の着実な医療は地道に続けていかねばなりません。働く職員にも誇り高く仕事を続けられる組織になっていかねばなりません。まだまだ発展する余地のある病院だと思います。

2017年

4月

03日

新入職員がオリエンテーション開始

いよいよ新入職員が入ってきました。
当院でも大企業並みのオリエンテーションが約1週間かけて行われます。医師も看護師、その他の職員もまとめて行われるものもあれば、各部署ごとに分けて行われるものもあります。
初期研修医は今年22名が入ってきます。女子も5名。
本当に初々しい。
今の気持ちを失わないでと言ったところで仕事に入れば医療者としての側に立ってしまい、その立場で物事を考えてしまう。だからこそ大切な今の気持ちを・・・ということで毎年アンケートを書いてもらい保存し、卒業のときに渡しています。これから我々の病院の歴史を一緒に作っていきましょうとお話ししました。

2017年

4月

01日

MPN Asia in Tokyo

2回目となる骨髄増殖性疾患(MPN)の国際的なシンポジウムが東京で行われ、参加してきました。
骨髄増殖性疾患はここ5年位で治療や診断がすすんできた分野です。疾患そのものは以前からあり、外来でも初診でこられる軽症のかたが多く血小板増多症、多血症として紹介されるかたもこれらに含まれます。そして10-20年という長期的なお付き合いになるかたもいます。
例えば真性多血症では90%の人が持つといわれるJAK2遺伝子の変異。変異が加わることで恒常的に細胞に刺激が加わり造血が盛んになる、という病態メカニズムが解っています。それ以外にもCALR,MPL遺伝子の変異が疾患に関係しており、それら遺伝子異常により血栓症や予後の違いが言われるようになってきましたが、日本ではまだ保険で検査ができません。
今回のシンポジウムで新しい話題は、これらの骨髄増殖性疾患に対してインターフェロンを使用するというものでした。インターフェロンIFNはJAK2変異のある幹細胞にも影響し、そのような細胞を減らすことができるというデータもありあす。脾腫も改善されるそうで、ハイドレアという一般的に血球をコントロールしたり脾腫を改善する薬剤と同等の効果があるようです。
副作用としてインフルエンザ様のような症状やうつ、甲状腺機能低下などがあります。多血症の診断をされて間もないころ、全体の骨髄の細胞内でまだJAK2変異のある細胞が少ないときにIINFを行うことで、治療が長期的に行わなくても治癒を目指せるかもしれないという仮説が出されていました。血栓症などの副作用コントロールのため長期フォローが必要ですが、治癒するのであれば早期の治療にも意味があるのかもしれません。今後の研究結果が待たれます。

2017年

3月

25日

BNCTの講演会

徳洲会の東京本部にて2か月に1回全体の院長や事務長、看護部長らが集まる会議が行われる。以前ボストンに見学に行ったBNCTという新しい放射線治療の研究チームがフィンランドとボストンからそれぞれ来日し講演するというので幕張メッセまで聞きにいった。
BNCTはホウ素を体内に取り込ませて、それが腫瘍組織に特異的に集積する性質があり、それに中性子を当てることで細胞内でホウ素からアルファ線が出され腫瘍細胞を特異的に殺せるというもの。そのホウ素をどのように体内に運ぶか。その化学物質の開発や、中性子線を出すための機械の建設がなかなか大変らしい。
まだ広範囲の腫瘍に行うことは出来ずフィンランドで主に行われている研究であり、その施設の建設がそろそろ始まる。2018年には臨床試験が改めて始まるそうである。これまで脳腫瘍や頭頸部の腫瘍への照射が多く、血液疾患へ応用はまだ少ないようだ。ただ回数が少なくて済むようであり、脳腫瘍では1回で行うことで認知症などの合併症も少なくて済むと言っていた。深い組織へは治療が難しいようだが、血液分野でいえば進行した菌状息肉症のような皮膚に大きな腫瘤を持つようなものや、骨髄腫が進行して出来る形質細胞腫、髄外腫瘤などの適応になろう。もっと全身照射が出来れば、末期の人で全身に腫瘍が広がっている人などの緩和的照射療法として応用が期待出来るように思う。今後の研究結果に期待したい。

2017年

3月

24日

血液スメア・エキスパートmeeting in 横浜

骨髄を採ったあとのスライドをみるのは血液内科医にとって重要な技術であるが、検査技師のほうが読めることが多い。その技術を学ぶのに貴重な勉強会がこの血液スメア・エキスパートミーティングである。横浜市立大学の医師、検査技師のために開かれているところ、当院も一緒に参加させてもらっていて、もう18回になる。ここでは皆でスライドを前もって見てきたあとカウントし、それを当日エキスパートの先生のカウントと比較する。ばらつきが多いような細胞をなぜそのように読むのかということを中心に解説していただく。
とくに専門家との違いで思うのは、まず細胞の大きさを周囲の細胞と比較すること。核網の読みかた(繊網か顆粒状か)、そして周囲の細胞質の好塩基性が我々と評価するよりも大切にしていらっしゃるように思う。また骨髄液をすぐにその場でスライドにひかないでEDTA管の中に(固まらないように)いれておき、あとで作成すると核の変性がみられ、時には分葉して見えることもあるらしい。そのようなことはなかなか教科書にも書いていなかったりするので、生の声が聞けて勉強になる。これが年2回開催だったのが、来年からは1回になるとのこと。そのうちすべて機械が読むようになるとの噂もありますが、まだまだ細胞を読む技術は必要である。ぜひ続けていただきたいカンファレンスだ。

2017年

3月

23日

貧血網膜症 Anemic retinopahy

貧血網膜症Anemia retinopathy をご存知だろうか。貧血が原因で網膜に異常が起き、出血や白斑が出現して視力障害が起きるものである。網膜の所見としてRoth's spot(ロート斑)と呼ばれる真ん中が白い網膜出血やcotton wool spotsといわれる白斑、浮腫、多数の出血などがみられる。貧血の程度が強い場合、または血小板減少が一緒にみられる場合に起きやすいとされるが、そのメカニズムはまだよく解っていない。
貧血により網膜の低酸素が一時的に生じたり、血管のスパスム(収縮)が生じたり。毛細血管の透過性が亢進したりするらしい。もともとロート斑というのは細菌性心内膜炎のときにみられるものとされたが、白血病や糖尿病、膠原病などでもみられる。(Review of Optometry Sep 10, 2009)
強い貧血がみられたときに患者さんが視力がちょっと・・・と言うれたら、一度網膜を調べてみるのも大切です。

2017年

3月

21日

2年目研修医卒業式 in 藤沢

毎年恒例の初期臨床研修医の卒業式が開催された。今年は総勢22名、なかなか多かった。研修委員長から卒業証明書が渡されスピーチを行う。これだけいると一人ひとりが思いを伝えるのは時間的になかなか難しい。
また、毎年この場では評価にて選ばれたベストレジデントが表彰され、教え方が良かったベストテイーチャー賞もある。今年は当科の佐藤淑先生が第2位に選ばれた。初期研修医に近いところで親身に教えていることが評価されているのだと思う。残念ながら時間の関係で来て下さっているスタッフの先生方や師長達からの一言がもらえなかった。一部の科の先生方が来てくれなくなっていることも残念であった。多くのスタッフに参加してもらえる会になるよう何か工夫が必要であると感じた。

2017年

3月

19日

慢性骨髄性白血病の長期予後 in NEJM

慢性骨髄性白血病(CML)はグリベックをはじめとするチロシンキナーゼ阻害剤が使用出来るようになり早10年以上が過ぎ、長期生存するかたも多くみられる疾患となった(とても悪性と言えないくらいだ)。
かつては移植をしなければ急性転化し(急性白血病のようになり)、しかも難治性で死に至るような疾患であった。今は内服で副作用管理は必要なものの、移植が必要となる人はあまり多くない。
さて、これらの人がどのくらい本当に生存しているのか?それらに答える論文が今月の『THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE』掲載された。
グリベックを長期間内服したCMLの患者さんがどのくらいの割合で生存しているのか?平均約11年観察をした研究であるが、内服開始後10年の全生存率は83.3%(当然CML以外でも死亡する可能性もあるわけだ)、長期投与による細胞遺伝学的完全寛解率(望ましい効果の率と考えてよい)は82.8%にもなるという。
私にも10年を超えるグリベック内服の患者さんが何人かいるが、いずれも非常に良い病気コントロールがされている。一時はタシグナやスプリセルといった第2世代の薬剤が出て効果が早いとされたが、長期に内服すればグリベックはやはり良いコントロールが出来る薬剤なのだと改めて今回の論文をみても解ったし、実際の診療でも感じているところである。これら10年以上良い状態である方達が、もうそろそろ薬剤を止められるのではないかと考えてるところである。

2017年

3月

18日

日本医療安全学会学術総会 in 東大

日本医療安全学会第3回学術総会が東京大学の本郷キャンパスで開催された。当院の医療安全管理室の代表として勤めてきたこの5年間、医師のインシデントレポート(問題があったときに報告するもの)の件数増加にどのように取り組んできたかを発表した。
医師のインシデントレポート(ニアミスや医療事故)は重大なものを含むことが多く、病院で早期に対応しなくてはならないことも多いが、このようなレポートを書きたがらないのも医師である。これを増加させることでみえないアクシデント、問題点を早期に見つけることを目標として取り組んできた。
私がこの業務についたころの2011、2012年は医師のレポート提出率は全体の件数の1.5%前後であった(看護師さんやほかの業種の人が多くかいていた)。しかしその後医師への啓蒙活動や診療部長会議、医局会での報告を行い、外科系の医師達にはレポートを書く基準を自分たちで決めてもらったり。死亡事例、ICU症例などをこちらからレビューすることで重篤な合併症を早期に見つけたり・・・。
そんな活動をしてきて最近では医師のレポート提出率は7~8%に増えている。この活動を来年はもう少し内科系に広めていこうと考えている。合併症なのかインシデントなのかを判断することはしばしば難しいことがあるが、すべて合併症としてしまうと、問題にされてきた群馬大学や千葉県立がんセンターの症例と同じようなことになりかねない。報告して小さいうちに危機対応を考える文化、それを醸成することが大切である。
それにしても歴史ある東京大学の教室に入れて壇上に立てて。ちょっと良い気持ちでした。

2017年

3月

17日

湘南鎌倉総合病院 内科後期研修医卒業式

今年度当院内科後期研修を卒業する4名の終了式がこの日、横浜のグランドインターコンチネンタルホテルにて行われた。
当科にも研修医が2~3か月単位でローテーションしてくる。最近は私が手取り足取り教えるというようにはいかなくなり研修医との距離も遠くなってきてしまったが、それでもこのような節目の時には参加し、心からお祝いしたいと思っている。

終了する研修医は自分の研修の思い出をスライドにまとめ、発表する。皆とてもプレゼンテーションが上手だ。それもこの研修の中で数多くの症例検討などから身につけたものであろう。
チーフレジデントという業務は5年目のときに3~4か月間研修医のトップにたち、皆のスケジュールをまとめ、患者さんの割り振りやサポートなどを行う。カンファレンスの症例選びもある。内科のそれぞれの科(専門科)が大きくなったことで、どこの科とも言えない患者さんの割り振りなどは苦労すると思う。また最近では満床状態がしばしばあり、入院適応でも入院させられないこともある。そのような対応もチーフレジデントが判断して行う。
若い時に一度組織のトップに立つことはとても良い経験となり、また将来自分が組織の上に立つときに役にたつ。また上級医の苦労も自分が味わったからこそ理解できるというものである(とかく文句をいう人は自分がそのような苦労をしていない)。
一部の研修医は当院に残り、一部は外に出る。将来の成長を期待したいと思います。

2017年

3月

15日

輸血部のキーパーソン 当院を去る・・・

当院の検査科で輸血を担当している槇さん。このたび転勤することとなり、お別れ会が開かれた。
輸血部といえば血液内科も本当にお世話になっている。緊急の無理な輸血だけではなく、輸血に関する大きな問題がおきたときにも彼と共に対応した。そして輸血に関する安全な文化を作ってきた。何か起きたら、まず彼に聞けば情報が引き出せた。その彼がいなくなるのは、病院にとってもとても大きな痛手である。
また、彼は採血がとても上手かった。治療をして本当に血管が見えなくなってしまった患者さんの外来での採血。何度も刺されている患者さんからは「槇さんにお願い」というリクエストを何度も聞いた。その彼がいなくなることは、患者さんにとっても大きな問題である。
とは言えご家族での移動とのこと、やむを得ない。これほどまで皆に慕われるのは彼の仁徳であると思った。部下も育ちつつある。他の病院での彼の活躍を祈りつつ、またいつか仕事が一緒にしたい、と握手して別れた。

2017年

3月

11日

ITPに対するリツキサン使用

リツキサンはB細胞性リンパ腫に使用される代表的な抗体薬ですが、難治性ネフローゼやwegener肉芽腫にも適応があります。また日本には保険適応がありませんが、抗体によっておきる疾患、たとえばITPといわれる血小板減少症、TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)、溶血性貧血などにも用いられて有効性が知られています。
ITPに対してステロイドくらいしか薬剤がなかったころ、当院でもITPに対してどの治療も無効で治療がなく、出血症状がある人にリツキサンによる臨床試験を行ったことがありました。一部の患者さんではたった1回の投与でも(リンパ系腫瘍に対しては週に1回、4~6回使用します)効果が示された症例がありました。その後は企業が積極的な臨床試験を進めない状態の中で医師主導の臨床試験が行われ、その効果もあることが改めて示されこの度薬事・医事法制審議会より公知申請(こうちしんせい)を行っても差支えないと承認されました。公知申請とは、日本における医薬品について外国での承認や実績が十分ある場合に科学的根拠に基づいて公知であると認められ、臨床試験をすることなく承認されることです。今後運用などについて正式に企業より発表がされると思います。
ITPの患者さんの中にはステロイドが切れない方、新しい薬剤であるレボレード、ロミプレートを投与してもよくならない患者さんがいますが、それらの方にはまた選択肢が増えたということになります。

2017年

3月

10日

Ai(Autopsy imaging) の講習会

Ai情報センター代表理事の山本正二先生をお招きして、今年も年に1回の勉強会が院内で開催された。Aiは今よく使われている人工知能の略ではなく、死亡時に原因追及のために行われる画像検査のことで、主にCTが行われる。2015年から始まった事故調査制度と併せて以前よりも死後行われることが多くなったが、当院ではその前(2010年頃)から委員会を作ってそのやり方、撮影方法、患者家族への説明、読影の提出の仕方などを取り決め運用してきた。当時から読影に関しては通常のCT検査とは読み方が異なり、難しいことがあるため山本先生にお世話になっていた。
今日も現在の事故調査制度の問題点と、当院の症例について解説をしてくださった。当院では救命救急センターに風呂場での溺水事例の搬送が多いが、その読み方についても解説していただいた。副鼻腔に水があるか、咽頭に水があるかをみるという。本当に溺水かどうか確認するためだ。胃の液面形成が行われていると、存命中に死んだと考えられるそうだ。また、心肺停止に伴う心臓マッサージでは胸部前面のやや横の肋骨が両側性に折れることが典型的であること、その前に外傷があったかどうかとの区別の参考にするそうだ。また普段の臨床でも我々は患者さんの状況をとても細かく聞くが、Aiでも臨床情報はとても大切であるそう。例えば交通外傷ではエアバックが動いていたか、スピードがどうであったか、どの部分に座っていたかなどが重要な情報だそう。ここまで深く読むことが出来るのか、と感心した今年のカンファレンスだった。

2017年

3月

04日

難治性成人T細胞性リンパ腫にレブラミドが適応に

レブラミドは多発性骨髄腫に用いられる治療薬である。非常に効果的な薬剤であるが、この度再発、難治性成人T細胞性リンパ腫(ATL)に対して保険が通り、患者さんに使用することが出来るようになった。びっくりである。
ATLはHTLV-1ウイルスに罹患した人(多くが母乳感染)が長期間を経てリンパ腫を発症してくるもので、九州地方に多いが最近ではヒトの移動により全国で発症がみられる。当院にも患者さんはいらっしゃる。最初はゆっくり成長する形であるものが、やがてその殆どが症状を有し治療を要するようになる。進行してきたときにはCHOP療法などを行うが、一度は効いてもまた再燃することがしばしばある。そのような疾患に対して日本で開発されたCCR-4抗体(mogamulizimab ポテリジオ)が一部の患者さん(CCR-4を発現している患者)に使用出来、効果はおよそ50%程度と言われている。
今回レブラミドは再発、難治のATLに対して内服で使用することが出来、連日内服で42%に効果がみられたという。完全に治ることは少ないのだが、平均生存期間は20か月と持たせることが出来、頻回に病院への通院が難しい人、その他の治療を試してもダメであった人に選択肢がまた一つ増えることとなる。

2017年

3月

03日

横須賀共済病院の医療安全のかたと交流

横須賀共済病院は当院と同じ医療圏で、急性期病院のライバル病院でもある。救急疾患も強く心臓血管系も強い、また腫瘍系も強い病院である。逗子、葉山の患者さんの一部は横須賀共済病院に行く。
このたび横須賀共済病院の医療安全部の方々と交流をもつこととなり、先週は我が病院へ、今週は当院から私達ががお邪魔して見学や議論をさせていただいた。

医療安全は地味な仕事である。医療というのは非常に複雑な過程をとり多くの人が関わり、また多くの工程があって、機械はますます複雑になっている。ひとたび大きな事件がおきれば何千万円というお金がかかり、また心理的にも何年にもわたり訴訟や弁護士対応に追われ辛いものである。それを小さな事例のうちに発見し、皆で共有することで防ぐのが仕事。どこにミスが発生するのが議論して解決策を探し、それを進めることが仕事。これらのことが出来たらコスト的にも大きいのだが、目立たぬ仕事である。どの病院でもそれほどこの業務が好きな医者はいない。
横須賀共済病院も一般の病院であり、なかなか協力してくれる先生はいないと言っていた。また病院代表として患者さんの前に出ることも年に数年あり。週に1回は院長室にてインシデントレポート(事例の報告)を議論しているという。また我々がまだ経験していない事故調査制度も経験されていた。他の病院の内情はなかなかみせていただけないだけに、このような機会があって議論できるのはありがたい。他にもこの地域の中核病院の医療安全のかたと交流をもち、互いに工夫している方法を共有できたら良いと思う。本日はとても有意義であった。

2017年

3月

01日

遠隔医療は離島だけにあらず

患者さんからスマホで診療をやるようになりますかね~と聞かれた。これは遠隔医療というやつである。
遠隔医療というと離島と都会の病院をつないで医療というイメージであるかたが多いだろう。1997年、厚生省(当時)はすでに直接対面が困難な場合に糖尿病やぜんそくなど9疾患を例示し、遠隔医療について通知を出していた。最近はスマホなどの進歩により画像も良くなり、皮膚疾患、顔の表情などもかなりよく見られるようになった。2015年8月厚生労働省から再び通知があり、遠隔診療の対象として離島や疾患の解釈を狭くしすぎなくてよいとされた。

都会でありながら人口10万人あたりの医師数が少ないところとして埼玉、茨木、千葉が全国トップ3。小児科、産科などは非常に少ない地域があり、都内まで出れば・・・と言うが、わざわざ都内まで出るのは余程の特殊疾患である。それを解決するために遠隔医療が試されているそう。大病院が混まないようにするためにも、この方策は必要ではないか。施設の担当医師が画面で患者のバイタルサイン(熱や血圧など)と状態をみせて、それにより抗生剤の指示など対応してもらったり。また簡単に血糖が測れたり、あるいは薬局などで簡単な血液検査が出来ればデータを転送してもらい、血糖調整や食事指導するのでも十分な気がする。ただそれをするには初診は対面で、また病状が安定していることが必須である。

私も経験がある。住まいが遠く且つどうしても休みがとれない人で、薬剤の副作用としての発疹がどうかをスマホで報告してもらい、それでもともと出していた薬剤の指示を変更した。対面のほうが診療報酬の加算が多いそうで、あくまでもこのような遠隔診療はサービスでしか導入されていないそうだが、高齢者の運転も危ないからと免許返上してなかなか病院にくることが出来ないと言っている人達に、ケースワーカー等が手伝いながら自宅で薬剤の管理、副作用の報告をタブレット端末でするのも良いのではないか。他にどんなことが出来るか、ニーズを現場で拾い上げていくことも遠隔診療を進めていくのに必要だと思う。

2017年

2月

25日

14階病棟で火災訓練

この日は血液内科の病棟が火災になったという想定のもと、防災委員会のメンバーを中心に火災訓練が行われました。私は病棟で業務をしていましたが、急きょ借り出され参加することに。急に消火器を持たされて消火活動。消火器は安全ピンを外して消火。なんなく出来ました。普段から消火器、消火ポンプがどこにあるのか意識していませんが、覚えておく必要がありますね。また防火扉を閉めることや、患者確認、誘導はとっさのことだとなかなか出来ないかも。14階ですが逃げる際には屋上ではなく非常階段で少しでも下の階へ。動けない患者さんはシーツで運ぶのです。2人がかりでも相当大変です。現実的にはそんなにスタッフもいないから厳しいな~と思いました。下肢の不自由な人は車いすで防火扉の向こう側へ移動。それも抗がん剤点滴していたりすると移動は大変。だからこその訓練ですが、シナリオが出来ているのと咄嗟の判断は本当に難しい。特に上層階のため、いざ下の階の医師が飛んでいけないということもあります。火災訓練、参加してみて考えさせられました。

2017年

2月

24日

医療法人沖縄徳洲会 中部徳州会病院がJCIを取得しました。

我々の病院も沖縄徳洲会という医療法人に属していますが、その仲間である沖縄徳洲会 中部徳州会病院も国際的な病院評価であるJCIを今週受審し、見事合格しました。我々の周囲では湘南藤沢徳州会病院、葉山ハートセンターもJCIを取得しています。
 JCIを何故取得するのか、その意義は?とよく聞かれます。受審のためには病院内で多くの決まり事を文書化しなくてはなりませんが、これは病院における法律です。これを作るのは大変ですが皆に浸透させるのはもっと大変。病院は人が次から次へと入れ替わるからです。毎年教育していかなくてはならない。でもそれが当たり前となれば自然に文化となっていきます。旧病院に比べて医療安全の文化(患者確認、安全管理)については各段と質が上がっていますし、隠す文化ではなく報告して皆で共有する、そして改善する文化になってきていると思います。これをまた継続してくことが大切です。

2017年

2月

17日

湘南血液カンファレンス

藤沢市民病院血液内科の藤巻克道先生と私とで始めた年に1回のカンファレンス。大学病院の先生でなく一般病院の湘南地域の血液疾患を扱う先生に集まってもらい、ざっくばらんに話をする会としています。
今回は「CML/Ph+ALLの治療戦略」と題して国立病院機構 災害医療センター血液内科の竹迫直樹先生を、また「再発難治の多発性骨髄腫の治療戦略」と題して国立国際医療センター病院血液内科の萩原将太郎先生をそれぞれお招きして講義をしていただきました。
いつも関心するのですが竹迫先生は勉強家であり、さらりと知識を披露なさります。そして臨床経験もあり、実地の質問にもしっかり答えて下さいます。
CML(慢性骨髄性白血病)としては薬剤を中止出来るかどうかが話題ですが、Euro-SkiというスタデイやDADI trial, D-STOP trial などのデータを紹介され、やはり概ね60%くらいの人が中止出来そうであるということでした。しかしImatinib抵抗性の人は中止出来ない可能性があるそう。またうまく中止できている人ではCD4+CD8-が多くなっており、これはT細胞の活性が得られている人は中止できるのかもしれません。またTNFα、INFγが高い人もT細胞が活性化されている証拠でもあり、中止出来る可能性があるといいます。またCMLにも複数クローンがあり、ゆっくり増殖してくるクローンもあるようです。
フィラデルフィア陽性のALLはグリベックやダサチニブが出てくる前では2年生存率が60%にも満たない予後の悪いものでしたが、ダサチニブを用いたデータでは移植なしでも35%は10年生きるようになってきています。
萩原先生の講義はクイズ形式で、今意見の分かれる難治性の骨髄腫に対して治療をどのようにもっていくか議論しました。これもそれぞれの先生の個性が出て、おもしろいものでした。

 

2017年

2月

17日

骨髄腫エクスパート ルル先生(Leleu)による講義

骨髄腫の治療は毎年毎年進化が早く、我々でもついていくのが必死。欧州で骨髄腫のエキスパートであるルル先生が来日され、講演をされたので出掛けてきました。その要点をまとめてみます。

(1)治療を考えるとき、移植出来るか出来ないかとまず分けて考えるが、そこにfrailかfitか(治療についていけるか合併症などがあって難しいか)という概念を常にもち、一律年齢で切ることはしない。個々での治療を考えよう。
(2)初回の治療が大切であり、2回目以降は強くいけなくなることがあるので初回にしっかりした治療をやる。
(3)レブラミド、デキサメサゾンはこれから出てくる新薬にほとんど入るようになっている。高齢の場合にはデキサメサゾン量の調節するが、レブラミドは出来るだけがんばっていく(と言うのだが日本人では痒みや皮膚発疹があり、また血球が減って十分量がいけないことが多いのですが)。
(4)レブラミドもベルケイドもだめであれば彼はポマリドマイドを選択すると言っていました。奏効率は30%。
(5)高リスク(予後の悪い染色体異常を持つもの)では維持療法と考えるのではなく、出来るだけ3剤で治療を続けていく。
(6)最近はRVD(ベルケイド+レブラミド+デキサメサゾン)を使用されることが多いが、神経障害をどう管理するかについてのアドバイスとして、4週間毎の治療としベルケイドを2週間やって2週間休みくらいにすると、十分管理出来る。

という話でした。高名な先生ですが実際患者さんを診療し続けているため、アドバイスにも実臨床に応用出来そうな話が散りばめられていて、とても参考になりました。

2017年

2月

16日

主治医もつらい・・・

富士山が大きく見える場所というのが神奈川県にはあります。当院14階血液内科病棟も冬は富士山と丹沢山系、箱根まで見え絶景で大きくみえます。ちょっとした場所からでも富士山がそれはそれはよく見えるところというのがあります。写真は私の家の近く。なぜか雪を被った部分がとても大きくみえるスポットです。
さて、話は変わりこの日は主治医として辛い1日でした。血液内科の主治医は疾患が重たく生命に関わることが多いためでしょうか。付き合いが深くなることもあり、また身体の問題があると血液意外でもまず主治医に相談、ということもあって主治医感を強く持つ医師が多いと思います。治療を共にする者同士、という感じだからだと思います。だから若手医師には急性期の辛い時でも主治医が諦めたらだめだと常々言っているし、戦ってもダメな時には主治医も本当にガックリすることがあります。
今日は患者さんの急変があり、まったく予測出来ませんでした。なんとか助けてあげたい、そんな一人であり、辛いはずなのに前向きに本当に頑張っていた患者さん。つい2日前はいつもの様子であったばかりだったのに・・・。どうしてあげられたか?もっとやれることがなかったか?私も肩を落として涙した1日でありました。

2017年

2月

16日

玉縄桜がNHK ニュースウオッチ9で紹介されました。

玉縄桜が2月16日夜9時のNHKニュースで紹介されました。案外長い時間報道されていました。大船にある神奈川県立フラワーセンター大船植物園で早咲の桜から選ばれて開発された桜で、付近のマンションや病院施設にも植えられています。当院の自転車置き場でも既に満開。ただでさえ早咲きなのに、更に今年は朝晩は寒いにも関わらず早咲き。日中の寒暖の差が関係しているのでしょうか。昨日の報道では今年の桜は例年並みの時期に開花といっていましたが、今年は梅も早かったし、既に沈丁花が香りはじめているので桜も早いのではないかという気がします(例年沈丁花は3-4週間先のように思いますが)。桜は先週の雪で花びらがやや傷んでしまっています。病院に立ち寄られるかたは、少し病院脇の自転車置き場や隣りのマンションの庭を眺めていただくと早めの春を感じることが出来ます。

2017年

2月

11日

International Symposium for Myeloma 2017

このシンポジウムは骨髄腫のエキズパートであるルル先生の講演の他にもおもしろい講演があり、質の高い講演会でした。基礎研究から骨髄腫の薬の効きかたを解明されている自治医大の古川先生が登場。おもしろい講演だったのでまとめてみます。
(1)骨髄腫は多クローン性の疾患でMGUSの時点で既に複数クローンがある(ancestor clone)。そこから様々な遺伝子修飾をうけて多様性が広がり、Ras,Mycなどの遺伝子変異が加わると腫瘍が広がる。髄外腫瘤が出るような状態はかなり進展していると考えられ、17p delを獲得することが多い。また急に血中に形質細胞が出てくること(形質細胞性白血病)があり、これも進展した状態であるが、このクローンはAncestor cloneから出てくるらしい。これはピーカドヘリンがなくなり骨髄のニッチ(幹細胞が隠れているところ)と相互作用が出来なくなり、血中に出てくるのではないかと考えられている。
(2)ベルケイドは形質細胞の中でも成熟した骨髄腫細胞に効きやすく、逆にレブラミドは未熟な骨髄腫細胞に効きやすい(おもしろい!!)。そのためレブラミドとベルケイドを併用して使用するメニューの治療を早めの段階でしっかり使うことは、治療意義が高いということであった。
(3)骨髄腫では今、免疫療法で話題のPD-L1が発現している。MGUS(骨髄腫の前段階)では出ていなくて、進行してくると出てくるらしい。難治性とも関係している。レブラミドには免疫調整作用があることが知られているが、このPD-L1を抑制することで自分のT細胞を活性化し、T細胞性の細胞障害が強くなるということであった。
(4)レブラミドやポマリドマイドなどを長期使用すると、それらの薬剤が効くメカニズムに重要な基質蛋白であるセレブロンという蛋白が減って効果が落ちるらしい。ここにもう一度ベルケイドを追加投与することで、セレブロンの自己分解を抑制出来ることにより、また感受性をアップさせることが出来るという(ベルケイド、レブラミドそれぞれは互いに相互補助している薬剤なんだ~)。
(5)ベルケイドのユビキチンβ5への結合は110分と短く、ベルケイドによる自己分解のことなども考えるとベルケイドとレブラミドを併用するときには4時間空けたほうが良い。
臨床家からしてもとても解りやすい、納得のいく講義でした。

2017年

2月

10日

予報になかったのに鎌倉でも雪

鳥取の方面の雪は本当に大変そうです。尋常な積もり方ではありません。交通事情がこれほどになって医療機関もかなり大変だろうと思います。雪国で生活をしたことがないので想像ができません。

この日天気予報は雪にはなっていませんでしたが、雲ゆきがあやしくなり鎌倉でも夕方から雪が降りました。屋根にうっすらと積もり、車はワイパーに少し積もっているくらいで数時間で止んでしまいました。3年前のこの時期に大雪が降ったことを思い出します。
朝の通勤時間は寒い日がまだまだ続きます。

2017年

2月

04日

溶血性貧血をきたす感染症 クロストリジウム感染症

抗生剤を長期投与することで腸内細菌のバランスが崩れておきる下痢のことを聞いたことがあるかたも多いであろう。その原因となるのがクロストリジウムデイフイシルという菌による毒素である。
腸内に存在する細菌、このクロストリジウム属。消化管に常在していて、腹部のその他の感染でも問題となる菌である。腸管の穿孔(穴があくこと)がリンパ腫や大腸がんなどが原因でおきることがある。その際に問題となる菌であるし、また重篤な腸管粘膜障害(抗がん剤などで)のあとの菌のtranslocationで問題となったりもする。婦人科関連の感染症もおきうる。
さて、これらの感染症の中でも最も重要なのがウェルシュ菌(Clotridium perfringence) C. septicum腸内に存在するこれらの細菌は化膿を引き起こす毒素を産生するし、食中毒の原因にもなる。その毒素の中のレシチナーゼという毒素が赤血球膜を破壊するので溶血性貧血を起こすことがある。重症の腹部感染症と重度の溶血を伴っていたらクロストリジウム敗血症を考える必要がある。

2017年

2月

03日

徳州新聞にとりあげられました。

今週の徳州新聞に当科のことが紹介されました。日本血液学会は全国の血液疾患の把握をするために、教育認定施設に疾患登録をすることを義務付けています。この疾患登録は秘書の村松さんにお願いしていますが、大学病院でも人材の問題からなかなかそれが出来ていないと聞きます。それを当院では秘書さんが医学用語も理解しながらこつこつ日々行ってくれています。昨年学会総会で発表されたところでは全国でも8番目の疾患登録数でした。これは医師が診療の合間に片手間にはなかなか出来ないことです。事務方の力で病院の知名度を上げることも十分可能であるということです。他の科でもそれぞれ秘書さんが手術のデータ管理をしたり研究会の手配をしたりしています。医師は俳優みたいなものですから、それらの仕事やスケジュールを管理したり、またその仕事を外部に紹介する仕事などなど、事務方の果たす役割は大きいと思います。

2017年

2月

02日

玉縄桜が咲き始めました。

当院の住所は<鎌倉市岡本>ですが、少し大船駅寄りの住所になると<玉縄>という地域になります。その地域の名前がとられた桜<玉縄桜>が先週位からもうほころび始めました。病院やこの地域のマンション、託児所などに植えられていて、その基になる原木は神奈川県立フラワーセンター大船植物園(大船フラワーセンター)にあります。早咲きに開発された桜ですが、今年は寒いのに日中との寒暖の差が原因でしょうか、例年よりも早く咲き始めているように思います。また周囲の梅も咲き始めていますね。朝夕は寒い日が続きますが、あと1か月もすれば暖かく感じられる日が増えてくるのだと思います。また花の咲くのが楽しみになる季節となりますね。

2017年

2月

01日

インフルエンザによる高齢者の入院が増えています。

インフルエンザが猛威をふるっており、今年はインフルエンザで入院される重症なかたが多いように感じます。インフルエンザは高熱であっても院内感染対策の点からは積極的には入院させず自宅で看てもらうことが多いのですが、高齢者で脱水を伴っていたり、特に今年はインフルエンザに関する肺炎を合併して入院されるかたが多い印象を持ちます。
インフルエンザに合併する肺炎としてはインフルエンザウイルスそのものによる肺炎と、一度インフルエンザから回復後改めて細菌性肺炎にかかる2次性肺炎があります。インフルエンザ肺炎は例え若い人でも急性期に重症化することもあります。また2次性肺炎はインフルエンザにより気管支粘膜や上皮の損傷から肺炎球菌が侵入しやすくなり、肺炎球菌の罹患が多くなること。その他ブドウ球菌、インフルエンザ桿菌に罹りやすいとされます。
また肺炎だけではなくインフルエンザに罹患すると急性期に心電図変化が出やすく、一部のデータでは50%近くが心電図変化するといいます。またもともと心疾患、虚血性疾患がある方ではその症状が強く出たりすることがあるとされていますので、インフルエンザ急性期には狭心症状、心不全にも注意が必要です。

2017年

1月

28日

ゴーシェ病と骨髄増殖性疾患の勉強会

福岡にてゴーシェ病と骨髄増殖性疾患の講演があり参加した。
ゴーシェ病は稀な疾患で、先天性疾患ではあるものの成人になってから血小板減少症、肝脾腫で見つかることもある疾患で、見逃されているとされる病気。成人でどのような形でみつかるのか、具体例を示されながら鹿児島大学医学部歯学部附属病院の吉満誠先生が講演された。
最初はWBC2000、PLT7.8万くらいで肝臓、腫大がみられたとのこと。その後受診されず、肝脾腫がひどくなったそう。ひどくなると治療しても血小板数の戻りが悪いし、脾臓も完全には元のサイズにならないようだ。そのゴーシェ病、最近では骨髄腫やM蛋白との関係も注目されているという。

また骨髄増殖性疾患のところでは日本医科大学の猪口孝一教授、順天堂大学の小松則夫教授が講演ざれた。最近では骨髄増殖性疾患ではJAK2,CALR,MPLという遺伝子異常が知られている。それらがすべて陰性の症例は全体の18%程度を占めるとされ、日本人では多いそうだ。その他に比べて若く発症しているが予後が悪い。これらの遺伝子検査は日本では保険適応がない。一般病院では真性多血症でJAK2遺伝子変異を取るくらいが精一杯である。
そのJAK2遺伝子変異をETで調べてみると、ET(本態性血小板増多症)でJAK2遺伝子変異陽性の症例は血栓症が多いとのこと。一般的にはETで若い人は治療はしないことが多いが、年齢が若くてもこれらの症例では血栓予防をしたほうが良いかもしれない。逆に低リスクでCALR遺伝子変異のある人にアスピリンを投与すると、出血が多くなるそうだ。これらの遺伝子検査をすべての骨髄増殖性疾患でやっていくことも検討したいと思った。
骨髄増殖性疾患もまた血栓症のリスクで、その理由としてWBCと巨核球は互いに刺激しあっているそうだ。それにより血小板が活性化されて血栓が起きやすくなる。そのような症例に対してはハイドレアが良いという。WBCも低下させることで血小板の凝集も抑えられるようになる。また網状血小板(若い血小板)が多い症例もトロンビンに対して反応しやすいため、血小板の凝集がおきやすい。JAK2遺伝子変異陽性のほうが、網状血小板が多いそう。これもハイドレアが良いそうだ。
アナグレリドは日本では2年ほど前から使用できるようになったETに対する薬剤である。DNA合成に影響しないので白血病発症リスクが少ないとされ、海外でも若い人に対してはハイドレアよりもアナグレリドが多く使用されているようだ(最近ではハイドレア単独ではそれほど白血病になるリスクは高くないとされているが)。アナグレリドの血小板に対する効果はゆっくりで60万以下になるのには平均99日もかかるそうで、ハイドレアからアナグレリドに変更するときは、ハイドレアは併用しながらゆっくり治療薬を移行させていったほうが良いという。新しい知識をまた得ることが出来た勉強会でした。

2017年

1月

26日

医療ルネサンスで血液のがんが紹介

読売新聞の医療ルネサンスはよく読まれている医療関連記事。1月26日から血液のがんが始まった。初回の1月26日は慢性骨髄性白血病の薬剤中止の話。まだまだすべての人が止めていいわけではなく、この記事を読んで自分も止めても大丈夫と思って薬のコンプライアンス(しっかり定期的に飲むこと)が悪くならないほうが良いなと思う。

1月27日の記事は急性リンパ性白血病に対する臍帯血移植の話。紹介されている症例は慢性骨髄性白血病から進展してしまった患者さん。そういう症例は多くないのであるが、患者さんは記事やテレビで情報に敏感であるから、心配になってしまっている慢性骨髄性白血病のかたがいた。

ワイドショーも含めてすべての医療情報にはなかなかアクセスする暇もない我々。でも突然外来で患者さんに質問されることもある。血液関連の先生方、5回シリーズなので記事を追って読んでみて下さい。

2017年

1月

24日

透析医療を最初からみつめてきた女性医師の講演

昭和43年に人工腎臓、透析が始まったときからその診療に携わり、その後阪神大震災の中で奔走、喜寿になる今も神戸で複数の透析クリニックを経営される女性の先生 酒井瑠実先生が当院の腎臓内科主催のセミナーに招聘されて院内で講演をされたので聞きにいきました。透析医療がまだなかった頃の腎不全患者さんの水分制限が厳しかった時代の話に始まり、透析が始まった頃はそのコスト高ゆえに田畑を売って治療費を工面したり、患者さんが支払いが出来ず逃げ出すようなこともあった・・・という話など、透析の歴史の話は興味深く聞かせていただきました。
先生は透析の患者さんに自己管理をさせるという意識づけを積極的に行っていて、患者さんに透析のラインを組み立ててもらったりすることも。診察券には常に最新の透析条件が書かれているものを持たせているそうです。また自宅で寝ている間に透析を行うことで長時間透析が出来、また家族の時間などを生み出せると教育をして、自宅透析を試みているかたもいるそうです。
透析は基本的に週3回、1回3時間と思っていましたが、合併症やかゆみ、骨症状、胃腸障害、色素沈着なども含めて長時間透析が良いということも訴えてました。
それにしてもエネルギーのある先生だな~と思いました。酒井先生の研修医時代は女子も少なく辛い差別などもあったであろうにと思いながら、年齢を感じさせずまだ新しいことにチャレンジする姿勢を勉強させてもらいました。

2017年

1月

21日

韓国からきた看護師さんのお別れ会

当院は海外からの看護師を採用するようになってきています。語学の問題がありまだまだ難しいのですが、フィリピン、韓国といったところが多いです。当然日本語をマスターし、さらに医療を行うのですからすごいと思います。私たちの14階病棟で約3年間頑張ってくれた看護師さんがこのたび韓国に戻ることになり、この日送迎会が行われました。
日本の文化に溶け込む努力、さらに状態の悪い人を観察・判断し、時には患者さんに説明しなくてはならないのですから本当に大変なことです。立派です。おまけにカルテにも記載するのですから。「漢字大丈夫?」と聞いたら自分で書くのは難しいが変換機能で大丈夫なのだそうです。
彼女は点滴の針を刺すのも上手で、患者さんから指名されたほどです。病棟のチームにも溶け込んでいました。
辛いことも多々あったことでしょうが日本で働けていたこと、自信をもって頑張ってほしいです。

2017年

1月

19日

骨髄増殖性疾患の勉強会 in Yokohama

骨髄線維症、真性多血症に用いられるジャカビという薬剤の使用経験の症例発表と、骨髄増殖性疾患の最新の知見の講演が横浜で行われ、参加しました。ジャカビ使用によりウイルス性疾患に罹患しやすくなるなどの感染し易さも知られており、当院で経験した播種性の水痘症を佐藤淑先生に発表してもらいました。
骨髄増殖性疾患の講義では、昨年のWHO分類により新しく覚えておく必要になったことのオーバービューがなされました。
真性多血症と診断するのに2008年WHO基準よりもHbの価が男性16.5、女性16と基準が低く設定されましたが、それはmasked PVといわれる一群があることが解ったため。Hb低めでもケアを受けておらず、血栓症が同じような頻度でおこる人たちがいることが解ったためだそう。
また骨髄線維症はpre MPFとovert MPFに分けられ、線維化の程度でgrade1,preMPF, grade2-3,overt MPFとする。その中でpre MPFとET(本態性血小板増多症)との鑑別がとても大切であり、核の異形成や赤芽球が低形成になているか、顆粒球系が増加しているかなどにより区別される、というがその鑑別はなかなか難しいようです。
しかし予後にも影響してくるし、リスクが上がるそう。またCARL mutationはETと骨髄線維症に特異的な遺伝子異常で、CALRがあると骨髄線維症では予後が良いとされる。
このように遺伝子異常により骨髄増殖性疾患でも予後が判断されるようになっています。triple negativeといわれるJAK2,MPL,CARLの遺伝子変異がすべてない群では最も予後が悪いとされ、骨髄線維症の10%程度います。しかしこれらを次世代シークエンサーで調べるとsplicesomeやepigenetic に関係する遺伝子変異があることが解ってきています。これらの一部ではMDSに用いられるビダーザが有効な症例もあるはずです。

2017年

1月

17日

ドクターゴン在宅医療の話

「ドクターゴン」という名前は、聞いたことがあるかたも多いことでしょう。ドクターゴン診療所はこの鎌倉地域で在宅診療を行っているのですが、本名は泰川恵吾先生です。我々血液内科の患者さんもお世話になっており、重症で自宅では無理かしら・・・と思うような患者さんでも引き受けてくれる。そんな存在です。
この日当院のがん病診連携の会にお見えになり、お話しされました。先生が東京女子医大の救急医としてバリバリに救急医療をされていたこと、その後出身地の宮古島にH9年9月診療所を開設、鎌倉にはH17年10月常盤にクリニックを開設。現在は宮古島と鎌倉を行ったり来たりされています。コンピューターに強い先生で、自ら電子カルテを作られたり、東日本大震災のときには診療所の先生に電子カルテを貸してサポートしたり、現在も工夫されているネットワークシステムのことなど、お話しは多岐にわたりました。泰川先生は色々なところに記事を書いていますが熱い先生です。どこまで医療を行うことが良いのか、救える命は救う必要は救急医としては十分知りながら、しかし最大限の医療をしても幸せではない。それがすべてではない緩和医療、終末期医療、寄り添い経過を静かに一緒に共有する医療。その両極端の医療に身をおいてきた立場だからこそ、仰る言葉には重みがありました。研修医の先生にも興味があったらドクターゴンのところに研修に行ってもらいたいと思いました。きっと実体験から学ぶことが多くあるはずです。

2017年

1月

13日

沖縄徳洲会の病院に応援に

この冬一番の寒さが本州を襲う中、1月13日沖縄にある中部徳洲会病院に見学とJCI(世界的な病院機能評価)を取得するためのアドバイスに当院からチームで出掛けました。沖縄とは温度が12度以上差があり、半袖姿の人を見かけてビックリです。
病院は昨年新築移転し、非常に綺麗でした。私は院長はじめ人がとても素朴で優しいと感じました。どこか話していて懐かしさを感じたのです。以前の茅ヶ崎徳洲会病院や当院を思いだしました。
もともと数年前からJCIを取得することを目指して準備しており、職員の安全に対する意識は初めて取得を狙う時期としては高かったように感じました。病棟に行っても看護師をはじめスタッフの人達は好意的で、熱心に我々の対応をしてくれました。私達だって初回の時にはどういうものか分からなかったですから、先に取得した兄弟病院としてはコツを教え導いてあげることは当然だと思います。また人間ドックの部屋はなかなか綺麗でしたし、病院から見える沖縄の海もさぞかし綺麗なはず・・・(この日は雨でよく見えなかったのです)。
また血液内科を診ている若い先生がいらっしゃり、脳のリンパ腫の治療などをされていました。交流などが出来たら良いと思います。
沖縄徳洲会という法人にいながら沖縄の病院とはあまり縁がなかったのですが、こういうことを機会に知り合いが出来て良かったと思います。

2017年

1月

06日

話題の腸内フローラと疾患の講演会

今年の大河ドラマは私の故郷である浜松の北に位置する井伊谷という場所です。正月に出掛け、その谷が見えるかつて城があったという山に登りました。谷が開け稲作が広く行われており、ここからの同じような風景を当時の人も見ていたであろうと思われます。右方面にみえるのは浜名湖です。

さて、正月早々病院内では色々な病気に関係するとされる腸内フローラの勉強会が開催されました。腸内フローラは約1000種、100兆個もあり便の10%を占めます。最近ではmicrobiotaと言うそう。腸の上皮に付着して宿主である人に対し色々なことをしています。最近の検査方法で次世代シーケンサーを用いることによりこれまで培養出来ていなかった菌も解るようになってきたといいます。ここでも遺伝子を用いた検査か・・・と血液疾患に関係する遺伝子が急に解明されてきたのと同じだなと感じました。
さて、腸内フローラが色々な疾患と関係していることが知られきていています。まず肥満と腸内フローラも関係しています。動物実験では肥満マウスのフローラを無菌マウスに入れると肥満になるそうです。人でも肥満の人とそうでない人とでは腸内フローラの違いが研究されていて、それらを肥満の治療に用いることが出来るのではないかと検討されています。また年齢で腸内フローラは変化するようです。3歳から60歳くらいまでは同じような腸内細菌なのですが、80歳位になるとビフィズス菌が減り大腸菌が増加するなどの変化がみられるそうです。元気でいるためにも特に高齢者ではビフィズス菌を飲ませるなどしたほうが良いのでしょうか。日本人が好きな発酵食品、また年をとると自然にさっぱりしたもの、野菜が摂りたくなるのも体が自然にそうさせているのかもしれません。
また高脂肪食が腸内細菌のバランスを変え、それが腸の細胞のバリアを低下させることで(tight junctionに関係)血液中に菌が回り、炎症を起こして糖尿病などのメタボを引き起こすという説が説明されていました。Ⅱ型糖尿病の人ではよく調べると28%の人が血液中から少量の菌がでるそうです。またICUなど重症な状態の人は腸内フローラが乱れ、24時間以内という早期に嫌気性菌・ブドウ球菌が増え、それらが乱れるほど死亡率が高いことも出ているそうです。
腸内有機酸(酪酸、酢酸、乳酸)は腸内細菌から作られますが、腸管の蠕動運動を亢進させたり、また腸管上皮の主なエネルギーになるようです。そして殺菌作用も持っています。糖尿病や重症患者ではこれらが低下することも知られています。腸内環境を改善することで疾患の予後も改善できるということが試みられており、腸管の手術の術前からヤクルト、ミルミル、オリゴ糖を投与することで腸管からのバクテリアルトランスロケーション(細菌の血中への移行)が抑制され、術後感染も抑えられるそうです。我々の化学療法の患者さんにも有効な考えかもしれないと思いました。まだまだ面白いことが出てきそうな領域です。

2017年

1月

02日

これから世界はどうなる?医療はどうなる?

年末年始の番組や雑誌の特集では、昨年話題になったことを元にこれからどうなるのかを考える編集がかなりありました。
2016年は当たり前のようにニュースの中に人工知能(AI)の話題が出てきて、トラックの自動運転もアメリカで実験が行われたり、ドローンによる物の運搬が実験されたり、すでに色々な領域で新しいことが猛スピードで変わろうとしているのを感じます。私はそれが医療にどのように入ってくるのか、それが大きな関心です。
ダボス会議や世界のトップの人々がどうなりそうか、どこまで確証しているのか、そんなこと垣間見えるのが<『第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来』クラウス シュワブ・著 日本経済新聞出版社>です。具体的な例も紹介されていますが医療としては以下のような点があげられています。
今もっていう携帯電話が埋め込み型(ウエラブルを超えて)になり、そこから人体データも取り出せて血圧などの健康管理から更には治療まで(血糖測定が出来インスリンが微量調節出来たら良いですね)行われるかもしれない。また衣服で発汗量、脈拍などを感じるものも出来ており、それが病衣に活用されたり自宅にいる高齢者の健康把握に利用出来るかもしれない。絨毯にとりつけたセンサーから歩き方をみてリハビリメニューを決める・・・等の例があげられていた。
また我々の仕事を一部肩代わりするのに診断分野を人工知能が担うようになるのでしょうか。すでにIBMのワトソンが医療データを大量に読み込んで診断に役立てる研究が行われているそうです。肺がんの診断率はAIのほうが良かったというデータもあります。ますますこの分野については短期間で進化が進むと予測されます。それらについていくことが出来るように「情報をもつ」ということはますます大切になるでしょう。

2017年

1月

01日

新年あけましておめでとうございます。

2017年 新年あけましておめでとうございます。雲一つない空に日が昇ってくるところを拝みました。
年々自らの欲を祈るというよりも、皆の健康・自らの健康を祈るようになってきました。

12月末は風邪をもとに体調を崩し忘年会などもすべてキャンセルしてしまいましたが、体のコンデイショニングの大切さ、また患者さんの症状を訴える気持ちがよく分かる年末でした。

今年も当科がまとまり、そして診療にあたれること。患者さんにもたくさん来ていただいて診療できるように日々感謝して診療を行いたいと思います。そのために近隣の病院、医院の先生方にも挨拶して症例の結果をお伝えするなど、診療以外の仕事もしていこうと思います。

 

2016年

12月

29日

GRIT やり抜く力

これは2016年9月にダイヤモンド社から出版された本のタイトルです。ニューヨークタイムズのベストセラーにもランクインした話題の本で、書評で紹介されたいたので読んでみました。
偉大な人と普通の人との決定的な違いは動機の持続性、粘り強さ、やり抜く力であるというのがこの本の言いたい点であり、それを様々な研究やインタビューから証明しようと試みています。
努力をしなければ才能があっても宝の持ち腐、上達するスキルも頭打ち。やり抜く力は持久力、そしてぶれない目標、やり抜くためには興味があり練習を怠らず目的を明確に。且つ他の人にも役立てるようなものであること、そして希望をもつことが必要だと。やり抜く力が強い人はそれに取り組む時間も長い。そのための意図的な練習をする(どこが弱いかなど分析してそこを改善させるための練習など)。メガ成功者は改善を行い続ける。かつてマイクロソフト社では技術者の採用に粘り強い、最後まで問題をやり抜こうとする人を採用していたというエピソードも紹介されています。子供についてはやろうと決めたことは1年以上続けさせる、そして最後までやり通す経験から人格を形成する・・・などなど。子育てに参考になる内容も書かれています。

自分を振り返ってみると、また本の中での自己採点をみてみてもやり抜く力が弱いことが分かります。分かっていてもなかなか粘り強くできないのは性格もあるとは思いますが、意識的に改善することも出来ると書かれていたので、来年の自己目標としてみたいと思いました。興味ある方は読んでみてください。

2016年

12月

27日

幸福と成功の意外な関係 ショーン・エイカー

ニュースはnegativeな報道が多い。戦争や事故、天災などなど。人々はそれらに惹かれる面もあるのだが、でもこのようなマイナスなイメージばかりをみていると、精神的には鬱っぽくなったりやる気がなくなることは知られている。東日本大震災の時もそうであった。
ここでポジテイブ心理学の登場である。ポジテイブな脳はずっとよく機能し、知的レベルも上がり、創造性も上がると言われている。医師であればポジテイブな気持ちでいると診断の正確さが19%上がるという(だから医師が元気でいること、精神的にもポジテイブでいることは大切なんだ!)。これはdopamineが出ることで幸福感が増し、学習機能も上がるためだという。ではどうしたらそうなれるか?
この証明はなかなか難しいと思うが、心理学者ショーン・エイカー(Shawn Achor)さんがTEDトークで語っていたのは感謝するこを1日3つ書くことを21日間続けること。最初は考え付かないことがそのような態度になることで、自分で感謝できるものを探し、目を配れるようになる。つまり世の中の出来事でnegativeな話題のものでなくpositiveなものを見つけようというふうになれると。
我々も患者さんのそんなシーンをよく目にする。よく患者さんが告知を受けて辛い治療になったとき、「どうして私だけが・・なぜ??」という内向きの心理になる。その当たり前の感情から徐々に治療を受ける中で、周囲の環境や家族に感謝したり、治療しながらも人に何かしてあげたりしている人は確かに治療も上手くいくことが多いし、辛さも少ないように感じる。
幸福になれるためのポジテイブマインド練習。どうなるか試してみましょうか。

2016年

12月

23日

17回目のクリスマス回診

今年も恒例のクリスマス特別回診を行いました。2000年に始めたので、今年で17回目です。
着ぐるみ着たり変装したりして患者さんのところをまわり、生演奏のもとクリスマスカードを渡します。私の患者さんの音楽教室の子供たちが毎年ピアニカで、また職員のご家族がヴァイオリンのプロ並みの演奏で演出してくれます。中には本当に泣いてくれる患者さんもいますし、意識のなかった方がふと目を開けてくれたこともありました。押しつけがましいところもありますが、患者さんにも世の中の人と同じ生活を・・・をコンセプトに続けてきました。
そのあとは約1時間の演奏会。子どもたちの演奏、朗読、琴の演奏と共に聞き慣れた歌を歌う。今年はプロの尺八奏者も参加して下さりレベルの高い演奏となりました。そして最後にヴァイオリンで『真田丸』のテーマ曲!なんともレベルの高い!!
でも毎年みなさんボランティア。子供たちには今年からボランティア証明書を渡すこととしました。いつまで続けられるか・・・もうやめようかと思ったこともありましたが今年も素敵な笑顔を見せてもらい、またやっていこうかと思った今年のクリスマス特別回診でした。

2016年

12月

13日

慢性骨髄性白血病の新規薬剤について講演

アメリカから帰ってきてから風邪をひいてしまった。
この日は慢性骨髄性白血病の新規薬剤に対しての話題を薬剤師の方々の集まる会で話すことになっており、講義をした。声が掠れて聞きとりにくく申し訳なかったが、せっかく勉強をしたこともあり、講義させてもらった。
CMLの今年の話題はT315Iというこれまでの薬剤に対して抵抗性のある遺伝子変異をもつ人に対しても効果のあるponatinibという薬剤が発売されたこと、しかしこの薬剤には非常に血管性の合併症(心筋梗塞や脳梗塞など)がおきやすい(長期でみると20%程度)のためその管理、早期発見と治療が求められる。またこの薬剤以外にもNilotinib(タシグナ)が末梢動脈閉塞症をきたしやすいこともしられていて、それがタシグナでの血糖上昇作用や高脂血症とも関係がある可能性がある。そのような血管合併症というのが以前から知られているがこのところより注目される知っておくべき合併症として認知されるようになった。最後にこれらの薬剤の中止の話だ。まだガイドラインではやめることを推奨していないが、少なくとも深いレベルでの寛解(MR4.5)を2年間くらい続けられた人では一部の人にやめることができるとされている。そして40%程度の人がやめても寛解を維持しているし、採血で少し再燃が疑われてもすぐに再開することでもとのレベルまで戻せているのがほとんどである。薬剤費も高くまた少しでもdrug freeになりたいという患者さんもいる。これが試されることが認められるように早くなってほしい。

2016年

12月

07日

ボストン見学ツアー その3

さて、今回のツアー中に私達徳洲会の活動をプレゼンテーションする機会が与えられました。放射線治療の研究企業でもそうでしたし、マサチューセッツ総合病院でもそうでした。そこで聞いていた彼らを関心させていたのは、利益重視ではない徳洲会の海外展開でした。アフリカの様々な国への透析技術、透析機器の援助。ブルガリアでの病院建設、JCI取得、それらが評価されていました。一般の病院の中でただ働いているだけではなかなか見えない海外での活動ですが、それらが病院のプレゼンス(presence)を高めてくれているのだということを知りました。
また今回マサチューセッツ総合病院を見学できたのは、東日本大震災の際にボランテイア協力を申し出たボストンの医師とのやりとりが繋がって実現したことでした。人との繋がりがまた新たな可能性を導きだすのを見させてもらったと思います。

2016年

12月

06日

ボストン見学ツアー2

午後は世界で一番有名な病院で、世界で最も信頼され有名な医学雑誌『THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE』に毎回登場するMASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL の見学でした。
エントランスは何とはいえない狭いところで、とてもゴージャスな病院とは言えませんでした。少しずつ継ぎ足したという感じで構造を理解するのに時間がかかる、迷ってしまうような病院でした。色々建物内を見させていただきましたが、決して日本の病院が設備で著しく劣っているとは思えません。
ただ看護師は手厚い。目の前に看護師さんがいるという感じで、がんの病棟では看護師1人に対して患者が2人くらい。
院内での安全対策、手洗い、衛生管理は、当院がJCIという世界的な認証を受けているため、全く同じことをしているなという印象でした(彼らも監査が入るときはすぐに片付けるそう)。
結局違うのは歴史と人なんだろうと思います。全米でも人気のあるこの病院で働くということで優秀な人が集まり切磋琢磨し、そして何かを作り上げていく。それが年を重ねて歴史となってく。
この写真は『THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE』のcase recordのところに掲載されている建物マークの元になっているものです。世界ではじめてエーテル麻酔をしながら手術を試みた場所がここだそう。歴史ある建物なのです。こういった歴史はまだまだ我々の病院では勝てません。

2016年

12月

04日

ボストン見学ツアー その1

12月4日から7日までアメリカ合衆国ボストンの施設病院ツアーに参加させていただきました(現地滞在1日の弾丸ツアーでしたが)。今回の目的は新しい放射線治療の見学と、世界一有名な病院マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)のがん病棟見学でした。将来当院の近くにがんセンターを作る構想があるためです。
見学はたった1日。でも充実した1日でした。午前中はボストン郊外にある新しい放射線治療機器を販売したいと考えている会社の見学。この新しい治療はホウ素中性子捕捉療法というものです。がんに集積する特性をもったホウ素薬剤を投与してがんに集積をするのを確認したあと、加速器にて作られた中性子を患部に照射するというもの。するとがん細胞内でホウ素と中性子の核反応で放射線が発生し、がん細胞だけが破壊されるというもので、浸潤性の強いがん、多発がんなどに効果が期待できるそうです。すでに筑波大学や大阪大学では試されていうようなのですがまだ広まるには至っていませんし、保険も通っていないものです。世界的にはフィンランドでの研究が盛んなようで、そこからアメリカ、さらには日本へのビジネスを広げていきたいと考えている企業とのことでした。
写真は加速器で、ちょっとした体育館のような中に留置されていました。以前のよりも小型化されているようですが、それでも広い場所が必要です。治療の可能性としてはまだ頭頸部が中心でしたが、その他のがんにもまだまだ応用が利きそうでした。

2016年

11月

20日

NHKスペシャル プレシジション医療

遺伝子発現をみて抗がん剤を選択する。すべての遺伝子を調べるというところまではいっていないが、大腸がん・肺がん・乳がん・一部の血液腫瘍では腫瘍の遺伝子発現をチェックして、抗がん剤が使えるかどうかみている。
NHKスペシャルで紹介されていたのは、可能性のある遺伝子変異を多数調べて治療薬があればそれ、臨床試験の薬剤があればそれ、というように効くかどうかわからない高額な抗がん剤よりも、より効きやすいものを選択して行うという方法が紹介されていた。いずれも新薬が高額であり、本当に効く人に投与をしていかなくては医療財政が破たんしてしまうという理由もある。また番組の中で紹介されていたのは、人工知能ワトソン君と患者の膨大な遺伝子データをもとにして今まで遺伝子異常がみつかっていない新しい遺伝子を発見し、創薬に結び付ける試み。ワトソン君には2300万件という驚くほどの文献を読み込ませているという(人では成せない業である)。今後は患者データを入れることにより診断や最適な治療のアシストをする役割をしていくであろうとのことであった。
急激に進歩している遺伝子と疾患の関連。そして遺伝子を好みのように改変できる技術もすすんでいる。10年後の医療はどのようになっているのだろうか、と未来の医療に思いを馳せてしまった。

2016年

11月

19日

ゴーシェ病フォーラムに参加しました。

ゴーシェ病に特化した勉強会が開催されるというので東京まで出掛けてきた。
ゴーシェ病というのはライソゾーム病の一種で、体の中にグルコセレブロシダーゼの欠損によりグルコセレブロシド、グルコシルスフィンゴシンが蓄積して様々な病態を呈する疾患である。遺伝疾患であるため小児の間に発生することが多いのだが、実は成人になってから診断される症例が日本では3分の1はいること、また小児では著明な肝脾腫で発生するのに対して成人では症状がなく、最初は血小板減少でみつかる症例が多いのだそうである。その違いなどまだ解っていないことも多い。私も診たことがないが、若年成人の軽い血小板減少症の中に混じっている可能性がある。また脾腫で来院されるかもしれない。ということで血液内科医が診る可能性のある疾患。
といっても、日本にはまだ150例くらいしかいない。私も患者さんを診たことがないのでどのような発症の仕方をするのか症例をみたいと思い、カンファンレンスに参加した。
この疾患では炎症性のサイトカインも多く出ているということや、また酵素療法などにより長期に生存できるようになっているようであるが、骨髄腫やリンパ腫などの血液疾患を併発してくる症例があるそうで、その関連性はおもしろいと思う。勉強になった会であった。ゴーシェ病一筋に研究をされてきた日本の先生がたが集まる会で、その歴史についてもまとめられていた。医療の発展がここでも大きくあったことを知った。

2016年

11月

18日

若手血液内科医のための勉強会 in 東京

東京で開催された若手血液内科医中心の勉強会。若手じゃないけど演者の先生の話がおもしろそうであり、若い先生とでかけた。日本医科大学の田村秀人先生が骨髄腫の検査の話、また東京医科大学の天野景裕先生が止血血栓関連の検査の話をしてくださった。
田村先生は主に骨髄腫細胞の表面マーカーなどからの予後進行予測の話をされ、この日発売になったelotuzumabの分子的な話をされた。おもしろかったのは進行してくるとelotuzumabの標的であるSLAMF7が進行とともに細胞膜からきれて血中に流されるようになり抗体の働きをブロックするかもしれず、効果が低下する可能性があるかもと言っていたことだ。早めに使用したほうがいいかもしれないとのこと。
また、血栓に関しては主に出血傾向のときにどのような検査をするかということを話された。多発性骨髄腫では後天性フォンビルブラント病が出る可能性があること、第8因子が低下していたらvWFを測定すること。後天性血友病でのクロスミキシングの結果解釈を復習しました。止血出血関連は血液内科医も不得意なところであり、今度は線溶系のお話しをきかせていただきたいなと思いました。

2016年

11月

17日

がんの診断がついたときのアドバイス

私の診察室の隣では週に1回、腫瘍内科の先生(日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授)が外来をしている。当院の外来診察室は隣の声が時々聞こえるので、良い対応やアドバイスをしていると自分の診療の参考にさせていただいたりしている。
勝俣先生は多くの新聞や雑誌などにも出ており、評判を聞いてセカンドオピニオンにみられる患者さんも多い。いずれの患者さんにも最初からゆっくり相手の話をきく姿勢をとられ、まず話したいだけ話してもらうというスタンスである。また明確に「どんなことを聞きたいですか?」と尋ねられている。
今日の診察中にはがんと診断された患者さんにアドバイスされていた。私は聞いていてとても良いフレーズだと思い、いつか使わせていただこうと思った。
「がんになった時、それだけに縛られるようになってはいけない。普通の生活に出来るだけ戻りましょう、戻しましょう。心の中がいつでもがんばかりが占めている状況、いつもがんのことを考えているのではなく、普通の生活が出来るように普通のことにも心を配れるように努力してみましょう。」

私も実は同様のことを感じている。血液系のがんになって治療しているかた、終わったかたを診ていて思うのは、自分以外に心を配らなくてはいけない対象(子供だったり介護が必要な親だったり。あるいは仕事など)がある人のほうが、病気で悩むことが少ないのは感じる。というよりも、他にも意識をもっていけることは心のバランスをとるうえで、とても大切だと思う。病気というのも大きなストレスであり、そのストレスにより海馬(脳で記憶を司るところ)の神経突起が痩せてくるのだという。そういうストレスそのものが病気の経過をさらに悪くしたり、自律神経に影響をきたして体調不良になることもあるのである。それを言葉の術や信頼関係により軽減させることは、治療経過を良くするのに影響を及ぼすと思う。

2016年

11月

16日

アメリカで活躍する後輩の訪問

当院にて初期から研修し、その後救急外来での研修を終えた後に目標としていた米国で研修を開始、今その真っ最中である今村先生が帰国し当院を訪問してくれた。学会があってのようであったが、米国のまさに生の医療情報を聞け面白かった。お金に厳しいアメリカだが、貧乏も金持ちも同じ基準で治療の選択がなされ医療が受けられているのか?医療破産という話聞くので、そこが一番聞きたいところであった。我々の使う骨髄腫などの薬剤は非常に高額で、それがアメリカで誰にでも投与されるはずはないと思うからである。
アメリカでのERの医療は、貧しくても金持ちでも平等に行われる法律があるらしい。しかし、骨髄腫などの治療のように高い専門的な医療では保険会社の力がとても強く、そこが認めなければやはり受けられないのだという。つまり医師の裁量の前に、お金による治療の選別がなされるのだ。だからアメリカではエビデンス(論文やガイドライン)だけで治療が選択されるのではないのだ。日本もやがてそれを追うことになるであろう、と私は思う。
また向こうの医師は良く物事を知っているし勉強もする、コミュニケーション能力も高いと言っていた。まだもう少しアメリカでがんばりたいと言っていた。せっかくかなえた夢。もっと学んで、吸収することはまだまだあるだろう。でもいつかは日本でその医療を実践してほしいと思う。
今村先生とはまだ当科が小さく医師が本当に少ない頃に病棟を守りあった戦士のような感じで、学年は離れているものの私の中では仲間という意識が強い。互いに変わらないと言いつつ(相手にしたらお世辞だろうが)、互いの健闘を祈った。

 

2016年

11月

13日

DEM(diagnostic error in medicine)カンファレンス2016 で研修医の先生が発表しました。

天目純平先生
天目純平先生

診断エラーというのは決して稀なことではなく、我々の普段の診療で最初から診断出来ないこと、経過の中でだんだん色々な疾患が除外されて最終診断出来ること、複数検査をして解ることはよくあります。診断は病気の名前を知らなくては出来ないということがありますが、稀な疾患を診断出来たようで実は大切な病気を見逃していることもあります。この学会はそのような診療エラーにどんなものがあったかを発表し、共有して診療レベルを上げようという学会で、米国で総合診療系の先生が主体で開催されていますが、同時にヨーロッパでも開催されているようです。
当院の若い研修医は良い症例があるとこれに参加出来ることを目標とし、準備しています。
今年は当科の症例が2例採択され1例はポスター発表で天目先生、もう1例は全体での症例プレゼンテーションに河東先生が選ばれ、11月6日から8日米国カリフォルニアにて開催されたカンファレンスに参加し発表してきました。<次へ>

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2016年

11月

12日

lymphoma symposium zenyaku in Tokyo

このlymphoma symposiumは、リツキサンを発売している会社が年に1回海外からリンパ腫の専門家を招き、また国内のリンパ腫専門家も加わり質の高い講演が行われる勉強会です。発表はすべて英語で行われます。
リンパ腫治療や研究がどこに今スポットがあたっていて話題なのかを知るうえでもとても勉強になる会なので、出来るだけ参加するようにしています。今年はイギリスよりPeter Johnson 氏が主にホジキンリンパ腫の話を、また米国よりJonathan W.Friedberg氏が主にび漫性大細胞型リンパ腫の遺伝子を評価に用いた治療について講演をされました。
 Peter先生の講演は非常に明解でした。ホジキンリンパ腫は予後が良いのだが肺などの合併症や2次発がんが問題になっているので、出来るだけ毒性を減らした、且つ治療成績の良い治療をしようと試みられている。特に初回治療の2回目終了後にPET検査をして、それで陽性(全体の16%)であればより強い治療を、また陰性(全体の84%)であれば強度を減らしたり或いは肺に毒性のあるブレオマイシンを後半抜く治療を行い、放射線治療も抜くことで全体の治療効果をほとんど下げることなく発熱や肺合併症を減らせていることを、報告されていた。ただし2回終了後のPET陰性でもその後治療成績が悪い人もいて、初診時のステージがⅣ(骨髄に入っているなど)の人は注意が必要だそう。
 また、び漫性大細胞型(DLBCL)についてはとにかくheterogenous(色々な性質をもつ)集団であり、遺伝子異常もDLBCLにこれという特徴的なものはなし。初回治療が上手くいかない人は15%、あとになって治療抵抗性になてくる人もいて、それらの治療をどうするかが問題。新薬であるPKC-βに対する薬剤Enzastaurin、 標準治療薬であるR-CHOPにbevacizumab、 もう一つの別の標準治療薬DA-R-EPOCHに骨髄腫で使用するBortezomibを加えてみても、あまりインパクトのある治療メニューにはなっていないとのこと。むしろ骨髄腫で使用するレブラミドをR-CHOPに加えたり、またはCAR-Tという細胞治療が今後話題になってくるようです。

とても勉強会になった会で、来年にも期待したいと思います。また20年ぶりに同級生に会い、懐かしく話が出来たことも良い出来事でした。地元を離れて23年。誰がどこで、どのポジションで働いているか等など色々な情報を教えてもらいました。静岡県と言えども血液内科医は十分おらず、アクセスなど考えての治療をしておりそれほど新しい治療をしているわけではないこと、やはりスタッフの人数の関係で皆週末も働いているとのことでした。互いの健闘を祈りつつ別れました。

2016年

11月

12日

富士山のきれいな積雪

寒くなると14階の血液内科病棟からはきれいな富士山がみえるようになります。昨日の雨から一転、本日は快晴。青空が澄み渡るとともに富士山に雪が美しく積もりました。朝の回診時、患者さんと一緒にこの景色を愛でました。本当に癒されます。また、このところの急激な寒さの進みで、例年よりいちょうや桜の木などの紅葉がやや早くすすんでいるように感じます。これも風景の美しさに色を添えています。治療をされている患者さんの多くが「この富士山に本当に癒される」とおっしゃいます。朝早い朝焼けの光景、また夕日の美しさは100万ドルの夜景よりもすばらしいと言います。ぜひ夕方のお見舞い時間にいらした方は、富士山の方向を眺めてみて下さい。

2016年

11月

09日

まどみちおさん曰く”幸せは心が穏やかで和やかなとき”

左の写真は14階病棟からの夕焼けです。富士山のシルエットともに雲、空の色も素敵です。

さて<ぞうさん>という童謡はみなさんご存知だ思いますが、その作者は知らないのではないでしょうか?作者はまどみちおさんというかたで、2014年に104歳で老衰により亡くなられました。他に<1年生になったら>という童謡も手掛けていますし、他にも多くの詩を残されています。平成6年には児童文学ノーベル賞ともいわれる<国際アンデルセン賞>を受賞、また作品は美智子皇后が英語で翻訳されて海外でも出版されています。
そのまどさんが『百歳日記』(日本放送出版協会)という新書を出されており、書評にあったので読んでみました。その文体は100歳というのにとても若々しい純粋な目でものをみて書かれています。きっと『ファーブ』昆虫記』の少年と同じような目で生きるものを今も見ているのだろうと思えてしまいます。そして生きていることへの感謝の気持ちがあちらこちらにちりばめられている、とても心温まる本でした。
私はその中の<幸せ>という部分が好きで繰り返し読み返しましたので、ご紹介します。
~現在を肯定的にみることができる人は幸せだと思います。・・・・生き物のすべてに言えることですが、幸せというのは心が穏やかで和やかなときだと思います。辛くて胸騒ぎがするようなときにはお金や名誉があっても、きっと不幸なのじゃないでしょうか・・・~

長生きになった現代、豊かになった現代。でも将来に対しての不安が募って幸せと思えない人が多い現代を表わしているように感じます。

2016年

11月

07日

Stein先生 来日指導始まる

Stein先生は20年ほど前から日本での臨床研修指導をされてきた先生です。フロリダから年に2回ほど来日され、当院をはじめ全国の名のある研修病院をまわっています。そこで患者さんの主訴に対してどのように問診し、どのように考えるかを指導されます。
私の若かりし頃は日本は臓器別に分けられた教育で、卒後すぐにその専門家になるということが多く、患者全体を問診・診察を重視しながらシステマテイックに鑑別をあげて診断をする、という指導はあまりされていませんでした。
米国ではそれが標準的な初期研修医師の基礎教育手法です。そのスタイルで教えて下さったのがStein先生で、私も若かりし頃当院でその指導を受けました。今でこそ日本でもそういうスタイルが重視されて広まっていますが、昔はごく稀なことでした。英語も我々が聞きやすいようにクリアに、ゆっくりした口調で話してくださいます。20年続けるなんて簡単なことではありませんし、また日本の医師教育の大きな変化を身をもって感じていらっしゃったと思います。来年も来ると仰っていましたので、またお会いしたいと思います。

2016年

11月

07日

人口知能と医療

人口知能の進化は予想以上に早いのかもしれない。恐れるばかりではいけない。どう変わっていくのか、常に情報に敏感になり、今どこまでいっていてこの先どうなっていきそうか。読んだ情報もすぐに陳腐になってしまう。その先端にいなくても、でも情報を得て考えていかないと、支配されるだけの側になってしまう。
ヒット曲や、しまいには小説なども人工知能の手助けを得ながら製作するうようになっている。医療の現場でいえば鑑別診断(症状やデータからこの診断の確率%というようなこと)や最適な処方薬の量、起こりうる副作用のデータまで多分人工知能がしてくれるようになり、医者は最終的な処方をするだけになるのか。あるいは人工知能がそこまでしてくれるようになるかもしれない。
また、点滴を入れたりカテーテルでの治療というのは残るかもしれないが、最終的には医師の仕事はそれらの援助と心のケアというほうに行くのだろうか・・・。
その心という点で面白い記事が載っていた。11月4日の日本経済新聞朝刊。中国北京にある1000年の歴史をもつ寺、"龍泉寺"にはロボットAI僧侶がいて、人々の相談に乗っているのだという。膨大な説法データを解析して人々の悩みに答えるのだという。占いみたいな感じだろうが、でも心のところは人間のほうがAIよりも・・・と言われていたが、ここでもAIか・・・と思ってしまった。

 

2016年

11月

05日

血小板・巨核球学術講演会

毎年1回、この季節に血小板・巨核球だけをテーマにした研究会が開かれる。今年で6回目。基礎的な研究の話しも聞けるので楽しみにしていて、出来るだけ参加するようにしている。今年は会場が大阪で、当日はとんぼ帰りで話を聞きに行った。

1.まず一つ目は大阪薬科大学の藤井先生からTMEM16Fという遺伝子と血小板活性化の話。細胞膜を構成するリン脂質は非対称性を有しており、ホスファチジルセリン(PS)は細胞膜内側に、ホスファチジルコリンは細胞膜外側に位置している。この非対称性は生体内において様々な局面で崩壊する。例えば血小板が活性化するとPSが細胞表面に露出され、血液凝固因子が働く足場として作用するらしい。スコット症候群という稀な先天性の出血性疾患の患者では血小板においてPSを露出できないため、血液凝固に異常があることが知られている。TMEM16F は血小板の膜を不安定化させてマイクロパーテイクルを放出し、血小板が活性化されトロンビン産生が上昇し血栓が出来るが、これが欠損すると血栓が出来にくくなる。これがスコット症候群の原因遺伝子であると考えられている、というお話。<次へ> 

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2016年

11月

05日

湘南鎌倉フェステイバル 開催

11月5日、当院の1階と2階で当院地域総合医療センター主催の湘南鎌倉フェステイバルが開催された。さすがに病院なので屋台が出たり食べ物が出されることはないのだが、医療相談に始まり介護犬(アニマルセラピー)が来たり、家での訪問マッサージの内容紹介、栄養摂取が十分出来ないときの栄養製剤・介護用具などのブースがロビーや2階廊下に設けられ、多くの人が立ち寄っていた。
 介護する時というのはいつか来ると思っていても、急にやってくる。家族が高齢で車ががなかったり、あるいは時間がなく情報を集める時間や手段が限られていて良い介護用品やサービスを知らなかったりする。
このような形でサービスをまとめて知る機会を院内に作るのは良い試みであると思う。もっと宣伝して多くの人が集い、また定期的に開催して地元の人もコンビニに寄る感覚で立ち寄値、色々な情報を集められたら良いと思う。当院がこのような集える病院になり、そして皆で病院を良くしていく。あるいは災害時などに助け合う。そんな地域の医療機関になっていけたら良いと思う。

2016年

11月

04日

喫煙はやっぱりがん発症と関係がある!

あらゆるがんは複数の遺伝子異常が重なり起きることが解ってきています。固形がんといわれる大腸がんや肺がんだけでなく、我々の治療する急性白血病や骨髄腫なども然り。
さて、その遺伝子異常の数がたばこの本数が多くなるほど多くなるという研究成果が、国立がん研究センターなどのチームから出されました。日本、米国、イギリス、韓国の共同チームで5,200人のがん患者を対象に、がん細胞の遺伝子を解析して喫煙歴の有無でみたところ、肺がん、喉頭がん、口腔がん、膀胱がん、肝臓がん、腎臓がんの6種類で喫煙により遺伝子の突然変異が有意に増えていたといいます。肺がん、喉頭がんでは特に多かった模様。遺伝という変異が起きやすい下地があって、さらにそれに環境が後押ししてがんは発生してくるのだということが、よく解ります。耳鼻科系、呼吸器系、上部消化管のがん家系の人で喫煙している人は要注意です。

2016年

11月

04日

鎌倉総合内科専門医会にて講演しました。

この日は鎌倉総合内科専門医会にお招きいただき、<改めて貧血診療について考える>と題して講演をさせていただきました。
貧血というと鉄欠乏性貧血がほとんどで、まあそれほど目新しいことないか・・・と思ってしまいがちで知識をアップデートする機会がなかなかありません。今回講演するにあたり自分でもレビューなどを探しましたが、最近NEW ENGLAND JOURNAL MEDICINEという有名な医学雑誌でも複数の貧血に関するレビューがでています。今回日本血液内科学会総会でも教育講演の中に鉄不応性の貧血というものがありました。
 鉄不応性の貧血ですが、まず吐き気や便秘などから十分に鉄剤がのめていないこと、出血が続いていないかを除外できたら、次に考えるべきこととしては萎縮性胃炎、ピロリ菌感染です。萎縮性胃炎では胃酸の低下により非ヘム鉄(植物からくる鉄分)の吸収が低下します。またVitB12,葉酸などの栄養素の吸収も低下することも貧血の回復の遅れと関係があります。今逆流性食道炎に処方されることの多いプロトンポンプ阻害剤は胃酸を低下させることで鉄の吸収を低下させることを内科医は知っているべきであると思います。また高齢者の貧血では栄養障害が原因となることが全体の1/3を占めます。歯が悪くて食事摂取が十分でなかったり、一人暮らしで食事がすすまなかったり、簡単なもので済ませてしまったり、アルコールを大量にのまれたり。そんなことが要因としてあります。ですから高齢者の貧血のときにすぐに悪性腫瘍だという前に生活状態がどうなのかしっかり問診することも必要です。また症状が軽いために見逃されている先天的な疾患としての先天性球状赤血球症や、国際結婚が増えてはハーフの子供が増えていることなどからサラセミアというヘモグロビン異常からくる溶血性貧血も診断されずにまぎれていると思われます。そのようなお話しをさせてただきました。とても自分の再学習になりました。

2016年

10月

28日

神奈川血液疾患セミナー in Yokohama

多発性骨髄腫であるelotuzumabが発売承認されて、またさらに治療選択の幅が広がった。それを記念して多発性骨髄腫の臨床治療に対するシンポジウムが開催された。当院の玉井医師もパネリストとして参加し、大分大学の微生物学の伊波英克先生がレブラミドをATL治療に応用研究中であるお話しを、また埼玉医科大学総合医療センターの得平道英教授が臨床的な治療のコツをお話しくださった。
得平先生は骨髄腫スペシャリストであるが臨床もかなりされている。早朝からのオンコールも受けて教育にも携わり、その臨床の姿勢を下に教えているという。そして難しい患者さんの診療をどのように行うか、エビデンスとは違うコツを伺うことができた。CRの方針を貫くのが必要かというと、それが上手くいかないでボロボロになってしまう人も多い。それよりもいかに薬剤感受性を維持するか、ということが大切であると述べられていた。今、維持療法はレブラミドを行うことが一般的であるが、一部の人ではベルケイドの維持療法を行うことを実践されていて、その治療実感は良いこと、また減量することで副作用も非常に少ないこと、そこに将来的にはelotuzumabを併用していくことを考えているとのことであった。骨髄腫の治療は幾通りもやりかたがあり、その先生のセンスが必要とされてくる時代にますます入っている。

2016年

10月

26日

病院機能評価を受けました。

日本医療機能評価機構による病院機能評価を10月26日から2日間、さらに救急部門の審査を10月28日受けました。病院機能評価は病院の運営管理、提供される医療について安全面・経営面から評価し、病院の質改善も支援するというものです。
多くの病院はこの審査を受けています。5年毎に評価を受けますが、JCI(世界的な病院評価)に近い形になってきたように思います。以前と比べるとカルテを直接患者ベースでレビューして、患者が入院してきてから退院までどのように評価し対策をし、治療につなげているか。どのように治療方針を決定しているか、特にチーム医療・多職種での治療方針の決定、ということをみられます。当科の病棟14Fも調査対象になり、看護師さん、医師のカルテレビューを受けました。全体の評価はとても好印象であったように思います。リハビリが休日なく介入していること、多職種でのミーテイングは高評価でした。今やっていることが評価され、各職員とも自信を持てたと思います。

 

 

 

2016年

10月

16日

骨髄腫の権威の先生とミーテイング

Paul G.Richardson先生を囲んで(前列中央)
Paul G.Richardson先生を囲んで(前列中央)

多発性骨髄腫の世界的権威であるダナファーバーがんセンター(Dana-Farber Cacer Institute,Boston,USA)のPaul G. Richardson先生と小グループでのmeetingがあるというので、横浜に出掛けてきました。私以外は日本の骨髄腫治療の臨床研究を積極的にされている専門家の先生ばかりで、正直やや場違いな感じではありましたが、それらの先生方と顔合わせが出来たことだけでもありがたいと思いました。
discussionの内容はほとんどがこれからの骨髄腫治療をどのように進めていくかという実臨床のことでした。というのも、この10月にも『The New England Journal of Medicine』という大きな医学雑誌に紹介されたように、抗体薬(Daratumumab)がこれまでのBD療法、Ld療法と併用して非常に良い成績を出しています。初回治療はだいたい多くの先生のコンセンサスが得られてきている中で再発症例、難治症例で何を選択していくのかは皆がまだ模索中というところです。副作用なく出来るだけ簡便に、そして効果も期待できる薬剤をどのように選択するか、本当に混乱を極めています。医師の匙加減が求められる中で、皆どのように工夫しているか知りたいところなのです。
Paul先生は私のような一般人に対しても非常に紳士的な返事をしてくれました。Panobinostatの臨床研究、論文をPaul先生は書かれていますが、個人的には再発早期に使用したほうが良いであろうと言っていました。また副作用の管理としては減量し、ときに週をあけて使用する、またなかなか治りにくい髄外腫瘤に対してはPanobinostatやベンダムスチン(日本ではリンパ腫にしか保険は認められていないが)が良いのではないか、と仰っていました。

2016年

10月

14日

今年度の日本血液学会学術集会が横浜で開かれました。

日本血液学会学術集会が10月13日から15日まで横浜で開かれました。東京都知事に防衛大臣、さらにはヒラリー・クリントンさんというように女性リーダーが注目される年ではありますが、今年は会長が獨協医科大学教授の三谷絹子先生でした。女性の研究者が発表するシンポジウムもあり、当院からは私が53例の血小板増多症をまとめたものをポスターにて発表、また佐藤淑先生が2題症例のポスター発表をしました。
血液領域も女性の先生方が増えたと思います。今年は教育講演が充実していたので、教育講演まわりをしていました。おもしろかった演題についてはまた適時ブログの中で紹介していきたいと思います。

2016年

10月

14日

日本血液学会 疾患登録

会場はパシフィコ横浜でした
会場はパシフィコ横浜でした

日本血液学会では研修指定病院になるにあたり疾患登録をすることを条件にしており、鉄欠乏性貧血以外の新規患者を登録します。これらの作業を長年秘書の村松さんにしてもらっています。大学病院でもなかなかこまめに症例を登録するのは難しいのですが、村松さんの努力により昨年は全国で14番目位の症例数だったのが、今年は10番をきり8位。他の先生方にも「先生のところは症例が多いね~。」と声をかけられました。
当院は臨床試験ではなく初診で来院された患者さんをすべて診断し、必要あれば治療をしフォローアップをしていますから、本当に実質的に診ている患者さんの数です。特別な治療でなく(東京や大学病院に行かなくても)地元で標準的な医療、治療を提供すること。それが当院に課せられた使命だと思います。高齢者も多い地域ですが(鎌倉市は日本全体の高齢化を5~10年先取りしているといわれている)、湘南地域の血液疾患を今後も受けて頑張っていきたいと思います。

2016年

10月

09日

相田みつを美術館から

相田みつを美術館は東京国際フォーラムのすぐ近くにあり、学会があった時などに立ち寄ります。また何となく人間関係で問題があったり、イライラしている時などにも深く考えるきっかけを求めて立ち寄ります。行けば何か心にずし~んと響くものがその時々で毎回あるのです。ある時には同じ言葉が、ある時にはまた違う言葉が。また最近は隣りに英訳が書かれていて、「あ~、この言葉はこんな風に表現するんだ」と勉強になります。

今日は<のに>even though という詩に目がとまりました。あれをしてやったのに・・・、この時こうしたのに・・・など<のに>が付く言葉がすべて<愚痴>。自分の今の心の中がこれ。
また自己顕示欲についての詩。<この花は自分が咲かせたんだと肥料はいわない><自然の樹木はかけひきなし>
これらを手帳にメモして帰ってきた。

相田さんの言葉は人間誰しもが陥る苦しみ、煩悩などを短い言葉と字体で簡潔に的をえて表わしているから、人々の心に響くのでしょうね。

2016年

10月

08日

内科学会地方会 2つの演題を出しました。

日本内科学会地方会は、研修医が症例をまとめて発表する最初の場としてよく利用されている会です。今回は当科より2症例だしました。
1つは骨髄線維症で、最近脾腫を小さくして全身状態を改善させる目的で用いられる<ジャカビ>という薬剤が免疫低下の副作用があるのですが、それが非常に強く出て播種性の水痘に加えウイルス性の髄膜炎になった症例。もう一つは輸血により3回もアナフィラキシーを続けて起こした症例をそれぞれ考察を交えて佐々木先生、岡田先生に発表してもらいました。
他病院からの発表が症例が稀であり”報告”をしているのに対して、当科からのはちゃんと考察していた(自分でいうのも何であるが)という点では良い発表であったと、満足な気持ちで帰ってきました。

2016年

10月

07日

免疫チェックポイント阻害剤講義が開かれました。

免疫チェック阻害剤は様々ながんに治療効果が期待される今話題の薬剤です。オプジーボという名前で知られています。すでに悪性黒色腫の治療を変えたとされていますし、高額という点でもメデイアにとりあげられている薬剤です。これまで免疫療法というとうさんくさい感じがいなめなかった点はありますが、まさにこの薬剤は、本来がんでおきてしまっている免疫のブレーキを取り外し、自らのT細胞を活性化させてがんをたたくというものです。はじめは悪性黒色腫にはじまり、肺がん、さらにはわれらの領域であるホジキンリンパ腫、泌尿器科系のがん などにも適応はひろがっていきます。このようなメカニズムの薬剤は、免疫を理解するところから始めなくてはなりません。そこでこの薬剤の理解を深めるための講義を、国立がんセンターの北野滋久先生をお呼びして、外部の先生、薬剤師の方々にも案内し院内で講演会を行いました。院内からも多くのスタッフが参加してくれ、70名を超える人たちが講演をききました。初めてきくにはやや難しかったという意見もありましたが有意義な時間でした。胆管系のがんにはややききにくいこと、将来抗がん剤にとってかわる治療になるかといえばそうとはいえないがまだまだ様々なこの分子に関係する抗体が創薬され700以上の臨床試験がすすんでいるということ。がんの第4の治療(抗がん剤、放射線、手術に加え手という意味で)になっていくのは間違いなく、ただ全身に免疫反応をおこすため思わぬところに炎症や自己免疫のような反応が副作用としてみられることがあるといいます。これらは薬剤使用中にもおきるし、その後もおきることがあり、これを扱う医師のみならずすべての医療系の人たちが、これが使用されるにつれ新しい副作用として増えるであろうこれらの症状に対して薬剤が関係するのだという知識をもつ必要があると思われます。急激な糖尿病、下垂体不全、甲状腺機能低下、重症筋無力症などなど副作用は本当にどこにどんな人に現れるかまだわかっていないそうです。チーム医療が求められますと先生は最後にいっておられました。成功裏に終わり、準備をしてきた私としてはほっとしました。

2016年

10月

05日

daratumumabの効果

daratumumabとはCD38に対する抗体で、すでに単剤でも治療抵抗性や再発の骨髄腫に対して29~36%の効果があることが知られていて、さらにこれまでの研究でベルケイド+デキサメサゾン(標準的な骨髄腫の治療の一つ)との併用では無病再発率61%という非常に良い成績が示されていた。
それでは再発時に用いられることの多いレブラミド+デキサメサゾンに加えてみたらどうだろうか、という研究の結果が有名な医学雑誌『The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE』に発表された。569人の患者が対象となり、daratumumabを加えた群(A)とそうでない群B(レブラミドとデキサメサゾンだけ)とで比較したところ平均13.5か月の観察で病気が進行したのはA群が18.5%に対してB群は41%、奏効率はA群92.9%、B群76.4%、完全寛解になる率もA群43.1%に対してB群19.2%と、どれを比較してもdaratumumabを加えたほうがレブラミド群よりも良かったという結果になった。好中球減少や血小板減少が副作用としてみられる。
骨髄腫の治療は次の時代に入ったといわれる。初期治療はそこそこ上手くいくようになったところで、再発や治療抵抗性の人にどのように治療を選択していくのかは、とても難しい。薬の種類がたくさん出てくる中で、臨床試験と現実の患者さんは同じようには結果が出ない。使ってみないと感覚はわからない。しかし様々な組み合わせの薬剤が出てくる中で何れの薬剤も高額であり、費用対効果も考えに入れて治療を選択していかなくてはならない。
患者さんにとっては薬剤の選択肢が増えた分、生きる可能性は広がるのであるが治療も続く。多方面のことを考慮に入れながら治療選択をしていかなくてはならない。

 

2016年

10月

01日

いろんなものがインターネットにつながるIoT

あらゆるものがインターネットにつながるIoT。そこに人工知能を搭載して進化する家電がすでに発売されているという。
日経新聞に載っていたこの記事。シャープが発売したオーブンは音声認識や人工知能を搭載していて、クラウドサービスを通じて献立相談をしたり出来るらしい。まだまだ音声の聞き取りなど十分でないものもあるであろうが、将来は体調に合わせて料理を提案し、さらに材料を入れたら作ってくれて出てくる、なんてことになるのではないだろうか。
例えば体重管理や血圧管理がスマホでなされて、それをみて塩分制限やカロリー制限が自動的にされる。さらに冷蔵庫の中にも余分なものがないようになり、必要であれば通販にてお届け。宅配冷蔵庫に保存される、なんてなるのもそう遠くないのだろうか。そのうちセンサーが体内に取り込まれてビタミンや血糖などを測定し、不足分をとる指示をする。用意までしてくれる機械が自宅に配備されるようになり、病院にもあまり行かなくて良くなるかもしれない(まるで機械人間のようだ)。ますます我々は便利になり自分で頭を使う意志・気力がなければ、それはそれで生きていける。
人間の頭は徐々に退化してしまい人工知能だけが発達してしまう。でも情報は一括されて似たような嗜好パターンになるはずで、画一的な好みの人を作ることにもなってしまうのではないかとも思う。今後も人工知能、IoTの話題から目が離せない。

2016年

9月

30日

金木犀が今年はよく香ります。

ある患者さんが、<金木犀を大切に育ててきました。この時期を逃すと残念なので、退院させて下さい>と退院を希望してきました。その気持ちわかる!!ということで、状態も安定してたため退院許可しました。病室では窓は大きく開けられないこともあり、芳しい香りを楽しむことが出来ません。

今週からいっきに香り始めた金木犀。私も一番好きな香りです。今年はいつもより香りが強く感じられます。この時期になると辺り全体が風の流れとともに金木犀が香るようになります。その場よりも少し離れたところから、もしくは通り過ぎてから香るということがよくあります。
丁寧に育てると大木になるのですが、一般家庭では刈ってしまうためになかなか大きくはならないでしょうが、植物園では桜の木よりも大きくなります。神奈川県立フラワーセンター大船植物園にも大木があり、傍を通るとふわーっと匂ってきます。病院の自転車置き場の垣根にも植えられていて、あと1週間位楽しめそうです。

2016年

9月

27日

大口病院における事件

神奈川県横浜市にある大口病院にて点滴内に消毒薬が混入されて患者が殺害される、というショッキングなニュースが舞い込んできてワイドショーはもちきり。それを食事をしながら、自らも点滴を受けながらテレビを観ている患者さんはどんな気持ちだろうと思ってしまう。実際患者さんからは「これはどんな点滴なの?色がついているけれども?」などの質問を受けることが多くなった。

そう、病院は安全な場所ではない。点滴には色々なものが混ぜられる。ビタミン、電解質にはじまりインスリン、ヘパリン、抗生剤などなど。これらは薬剤室で調整ではなく病棟で混注される。3日間も置きっぱなしということはないが、使用する点滴は前日に大きなカート(食事を運ぶような乗り物)に乗せられて各病棟に配分されている。誰でもが手をつけられないようにカバーはしてあるが、病棟で使用するときにはそこから出して点滴台という詰め物をする台の上に置かれる。担当の看護師が自らの患者の点滴を準備して電子カルテとともに患者のもとに行く。点滴類は当院ではバーコードシステムで管理しており、患者名をリストバンドと点滴の名前とで照合し、患者間違えをなくす仕組みをとっている。
だがいずれもやろうと思えば点滴内に物質を入れることは出来てしまう。今回はおそらく内部告発で、見ていた人は前から知っていたのだろう。今後厚生労働省がなんらかの規則改定を行ってくる可能性があるが、現実的には点滴を薬剤部内で一括して混注し病棟へ上げるということは出来ないであろう(大量の点滴を薬剤部だけでは処理しきれないはず)。どういう指導がされるのか、事件の推移を見守っている。

2016年

9月

22日

ボストンにて国際医療リスクマネージメント学会

私は医療安全管理者としても院内で勤務していますが、そのメンバーである看護師の鵜川氏らがまとめた院内での転倒転落のデータと、その対策からみえてきた改善データをボストンで開かれた国際学会にて発表し、私も同行しました。何度もプレゼンテーションの練習を行いその日に備え、当日は英語でのプレゼンテーションも成功させました。ポルトガルから来ていた看護師の研究者の人からの質問や、病棟における患者層の違いに意見が出されました(かなり高齢者だとおもったのでしょう)。
我々は入院してきたすべての患者さんを入院当日に転倒しやすいかどうかのアセスメントをし、点数に応じてリスクの高い人にはバンドやベットサイドにマークをつけたり、またリハビリを早期から取り入れたりしています。アセスメントは連日・随時行われ、患者さんに対しては最大限転倒しないための対策をとっていますが、それでも転倒はおきます。100%なくすことは無理なのですが、事前にリスクを限りなく回避して損傷(つまり骨折など)を起こさないようにすることが大切なのです。血液内科でも比較的意識のはっきりした人が治療を受けているわけですが、熱がでたり鎮静薬、鎮痛薬を使用することで急に転倒しやすくなるため、同様の対策・リハビリとの情報共有は毎週行われています。

2016年

9月

19日

10月2日にテレビ神奈川で放映されます。

お知らせです。「秋のかながわ献血キャンペーン」と題して、テレビ神奈川で当院の輸血部門が紹介されます。先日取材がありましたので興味あるかたは是非ご覧ください。

10月2日(日)TVK朝9時半から10時放送予定です。

2016年

9月

18日

来年度初期研修医採用試験 開催

今年も初期研修医選考試験の時期がやってきました。日曜出勤だから大変でもあり、しかしやる気のある若い学生さんたちの面接をすると、こちらも勇気をもらいます。若かりし頃そんな夢をもっていたな~、なんて思うのです。私たちの頃は面接くらいでマッチング試験なんてなかったけれど、今の人たちは病院見学に行って面接受けてマッチングがあって・・・とさながら世間の就職活動のようです。本当に当院に来たい学生さんは何度も見学にきているようです。
それにしても優秀な若者がたくさんいるもんだな~と思ってしまいます。我々の頃に比べたら英語に対する抵抗のない人が多いですし(当院にはそういう人が集まりやすい)、将来のビジョンを持っている人が多いように見受けられます。ただし面接だけではわからないものもしかり。今年からグループワークを取り入れながら違う方法でその人を評価するということを試みました。グループワークでの印象と面接での印象が違う人もいて、人を評価するのはとても難しいところです。
専門医制度の混乱の関係から今年は大学に残ろうとしている学生さんも多いようです。我々にとって研修医のエネルギーが病院のエネルギーともなっていますから、しっかり確保することが我々の重要な仕事なのです。

2016年

9月

16日

たとえ90歳になっても世界記録はとれる

こちらの外来の患者さんが途切れているとき、隣室の患者さんの声はよく聞こえるもの。
先日も隣りから聞こえてきた話から、すごい患者さんがいるもんだと感心してしまった。声からしてどうも90歳前後の女性。とてもはつらつした元気な様子。週2、3回水泳をされているようだ。先日チームのタイムトライアルのようなもので世界記録を作ったというではないか。その年齢まで趣味ではなく記録に挑戦するなんてすごい。病気はあってもそれは病気ともいえないなと思う。
60歳を過ぎてからその半分をまた繰り返さなくてはならないほど人生があるということ。がんばれば第2の得意なものを作れるだけ時間があるということでもある。朝日新書から出された斎藤孝氏の『年をとるのが楽しくなる教養力』というのを読むと、年をとるのを怖がるのではなく前向きにとらえようと思えてくる。また日経ビジネスでもサラリーマン終活として特集が組まれていた。このようにこれからどうしようと悩んでいる人も多いということか。周りには参考になる方々が意外とたくさんいるように思います。

2016年

9月

13日

イタリアの歴史教科書にあるすごい言葉

歴史を勉強し直すための本が、今たくさん書店に並んでいる。懐かしい山川出版社の世界史教科書があったり、あるいは売れている作家の切り口でまとめた歴史書だったり。でも西洋の英雄を学ぶなら塩野七生氏の作品でしょうか。
『ローマから日本が見える』(集英社文庫)という作品は2008年のものですが、ローマの英雄達をずらっと評価していておもしろい。ローマ人の物語を全部書き終えての貫禄ともいえる人物評価、歴史観に圧倒される。最後についていた付録の英雄たちの通信簿というのがこれまたおもしろい。そこにまず出てきたのがこれ。
<指導者に求められる資質は次の5つである。知力、説得力、肉体上の耐久力、自己制御力、持続する意志。カエサルだけがこのすべてを持っていた。>とイタリアの普通高校の歴史教科書にこのように書かれているのだという。すごいことがイタリアの高校の教科書には書いてあるもんだと思ったけれども、この5つの基準に基づいて英雄たちをばっさばっさと評価しているその後の文章もおもしろいので、ぜひ将来リーダーを目指されるかた、かたいリーダーシップの本だけではなく、読んでみてください。

2016年

9月

12日

ホジキンリンパ腫と心血管系の病気

若いときにホジキンリンパ腫になって治療をうけ生き抜いた人では一般人に比べ心血管系の病気にかかるリスクが高くなる。そんな報告がだされた。(Lancet Oncology July25)

350人のホジキンリンパ腫の治療を終えて12年以上たつ人と、それと対照になる年齢、性別の人を比較して調べたところ、50歳までに重い心血管系の病気にかかった人はホジキンリンパ腫46%に対してそうでない人16%と大きく差がでた。治療はもう10年以上前である人達のため、放射線治療は90%の人がうけていて、36%が心毒性のあるアンソラサイクリン系の薬剤を投与されていた。放射線治療の量が多いほうがよりその頻度が高かった。放射線治療(特に胸部)+抗がん剤治療が心臓にダメージを与える。とはいえホジキンはしっかり治療をすれば治癒が望める病気であり、しっかり治療をして疾患を治すことが大切だ。最近ではステージの低い人には治療サイクルを減らしたり、放射線機械の進歩により、より照射野を減らすことがなされている。しかしホジキンリンパ腫は2次発がんの問題もある。治療を終えた患者さんにもますますこの心血管系の問題とともに長期的なフォローが必要であろう。患者さんもそのような治療を受けた人では高脂血症や糖尿病、肥満に留意することが大切であろう。

 

2016年

9月

09日

本年度QI大会が開催されました。

病院経営にQIという指標が用いられて久しい。QIとはquality indicatorの略で、医療の質をデータで測ろうというものです。同じ定義を用いれば病院間で比較することも出来ますし、また院内でより良く改善するためにある測定指標を決めてそれを追い、データを出して結果に結び付いているか評価するというものです。例えば術後の感染症、手術の合併症率というのもありますし、また私がグループ長を務める離職防止のプロジェクトや待合時間の短縮というプロジェクトも病院内では行われています。それらの結果報告がこの日開かれました。各部門、医師以外の職員もかなり色々な点からデータをとっており、気づきがおもしろいなと思わせるものもたくさんありました。
当院ではこのような発表会を数年前から行っているのですが、全国規模でも広げようということで徳州会全体の大会が行われることになったそうです。

2016年

9月

08日

ダブルレインボーが西の空に

この日の朝の出勤時、病院近くの跨線橋で女性が西の空に向かってカメラを向けていました。なんだろう・・・と思い見てみると、虹が出ていました。いやいや、ただの虹ではありません。2重の虹、ダブルレインボーです。さっそく自転車を降りてカメラを向けた私。おかしな人と思われていたかもしれませんが、必死でシャッターを切りました。最近大気が不安定で急に雨が降ったり日が差したり。他の日も虹が見えましたがすぐに(数分で)消えてしまいました。
そんな儚いものですから、この珍しいダブルレインボー。見逃すわけにはいきません。実際2分後違う場所からはもう見えませんでした。
ダブルレインボーには「祝福」と「卒業」という意味があるとか。この写真をみていただいたかたにも良いことがありますように。

2016年

9月

06日

楽器から生じる肺炎?

ある楽器を演奏する患者さんから自分は大丈夫かという質問うけたので、その医学記事を紹介します。バグパイプで過敏性肺炎となり死亡した症例です。

今回報告されたのは、2009年に過敏性肺炎と診断された61歳男性の症例。男性は症状が悪化して呼吸や歩行が困難になり2014年に入院。過敏性肺炎と診断されていたものの、原因は不明のままだった。男性はハトを扱うことはなく、喫煙もせず、自宅にカビや水害の徴候はみられなかった。趣味としてバグパイプを毎日演奏しており、楽器内部の数カ所から検体を採取し検査したところ様々な種類の真菌Paecilomyces variotti, Fusarium oxysporum, Penicillium species, Rhodotorula mucilaginosa, Trichosporon mucoides and Exophiala dermatitidis.など多数認められた。

管楽器の内部は湿度が高く真菌やカビの増殖が促進され、これを日常的に吸い込むことで過敏性肺炎という肺の慢性炎症性疾患を引き起こした可能性があるとのこと。
男性は治療の甲斐なく死亡し、剖検の結果肺が著しく損傷していたことが判明した。これまでトロンボーンやサキソフォンの奏者では過敏性肺炎の症例が報告されている。バグパイプに関係する症例はこれが初めて。使用後はすぐに楽器を掃除し、乾燥させることでこのリスクを軽減できる可能性があるという

過敏性肺炎では、その菌が増殖して起こしている肺炎とは病態が異なる。本来病原性や毒性を持たないカビ(真菌)や動物性蛋白質などの有機物、あるいは化学物質などを繰り返し吸い込んでいるうちに肺が過剰反応を示すようになり、その後に同じもの(抗原)を吸入すると肺胞にアレルギー性の炎症が生じて発症する。この炎症にはTリンパ球や抗体とよばれる免疫分子が深く関わっている。
抗原にさらされると強い炎症が生じ、発熱やせき、呼吸困難感、だるさなどの症状があらわれ、環境から離れると症状が軽快・消失し、再びその環境に戻ると悪化する。このような状態が続くと肺に線維化とよばれる不可逆的(もとに戻らない)な変化が生じ、抗原にさらされていなくても常に咳や呼吸困難感で悩まされるようになってしまう。(日本呼吸器学会ホームページより抜粋)

日本に多い過敏性肺炎には、
1)夏型過敏性肺炎:高温多湿になる夏季に発症しやすく、風通しや日当たりが悪く湿気の多い古い家屋を好むトリコスポロンというカビが抗原です。
2)農夫肺:北海道や岩手県などの酪農家にみられ、干し草のなかの好熱性放線菌というカビが抗原です。
3)換気装置肺炎(空調肺、加湿器肺):清掃を怠ったエアコン(空調)や加湿器に生じたカビ類を吸い込むことによって発症します。
4)鳥飼病:鳩やインコなどの鳥類を飼育している人に発症します。抗原は鳥類の排泄物に含まれる蛋白質といわれています。
5)職業性の過敏性肺炎:キノコ栽培業者がキノコの胞子を吸入して生じる過敏性肺炎やポリウレタンの原料であるイソシアネートを吸入して生じる過敏性肺炎などが知られています。

肺に陰影があるとなにか感染症であろうとすぐ考えてしまいますが、このようにアレルギー的な反応としての肺炎があることを改めて意識して問診で詳しく聞くことが大切です。

 

 

2016年

8月

28日

骨髄腫新薬daratumumabとBD療法の臨床試験結果

daratumumabは形質細胞がもつ表面抗原CD38に対する抗体薬剤である。最近の血液関連の国際学会でも話題になっているがまだ国内使用は認められていない。直接的、間接的に形質細胞に作用し治療効果をもたらす。補体関連、抗体依存性などの細胞障害の方法のほか、細胞の貪食を高めたり、Tリンパ球を増加させたり活性化させる作用ももつようだ。単剤でも31%の効果があるということで非常に期待されていたが、これを現在の標準的な骨髄腫の治療であるBD(ベルケイド+デキサメサゾン)療法に加えてどのくらい効果があがるのか、副作用がどうなのかをみた研究の結果がこのたびNEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINEに発表された。498人の治療抵抗性、再発の骨髄腫の患者さんを対象にBD療法群とdaratumumabをBD療法に追加した群の2群にわけて治療が行われた。平均年齢は64歳、診断時から平均3.8年経過、少なくとも2つ以上の治療をうけていて、65.5%は以前にベルケイドの治療を受けていた。平均7.4か月が経過観察されているが、予測値で12か月の無増悪生存期間はdaratumumab群では60.7か月、BD群26.9か月、奏効率もdaratumumab群では82.9%BD群63.2%、VGPR以上の奏効率もdaratumumab群では59.2%BD群29.1%とよかった。副作用としては点滴投与する際のinfusion reactionが45.3%と高いものの対処可能であり、またWBC減少、PLT減少が主なものであった。
非常に期待される薬剤であり、この結果から多くの血液内科医が期待している。ますます骨髄腫の治療選択に幅ができることになる。

2016年

8月

27日

顔認証システムの進歩

あるテレビ番組で顔認証システムの進歩について紹介されていた。日本は世界最先端をいっているらしい。単なる輪郭の認識だけではなく、眼鏡をかけていても、帽子をかぶっていても横顔でも認識するらしい。また10年くらい年をとっても認識できるようだ。

あるスーパーでは万引きに困っていたところこの顔認証システムを導入して半分以下にする成果をあげている。またデパートなどでは顔認証から男女、年齢層を割り出し、それを顧客データに用いているという。顔登録をすれば顔認証で支払いができるコンビニなどもあるようだ。

私は病院でも早くこれを導入したらいいのではないかと思っている。まずは患者さんも顔登録すれば患者確認が認知症でいえなくても家族が付き添いでいなくても患者確認できてカメラを通れば受付ができたらいいし、またそのままカード決済ができたらいい。病院にも泥棒がでたり不審者がでたりするのもわかるし、患者の無断外出もわかる。医師やスタッフの出勤退勤も顔認証で早いものですし、こんでいる病院コンビニも顔認証決済で給料天引きされたら便利だな~と思う。電子カルテも顔認証でパスワードなどいれなくても起動したら、手にものをもちながらでもカルテが開け、本人がいなくなって時間がたてば自動的に消えるのであればそれも便利。

企業はオリンピックのある2020年には多くの施設で導入して海外にもアピールしたいと考えているよう。ますますいろんな施設で導入される日も近いかもしれません。でもよく似た顔ってあるけどそれは大丈夫なんでしょうか、疑問に思います。

2016年

8月

25日

シンクロナイズドスイミング 井村監督の言葉

リオオリンピックが終わった。日本人の活躍は本当に目覚ましいものであった。帰国したメダル選手がいろんなインタビューにでていますが、それもつかの間でまた4年後の東京にむけて試練がはじまるのですね。さてシンクロナイズドスイミングは鬼監督といわれる井村監督のもと、期待どおりデユエットもチームも銅メダルを獲得した。井村さんは必ず選手を高みに押し上げて結果をだす。なぜなんだろうと思っていた。一流の監督、指導者はどんな姿勢で才能のある選手に臨むのだろう。そして自分ではなく他人に結果をださせるのだろう。とても関心がある。
その答えは帰国後のインタビューや練習風景などの中で語っていた井村氏の言葉の端々にあると思った。若い人たちを指導するのにヒントとなる言葉があったので紹介します。

私(井村氏)が心がけているのは、わかりやすい指導者であるということです。怒られる基準が曖昧だと、選手は何をしていいのかわからず不安だと思うのです。だから、私は選手に「私はこういうことが大嫌い。こういうことをしたら怒るから」と、怒るポイントを必ず伝えています。
指導をする上で「具体的なゴールがしっかり見えている」ことが何といっても大切です。その子をどうしてやりたいのか。どんな演技をさせて、どんな結果を出させてあげたいのか。そのために、どんな技術をいま身につけさせなければいけないか。そういうゴールがあやふやなままで、ただ「頑張れ」なんて言っている人は指導者失格です。
ほめていたらだめなんです。自分はもうここでいいんだと思ってしまうから。結局のところ、世界で戦えるレベルにまで登りつめるには、ほかの人より努力するしかないんです。

ほめて伸ばすことを推奨される世の中ですが、一流を目指すのにはほめてしまっては個人の限界をきめてしまうことにもなるということなんですね~。そして明快なゴールを具体的に示すことが大切なんですね。そしてやはり人より努力。これはいつでも変わりません。演技をする前の選手が、<これだけ練習したのだからあとは出すだけと言い聞かせられた>といっていたのを思い出しました。

2016年

8月

14日

世の中のお盆休み

世の中は8月11日からお盆休みに入っている。病院も今週は空いていて、患者さんから「こんなに採血の待ち時間が少ないのは初めてだ」と言われた。しかし毎週輸血される方などはお盆休みなど関係なく、いつも通りに通院されている。
お盆休みも週末になると開業医も休み、公立病院も休みであるために、しばしば救急や転院の受け入れをしなくてはならなくなる。今週もそんなことがあったが、当科の若い先生が自分の休みがなくなることも承知で重症な人の転院を引き受けた。誰もが週末の午後遅くの転院なんて受けたがらないものだ。それを快く引き受けたことを聞き、私はとても嬉しかった。当院には昔から<患者さんのため、困っている人がいれば受け入れる>というポリシーがある。その気概を若い人が受け継いでいてくれていたから嬉しかったのである。患者さんに罪はない。治療が遅れたり上手くいかなかったとしても、縁があって当院に来たからには来て良かったと思う医療を提供したいと思う。それを提供できる人材、技術が当院にはあると思う。

でも、ふと働き始めてからお盆休みは一度もなかったな~と思う。一般の方々が孫が来る話や家族での食事の話など楽しそうに話しているのを聞くと、ないものねだりで羨ましく感じることもある。
しかし自分には別の与えらえたものがあるであろう、と思うことにしている。

2016年

8月

13日

湘南サマーセミナー 開催

湘南サマーセミナーが8月13日土曜日に開催されました。これは毎年夏休みのこの時期に医学生を対象に、当院の研修を知ってもらうために開催されるもの。今は内科、救急、外科に加えてブランチ先生のレクチャー、外科手技の講義など盛り沢山だ。私もスメアのみかたの講義をさせてもらった。
当院の研修を考える学生にとってはとても魅力あるプログラムであると思う。録画も撮り、病院あげての行事となっている。でもこのセミナー、一番最初に始めたのは私である。もう誰も覚えていないだろうが。当時研修医を集めるのは、大学やその周辺のホテルで説明会を開催する方法が主体であったのを病院内で開催する方式をとってブランチ先生の講義なども取り入れた新しい方式をとった。でも研修事務局もなく、医学生への連絡やプログラム作成、食事の準備、開催すべて自分1人でやったんだよな。協力をしてくれる人は少なかった。もう10年以上前であろう。今はプレゼンテーションの得意な若者が主に運営し、事務的な作業は事務局がすべて請け負ってくれている。人集めが本当に大変な時代があったことを忘れず驕らず、若いかたには新しいものを作っていってほしいと思う。

2016年

8月

06日

リオオリンピックが始まった

リオオリンピックが始まった。この日の朝の患者さんのテレビはどこも開会式の映像であった。このオリンピック、なんか不思議である。ブラジル大統領が業務停止されたままであったり、またロシアのドーピング問題もオリンピック直前でとても政治的なきなくさいにいがするし、ジカウイルスの問題もしかり、いまだにオリンピック反対運動があったり、また海の水が汚れ過ぎて海で行うスポーツ選手には海の水をのまないように警告があったり、健康被害を恐れて一部の選手は参加をみあわせたりと、いろいろあって、でもなんとかりっぱな開会式を終え、魔訶不思議なオリンピックである。しかし五輪は五輪。名誉ある勝利めざして選手は戦う。私はとても試合全部をみる勇気がない。はらはらしてしまってだめなのだ。好きなのは陸上と水泳。限界まで鍛えられた肉体美を感じる。これからの2週間は回診ではさりげなくテレビの映像もみせてもらいながら談笑しながらの回診となるだろう。

2016年

8月

02日

作家 澤地久枝氏の言葉

作家の澤地久枝氏のインタビューが日本尊厳死協会の冊子の中にのっていてれがとても素晴らしかったので紹介します。

澤地氏の作品を私は読んだことがなかったのですが、妻たちの2.26事件などのノンフィクションをてがけておられる。3度も心臓手術を受けられておられるが今も85歳でもあるがまだ作品を発表されている。
彼女がいっていたのは、64歳でまだやりのことしたことがあるとスタンフォード大学に訪問研究員として留学しています。そして70代はまだ若いと80代になって体の弱さ、疲れの程度が違うことを自覚されていると。そして<生活が自分の力で営まれている、誰かの助けでなく自分の意志を通してここまで生きているのは本当に幸せなことだと思うんです。生きてきた果ての答えとして今の自分の人生があるわけです。>と述べられています。作品を世に出す人は作家であれ、画家であれ長生きなかたが多いとどこかで読んだことがありますが、それにしても<生きてきた果ての答えとしての今の自分>といえるようになりたいものです。