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ブログ

2015年

12月

30日

今年の総括 湘南鎌倉血液内科

今年もいよいよ終わりです。本日で湘南鎌倉総合病院の通常外来診療は終わりとなりました。通院された患者さん、待ち時間が長くご迷惑もかけたと思いますが我慢強く待っていただきありがとうございました。お疲れ様でした。またこちらが疲れているときに逆に声をかけて励ましていただきました。ありがとうございました。安心を得るためにこの病院にきているのだから・・・といってくださった患者さん、いつもその日安心を持ち帰ってもらえるようにしたいと気を配っています。それを望む患者さんがいる限り、我々スタッフ一同気持ちを新たに来年もがんばりたいと思います。
来年1月2月は田中が成田の徳洲会病院に応援にいきます。週末こちらに戻りますがご迷惑をおかけします。よろしくお願いします。

さて今年の総括をしたいと思います。今年4月に佐藤淑先生がスタッフとして加わり病棟を中心に活躍してくれました。専門内科の外来の重たさや治療の選択のむずかしさを実感していると思います。
また今年は自家移植がやや少なくなりましたが、ゼヴァリンを導入しました。
また今年はタケダとの共同研究を行いました。
そして田中が少し病棟業務を離れることをトライしてみました。
来年は引き続きそれぞれのスタッフに役割をもたせ、また病棟としてはより専門的に口腔ケア、ラインのケアなどを学んでいくこと、そして深いレベルまで症例のdiscussionができたらいいなと思います。血液スメアの勉強も検査の人も含めて行っていきたいと思います。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2015年

12月

29日

湘南鎌倉総合病院の輸血使用量

いよいよ年末も差し迫り、輸血を定期的にしている患者さんの長期連休の調節が始まった。
患者さんから当院の輸血量はどれくらいかと質問があった。血液内科での輸血患者さんも多いが、病院全体でとなると心臓血管外科における輸血、消化管出血における輸血、透析患者さんの輸血など様々である。ということで調べてみた。
当院の年間輸血本数は赤血球、血漿、血小板含めて13000本(赤血球7561本、血漿3352本、血小板2312本 H26年度)。神奈川県内ではベスト5の供給量だそうだ。患者数でいうとおよそ2400人のかたが輸血を受けている。輸血使用数は年々増える一方で、でも世の中の献血者数は減少傾向であり、特に10-20代の減少が目立つとされる。新聞でも将来血液製剤が不足する予想が報道されていた。人工血液やiPSによる血液バンクは、まだ実現からは遠い。輸血により外来で通常に近い生活が出来ている患者さんは多いだけに、今後も日赤による安定した血液供給は不可欠なものである。

2015年

12月

29日

慶応大学にiPSコンサルテーション外来

今年注目してきたキーワードはiPS、人工知能である。今年最後に出たもので、慶応義塾大学医学部臨床遺伝学センターでiPSコンサルテーション外来が2016年1月から(完全予約制)第3木曜日の午後に行われるとプレスリリースされた。神経や感覚器を中心とした遺伝性疾患に関して、iPS細胞研究がどこまですすんでいるのか情報提供をする外来であるという。下記の疾患に限られる。残念ながら血液の疾患はなく、ほとんどが奇形や神経障害を伴う疾患である。下記疾患の中で唯一ATRX症候群という疾患が血液異常(αサラセミア)を来たす。この疾患はX染色体にあるATRA染色体の異常で精神遅滞を来たすものであるが、同時に特異な顔つきをしたり骨格異常が認められる(学生の時に習った記憶がないのだが)。
また、慶応はさらにもう一つ先端的な外来をオープンするという。その名も<未診断疾患外来>。これは従来の医学的検査で診断のついていない患者さんのDNAの配列を最先端の分析機器を使って幅広く調べることで、診断の手がかりを得ることを目的とした外来とのこと。慶応大学はiPS研究でも京都大学と並んで先端を走っており、それを臨床に結び付けることも同時に走らせていくというわけである。

慶応大学iPSコンサルテーションの対象疾患

  • Prader-Willi症候群
  • Angelman症候群
  • CHARGE症候群
  • Rubinstein-Taybi症候群
  • Mowat-Wilson症候群
  • Sjogren-Larrson症候群
  • 筋萎縮性側索硬化症(家族性)
  • 筋萎縮性側索硬化症(孤発性)
  • Pendred症候群を追加
  • パーキンソン病(遺伝性)
  • パーキンソン病(孤発性)
  • Pelizaeus-Merzbacher病
  • 脊髄性筋萎縮症
  • ATRX症候群
  • Rett症候群
  • Young-Simpson症候群 (KAT6B)
  • 網膜色素変性症
  • 遺伝学的素因を有するアルツハイマー病

2015年

12月

28日

感染性胃腸炎の流行が始まっています。

嘔吐、下痢を訴える患者さんが増えてきたなと感じていたら、国立感染症研究所の報告でも12月7日から13日までの週で急激な増加をみています。感染性胃腸炎の主な原因となるノロウイルスは冬、特に12月から1月にかけて流行し、かつ感染力が強く家族内発症も多くみられます。ワクチンはなく、石鹸を用いた手洗いが予防策。潜伏期間(感染から発症までの時間)は24~48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で あり、発熱は軽度。通常、これら症状が1~2日(症状の期間は短い!)続いた後治癒しますが、免疫が低下した抗がん剤治療後のかた、高齢者では重症化することがあります。家族で吐物や下痢をする人がいて、その処理をする時にはハイター(5%)を希釈して用います。東京都感染症情報センターに詳細は載っていますが、0.02%は汚染された環境(ドアノブや手すりなど)を消毒するように、また嘔吐物・便などの処理は0.1%で行うことが推奨されています。旅行にいって大勢の人間が利用するトイレなどでは、ドアノブなどからも感染したりすることが多いわけで、より手洗いに注意したほうが良いし、ドアノブに触れる際にはハンカチを利用するなどしても良いかもしれません。また、食事では2枚貝がウイルスで汚染されている可能性もあり、カキなどの生食は感染性胃腸炎が流行っている期間は避けたほうが良いかもしれません。2枚貝の加熱調理で ウイルスを失活させるには中心部が85~90℃で、少なくとも90秒間の加熱が必要、と国際機関のガイドラインでは定めています。鍋なら大丈夫でしょうか。
また、新型のノロウイルスが今年流行っていることがわかっています。このような時には免疫がない人が多いことから大流行する可能性があり、同様の流行が2006年と2012年にみられており、新聞等でも注意喚起がされています。

2015年

12月

27日

今年の10大ニュースに必ず入るIslamic stateの現実

また日本人がISに拘束されているのではないかというニュースが入った。
今年の10大ニュースとやらが年末特別番組で連日のようにやっているが、そのどれにもランクインしているのがIslamic Stateの話題。SNSなどの仕組みを巧みに利用し若者を洗脳し、また残虐な殺害などの場面を映像で流す。これほど過激な人々は、どうしてそうなってしまったのだろう。本当はどんな心を持っているのだろう。何が若者をそんな風にさせてしまうのか。どうして国を捨てて何もない戦闘の国にいくのだろう。なんのためにフランスでのテロなど、普通の善良な人々を殺しにいくのか。病棟の患者さんが見ていたテレビ番組を横目に、そんな会話をした。その実態はどうなのだろうか。

そんな折に新聞の書籍広告で見つけた本。フランス人女性ジャーナリストが何故若者が引きつけられていくのか、その実態が知りたくて「メロディー」という二十歳の娘になりすまし、ネットを用いてスカイプでイスラム国の大物幹部とやりとりするというノンフィクション。ヒジャブというイスラム女性の服装を纏ってスカイプを通して会話。相手はメロデイーにいきなり「結婚しよう」と誘い、ISの支配するところに来るように言い寄ってくる。そこから色々な生の情報を引き出そうとするジャーナリスト。彼女がどんどん引き込まれていく様子が映画でも見るようにとてもリアル。ジャーナリスト魂が危険なところに、もっともっと、もう少し、と入り込ませていく様子が生々しい。自分とメロデイーを使い分けて、まるで常に日常生活の中で二人がいるような二重人格者の精神状態。会話の中で完璧なイスラム教徒になれるのか。相手に悟られたら、ばれて追われたら殺害されたりするんじゃないか。フランス出版社のシャルリー・エブドが今年1月7日に襲撃されたことを思うと、とても危険な取材だと思った。彼女の正体は伏せられている。読み終わっての後味が、重たい気持ちになってしまった本だった。

2015年

12月

24日

ホジキンリンパ腫の2次発がん in NEJM

ホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫の中でも特に抗がん剤が効きやすいとされるが、実は長期に診ていくと治療に関連し(つまり抗がん剤が関係する)、続発性悪性腫瘍のリスクが高いことが知られている。今は主な治療メニューであるABVD療法により毒性は減ったとされるが、それが長期的にみて変化したのかどうかという論文が、世界的な医学雑誌NEJMに発表された。
その内容であるが、オランダからのデータである。ホジキンリンパ腫に対する治療を開始してから5 年以上生存した 3,905 例(治療は 1965~2000 年)、これらの患者における二次癌のリスクを一般集団における癌発生率に基づく期待リスクと比較したところ、追跡期間中央値 19.1 年の間に908 例で 1,055 個の二次癌が診断され、一般集団と比較すると4.6倍もリスクが高くなっている。治療後 35 年以降もリスクは依然として高く4倍程度あり、40 年の時点での二次癌累積発生率は 48.5%と非常に高い!!ということはホジキンリンパ腫は若い方にも発生する(しばしば縦隔に大きな腫瘤を形成する)ので、長期的に誰かがそういう意識で診ていく必要がある。やはり現時点では腫瘍内科医というよりは血液内科医、あるいは総合内科医が二次発癌の意識をもって患者を診ていくのが良いのではないかと考える。

2015年

12月

23日

16年目の病棟クリスマス回診と病棟コンサート

2000年から始めた12月23日の病棟クリスマス回診。『パッチ・アダムス』という映画を真似て始めた手作り回診。早16年が経ちます。ボランテイアの方達に参加していただいて、生演奏のもとクリスマスカードを配ります。着ぐるみは若手の先生達に協力を得ていますが、写真を撮るとぬいぐるみがやけに映えます。
院長先生や看護部長が参加してくれたときもありました。これまでのエピソードとしては、患者さんで意識がなかった人がヴァイオリンの演奏をきいて微笑んでくれたこともありましたし、いつまでも大事に我々との記念写真を持っていてくれた方もいました。
自己満足にならないように注意していますが、少しでもふつうのかたと同じように小さな幸せを届けたいと思ってやってきました。でも続けられるのはあと5年かな~なんて思っています。
また、回診のあとにはボランテイアの方々による演奏会が開催されます。音楽教室の子供さん達、ヴァイオリンに朗読、琴の演奏と今年は盛り沢山でした。演奏者の方々もパフォーマンスを楽しんでいてくださったと思います。みなさんご協力ありがとうございました。

2015年

12月

22日

平塚市内で公開講座 悪性リンパ腫編

2か月に1回 公開医学講座を担当しています。公民館などを病院が借りて医師、栄養士、理学療法士、薬剤師などが一般向けに講演をします。患者さんを集めるためのマーケテイングの目的もありますが、実は忙しい外来の中では十分に疾患の説明が出来ないこともあり、患者さんにはこれを聞きにきてもらうことも多いのです。治療終了された方に「復習できて疾患に対する理解が深まりました」言われることも多いのです。
湘南地域は人口の割にはまだ血液内科医が不足ぎみです。昨今の化学療法の選択はかなり専門的になっているため、血液腫瘍は(白血病や悪性リンパ腫、骨髄腫は)やはり専門家が治療をしたほうがよいと考えています。この日は久々に平塚まで出掛け、悪性リンパ腫の講演をしました。ふだん見かけないかた、他病院で治療中のかた、治療終了のかたが来て下さっていました。セカンドオピニオンというとおおげさだけど、ちょっと自分の治療が本当に良いのか聞いてみたい、あとは治療は終わったけれども再発が怖いというかたが多いと思います。言い換えれば自分の患者さんもそのように考えているということ。外来は待ち時間が長すぎるという不満もあるでしょうが、やはり治療後少なくとも5年は追いかけて、再発の不安を共に聞いて和らげることが大切であると思っています。
また来年は戦略的に場所を選定して、公開講座を行っていこうと思っています。

2015年

12月

21日

慣れないことをするときは、自分そのものが出てしまう

まだ慣れていない、習得出来ていない時ほどその人の行動に本当の性格が出るものだ。採血、点滴をするのは若い研修医の仕事だが、そういうときに忙しくても患者確認をしっかりするか、使ったものをしっかり片づけるか。取れなくてイライラするか、暴言を吐いてしまうか。自分を抑えて、きれいで正確な仕事をするというのも修行の一つであると思う。
年を経て制御出来て自分を隠せるようになっているかもしれないが、やっぱり慣れない場では自分が出てしまう。先日せっかちであると指摘された私は<あれっ、どうしてばれたんだろう・・・。どこで見透かされていたんだろう>と驚いてしまった。見る人がみると、しぐさや行動でばれてしまうんですね。
世の中には企業の人事部で多くの人を観察し続けている人もいるわけで、病院から一歩出れば肩書なんて関係なし。常に人から観察を受けていると思わねばならない。いつも早口、早食い、早歩き、それが私生活でも出てしまっている。せめて病院から一歩出たら、服を着替えるように急ぎモードもスイッチオフとして、丁寧に生きていくことをこれからの課題としたいと思うこの頃です。

2015年

12月

20日

朝から電子カルテがダウン!!

日曜当番で病棟に出向いてみたらなんと病棟で電子カルテがダウン!! すでに2時間経過しているが、まったく復旧の見通しがたっていない。現場は慣れないことで、かつ医師も少ない日曜日、外来は救急外来だけであるが、久々の大きなダウンで、各科各病棟あたふたしている。
 今は完全に電子カルテ化されているのでひとたび止まってしまうと急に紙運用となる。指示は紙でだせるが採血データは検査室の1台しかみれないし、CTなどもとっても特別なみかたをしないといけない。さらに一番困るのは点滴内容の確認ができない。救急できてももともとどんな患者かわからない。病棟で当直医がよばれてもなんの患者でどんな問題がおきているかもわからない。会計もできない。とても大変なことだ。日曜日でも日中であったので当番医師がきていたからよかったし一般外来はなかったから薬剤の混乱は少なかったが、これが混んだウイークデイの外来中であっても大変であっただろう。まずこういうときには情報がないと不安になるので、まず全体で代表者を集めてどんな状況か伝え、今ある問題点を挙げてそこに優先順位をつける。これが初動で大切なことだ。災害訓練ととても似ているなと感じた。幸いなんとか昼ごろには復旧した。対応されたかたは大変であったが、電子化されている状態のもろさを再認識したが、各科落ち着いて対応できていたように思う。

2015年

12月

18日

恒例の内科忘年会 in 二楽荘

毎年この時期、二楽荘にて内科忘年会が開催されます。
この日小町通りにある二楽荘にて総勢40名を超える人数で行われました。
各科振り返りが行われるのですが、今年の当科を振り返ってみると佐藤淑先生がスタッフとして加わり貪欲に症例を経験していること、『ゼヴァリン』という抗体にイットリウムという放射線同位元素をつけたものを、低悪性度リンパ腫に対して使用出来るようにしたことが大きなことでした。
新しい発見は私が病棟からやや引いたことで他に生きてくる人がいるということでした。部長というのは自分が象徴として先頭に立つタイプもあるでしょうが、そうではない形としてスタッフが働きやすい場を作り上げる、そのためには自分の立ち位置も変えてむしろ後退してみるということも必要なのではないでしょうか。
違うユニットを作ってみたり、普段病院では会わない方と交流してみたり。今年は<違う人、違うユニット>がテーマだったように思います。

2015年

12月

17日

巨大血小板をきたす疾患 May-Hegglin 異常

左の写真で左下は巨大血小板、右は好中球で細胞質にデーレ小体といわれるうすい紫色の部分がみられる。これは実はMay Hegglin(メイヘグリン)異常症といわれる疾患の末梢血液のスライドである。本疾患は先天性血小板減少症の中で巨大血小板症を呈する代表的疾患の一つで、私の学生の頃はメイ・ヘグリン(May-Hegglin)異常、セバスチャン(Sebastian)症候群、フェクトナー(Fechtner)症候群、エプスタイン(Epstein)症候群と別々だったが、同一の遺伝子(MYH9遺伝子)異常に起因することが明らかとなり、これらをまとめてメイヘグリン異常症と呼ぶことになった。MYH9異常症という名も使われるようである。
どんな病気かというと血小板減少症、巨大血小板症がみられ、その他に末梢血塗抹標本像での顆粒球封入体(デーレ様小体:Döhle-like bodies)の存在や、腎炎、難聴、白内障といったアルポート(Alport)症状がみられる。
巨大血小板の正式な定義はないが末梢血塗抹標本上、赤血球大(直径8μm)以上の場合に巨大血小板と判定する。免疫性血小板減少性紫斑症(ITP)でも大型血小板はみられるが、大多数の血小板は正常大である。一方、先天性巨大血小板症では大多数の血小板は大型あるいは巨大であり、正常大血小板は稀である。
この病気は非常に稀な疾患であり、発症頻度は10万人に1人程度。但し原因遺伝子が同定されたのが比較的最近であり、まだまだ見逃されている症例は多いと考えられる。小児のときにITPと言われて治らないまま成人になり、発見されたりしている。つまり、難治性の慢性ITPと診断されていた症例の一部に本疾患が含まれている可能性がある。國島伸治医師らの検討では200例を超える先天性巨大血小板症の解析で、本疾患が原因の約30%を占め、最も高頻度であったという。
末梢血のスライドをみる大切さ、また小児の頃からITP(血小板減少症)といわれていてステロイド治療が効きにくい中にこの疾患が隠れているということを、臨床血液内科医は覚えておく必要がある。

 

 

2015年

12月

16日

Kanagawa Leukemia Seminar in 横浜

Kanagawa Leukemia Seminarが横浜で開催され、参加した。臨床検査技師が多く参加出来るような構成になっており、1講演目が杏林大学保健学部臨床検査技術学科 東先生が末梢血の血液標本のみかたのサマリーをしてくださり、また2講演目では佐賀大学の木村教授が慢性骨髄性白血病(CML)が治るかどうかといったお話しを解りやすく、笑いも交え話された。
CMLは内服薬さえ飲んで効果があれば10年生存率90%を超える、もはや悪性疾患とは思えない疾患となった。しかし内服薬は高額であり、日本の高額医療制度でカバーされるとはいえ個人負担もままならないし、医療経済を圧迫しているのも事実。薬剤を中止出来ないかと、最近多くの臨床試験がなされ結果が出始めている。
木村先生はご自身のなされているDADI trialというネーミングの臨床試験結果を紹介された。他剤がだめで、その後ダサチニブを飲んで1年以上深い寛解(PCR陰性)が得られた人を対象に薬剤を止めて詳細に観察し、少しでも出てきたら再開という試験。最初の3か月で34%が再燃し治療再開、でも48%は内服を再開しないで長期寛解(まだ治ったとはいえない。観察が必要)が得られているという。そして、再発した人でも薬剤を開始すれば再び深い寛解が得られた。
副作用で薬剤をダサチニブに変更した人は薬剤中止したままいける率が高いが、耐性で薬剤をダサチニブに変更した人は中止しにくかった。また細胞レベルでは制御性T細胞が減り、NK細胞が増える人は止めやすいようだと述べられていた。また、若い人のほうが止めにくい印象というのはおもしろかった。
たしかに若い人で治療開始後の薬剤の切れ味が悪いなと感じることはあったが、それらとも関係するのかもしれない。すでに私の患者さんでも10年以上飲まれている方はいる。これまでは生きていられるのだから良いではないかと思っていたが、経済的にもいくら高額医療費カバーが受けられるとはいえ、負担がずっと・・・というのは大きい。薬を止められそうな人がすぐ解る遺伝子が早く解明されて、治療開始段階から分かると良いのにと思う。

2015年

12月

16日

東北のかたの気持ち

仙台徳洲会病院に応援にきています。鎌倉の院内の患者さんには迷惑をかけていますが、救急車をみたり普段とは違う一般内科の患者さんを診察することは自分にとって勉強になります。自分の予約外来もなくすぐに鎌倉に戻ってしまうわけですからその場でしっかり診断する、決着することが求められます。
 仙台の人は話していて素朴な感じがします。言葉もちょっと東北訛りが出たりしていい感じ。福島から一人で働きにきていて経済的にきつい、治療費が大変という若者が来たり、被災して故郷を出て慣れない土地に来ている人。職員で被災された経験をもつ方が当時のことが話題にでると涙が出てしまう、喘息が出てしまうなどと語っているのをききました。仙台の街中はとても5年前に震災があったなんてわからない。でも心の深い部分でまだまだ爪痕を残している、いやずっと消えないのだろうなと思います。そしてそれが身体に影響を及ぼしているのだと感じずにはいられませんでした。

2015年

12月

16日

インフルエンザ後の肺炎、インフルエンザ脳症と免疫不全患者

またもう一つインフルエンザの話題。免疫不全患者、高齢者がインフルエンザに罹患すると合併症としての肺炎が問題となる。インフルエンザ後の肺炎には(1)原発性インフルエンザウイルス肺炎、(2)ウイルス肺炎と細菌の混合感染(3)インフルエンザ後の続発性細菌性肺炎の3分類がある。2009年のAH1pdm09のパンデミックの時には原発性インフルエンザ肺炎が流行した。この肺炎は重症化のスピードが速く呼吸不全を呈することが多いため重症例には点滴でのペラミビル(ラピアクタ)を使用する。高齢者では(2),(3)の細菌性肺炎が関係するものが多い。起炎菌としては肺炎球菌、黄色ブドウ球菌が多い。肺炎球菌は政府のキャンペーンもあり自らうってくれる患者さんも増えたが、高齢者の患者さんには肺炎球菌ワクチンの接種の有無を確認するようにしている。重症肺炎にはMRSAの可能性も考えた抗生剤投与が必要である。
 合併症のリスクが高い人とは、乳幼児や2歳以下の児童、肺疾患患者、慢性心疾患、糖尿病、免疫不全と悪性腫瘍、65歳以上の高齢者という項目があげられている。抗がん剤治療を受けておられる高齢者となればこのうちの3つ以上のリスクをあわせもつこととなる。インフルエンザのワクチンは治療中であれば受けられないことも多く、できるだけ暴露をうけないようにしてもらうようにすること(家にこもる)、家族にワクチン接種してもらうことをすすめている。流行シーズンになったら予防投与として薬をもっておくことを希望されるかたもいるがそれは私はしていない。予防投与はあくまでも家族がかかり濃厚接触してしまっている場合のみ処方し、本人が症状があり診察をしてから処方するようにしている。
 また合併症として重度の中枢神経症状をきたす急性脳症としてのインフルエンザ脳症もある。
2009年のAH1pdm09のパンデミックの時には多かったようだ。小児に多いと注目されているが、成人でも6年間で20歳以上で138人におきている。死亡率も10%程度と高いため免疫抑制患者の合併症として注意が必要である。

2015年

12月

16日

今年のインフルエンザとワクチン

今年はインフルエンザの流行がまだ本格的にはなっていないが、患者さんが当院でも出はじめている。暖冬のためにまだ少ないのか。今年はワクチン接種が企業の問題でやや遅れたことから12月になってようやく受けられる方も多く、抗体が出来るまでには23週間はかかるため、このまま落ち着いていてほしいと思う。昨年は12月末からインフルエンザが大流行して救急外来や夕方診療が大混雑した。
さて、今年11月末の時点で流行している型はH3N2の香港A型、それにAH1N1)が続くという。H1N1型は2009年の新型インフルエンザとして流行した亜型(pdm09亜型)で、子供などこの型を経験していない世代で集団感染を起こす可能性があるということ。またこの型の変異がすすんでいることが問題となっている。
今年のワクチンは盛り込まれる抗原が4価に増えている(これまでは3価)。それで値段も上がっているが、これまでの3価時代にはB型の抗原が1つしか入れられていなかったが、B型が2種類流行することが多かったこともあり、今年のワクチンはB型に対してより予防効果が高くなっているそうである。

抗がん剤治療を受けている人はワクチンはどうするのがよいか、という問い合わせがよくある。基本的には免疫抑制状態にあるかたもワクチンを受けたほうが良いとアメリカCDCCenters for Disease Control and Prevention)のガイドラインで示されているが、リツキサンを使用する化学療法を受けた人で6か月以内の方は、抗体が産生されにくいと論文発表されており(Blood 2011 Dec 22; 118:6769)私はそれらの方、またWBCが著しく少ない方にはワクチン接種を薦めてはいない。

2015年

12月

15日

ダウン症と白血病

ダウン症は染色体21番目のトリソミーによりおきるヒトの染色体異常でよく知られていた疾患であるが、体表面の異常だけではなく血液の異常がしばしば生じる。新生児の時に白血球数が異常に増加するのがダウン症の510%に認められる。これは一過性異常骨髄増殖症(TAM)といわれ、近年の遺伝子研究により21番染色体異常とGATA1遺伝子変異が関与していることが分かっている。このTAMは末梢血に芽球が出るので白血病かと思われるが、数週間から3か月前後で消失し自然寛解に至る例が多い。ただし約20%に肝不全になり出血傾向、黄疸を示す例があり、そのような症例では生後3か月以内に死亡するリスクが高い。初診時に白血球数が10/μL以上の症例、早産、肝脾腫、全身浮腫、胸水、腹水がある症例が重症化リスクが高い。またこのTAMになった症例の2030%は生後3年以内に急性巨核球性白血病(AMKL)になる。このタイプの白血病は一般的に非常に稀なのであるが、ダウン症ではなりやすい型で正常児の400500倍の率で発症するといわれる。この白血病になる場合にはTAMの時からさらに遺伝子異常が追加されて起きてくるということが研究にて解っている。特にコヒーシンという蛋白の遺伝子変異がみられるという。このコヒーシンという蛋白は細胞分裂するときにリングの形を作って染色体を束ね、分裂する先の細胞にDNAが正確に分配されるようにする大切な働きをしている。

遺伝子の解析手法が進歩して非常にスピーデイーに検査が行うことができるようになり、遺伝疾患の病態の解明もすすんでいる。それが成人における疾患の解明のヒントにもなっている。学生のときにはただただ面白くなかった染色体異常の遺伝疾患が体表奇形だけでなく様々な機能異常、免疫異常、血液異常とも関連しており分子、病態も解明されてきておもしろいな~と最近感じる。

2015年

12月

09日

医師としてのデリカシー

患者さんは複数の問題をもっていることもあり、今では専門家の意見も大切なので複数科でみるということはしばしばある。しかしやはり主導権というのはどちらかがもっていないと治療は無責任になってしまう。私は研修医に、自分が主科でみていたのであれば自分が責任をもつように常に教えている。コンサルテーションはあくまでも治療に対する意見であり、それを受け入れるかどうか、またほかに意見を求めるかというのは主治医がきめ、主治医が責任を負うべきである。集中治療室などの運営が難しいのは集中治療室の治療を選択するのが集中治療の医師なのか、もとの主治医なのか明確でないことがあるからである。自分が集中治療室に患者さんをお願いするときは、治療をお願いする部分をはっきり明確にしておくことが大切であると思っている。さてそれとは逆に、コンサルテーションした側の医師が過剰に患者への治療に介入してくることがある。治療の選択肢は必ずしも一つではない。だから最後に選択するのはどちらか?というところで主治医なのである。医師はそれぞれプライドをもって責任をもって治療をしている。そこには相手の意見に対して尊重する姿勢をみせるべきときがある。(あきらかに間違っていれば別だが)そういった倫理的なところがわからないデリカシーのない医師もいる。そういう人は自分で気づいていないからやっかいであり、我々が最も避けたい人間である。患者の害になるばかりでなく我々のエネルギーもそいでしまうからである。

2015年

12月

06日

山本昌選手の活躍

今季限りでプロ野球現役最年長選手である山本昌選手が引退した。中年の希望の星であっただけに、残念である。50歳まで現役でがんばれた秘訣などをNHK BS1にて語っていた。50歳までがんばってこれた秘訣は<常に進化を続けること>と述べていた。安定した成績を残していたときでも改変を重ね、進化できるようトレーニングする。肩甲骨周囲のやわらかさは50歳の今が一番であるという。成績も40歳を超えてからノーヒットノーランや完封勝利、通算200勝などを達成している。途中40代で成績が振るわなかったときもあったが、続けていたからこそ出せた記録もある。後輩のため、チーム若返りのために引退したといい、今のピッチングは55歳までいけるといっていたのには驚き!場所があればまだ投げたいという意欲があるようにみえた。入団当初は揮わなかった選手であることをきき、また茅ケ崎出身であることも知って親しみがわいた。<進化し続ける、そのために努力を続ける>。私も真似てみたいと思います。

2015年

12月

02日

ブログが伝えるもの

最近寒い日が多いため、病棟からは左写真のように美しい富士山が望める。雲ひとつない空で、朝の回診を和ませてくれる風景である。
さて私のブログも3年半を過ぎ、今年は勉強会で勉強した内容をまとめて記録しているが、難しいと患者さんから指摘を受けた。ブログを読んで下さっているのは医療関係者、製薬会社のかた、患者さん、患者さんのご家族と様々であり、読む目的も異なる。いつも同じではつまらないと思い血液に関する診療のこと、研究会の内容サマリー、普段私が考えていること、病院のニュース、医療安全関係、人工知能などをテーマとして少しずつ内容を変えている。ご意見いただいたので少し分かりやすい言葉に変えてみようと思う。
また意見としていただいたのは、自分が診てもらっている医師がどのようなものの考えかたをしているのか理解するのにブログを見ています、ということであった。内容は難しいこともあるが日々勉強している、知識をアップデートしてくれているという信頼・安心にもつながるという。ブログにはそういう効能もあるのだな、と考えさせられました。

2015年

12月

01日

早く帰宅して自分に投資する。

当院も昔から研修医の帰宅が遅い病院であった。しかし最近、看護師さんに「ドクターのほうが帰るの早いわよ」と言われた。

医師数が本当に少なかった頃仕事は確かに終わらなかったし、他の人に任せることが出来なくて帰れなかった。しかし今は当院でも医師数がかなり増えた。それは無駄な人件費なのか??

というとそうではないと思う。まず病棟での急変が減った。日中のうちに変化を把握出来るようになったこと、(それでも他院より人数多いが)医師1人が受け持つ患者が減ったことからしっかり管理できるようになった。また医師が勉強出来るようになった。自分に投資出来るようになったのである(中にはそれ以外の人もいるであろうが)。
今は高付加価値の時代。input を増やさないとoutputを増やすことが出来ない。情報は目まぐるしく変わる。その意味では仕事終了後に自分に投資する時間が持てるようになったことは、医師の価値を高めることにつながっていると思う。またそれ以外の趣味に投じることが出来たり地域の活動が出来れば、違う人脈の形成により仕事に役立つこともあるであろう。それも患者数を増やしたり新しい病院と地域のプロジェクトをするうえで役立ったりすることもあるかもしれない。上がそうすることを率先し、自分の付加価値を上げる意識を部下に持たせることが大切であろう。

2015年

11月

30日

烏山先生、西増先生 研修終了

今年は1年目の先生が2か月ずつ、また後期研修医(3年目から5年目まで)の先生が2か月ずつローテーションをしてくれています。今日はその2人が研修終了で、記念撮影です。烏山先生とは米国の有名な内科教科書である「ハリソン」を読みあうのを10回以上し、素直に気持ちよく病棟で働いてくれました。また、西増先生は昨年に引き続き2回目のローテーション。以前よりも表情はやわらかくなり、朝早く来て病状把握に努めてくれました。
11月は私が病棟業務を減らし、他の人達に負担してもらうことをチャレンジした月でした。人は一人いなくてもなんとかなるもので、他の人に活躍の場を与えるという意味では、いつまでも同じ体制というより変えてみることも良いものだと思いました。患者さんには説明が足りず、やや不安を与えてしまったかもしれません。12月もまた変則的に行っていく予定です。

2015年

11月

28日

アグリリン発売1周年記念講演会 in tokyo

アグリリンという薬剤は、昨年特発性血小板増多症(ET)に対して血小板を特異的に低下させる薬剤として日本で発売された薬剤。ETは非常に慢性的な経過をたどる骨髄増殖性疾患の一つ。血栓の既往があったり60歳以上である患者さん、あるいは血小板が150万/μLくらいになると血栓症をおこすリスクが高くなり、また血管系の疾患のリスクを持っている人には予防的に治療を行う。しかしそれらがない人は経過だけみることも多い。これまでの治療薬はハイドレアというもので血小板数をコントロールしていたが、それでは十分コントロール出来ない人もいるし、また若い人では長期投薬による白血病の誘発もみられるため、ハイドレアは避けられる傾向にある。
このアグリリンという薬剤はハイドレアに比較すると白血病を誘発するリスクは少ないが、骨髄線維症を誘発するリスクはハイドレアより高い。またPDEⅢ阻害作用による動機、頻脈、まれに心不全が起こるとされる。それらの副作用についてどのように対処するのか、コツとしてはゆっくり増量すること。また一時減量したり、またはβ阻害薬を併用したり。またコーヒーなどのカフェイン摂取を抑制することなどが示されていた。線維化はやや増加させる傾向にあるため、真のETなのか、または前線維化の骨髄線維症なのかを病理的にはっきりさせることも大切なようだ。血小板増多症の人に全例骨髄線維化の状態を診るために骨髄生検をしっかり行うことは、意味がありそうだ。

2015年

11月

27日

血液スメアmeeting in yokohama

血液疾患の診断は、形態的な情報というのが非常に大切である。しかし最近では表面分子の解析(フローサイトメトリー)などが導入されるようになり、形態面の診断に比べて誰がみてもクリアカットな情報であることから、そちらを信用しがちになってしまう。しかし確定診断はあくまでも形態で行われる。
形態はみる者が違うと診断が異なることもあり、標準化がとても難しいとされる。このカンファレンスは横浜市大系列の先生方が集まって互いにこの細胞はどのように診断するか、その理由などについて議論する会で、とても珍しいが実用的なカンファレンスで有難い。検査技師でも特に血液をみるexpertの人にはその経験からくる勘のようなものを教えてもらい、大変参考になる。
多発性骨髄腫ではその形態から一部では予後を推測できるという。核小体が明瞭な骨髄腫細胞、未分化な大細胞型の形態は予後が悪い。また骨髄腫細胞が全体の40%を超える場合、赤芽球が全体の<10%と減少する場合、核小体が50%以上の細胞にあるようなものも予後が悪い一つ因子となる。またCD20陽性、cyclinD1陽性の骨髄腫細胞は小型の細胞となるらしい。またCD10陽性では髄外腫瘤が出来たり、治療抵抗性だったりするようである。今後また参考にさせていただこうと思う。

2015年

11月

25日

まったく違うユニット

AKB48が組み合わせを変えて楽しむように、衣服で組み合わせを変えて楽しむように、ちょこっと会話をする。またはノミュニケーションするユニットを変えてみるのは、とても大切なことであると最近つくづく思う。
上の立場になって仕事が限られるようになると、研修医との距離もあいて情報が入らないことが増えてくる。それが富に多くなってきた。自分から情報を取りにいかなくてはならない。また、組織が大きくなって見えないところでまったく知らないプロジェクトが動いていたり、知らない問題が起きていることがある。それらの情報を仕入れるためにも自分で積極的に違うセクションの人たちと会話する機会をもつことの大切さを実感している。
同様に病院内で嫌なことがあった時、その付き合いは人生の中でほんの一部なのであることを知るためにも、仕事とは違う付き合いをもつ必要を実感する。今年は弓道を始めてみた。これほど多くの老若男女の方々が楽しんでいるのかと驚き、また仕事とは全く別の目標が出来、先生と呼べる方々に教えを乞うことが出来る。週末そこに行けば仕事であったストレスも一時忘れることが出来る。まったく違うユニット、意識して作ってみられてはいかがでしょうか。

2015年

11月

24日

労働力の不足をどのように補うか?

4月にはたくさん入った看護師も、毎年年末から年度末にかけて退職者が増え不足してくる。我々病棟をもつ医師にとって非常に深刻な問題で、これには7対1看護体制の問題もある。これは患者7人に対して看護師1人が常時勤務するシステムで、診療報酬加算が加えられていることから各医療機関がこの体制の採用を開始し、それにより看護師不足に拍車をかけた。人件費は高騰し、無理な7対1体制をするために休みが十分取得出来なかったり、また病棟に力を注ぐため外来の人員配置が軽視されてしまう。
さて、話は変わるが他の職種では労働力不足はどうなのだろうか。しばしばシステムエンジニア不足の声がきかれて久しいが、それ以外はどうだろう。ちょうどあるテレビ番組にて労働力の不足と題して全国の労働人口の増減を調べていたが、その中で全国都道府県のうち半数以上で労働人口の減少がみられていた。関東はかなり良かったが、決して東北とか北陸とかだけではなく東海地域、隣りの静岡県でも減少していた。これからもこれは加速的に進み、北陸方面では外食産業で接客するものの不足、雪かきなどの公共的な業務、建築関係などなど、人出が足りないために廃業や業務縮小などが出てきているという。という現実と同時に、あるハンバーガーショップでは接客する業務の年齢制限を撤廃して高齢者でも雇用することを開始。ただし時間を調節して長時間出勤しないようにしたり、複数の仕事でなく特定の仕事に限ってやってもらうようにしたり工夫しているという。
医療は生命を扱うだけに簡単にボランテイアやどんな人でも雇用というわけにはいかないのだが、まだまだ働けるのに定年を迎えた患者さんの話で家でぶらぶらしているというのを聞くと、もったいないな・・・、何かやってほしい!と思わずにはいられない。病院案内や送迎、少し訓練したら院内での検査出し、院外薬局へ薬を受け取りにいくこと、内服の確認など。それほど高額でなければ手助けが欲しいという人はたくさんいるので、その繋ぎ役をやってくれるサービスが出来たら良いのにと思う。



2015年

11月

23日

奇跡のレッスン バスケットボール編 NHK

『奇跡のレッスン』という番組は、世界の有名なスポーツコーチを招いて子供たちに教えるというもの。その世界有数のコーチがどのような手法でどのように子供たちを変えていくのか、コーチングという視点でもおもしろい番組である。
今回はマグジー・ボーグスさん。身長160センチとアメリカプロバスケットボール協会NBA史上、最も低い男として大活躍。2mを超える大男がひしめき合うゲームで、抜群のスピードと敏捷性でポイントを奪う活躍をみせていた。その彼が来日して、ある都内の中学校で1週間コーチを行った模様が内容である。
その彼の指導の言葉の中で良かったものをいくつか紹介したいと思う。これはそのまま研修医の指導、チームリーダーとしてチームをまとめるのとまったく同じだ。すぐにでも使えると思ったからだ。
(1)チームに求める性格をコーチ自身が備えてなくてはならない。
(2)繰り返し練習することで第2の本能となる。
(3)彼らはやっているかどうか自信がないときがある。そこで彼らがやっていることが正しいかどうかみて、声をかけて
   あげる。ネガテイブなものばかりだとネガテイブになってしまうから、褒めるときはしっかり褒める。
(4)可能性を引き出すには一人ひとりしっかりみつめること
(5)違う役割を与えて新たな可能性をみつけること

どれもコーチングに役だつ言葉だと思いませんか。
番組では最後、目立たない子供たちが変わる様子がうまく映しだされていて、涙ほろりに仕上がっていました。

2015年

11月

20日

facebookにはまる人の気持ちがわかる・・・

facebookは登録はしているものの、始めた頃の半年間位した程度で、その後はほとんど開いたことがなかった。面倒くさがりなのもあるし、自分が何をしているか他人に見られているようで嫌だった。また乗っ取られたこともあり、ますます遠ざかることとなった。なので友達承認のメッセージがあっても無視していた(メッセージを下さっていた方にはごめんなさい)。
このたび複数のメッセージが入り、さすがに返事をしなければと思い開けてみた。乗っ取られてパスワードも変更していたから大変だ。探してなんとか到達。
久々なんだけど懐かしい名前がゴロゴロ。いったい何年前か、もう忘れてしまったけれども一緒に働いた研修医達の名前がたくさんあり、ちょいちょいメッセージを発信してしまった。こりゃはまるわ~、と思ってしまった。その返事もまた楽しみに待つようになるわけであり、時間がいくらあっても足りない。若者に聞くと3-4日に1回みるという人もいれば、毎晩仕事終了時にみるという人も。人々がスマホばかり見ているのもうなづける。
私は昔の知り合いにちょこっと連絡して、懐かしがるだけでいいかな~。

2015年

11月

19日

心肺蘇生の講習会 in 湘南鎌倉総合病院

内科学会では専門医となるために内科学会認定の心肺蘇生講習会を受けなくてはならないことになっている。当院ではその講習会を自院で開催できるデイレクターというのはいないのだが将来当院でも講習会ができるようにと若い先生たちよりもむしろスタッフの先生がうけるようにと指令があり、この日朝9時から夕方5時半までみっちり実技主体の講習会が行われた。
私は茅ケ崎徳洲会出身で、当時青木重憲先生がACLSというアメリカ心臓病学会が行っていた心肺蘇生のトレーニングコースを茅ケ崎徳洲会に持ち込まれたのだがその最初の受講者である。23年前とは一部蘇生のやりかたが変わっている点もあるが、心臓マッサージや蘇生のチームリーダーはそれこそよくやったので体が覚えている。この日も自然と体が動いたのは、若いころの訓練がきいているのだと思った。(私が一番イキイキしていたといわれた)
この日の実習では消防士さんや看護師さんもインストラクターとして参加され、昔知り合いの消防士さんにもお会いできた。実習は声をだしながらのトレーニングだが、素直に反省、指摘しあいわきあいあいと行われた。チーフデイレクターの藤沢市民病院の阿南先生も様々な質問によくお答えくださった。長時間で疲れたが、心肺蘇生のサマリーができ、また意外と使用したことのないAEDを実際使用することでイメージがつかめた。

2015年

11月

15日

MDS研究会in yokohama

MDS研究会は年に1回開催されている研究会で、昨年は私がCMMLとアザシチジンの話を、今年は玉井医師が当院高齢者のMDSに対してのアザシチジン療法をまとめて演題発表しました。またNTT東日本関東病院の臼杵先生がMDSのレビューを講演してくださいました。
MDS(骨髄異形成症候群)はアザシチジン療法という治療により治癒は望めないのですが生存期間が伸び、一部の患者さんでは輸血依存から離れることも出来るようになってきました。止めてしまうとまた悪くなることもあることから、長期に使用する症例も出てきています。12コース以上かどうかで差が出ている論文もあることから、12コース(約1年)は治療したほうが良いと臼杵先生は述べていました。またMDSの貧血に対してダルベポエチンアルファ(ネスプ)が使用出来るようになっています。これはエリスロポエチンという赤血球を増やすためのホルモンです。当たり前ではありますがエリスロポエチンの血中濃度が少ない人、また輸血の頻度が少ない人ほど効果があるそうです。それではトロンボポエチン受容体作動薬はどうかというと(つまり血小板産生を刺激することができる薬剤)、ロミプレートという薬剤は5-10%の急性白血病があり試験は中止。ところが同じトロンボポエチン受容体作動薬でもレボレードは急性白血病を抑制する効果があり、またトロンボポエチンの血中濃度が低く輸血量が少ないほど血小板を増加させる効果があったそうです。

2015年

11月

15日

97歳現役医師が悟った体の整え方を読んで

当院には定年があるようでない。院長をはじめ70歳以上で現役で働いていらっしゃる先生は何人かいる。自分もできるだけ現役で働き続けたいと思うが、いつまでも迷惑かけながら仕事するのもよくないし、どんな形で働き続けるのがいいのだろうと最近考える。その中で目にした上記タイトルの本。今もご自身のクリニックで毎日50人以上の患者さんを診察している田中旨夫医師。たしかに顔写真のお顔も80歳くらいにしかみえない。どんな秘訣があるのか、やっぱり知りたくなり購入しました。彼が実践していることで私の心にとまったことを紹介します。
(1)まず生活のリズム、ルーチンの生活。食事時間、食事内容、運動時間、仕事時間、きちんときまったリズムで無理せず行う生活の大切さ。
(2)よく言われる<生きがい:その人の役割 どんな人にも与えられた役割がある>
(3)さらに出来なくてもしかたないと割り切って、でも新しい知識を得たり挑戦するという姿勢、前向きな気持ち
   を持つことの大切さ。ココ・シャネルも晩年同じようなことを言っていました。
(4)また野菜の摂り方がおもしろい。季節の野菜を昆布と鰹節とともに炊飯器に入れて保温する。一晩おいて
   やわらかくなったところで翌朝スムージー仕立てにして飲む。そうすることで十分な野菜がとれる。
   またリンゴとニンジンのジュースにシークワーサーを加えて飲んでいるそうです。
(5)そしてよく歩くこと。
 
(4)は工夫次第で炊飯器1つ余分に買えば出来そうです。これらはいずれも定年以降も働いている人の多くが実践されていることのように思います。

また文章の中にアメリカの詩人 サムエル・ウルマンの詩が紹介されていました。筆者が生きて行くうえで一番大切に思うことが書かれているといいます。その一部をご紹介します。<続く>

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2015年

11月

14日

知識と思考の違い ~ちきりんさんの本から~

バチカンの衛兵の衣装を思わせるような花でしたのでおもわずパチリ。
さて、先日ある本の中で紹介されていた<自分のアタマで考えよう>という本。表紙は自分が書店では手にとらないだろうシンプルな漫画チックな表装なのですが、でも読んでみるとなかなか指摘が鋭く、なぜ多読家の人が紹介していたのかが分かる気がしました。
作者は<chikirinの日記>というブログを書いているブロガー。しかしただのブログにあらず、月間100万以上のページビューを持つ人気ブロガーだというのですからすごい。私は知りませんでした。
 
我々は他人の述べたことをまるで自分が考えているかのように思っているが、知識と思考(考えること)はまったく別であるということ。情報を鵜呑みにしないで自分で考えるようにしよう!というのが作者の最も言いたいこと!
思考とはinputである情報をoutputすることで、知識は過去のこと、思考は未来のこと。情報を得たら
(1)なぜ:背景を考える(2)だからなんなの?次に何がおきるのかを考える。そういう問いをする習慣に。また物事を考えるとき2つの軸を。1つは縦の軸(時間的)、1つは横の軸(他者、世界)。それから判断をするときには明確な判断基準と、複数あればそれに優先順位を。自分独自の選択基準をもつこと。

上記を難しい言葉ではなく話し言葉で分かりやすく述べています。とはいえ我々は「考える習慣」というのを学校の中であまりしない義務教育を受けてきたように思います。教科書やテレビで報道されることを鵜呑みにして自分の解釈が入らないまま、まるで自分の意見のように他人と話をしていないか。今でいえば論文をそのまま鵜呑みにしていないか。
欧米などではデイベートを幼い時からよくするといいますが、それは自分の意見をまとめてoutputしなくてはならないからそういう訓練をしているわけです。その機会に我々は欠けているのです。自分はまさにその傾向にあると思わずにはいられません。本は読んでもそれをただ知識とするのでなく、次の思考につなげられるようにoutput出来る材料にしていかなくてはならんのだなと改めて反省です。ちきりんさんのブログも覗いてみようと思います。

2015年

11月

12日

神奈川若手血液研究会にて

神奈川県内の若手の血液医師が集まる勉強会で、年に2回ほど開かれます。今回で33回を迎える会ですから長い会です。もう私は若手ではないので出席するのには少々気が引けているのですが、症例の勉強にもなるため参加させてもらっています。この日は骨髄移植(同種移植)後の合併症である慢性閉塞性細気管支炎を発症した症例を佐藤淑先生が発表。この合併症に対して行われる肺移植についてレビューしてくれました。骨髄移植したのに肺移植もなんて・・・と思うかもしれませんが、国内でも行われています。その他の出された演題として消化管のリンパ腫に関しての症例がありました。それぞれの病院でどのようなものを手術適応としているか、穿通(消化管に穴があくこと)をどのように対策しているかなどの検討も行われました。この勉強会は互いに顔を知ることが出来、若手でも意見が言いやすい規模です。患者さんを紹介しあう時でも顔が知れた関係は大切であり、そういう意義もある会です。次回は当院玉井医師が当番幹事で、5月に院内で開催する予定です。

2015年

11月

07日

2015 lymphoma symposium in Tokyo

毎年この時期に開かれるリンパ腫の講演会があり参加した。質の高い講演会である。海外から旬な先生が招聘されてすべて英語で行われるのだが、今年はアメリカよりBrad S.Kahl氏が来日。低腫瘍量の濾胞性リンパ腫にリツキサンの維持療法が必要かという研究RESORT試験の結果が報告された。リツキサン維持療法をいれても細胞障害性の強い化学療法をいれるまでの時間稼ぎが出来たくらいが利点で、悪くなってから治療しても同じであるというのが結論。そもそも低腫瘍量の濾胞性リンパ腫は最初の治療すらしないで経過をみることも多い。また再発しやすいマントル細胞リンパ腫についての話もあった。
これまでマントル細胞リンパ腫に対しては通常のR-CHOP療法で治療が行われていたが、最近論文がでて初期治療が変わりつつある。リツキサン+ベンダムスチン、あるいはVRCAP(R-CHOPからオンコビンを抜いて、これまで骨髄腫に使われてきたベルケイドをいれる治療メニュー)を行いリツキサン維持療法にもっていくのが選択肢として良いであろう、と提言されていた。
また今週有名な医学雑誌NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINEに発表された論文ではこれまた骨髄腫で用いるレナリドマイド+リツキサンにより奏効率(効く率)87%、完全寛解率61%と良い効果が出ていると報告。若いマントル細胞リンパ腫の人には積極的に強い化学療法メニューや自己末梢血幹細胞移植を行っているとのことであった。
フランスからはSalles先生が来日され、高腫瘍量の濾胞性リンパ腫での治療方針について話された。治療メニューとしてはR-CHOPが成績が良く(PFS,OSともに)毒性や2次発がんもほぼ同じ。またこれら腫瘍量が多い人のリツキサン維持療法におけるメリットは、治療が終わって4年経っても意味があるという成績を出されていた。
日本でも今年保険が通り正式に行うことができるようになったリツキサン維持療法。初診時に腫瘍量の多かった濾胞性リンパ腫の人は出来るだけしっかりリツキサンを入れるほうが良いということである。濾胞性リンパ腫は完治が難しく、また出てくることもしばしば。そうしたときにも何らかの治療を行い、その後リツキサンの維持療法がここでも意義があるということであった。濾胞性リンパ腫に対する自家移植についても披露されていたが、欧州では初回再発で化学療法感受性があれば自家移植を薦めているようである。またその後再度再発のときには同種移植を考えるというのがコンセンサスだと述べていた。濾胞性リンパ腫についてoverview出来た1日でした。

2015年

11月

05日

医療安全に関する新しい義務化

この日の日経新聞他が報じた医療安全に関するニュースです。
高度な医療を提供する特定機能病院で深刻な医療事故が相次いだ為、厚生労働省は事故防止の対策をまとめた。すべての死亡事例を院内で検証することや第三者を含めた監査委員会の設置を義務付けられることとなった。今後法律や政省令を改正するとのことである。その内容とは
(1)医療安全担当の副院長を置き、専従の医師や薬剤師を配置した管理部門を設ける
(2)すべての死亡事例を管理部門に報告し、速やかに院長ら管理者に伝えて必要な検証を行う
(3)医療安全の専門家や法律家ら第三者が過半数を占める監査委員会を設ける
などを義務化するというものである。当院は特定機能病院ではないがそれに準じたレベルの病院であり、この体制を院内でも作っていくことが求められる。当院では今年からすべての死亡事例のカルテレビューを行い、そこから問題がありそうな症例は複数の医師などで検討も行っている。
とはいえ医療安全をしていて思うことは、私が医師であり現状として普段から臨床をしていても専門分野が違えば(例えば外科手術の専門的な内容)それが医療事故なのか副作用や合併症でやむを得ないことなのか、判断出来ないこともとても多い。これを常に議論するのは大変である。また<白い巨塔>はまだどこの病院にもある。権威主義的な体制、隠す文化を複数の目でチェックし、小さいうちに芽を摘む。起きたらしっかり検証という文化の醸成は時間がかかるものであり、大きな組織ほど難しいと思う。
インフォームドコンセントの際に主治医以外の第三者の医療従事者を立ち会わせることなども盛り込まれるということ。当科では以前から出来る限り第3者を医療面談の時に入れるようにしているが、外来ではなかなか時間的・人員的制約があり出来ていない。これも変えていく必要があるということだ。

2015年

11月

05日

Myeloma Meet the expert 2015 in Yokohama

骨髄腫の治療薬の進歩は著しい。この日千葉大学から基礎の方面で骨髄腫の新薬の開発に従事されている三村先生と、骨髄腫で多くの治験をリードされている中世古先生が横浜に招聘されて講演をなさるというので聞きにいった。
骨髄腫細胞は蛋白合成が盛んな細胞であることから、もともと小胞体ストレスを受けやすい細胞である。そもそもリボゾームで合成された蛋白は小胞体の中で修飾を受けfolding(折り畳み)が行われ、上手くいけば成熟した蛋白として外に分泌されるが、うまく折りたためないunfoldingの蛋白は小胞体内に溜まってしまう。そうするといらない蛋白なのでユビキチン化(不要な蛋白を除去するためのシステム)を受け、プロテアソーム(蛋白質分解酵素)に運ばれて分解されていく。ただし、この処理能力を上回る不良タンパクの蓄積があると細胞のアポトーシス(細胞死)が誘導される。そこでこの経路のプロテアソームをストップさせて小胞体に負荷をかけ悪い蛋白が溜まるようにし、がん細胞が死に誘導されるように薬剤開発が進められている。
この経路に関係しているのが骨髄腫の薬剤のベルケイド。詳細な研究内容は難しくて理解があまり出来ませんでしたが、骨髄腫が非常に蛋白合成するからこそそれを利用し、薬剤が開発されてきているのである。
また中世古先生の臨床からくるお話しは非常に参考になった。千葉大学が神経内科とのコラボで力をいれている骨髄腫、MGUSにおける神経障害が多いこと、抗MAG抗体が関係していてその治療にリツキサンが効果があること、新しい診断基準における画像診断の話。自家移植が新規薬剤が出ても意義があること、2回移植をやるtandem移植は寛解にもっていけいない、国際ステージⅢ、 del17(p)
t(4;14)をもつというのが2つ以上あれば考えてもよいかもしれない、というスタデイを紹介されていた。
また先日の講演でもあったが、骨髄腫治療が積極的に出来る状態の人にはMRD陰性を目指す、つまり出来るだけ細胞を減らす治療を狙ったほうが高い確率で再発のない状態を作ることが出来るというお話があった。日々の診療に参考になる話が盛り沢山であった。



2015年

11月

03日

余分なものはもらわない姿勢

<断捨離>や<物を捨てる技術>などなど、少ないもので生きる技術とやらの本がたくさん出ている。自分ももったいない精神が多く捨てられないので、いくつか読んでみた。少しずつ「この週末はこの棚を・・」というように整理してみている。捨てる時には<それで心がときめくかどうかで決めなさい>と、ある本に書いてあった基準がとても心に残っていて、それを基準に捨ててみている。中学生の頃に使いこんだ辞書も先日捨ててしまった。心はときめかなかったから。丁寧に書き込んである字を見て、今よりも字がうまかったなーと一時感慨にふけったが、捨てたことも1か月もすると忘れてしまう。そんなものだ。
先日ある人の姿勢に自分も見習うべきだと思ったことがある。ただでくれる(といっても会費を払っているのだが)ものでもいらないものはもらわないという姿勢だ。ついタダだから・・・とか、人からお礼といって貰っても使わないでスペースを埋めてしまっているものがいかに多いことか。自らのポリシーとしていらないものは買わない、もらわない。そうすれば捨てることもない。今買っておかないと次に出会えないかも・・・それも確かにあるが、それはその時の運で仕方がない。余分にものを増やさなければ捨てるエネルギーも要さない。エッセンシャル思考である。
必要なものだけで暮らす。なかなか出来ることではないが今は将来に向けて少しずつ整理し、増やさない努力をしている。といってまた本を買ってしまった・・・。読んで身になればいいのだが・・・。

2015年

10月

31日

多発性骨髄腫の治療の現況 カンファレンス in TOKYO

多発性骨髄腫の治療はぞくぞくと進歩を重ね、最近では慢性骨髄性白血病のようにより深い寛解にもっていくことで、治癒も目指せるレベルにきているかもしれないといわれている。が、まだ治癒は望めるところには達していない。
この日は新しい新薬として発売されたpanobinostatとう薬剤がどのように骨髄腫に効くか、その講演を東京女子医大の今井陽一先生が、また臨床的な骨髄腫治療の新しい流れを最近の学会の話も用いて行われたので出掛けてきた。今井先生のお話しではppp3CAという蛋白が進行した多発性骨髄腫で発現が強くなっていること、それが骨髄腫細胞の生存維持と関係していること、panobinostatという薬剤はこのppp3CAがくっついているHSP90という蛋白を阻害して、ppp3CAを分解し細胞死へもっていくというメカニズムを発表されていた。これに免疫抑制剤FK506をいれるとマウスでは併用効果があるという。またppp3CAはベルケイドの効きとも関係していて、重要な蛋白の一つのようだ。また日赤医療センターの鈴木憲史先生のお話しは、長年多くの患者さんを診ているからこそ実感しておられるところをお話しいただき、非常に参考になった。骨髄腫は初回の時から複数のクローンがあることはこのところ言われていて、それらの薬の効き方も異なる。治療の中でどのクローンが優勢になるか変化してくる。だから最初に複数の薬剤でしかもきっちり叩いておくことが大切で、出てきてしまってからでは効かなくなってくるということを話されていて、世界的にもMRD(微小に残っている細胞)を出来るだけなくすといった治療戦略にもっていくようになるだろうとのことであった。
しかしあとでこっそり質問してみたが、超高齢者に対しては昔からあるMP療法も使われるとのことでした。大きな流れとしては、
初診患者さんは強く治療しながらもここでの治療戦略というのは大切で、色々な薬剤が我々の選択肢を増やし、とっかえひっかえ使用しながらいくことで長期生存は望める時代に入っているのだと思います。

2015年

10月

29日

高齢者患者見守りサービスの広がり

病院内でみられるモニター。その販売大手である日本光電という会社が、高齢者見守りのためのサービスを提供し始めると日経新聞にあった。家の中にペットボトル大の感知センサーを置くことで立つ、歩く、座るといった高齢者の行動をすべて捉え数値化する。活動が急に低下すれば何か起きたかもしれないということで家族に連絡。また室内の温度なども測定し、水分摂取を促すことの通知が家族にいくという。ヤマダ電機で取り扱われるそうだ。またセコムも見守り用のウェアラブルを端末を開発するという。介護士の少ない中、介護施設や病院でも使えるようになるかもしれない。夜間のバイタルやデータチェックなどを代わりにウエアラブルが行うようになるかもしれない。それらをデータ転送してくれれば、夜勤ナースの仕事も楽になるだろう。通話機能も備えるというからすごい。ナースコールもそれで行うようになるかも!と思った。また日本郵便もアップル、IBMと組んで高齢者向けのサービスの実験を始めるという。タブレットの使いかたを指導して、タブレットが薬剤の飲み方、買い物サービスなどを行うようだ。現実的に高齢者の生活にもこのような最先端な機器が入り込んで、生活を守るようになっていくのだなーと関心しました。

2015年

10月

29日

血液内科医が発見していくべきゴーシェ病   <血小板減少症と肝脾腫から疑う>

ゴーシェ病といったら小児科の時に学んだ疾患であり、血液内科医になってから考えたことなどなかったが、実は海外ではゴーシェ病の86%を血液内科医が診ているというから驚き。タイプによっては小児期発症が多いのだが、最近では成人例が見つかるようになっているという。さらに早く見つけることで、有効な薬剤が出来ているため骨症状などが抑えられるという。さてどんな症状で来院するのか?
骨折、骨痛、貧血もあるが、まずは血小板減少と脾腫が最初に引っかけるきっかけであるという。だから最初の窓口として、血液内科に紹介されているかもしれないというわけである。血小板もそんなに低くなく、国内成人例では10万/μL前後というから骨髄検査もしないで様子をみてしまうことも多い軽い程度の血小板減少だといえる。
そもそもゴーシェ病とはたくさん種類のあるライソゾーム病の一つで、稀な疾患ではある。グルコセレブロシダーゼの遺伝的活性低下により、グルコセレブロシドが脾臓などに蓄積することでおきる。小児だけだと思っていたらそうでもなく、またタイプによりI型は神経症状がないのに対してⅡ型、Ⅲ型は神経症状を伴い若い人の発症が多い。共通した症状として肝脾腫、血小板症状がある。よって血小板減少である程度脾腫を伴っている人では骨髄検査を行うことを少し考えなくてはならないかと思った(血小板10万/μL程度だと様子をみてしまうことが多い)。骨髄内で特徴的なゴーシェ細胞を確認しまたACP,ACE値が高くなるのでそれも参考にしつつ、最終的には乾燥ろ紙によるスクリーニング検査やまたはSRLで白血球βグルコシダーゼの測定をすることで診断がつくそうである。そういう目でこれから診ていき、当院の症例数なら1例くらい発見出来ないかしらと思うのである。

2015年

10月

26日

たった一つの言葉で人間関係を失うこともある

やってしまった・・・言ってしまった・・・という後悔にかられた経験は、誰しもが持っているであろう。そのあとの溝を埋めるのがどれだけ大変か、または修復不可能になることも有り得ると人生経験を踏んでくれば分かっているのに、言ってしまうことがある。
私も若い時から正直な面が若気の至りで出てしまい、上の先生に思ったことを直で言ってしまうことがよくあった。今思えば偉そうだった、と赤面する内容のこともある。
曽野綾子さんは最近の書籍の中で<品のある人、一人前の大人は思ったことをそのまま言うのではなく、一種の計算を入れて物事を言う>と書いている。そういう点からすると歯にものをきせぬ言い方は、実はそこには計算が足りなくて、未熟な品格ゆえの発言かもしれないということであろうか。
最近思ったことを抑えられなくて発言し、ひどく反省したことがあった。自分は忘れても相手には永遠に残ることもあり、それがこれまでの関係を失うことにまで発展することもある。我慢していたほうがどれだけ良かったかと悔いた。しかしそのような状況になって気づく自分の気持ち、相手の気持ちもある。互いに理解しようという姿勢に立てれば、より分かりあえることもある。とはいえ、我々医師は常に傷つきやすくなっている人に言葉をかける立場であるからこそ、たった一つの言葉が話し方により相手にどう影響するのか、推し量っていく技量が求められると思う。

2015年

10月

24日

検査前確率をあげるための訓練

医学書院が出している週刊医学界新聞は連載がおもしろく、よく目を通している。岩田健太郎氏の「ジェネシャリスト宣言」というエッセーの中で最近、『ハリソン内科学』(世界的に有名な内科教科書)を褒め称えてくれていて、研修医に読むことをすすめている私としてはこのうえなく嬉しい。また青柳有紀氏のエッセーもおもしろい。今回はその青柳氏のエッセーから。1.まず診断検査を行う前に検査前確率について考えてみること。検査前確率とは検査を行う前にどのくらいその疾患の可能性を考えているのかという確率。
2.検査前確率が高い状況で得られた診断検査の陰性結果は偽陰性である確率が高くなり、検査前確率が低い状況で得られた診断検査の陽性結果は偽陽性で
ある確率が高くなる(確かに当たり前のことだ)。3.そこで!いつでも目の前の患者さんで検査前確率を予測できるデータがポン!と出てくるわけではない。正確な検査前確率の評価をする上で最も重要なものは正確な病歴聴取である。いい言葉である! 
現在総合内科的医学教育では色々なケースカンファレンスが行われ、その思考過程が為になり非常に勉強になるが、しかしそこでの情報は提示側からの情報だけになる。実践で鑑別が出来るかどうかというと話は別である。情報をいかに限られた時間や状況の中で考えながら、時には治療も同時並行しながらしていかなくてはならない。情報集めが出来るか、また観察からその情報が得られるか。それは経験なのだと思う。それを教えるのが実際の患者を診てのベットサイドトレーンニング、実地研修である。それを青柳氏も述べていて、
その「経験」とは優れた病歴聴取の技術を習得するための時間と言い換えることができるはずです。> 
その通りです!と思いました。

2015年

10月

22日

血液内科に関係する電解質異常<Na,K編>

研修医の先生からの質問。
「WBC数とカリウムって関係があるんですね・・。」ということで今回は血液内科が関係する電解質異常(Na,K編)についてまとめてみます。

1.低Na血症 
悪性リンパ腫の治療に用いる薬剤がSIADHという病態をおこします。エンドキサン、オンコビン、イホマイドが知られています。実際使用していてそれほど頻度が高いとは思いません。悪性リンパ腫そのものでもSIADHを起こしたるするとされます。また治療により吐き気が続くと低Na血症になることもあります。
2.高K血症 
血球成分が増加しているとき、特に血小板が増加しているときは採血後に試験管内で血球からKが出てくるために高く結果がでてしまいます。これは非常にしばしばみられますので、血小板増多症の人のときには知っておく必要があります。また、予防投与でよく使用するバクトラミンは高K血症をおこします。急性白血病や急激に増殖しているリンパ腫などでも治療開始、あるいはその前でも細胞が壊れることを反映して高K血症となります。赤血球輸血でも高K血症となることがあるとされますが、採取から時間がたっている血液、または輸血量が大量でないと起きません。
3.低K血症 
急性白血病などでWBCが非常に多いときにはKが採血後に細胞内に取り込まれるため、低めに出ることがあります。となると、2で示したように急性白血病のときにはKが高くなることも低くなることもあるのですね。

2015年

10月

21日

努力したからと言って成功するとは限らない。

ラグビーワールドカップにおける日本代表チームの活躍が話題になってまだほとぼり冷めないが、実はまだワールドカップは終わっていない。準決勝が行われており、準決勝に進んだのはすべて南半球の国であるとニュースが報じていた。海外のニュースでは南アフリカ(準決勝に進出したがニュージランドに負け決勝進出ならず)の試合について振り返りが行われていて、初戦で日本に負けたことを評論家が論じていた。第三者的にみて日本は非常に良い戦いをしたということ、そして日本がとにかく目標を明確に<南アフリカに勝つこと>と定めそれに向けて猛烈に努力し、そして努力すれば、不可能と思われることでも実現することが出来ることをみせてくれたと報じていた。我々日本人もその功績に勇気づけられた。
さてしかし・・・・。努力してもならぬことはある。
ちょうど同じときに目にはいってきた言葉がある。
<努力したからと言って成功するとは限らない。しかし成功した人は必ず努力している。>
また河合
隼雄氏が『こころの処方箋』という著書の中で<努力しても報われないことはある。人生には100点以外はだめなことがあることを知るべきだ。しかしあとで良かったと思うことは、多くの場合マイナスとなって顕れたものである、と書いている。最近の自分に照らし合わせてみると何につけても行き詰っているような感じがしていたが、結果を期待してではなく続けられる努力を続けよう、と思ったのでした。

2015年

10月

20日

人道優先

大村智博士のノーベル賞の話題は先週述べたが、ノーベル賞受賞の理由になった駆虫薬<イベルメクチン>。感染者の2割が失明するオンコセルカ症、足が肥大するフィラリア症の治療・予防に大きく貢献した。この薬剤が普及したのはWHOを通じてアフリカ、南米などの国に無償提供されたためであるという。その英断をしたのがアメリカ製薬会社メルクのCEO ロイ・ヴァジェロス氏。すでにこの薬剤は家畜用として販売され売り上げをあげていたことから、発展途上国で使用するための製剤販売をするのに多くの研究費を投じる必要はない・・・と多くの社員の反対があったがそれを押し切って、また薬剤で副作用が強く出るなどのリスクがあることを承知で人への開発を指示し、成功に導いたのだという。経済合理性よりも人道優先。目先の利益が優先されることで大手企業の不祥事が続いている日本。マンションの耐震性の問題、基礎工事の問題、ありえないごまかしがある。経済合理性よりも大切にすべきことがある。トップの判断が与える影響も大きい。<『日経ビジネス』から一部抜粋>

2015年

10月

18日

日本血液学会 in Kanazawa DAY3

金沢はとても美しい町で、食べ物もおいしい!私は食通ではないが市場で食べたちらし寿司の新鮮なこと!鴨の治部煮、のどぐろといわれる日本海側の魚の料理、他の料理、食材が豊富。駅ナカは仙台の駅ナカのようでご当地のおいしいものが並び、それを見ているだけでも楽しく、見たことのない魚類加工品があった。朝、早起きして兼六園と金沢城公園を散歩した。別の日には昼休みを利用して武家屋敷の街並みを見にくりだした。
学会はというと、教育講演は免疫療法の話を聞きにいいった。患者さんから採取したT細胞に遺伝子操作して増幅させ体内に戻すCART療法。具体的にはCD19(成熟Bリンパ球の表面蛋白)キメラ抗原受容体を発現させるように遺伝子改変して体内に戻す免疫療法は慢性リンパ性白血病に対して海外を中心に行われ、2012年くらいからアメリカの学会などでも発表されている。むしろ最近では急性リンパ性白血病のほうがよく効くようで、80-90%の奏効率だそうだ。悪性リンパ腫はその中間の効果が期待されるということで、新しい造血器腫瘍の免疫治療として自治医大などで今年夏から臨床試験が開始されているということだ。
また骨髄腫における髄外腫瘤は病気の進行とともにしばしばみられ、新規薬剤も難治性であることが多く臨床側も悩まされている。これは何故なんだということでハーバードからの研究が発表され、CXCR-4という蛋白が骨髄腫細胞の骨髄以外への伸展と関係があることがわかり、それを抑制すれば腫瘍細胞の播種も抑制できるということで、新薬としてそれを抑える薬剤が開発され、すでに腫瘍の縮小効果をみているということであった。
また骨髄腫にはまだまだ新しい薬剤が出てくるに違いない。基礎的なことから新薬開発のスピードも増していると思います。

2015年

10月

17日

日本血液学会 in Kanazawa DAY2

日本血液学会2日目。この日は当院総合内科の伊藤亮二先生が、昨年当科を研修でまわっていたときのまとめとして超高齢者(80歳以上)の多発性骨髄腫の患者さんをまとめ、発表しました。

多発性骨髄腫は平均年齢が施設によっては70歳を超える(当院でも以前まとめたときは70歳だった)高齢者に多い疾患で、特に一般病院では80歳以上の患者さんを診ることも多い。新規薬剤としてベルケイド、レブラミド、サリドマイド、そして今年からポマリストが使えるようになり生存期間は伸び、さらに深い寛解が得られるようになっている。しかし副作用が全くないわけではなく、しびれ、血球減少、そこからくる感染など問題も起きる。また家族が頻回に病院に連れてこられない状況では治療もままならず、経済的な面、活動性の面、副作用、そして骨髄腫の病勢を合わせながら治療を選択する。それを調整するのが臨床医だと思う。超高齢者に対して出来るだけ良くない蛋白を減少させるというよりも、その匙加減をしながらでも長期生存出来ていますよ、という90歳近い人達をまとめたものが今回の発表の趣旨。
シンポジウムでもある先生が同じような意見を述べていたし、同様の高齢者のデータをだしている亀田総合病院の末永先生が見に来て下さりお話しをしました。普段なにげなく見ていることでもデータとして出すと見えることもある。だから大切なのだと、若い先生に教えてもらったように思います。

2015年

10月

16日

日本血液学会 in kanazawa  DAY1

日本血液学会学術集会が10月16日から18日まで金沢市にて行われました。15年以上前にも金沢にて血液学会が開催され行った覚えがありますが、それからだいぶ長い年月が立ちました。今年は北陸新幹線の開通もあり、金沢は活気がありました。会場に駅前の複数のホテル、音楽館、ホールなどを用いてさぞかし大変だったと思いますし、また宿泊するホテルを確保するのがなかなか大変でした。

この日、佐藤淑先生が当院での重症皮膚リンパ腫のかたの症例を発表しました。皮膚リンパ腫は血液内科医よりも皮膚科の専門の先生が診ることが多く苦労した症例でしたが、多くの方達に見ていただいたようでした。

今大会の会長は金沢大学の中尾眞二先生でした。先生は再生不良性貧血において日本、世界の第一人者です。少量のPNH血球(CD55.59の膜蛋白が欠損した血球)が意味あること、MDS(骨髄異形成症候群)と診断されている低形成の骨髄不全疾患の中に再生不良性貧血と同じように免疫抑制療法が効く症例があり、それがPNH血球と関係していること。それらの人をみつけ、移植や長期的な輸血による臓器障害から患者さんを守ることの必要性を訴えていらっしゃいます。先生は若い未熟な者、一般の臨床医に対しても尊大な態度をとることなく、研究会などでもとても丁寧に質問に答えて下さいます。人間的にも尊敬する先生が主催する学会、金沢という魅力的な土地でとても楽しい学会となりました。

2015年

10月

12日

富士山初冠雪

今日は祝日でしたが出勤でした。しかし窓の外をみたら・・・・
富士山の頭に雪が・・・・今年の初冠雪です。例年より11日早いということ。
山の木々も少しずつ色づき始めています。

2015年

10月

09日

当院のエホバの証人の患者さんに対する対応

エホバの証人の患者さんに対しては、医療機関によって対応が非常に異なります。
当院は徳田元理事長の理念<生命だけは平等だ>に基づいて、エホバの証人の患者さんについても断らない姿勢を貫いてきました。当科でも輸血が出来ないことは非常に問題となりますが、出来ないなら出来ないなりの医療をしようということで、再生不良性貧血の患者さん、白血病の患者さん、悪性リンパ腫の患者さんを受けています。
しかし、病院が大きくなると色々な部署が関わる手術などの場面、救急の場面で医師の意見が異なり問題となるケースが生じ、昨年度1年間かけて話し合いをしてきましたが、病院内で統一した見解で決めることが出来ませんでした。そこで我々は徳洲会全体としての指針を作成してほしいと声をあげ、最終的に今年その指針が出され、病院のホームページにもアップされました。基本的にはこれまでの対応と変わらず、患者さんは断らず輸血しない中で出来る最大限の治療を行う方針で診療していきます。詳しくは湘南鎌倉総合病院のホームページをご覧ください。

2015年

10月

08日

2人のノーベル賞受賞 おめでとうございます。

2015年ノーベル賞の発表が今週行われた。生理学・医学賞に大村智博士、物理学賞の東京大宇宙線研究所長の梶田隆章さん 2人の日本人が連日受賞となり明るい話題をもたらした。
かつてなかなかノーベル賞を日本人が取れなかったとき、理系離れだとか、日本の大学教育がどうとか、研究体制の不備など色々報道されていたが、今はマスコミも昨年に続き快挙ということでそのようなことを口にしない。お二人とも長い間の地道な研究が評価されているわけで、その時に評価されていない領域のものでもひたすら打ち込んできて成果を出されている。研究者をずっと続けている方は粘り強いと思う。
また、私はお二人の笑顔がとても美しいと思った。そして二人のそれぞれの言葉が心に残った。大村智博士の母親の言葉<人のためになることをしなさい>
をずっと心にとめて研究してきた、というお話し。梶田さんのお話しからは恩師との出会い、浜松ホトニクスという企業の協力に対する感謝の言葉、でも妻がポロリと家ではゴロゴロ寛いでいるただの人なんですけどね、といった言葉が印象的でした。お二人の受賞を心よりお祝い申し上げます。

2015年

10月

06日

制御性T細胞の研究

制御性T細胞(Treg)は異常な免疫応答を制御するリンパ球で、免疫が正常に維持できるような役割を担っている。これをコントロールすることでがんの治療や自己免疫の疾患に対する治療の応用が開発されつつある。この細胞の存在を突き止めた大阪大学特別教授の坂口志文先生が、ノーベル賞の前哨戦としてのガードナー賞を受賞された。その特集が医学雑誌にあり、ここに紹介する。
Tregは年齢によらず末梢血のCD4陽性T細胞の10%程度を占めている。これを下げることにより(ゼロにしてしまったら自己免疫が制御できなくなる)免疫反応を上げることが、がんや免疫病の治療に有効だろう言う考えのもと研究がすすめられている。例えば成人T細胞白血病(ATL)の抗体薬であるポテリジオはCCR4を標的としているが、CCR4はATLの細胞だけでなくTregにも発現している。そこで固形癌患者に投与してTregを減らしてその人の免疫反応をあげてがんが縮小するかという研究が開始されているという。ある種の免疫療法だ。またアレルギー反応もTregの減少が関係しているのではないかという説もあり、Tregを十分に増やして免疫を調節し、普通のいい免疫状態に再度確立することで治療できるのではないかということで、血液から採取したTregを試験管内で増やして患者に戻すという試みも行われているそうである。またがんワクチンとTregを減らす治療を組み合わせることで、一つでは十分な効果が期待できなくても相乗効果が期待できるかもしれない。本当の免疫療法が可能となるのか研究はすすんでいる。
 <Medical ASAHI 2015 Octより>

2015年

10月

03日

JCI再審査をうけました。

長い1週間が終了した。今週当院はJCIという国際的な病院評価を受けた。3年前の受審に続き、再審査だ。サーベイヤーは外国人が3人。1週間朝から晩まで病院内をみてスタッフに質問したり、カルテレビューしたりインタビューがあったり。その事前準備として膨大な資料作成が求められる。
また、再審査は初回よりもより高いレベルを求められる。病院全体に安全文化が広がっているだけではだめで、それに基づいて病院がどのようにデータを集め改善活動をしているか、その実績が求められる。それがとても高いハードルだ。一部の病院では再受験を諦めたときく。また情報収集したものをどのように統合するか、それを解釈してどのように幹部が対策をたて下部の組織におろし実行させ、さらにきちんと行えているかデータをとることが求められるのだ。これからのグローバルな病院がどのようなことを目指すのか、幹部はどのようなことに対して気を配り改善していくのかを、自ずと教えてくれている気がする。毎日朝8時から9時まで前日のレビューがサーベイヤーにより行われたが、本当に細かいところまでチェックしている。世界の名立たる病院を審査しているのだから、見るポイントだって慣れている訳であるが。

とにかくうちの職員は底力がある。事務職の人たちは本当に努力したと思う。初回審査に比べると審査のコツや資料の作成などに慣れてきたとはいえ、3年前の職員がそのまま残っているわけではなく初めての職員も多い中で、病院として1つのプロジェクトを進めた。最後のサーベイヤーの講評で、非常に気持ちの良い評価をいただいときには職員ともども熱いものがこみ上げてきた。3年前と比べても良い病院になっている、とお褒めの言葉をいただいた。職員もそのようなレベルの病院で働いていることに誇りを持つことが出来ると思う。

2015年

10月

02日

Multiple Myeloma Forum in Tokyoに参加

この日東京で藤本製薬㈱主催の講演会が開かれ、参加してきた。サリドマイドを販売している会社だ。
骨髄腫は様々な薬剤が出てきたことにより予後が著しく改善しているが、リウマチの薬剤と同じでその数があまりにも多くなってきていて、どのように使用するのか専門医でも悩むところである。それぞれの薬剤の特徴を把握して、やはり自分で使ってみないとわからないものである。
さて、この日は一つ目の講演として自治医科大学附属病院 血液科の古川教授によりサリドマイド、ポマリドマイド、レナリドマイドといった薬剤がどのように効果があるのか。また他にもベルケイド、メルファランという薬剤が骨髄腫ではコンビネーションで使用されるが、それら薬剤の相互作用、相性がどうなのかという実験レベルでの研究が話された。ベルケイドとメルファラン、ベルケイドとステロイドは非常に相性が良いが、ベルケイドとレナリドマイドは良くない。ベルケイドとエンドキサンも良くないそうだ。ただ、これらの結果は骨髄腫の増殖には間質の細胞が大きく関与していることから実験と臨床が一致しないこともある、と討論では意見が出された。また骨髄腫には初診時から複数のクローンが存在し、クローンによって薬剤感受性が違うことが示された。昔からあるMP療法が効くクローンが出現していることもあるのだ。というわけで、骨髄腫はこれからも色々な薬剤を組み合わせながら使って効かなくなったら別の薬剤、というように変えていくことで慢性的な共存していく疾患になっていくのは確実で、副作用を出来るだけ少なくしながら上手くコントロールするのが重要となってくる。最近の薬剤は末梢神経障害を起こすものが多く、それを上手く管理することが大切である。

2015年

9月

29日

タケダとの共同研究その2

当院の隣りには武田薬品工業㈱の立派な研究所がある。先日も書いたが当院との距離、立地を生かして患者さんに検体の提供をお願いしている。それを用いて研究所では白血病の骨髄からは動物モデルの作成、リンパ節標本からはiPSの研究が行われている。提供した側の我々は、その研究がどのように進められ有効活用されているのか報告していただき、勉強させていただいている。今年7月から実際に始まり、多くの患者さんに気持ちよく検体をご提供いただいた。これからも続けていき、臨床と研究をつなげる役割をしていきたい。

2015年

9月

27日

関東甲越免疫不全症研究会

遺伝子解析の手法に次世代ゲノムシークエンス法が用いられるようになってから、様々な疾患の原因遺伝子となるものが見つかっている。その進歩の速さといったら超加速度的である。それは小児の領域でも同じで、遺伝的疾患の多い小児疾患の病因遺伝子が見つかり、その遺伝子の役割が次々に解明されつつある。それらは成人の病気にも関係していることがある。
今日は原発性免疫不全症といわれる小児の遺伝的疾患の総括的な研究会で、ほとんどが小児の疾患のため小児科の先生が多かったが、内科の先生の参加も増えてきているという。企業の方から勧められて初めて参加してみた。
耳新しい話が多かったが、いつくか面白かったところを挙げてみる。
(1)遺伝性血管性浮腫:家族歴が多く10-20代で発症する抗ヒスタミン薬やステロイドが効かない蕁麻疹ようの皮疹や浮腫。C1 inhibitor欠損でおきる。C1-INH測定で診断。
(2)先天性補体C2欠損症:日本では少ない。易感染症やSLE様のような症状が出るという。
(3)慢性肉芽腫症:半分に炎症性腸疾患のような症状が出るという。それらが時に難治性であり移植を検討せざるをえないこともあるが、その前にサリドマイドを使用(われら骨髄腫の薬剤だ!)を使用するとコントロール出来、移植にスムースにはいることができるという。
(4)原発性免疫不全に対しての遺伝子治療は海外では進行していて、アデノシンデアミナーゼ欠損症、X連鎖重症複合免疫不全症、ウイスコットアルドリッヒ症候群、慢性肉芽腫症に対して行われているという。慢性肉芽腫症が最も難しいようであるが、それ以外は移植に遜色ない成績が出されているという。
(5)CTLA欠損症:CTLA4は制御性T細胞や活性化T細胞に発現している蛋白で、T細胞の活性化をコントロールしている。その遺伝子が変異しているとT細胞の機能がコントロール出来なくなり、低ガンマグロブリン血症、呼吸器感染、肉芽腫、リンパ球の臓器浸潤、下痢、脾腫、リンパ節腫脹、我々の領域でみられるような血小板減少症や自己免疫性の溶血などもみられるという。これらに対してはアバタセプトというリウマチで使われる薬剤を使用すると症状改善されるが、感染症の頻度がリウマチよりも高く、実臨床となるとまだ問題がありそうだ。

少し原発性免疫不全を勉強してみるとおもしろそうです。小児だけではなく成人まで生きているケースも多くなっており、低グロブリン血症の中にこれらの疾患が紛れ込んでいる可能性があります。

2015年

9月

27日

金木犀の香りときのこ

今週にはいり金木犀の香りがただよいはじめた。私が大好きな香りである。香りはその木の近くというよりも少し離れたところ、もしくは通りすぎたあたりから香りがする。朝おきて空気を吸うとその中にも香りが混じっている。あと4-5日でそれも終わりだろう。トイレの香りとは全く違う。逆にこの香りの香水がでたら・・・と思うがそれに近いものにはなかなか会うことができない。
また今年は雨が多かったためか、山にはもうきのこがにょきにょきと生えている。きのこ食べてOKですか?と患者さんにきかれたことがあるが、生でなんか食べないから全くOKと答えたが、キノコ狩りとなると話は別である。治療を終えたばかりの免疫が低下している人が胞子を吸い込んで感染をおこすことがある。これまでに感染することが知られているキノコは2種類で、スエヒロタケとヒトヨタケがあるらしい。スエヒロタケは枯れた桜の木の幹に生えている一般的なものだ。この胞子を吸い込んで肺に陰影がでたり肺炎になった症例があるという。そういえば症例報告でよんだことがあるのは、アメリカ人の話だが、悪性リンパ腫の自家移植後数か月でエジプトを訪問。ピラミッドの内部に入るツアーで、かびくさかったと。それから帰国してからまもなく発熱、呼吸困難がでて真菌による肺炎になったということだった。菌の名前は忘れたがヒストプラズマ症なのではないかと思う。洞窟にいるコウモリなどがもつ。我々は患者さんに退院後の生活について、かびくさいにおいがするようなところでの作業はやめてねというが、土の中やその環境には菌がいっぱい。注意するにこしたことはない。

2015年

9月

24日

AI(人口知能)の医療活用がすぐそこまで

9/24の日本経済新聞夕刊の一面に、”人工知能で病気予測”と題する記事がでていた。すでに実現可能なレベルとして2つの例があげられていた。
1つ目は日立製作所の健診データを用いた生活習慣病の危険性を予測するシステム。5年後に発症する確率と想定される利用費を見積もり、保健指導を介入すると医療費削減効果が高いことがわかったという。今後さらに検証をすすめ、販売につなげるという。
2つ目は慶応大学の、肺がんの早期発見を尿からするというもの。尿に含まれる物質の分析から9割の制度で肺がんをみつけ、5年後の実用化を目指すという。
さらにある医学雑誌によれば、東大医科研はゲノム医学研究を目的に日本IBMが運用しているワトソン君(学習型コンピューターシステム)を導入したそうだ。がん細胞の遺伝子を網羅的に解析しドライバー遺伝子を探し当て、そこに選択的に作用する薬剤を作るというのがハイスピードで行えるわけである。
というように、急にAIを用いた産業化の波が医療の領域にも押し寄せているということである。ますます今年のキーワード<人工知能AI>から目が離せない。

2015年

9月

22日

HCVと悪性リンパ腫の関連

患者さんからの質問がありました。C型肝炎と悪性リンパ腫は関連があるのでしょうか・・・?
一見関係がないように思われるかたも多いでしょうが、実は関係があります。
肝炎ウイルスには肝外病変というのがあります。中でもA型肝炎やB型肝炎に比べてC型肝炎は多いとされます。クリオグロブリン血症は慢性C型肝炎の40-60%あるとされ、神経障害や血管炎、紫斑などをきたしますし、自己免疫関連疾患の有病率も高くシェーグレン症候群との関連もいわれています。その他悪性リンパ腫の合併も多く、膜性増殖性糸球体腎炎、扁平苔癬、心筋障害、筋炎、間質性肺炎が指摘されています。これはHCV感染により様々なT細胞分化異常がおきること、またリンパ球刺激がおきることが関連しているとされます。さらにおもしろいことに糖尿病との関連も指摘されています。その機序としてはHCVの複製が細胞でのインスリンシグナルを阻害するためだそうです。なぜC型が多いのか?そこは不明です。

2015年

9月

22日

余った食材で作るおいしい食事

ミラノ万博が2015.5.1-10.31まで開催されている。そこであるプロジェクトが行われている。万博で捨てられた食材を使って、世界一流のシェフたちがボランテイアで料理をし、ミラノの貧しい人や子供たちに無料で提供する食堂が話題になっているという。おいしそうだな~。貧困層の問題は先進国でも決してまれではない。移民などの問題もここのところ欧州では大きな話題になっている。イタリアにも北アフリカから多くの移民が船で渡ってくる。こどもたちの貧困は健康とともに精神衛生的な破たんもきたすという。先人になってからの病気とも関係する。万博が一部の人だけを幸せにするのではなく市民の一般の人、貧しい人にも幸せをもたらすプロジェクト。小さいことながらいいなーと思った。

食品ロスの多さは日本でも同じ。しかも物価はあがっていて食費は明らかにあがっている。日本にも母子家庭などでは健康的な食事が食べられていない子供たちもいる。日本でもこれからいろんなイベントがオリンピックに向けて行われるであろうが、それにあわせて日本でもこのようなプロジェクトが行われ、景気回復といわれている恩恵を皆に、おいしい食事を子供たちに味わわせてあげられないだろうか。和食は無形世界遺産だ。しかしきれいな和食だけではなく本来の家庭で食べる和食も和食。料理の専門家だったら残りものでもおいしい一品なんてお手のものでしょう。有名なシェフ、料理人の方々、ぜひ日本でもやってみてはもらえませんか。


2015年

9月

18日

RUNX1変異と造血器腫瘍

RUNX1は21番染色体の上にある転写因子でAML1とも呼ばれます。DNAに結合して転写の調節をして、骨髄系やリンパ系の分化に関係しています。

AMLM2の染色体異常として有名なt(8;21)で生じるタンパク質AML-ETO(AML1-MTG8)にRUNX1は関係していて、CBFβと複合体を形成して機能不全をおこし造血の分化障害をおこすることで白血病に至ると考えられています。
この研究は東大を中心に行われており、その研究をすすめている。獨協大学の市川幹先生が横浜で講演をされ、聞いてきました。市川先生は昨年まで茅ケ崎の湘南東部総合病院で血液内科をされていました。
一番面白かった点は、RUNX1はMgKの成熟に必須であり、現在国内で症例を集積されている家族性血小板異常症の中にこの異常が認められているそうです。小児期より持続的に血小板減少症があり、30-40歳で急性骨髄性白血病を高率に起こしてきうるそうです。これらには血小板減少症や汎血球減少症の家族歴があるようで、これまで26家系がみつかっています。それまでの診断はITPやMDSとされてきているようです。
あまり血液疾患の家族歴を考慮して細かく聞いてきたことはありませんでしたが、もう少し深く探ると小児期よりも血小板減少症の中にこのような遺伝性家族性の遺伝子異常からくる造血器障害、造血器腫瘍が紛れていると思われます。どうしても病歴の中で家族歴は軽視されがちですが、これからは重きをおいて問診してみようと思います。

2015年

9月

14日

勝俣先生の珠玉の言葉

今週の週刊医学界新聞(医学書院のホームページからも見られます)の一面に、腫瘍内科の勝俣範之先生のインタビューが掲載されていました。勝俣先生は茅ケ崎徳洲会病院での研修後に国立がんセンターに行かれ、今は腫瘍内科教授として活躍されている我々の先輩です。当院にも以前からよく教育に来て下さり、また今も週1回外来診療をしてくださっています。その医学界新聞の中で勝俣先生が語っていた、とても良い文章がありここにご紹介したいと思います。

<腫瘍内科医とはがんという病気だけをみるのではなく、全身をマネジメントする総合内科のサブスペシャリテイの一つである。>つまり、がん患者さんの全身を診れる内科医であれというわけです。腫瘍内科の修行をするにはまず総合内科的な実践を積んでからの方が良いといつも勝俣先生は若者にアドバイスされています。
またこんなことも書いておられます。臨床試験などに基ずくデータをエビデンスといいますが、それらも重要だけれどもそれだけで臨床は出来ないと述べ、<忘れてほしくないのがPatient Value。患者の価値観、すなわち患者さんを大切に思う心だ>という。<エビデンスを知らなかったらoncologistとしてやっていけない。患者さんに優しくなかったらoncologistになる資格がない。>何かをもじっているそうですが、もじらなくてもそれだけでいいセンテンスです。そして患者との関わりついて<その人の人生に対してともに考え、悩み、支えていく医師であることが重要である>。
珠玉の言葉が並びますが、それをどうやって教えていくのか。我々上級医がそのような姿をみせていくことも教育として大切ですし、また個々の医者が診療しながら獲得しなくてはならないものでしょう。William Oslerの言葉も最後に紹介されています。<我々は患者と共に学びをはじめ、患者と共に学びを続け、患者を共に学びを終える。>
その通りであります。

2015年

9月

13日

来年度初期研修医 試験面接

本日は来年度の初期研修医の試験面接官を担当させてもらいました。もう10年以上やっています。年々当院の評判も上がり、昔は「体力には自信があります!」と入ってきた人が多かったのですが、最近の受験者は経歴もすばらしく、優秀な人が多くなったと感じます。自分などは受けても受からないのではないか、といつも思います。ですから、面接ではチーム医療を行うために危険だと思われる人をみつける以外では、なかなか差をつけるのは難しい状態です。他の企業では面接の中でグループワークをさせて、チームの中での働きや発言を評価して採用試験に取り入れているといいますが、なかなか評価する側としては難しいところです。やる気のある学生さんが集まることで当院の活力が出てきていることは間違いなく、我々も元気をもらい、また学ぶ努力をする動機付けになっています。どんな方が入ってくるか、また楽しみであります。

2015年

9月

12日

緩和ケア研修会 in 湘南鎌倉総合病院

当院では緩和ケア研修会を年2回のペースで開催しています。これはオープンな研修会で外部の医師、看護師、薬剤師、リハビリなど様々な医療職種のかたが参加出来ます。というのも、厚生労働省のがん対策指針では緩和ケアを重点的に改善していく目標とされているからです。その中ですべての職種の人が緩和ケアを理解し、がんになって末期になってから緩和ケアをするのではなく、がんと診断されたときから始まるあらゆる苦痛(痛みだけではなく心の問題、経済的な問題、治療の不安や副作用)に最初から対処するように、それが”緩和ケア”であると強調されています。またそれが切れ目なく行われること、患者さんの苦痛に<気付きましょう!>というのが、最近改定された研修内容では強調されていると思います。ワークショップなども一緒に行い、考えながら行う研修会です。興味のある方はまた半年後位の開催に合わせてお問い合わせください。

2015年

9月

11日

QI大会

当病院は今月9月末から1週間JCIという国際的な病院評価の再審査を受けることになっています。このJCI認定というのを持つことで病院としてのステータスが上がることもありますが、海外の方々が患者さんとして来院されることが多くなったのは事実で、化学療法を受ける患者さんの中にも当たり前のように外国人の方がいるようになりました。
さて、この再審査は初回審査の3年後に行われますが、初回との違いはQI(quality indicator)といって病院の中で問題点を取り上げ、そのデータを取り改善につなげる、その活動の評価が細かくされます。病院で1つや2つというのではなく、病院全体で5つの指標がありますし、また各部署においても評価する目標を設定しなくてはならないことになっています。当科は入院患者における中心静脈カテーテル関連の感染、CD関連下痢症の発生率の2つのテーマを取り上げデータを出しています。これらを本審査前に病院全体で発表しなくてはならないというので、品質改善大会が9/11に開催されました。3年前に比べると格段と質が上がっていて、医療の中でもデータを取りながら”医療の質”を改善していくことは可能なのだ、というのを教えられます。

2015年

9月

11日

災害から思うこと 自分の身を守る動物的勘

今年は8月末から雨続きで局所的な大雨も多く、この日ようやく病室から富士山がきれいに見渡せた。
先週休暇で訪ねていた伊勢や鳥羽、浜松までもが台風被害で大雨、冠水だったと思ったら北関東では鬼怒川の決壊という大災害がおきた。その映像は、この現代でもこんなことが起きるのか・・と驚かされたものであった。日本の堤防は土で出来ていることが多く、水が乗り越えると堤防を削り、脆くなって決壊するのだという。それにしてもあれだけの濁流が突然住宅街を襲ってきた状況で、亡くなられた方の人数はもっと多くてもおかしくない災害だと思われた。皆2階や屋根に逃げたり、電柱につかまって救助を待ったり。流されても救助され生き延びるという、生きるための動物的本能により、必死で行動されたであろう姿が映像で流された。他人事ではない。最近の雨の降り方をみると鎌倉でも崖や谷戸と呼ばれる急な斜面も多く、崖崩れも心配だ。昨年は病院前も大雨後冠水した。行政の警報発令がなかったなど、他人のせいに出来るものではない。雨の降り方は以前とは違ってきている。災害は予測される事態で起きるとは限らない。自分の身を守る動物的な勘、本能をいかに身につけておくのか。人間が問われているような気がする。

2015年

9月

10日

好酸球増多症の病理検討会

当院に病理の常勤の先生がおみえになられてから、CPCといわれる臨床病理検討会がしっかり毎月行われかつ質も改善し非常に勉強になっています。他院に比べて上級医の参加が少ないのが難点ですが、私はできるだけ参加するように努めています。
この日行われたのは3年前に好酸球性肺炎の既往があり安定されていたかたが、1か月ほどで急激に好酸球が増加し脳梗塞をおこし、その後治療する間もなく急変されくも膜下出血でなくなられた症例でした。好酸球が末梢血で60%にもなるのは好酸球性血管炎性肉芽腫症(EGPA)かHES,慢性好酸球性白血病であることが多いと思うのですが、この症例のように急性の経過をたどるのはいずれもまれであり解剖がなされました。最終的には病理学的に血管炎の所見がみられEGPAに最も近い像であるとの診断でした。多くの臓器に病変がありました。この病名かつてはチャーグストラウス症候群といっていた疾患ですが今はそのように呼ばないのだとか。数年前に改定されたようで、それすら知らなかったことにショックをうけた私でした。やはり内科系であっても知識をアップデートするのに手が抜けない時代です。

2015年

9月

05日

奇跡のレッスン サッカー編

以前NHK BSで放映された「奇跡のレッスン」テニス編のことを書きましたが、今回はたまたまテレビをつけたところ放映していた「奇跡のレッスン サッカー編」からです。この日の内容は世界各国でフットサルのプロ選手を指導し、2009年から日本代表監督をされているスペイン人のミゲル・ロドリゲスさんが都内の少年サッカーチームを指導している様子が紹介されました。テニスの時もそうでしたが優秀な指導者から出てくる言葉はスポーツだけではなく、あやゆることに応用出来る魔法のようなもの。研修医への教育や、患者さんへの指導にも応用がききそうに思いました。

まずロドリゲスさんの指導は1.出る杭を伸ばす。その頭角を現した1人のレベルを落とさず(出る杭を抑えず)一緒に皆のレベルを上げる。一人の成果がチームの成果につながり、それを理解できればチームはますます強くなる。2.褒める時は言葉を使い体を使い、皆の前で褒めちぎる。しかし同時に、自分のとった判断に対して責任を負わせる。褒めることと責任を負わせる、そのバランスが大切だ、といいます。自ら決断させる環境が本人を伸ばすのだが、褒めと責任のバランスとは芸術みたいなものだと。これはテニス編でもコーチが同じことを言っていました。つまり子供であっても<自ら決断するという意識と、それによって出た結果を自ら負うという意識をもたせること>を教えていました。これは我々医師の教育にも求められることだと思います。このシリーズ不定期なのですが、ぜひシリーズ化してもらいたいものだと期待しています。

2015年

9月

02日

神聖な場所で心鎮める

一度は参拝してみたいと思っていた伊勢神宮。20年に一度の遷宮の時は行くことが出来ませんでしたが、このたび時間をとることができ参拝してまいりました。外国人が多く旅行をする時代になっていて、彼らのほうが日本を知っている。日本人なのに日本の歴史や遺産を知らないことを恥ずかしく思います。改めて宗教としての神ではなく歴史としての神、神社を学ぼうと思いました。

伊勢神宮では朝早く5時からお参りが出来ます。人が少ない時間帯に森の中に佇んで、他人を気にせず神の前で手をあわせると心が安らぎます。どこからともなく樹木の匂い、社の檜の匂いが香ってきて心が落ち着きます。ここの地に立つことが出来ていること、健康に仕事が出来て生活出来ていることへの感謝の気持ちが自然に出てきました。感動する風景に出合ったりすると、自然に涙が出てくることはないですか。この日は自然にそんな涙が湧いてきました。足が良くないと歩くのには少々距離がありますが、治療を終えて元気になられた方や悩みが解決しない方、神社を訪れ静かに手を合わせてみてはいかがでしょうか。

2015年

9月

01日

本当に幸福な人

あるパンフレットがポストに入っていて一枚めくると目にとびこんできた言葉が次の言葉です。

真に幸福な人は一日中自分のことなどはまったく考えていません。夜、ねるころになってふと気が付くと今日は自分のことを考えなかったな。私はという主語で一度も考えなかったと思う人はかなり幸福な人です。その反対に一日中自分のことを考えている人は不幸な人です。

人に与えることで自分が幸せになれることを知っている人は多くを与えることができます。かつそれを職業とすることができる我々の仕事は、幸福感がえやすい仕事であるといえます。逆にいじわるな人、独占欲の強い人はそのような幸福感を味わってくることができなかった人なのかもしれません。

2015年

8月

30日

がんリハビリ研修会 in 千葉

今、がん患者さんは治療を受けながらでも、またがんが残存していてもがんと共存していく生きていく期間が長くなっている。副作用をうまくコントロールしながら、普段の生活をいかに維持していくかが大切になっている。また高齢者の治療も積極的にされるようになってきて、ひとたび臥床がちになったら元の生活に戻るのがなかなか大変だ。
そこで”リハビリ”という概念が重視されてきた。国は2014年4月にがん患者に対するリハビリに対して点数を設け1単位205点、1日6単位まで算定出来ることとなった。その施設基準を満たす条件として細かい要件がある。厚生局に届け出た医療機関で実施されること、癌に対して十分配慮した機能訓練などが出来ること、常勤医師が1名以上、常勤理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が2名以上いること等の人員の条件もあり、またそれらの職種がチームとなって関係団体が主催する研修会(14時間程度のもの)に参加する、という条件も付けられている。
このがんリハビリに相当するのは手術を受ける外科系の患者さんだけではなく、当科で扱う白血病やリンパ腫といった血液系の腫瘍の患者さん、またそれらの終末期を迎える患者さんも含まれる。血液内科の病棟では以前からリハビリは入院と同時に積極的に入れているが、これからはそれが算定出来ることもあり担当病棟の医師である私はこの長時間研修会に6人で参加してきた。
リハビリテーション科の人達とは病棟のカンファレンスで患者さんについて話すことはあっても長時間議論することはなかったので、チーム内で議論を深めるセッションがあった際、色々な考えがきけて楽しかった。飲み会だけではなくて、こういう多職種の研修会も良いチームを作るうえでは大切なことだと感じた。

さて、がんのリハビリは通常の人と区別して考えなくてはならないのか?他の患者さんと同じではないか・・・と考えてしまうが、確かに整形外科術後や脳卒中後のリハビリというのとは位置付けが異なるらしい。まず患者さんの状態が刻々と変わること、決してリハビリをやっていって良い方向、つまり回復する方向にすべての人が向かっていくわけではないこと(末期の患者さんなど)、精神的な落ち込みなどの面、リハビリだけではなく他の化学療法や放射線治療などを受け、その副作用もある中でのリハビリ(体調の悪さや受容の問題)・・・ということで難しいのだと。多職種での関わり、患者さんの状態の情報共有、精神的な面のフォロー、その技術がより求められるのだという。病棟での精神的な面のフォローは今でもリハビリの方達にかなり負担していただいている。前々から行ってきたリハビリテーション科の人達も含めての病棟多職種カンファレンスを、もう少し深いものにしていくヒントが得られた。

2015年

8月

28日

湘南藤沢からの研修 清水先生お疲れ様

清水実先生(中央)を囲んで
清水実先生(中央)を囲んで

藤沢市の辻堂駅の前に湘南藤沢徳洲会病院があり、そこから2か月間当科に研修にきてくれた清水先生が今月で研修を終える。湘南藤沢徳洲会病院はもと茅ケ崎市にあった茅ケ崎徳洲会病院が前身で、私が一番最初に勤めはじめたところである。事情があり私はこちらの人間になったが、どうも他人と思えず心配してしまうし、懐かしい病院である。当院に比べると研修医もスタッフも少ない中で頑張っているのだが、<俺たちが病院を支えているんだ>という意識の強さ、スタッフがいなくてもなんとかしようという姿勢、患者さんに対する態度などの厳しさが昔の徳洲会ismを受けついでいて、とても頼もしく感じた。吸収するのに貪欲であり、スメアなどはとにかくたくさん一緒にみた。
少しでもこのように交流が出来て当院の良い点を持ち帰ってもらい、また当院の人たちも刺激を受けて相互に伸ばしあうことが出来れば、また良い人が集まってくるサイクルが出来ると思います。「また短期間で来てくれないかなー」とラブコールを送ることとします。

2015年

8月

28日

病棟納涼会

久しぶりの病棟のノミュニケーションの会であった。今年は納涼会と名をうって計画されたはずなのに、今週から一気に秋のような空気となり、肌寒い日であった。

知った人ばかりなのにこういう席はどうも苦手なのだ。うまく席を変えて色々な人と話を出来る才能のある人をとても羨ましく思う。研修医の中にも病棟にいる時とはまるで違う姿になったり、はっとする色気のある人に早変わりしている看護師さんなど、人間観察の面では面白いのだが・・・。


2015年

8月

27日

医療事故調査制度の最新講座に参加しました。

今年10月1日から医療法の改正に伴い、医療事故調査制度が始まります。制度の要点は医療行為に起因して予測されない死亡がおきた場合、院内事故調査委員会を開いて原因調査、ならびに対策をたてることが法律で義務化されます。そしてそれを遅滞なく医療事故調査支援センターに報告するというわけです。この制度の目的は個人の責任追究ではなく、あくまでも医療安全の促進ということなのですが、どのような症例をどのように取り上げ院内調査を行っていくのか、医療安全を扱う部門の人たちはとても不安に思っています。10月からもう始まるとあって様々な場所で講演会が開催されるようになっているのですが、6-7月まであまり決まっていなかったことが8月になって急に色々決まり始めたということもあり、8月以降の講演会はどこも満杯。今日は日本病院会などが主催する講習会が仙台であり、許可が出たので参加してきました。
 今日の話をきくと、今年4月のころに比べると具体的な点がかなり出てきています。医療に起因するとは?? ここには食事介助での誤嚥、リハビリ中の転倒、風呂にいれていて転倒などの療養介助でも<医療に起因する>と考えられるようです。ただ高齢者は複数の問題をもっている人も多いだけに簡単ではないと考えられ、それが医療事故かどうかについては<組織で判断しなさい>ということを強調していました。そのために支援センターに意見を求めたりしてどのように判断するに至ったかを記録に残すのがよく、また中立性を保つように調査委員会を開くのであれば外部の人をいれるのが望ましいということでした。この制度は半年くらいしてから再度見直しが行われるということで、現場の動きをみてもう少し細かい点がつめられるのだと思います。

2015年

8月

25日

疲れたアメリカの医師は日本の医師の将来の姿?

今アメリカの医師は、特に専門家ではなく総合診療的、救急外来などの医師は疲れ果てているという。生まれ変わったら医師を目指さないという人は30-40%にも及び、子供には医師を薦めないと言ってているのはもっと多いという。医師はどこの国でも憧れの職業のトップに並ぶはずなのに・・・。堤果歩氏の書いた本を先日紹介したが、そこで書かれていることは決して強調されすぎているのではないことがわかる。WALL STREET JOURNALに載った医師Sandeep氏のエッセー。医師は以前よりも倍以上の患者を診ているうえ、支払いのための文書関係の仕事が膨大になって時間を取られている。それで給料は増えない、むしろ減っている。患者には尊敬されなくなり、常に訴訟にも怯えなくてはならない。医師の良心で人を診るということが出来なくなっているといい、早く辞めたい・引退したいという医師も多いという。
常にアメリカの医療を追従している日本。10年遅れてというが、日本もこうなっていってしまうのか・・・。その中で医師は今、何をしなくてはならないか・・・・。大量の患者を診察するのではなく、ビジネス的になり薄れてしまった患者との人間的な関係を取り戻さなくてはならない。私はこれが現代社会の医師のストレスに対処するカギだと思う。・・・医師にとって最も重要なのは人間的な時間だ。医療は人々が弱っている時に人々の世話をすることだ。こうした人間的な時間があるからこそ、弁護士や銀行家が我々を羨むのだ。結局こうした気持ちを抱けるようにすることこそが、医師という職業を救う最も有効な方法だ・・・と書いている。
 これは私たちがまだ良心で患者さんを診察することが出来、処方することが出来る。当たり前の職業としての満足感、幸福感を忘れてはならないのだと警告してくれているのかもしれない。ただ今の医療費の高騰をみると、その日は思ったより早く訪れるかもしれない。

 

2015年

8月

25日

初期研修医チューター制度

当院の初期研修制度にはチューター制度というのがあります。初期研修医1年目と2年目、それと指導医で少人数のグループが作られます。年に2回、そのグループで食事をしながら今の研修制度における不安や不満を聞き、2年目の先生からはアドバイス、そして私のような大御所から昔の話などをしましょうというものです。指導医は簡単な報告を研修委員会にしなくてはなりませんが、若い人たちの希望に満ちた話を聞くのは楽しいものです。研修に100%満足であっては進歩がありませんが、確かに以前より不満は減っています。当直であっても指導医が一緒に診察してくれる、そういう指導医が手間暇かけてくれることを研修医は覚えていて感謝しています。また、そう思った人はそのまた次につなげてくれることでしょう。今年は初期研修医の人たちが血液内科もまわってくれることになっています。私もまた時間を作って教えなくてはなりませんね。それにしても年々研修医との差が開いていっているな~、と最近とみに身にしみて感じます。

2015年

8月

23日

LGBTってご存じですか?

LGBTという略語の意味をご存じでしょうか。L:レズビアンG:ゲイ B:バイセクシャル T:トランスジェンダー(生まれたときに割り当てられた性別にとらわれない性別のありかたを持つ人)をいうのだそうだ。私は初めてきいた言葉であった。8月24日号の日経ビジネスで特集が組まれていたのである。海外ではLGBTが最新の経営テーマになっていて、大きな企業の経営者でカミングアウトしている人も多い。欧米では同性婚合法化の動きが進む。日本でも人口の7.6%と推定されているのだという(13人に1人だ!)。企業でも先進的なところはLGBTの人を採用し、その人だからこそ生み出せるサービスを提供しようとしていたり、宿泊客にLGBT対応していることをアピールし、サービスにつなげる試みを始めているところがあると紹介されていた。それなら病院も同じではないか、とふと考えた。まず職員の中にも13人に1人はいるのだと考えていい。我々医師の中にも。私たち内科の研修では、問診の時に性的趣向を尋ねるのが必要なことが多々ある。そのように教育をうける。しかし、それについて発表するときの発表者の話し方や雰囲気がどうも嫌だなと思うことがあった。研修医の中にも感じている人がいるかもしれない。教育に携わるものはそこまで配慮していかなくてはならないのだ、と感じた。また、ホテルがLGBTのサービスを考えるというのであれば、同じサービス業である病院も同様のことが出来るのでは?と気づいたのである。それらのかたが受診しやすい環境を作るのは、海外の患者さんを受け入れる、イスラムのかたを受け入れるというよりも、もっと新しい先進的な試みかもしれない。

2015年

8月

14日

今週も後期研修医勧誘会

今週も後期研修医の先生の勧誘会にでかけた。毎週食事してばかりなんて思っている人も多いだろう。その通り。しかし人が入ってくれなければその科は発展しない。一人ではどんなにがんばっても限界があるのがわかっている私としては、たとえ自分の科に来るのではなくても内科に入ってもらい、その中で血液内科ローテーション中に十分教え、魅力を伝える。それが部長としての仕事である。現時点ではその方法でコツコツと人を増やしていくしかない。ただあれもできます、これもできますという技術系ではないわが科としては、今後どのように魅力を伝えていくのがいいのか最近悩んでいる。短期間でも研修にきてもらい、逆に当院のおもしろいカンファレンスにも参加しつつ研修もしてもらう。当院に初期研修でこれなかった人にも当院の魅力を味わってもらう。外にはなくて当科にあるものとは・・・現在ブレインストーミング中である。

2015年

8月

14日

胃MALTOMAとピロリ

胃マルトーマ(マルトリンパ腫)はHelicobacter pyloriの感染頻度は50-100%と報告されており、まずピロリ除菌を行うことがガイドラインにも示されている。
ヘリコバクター菌種には
Helicobacter pylori以外のものもありNon-Helicobacter pylori Helicobacters(NHPH)と呼ばれている。これらも慢性胃炎や胃がん、マルトリンパ腫の原因になっていることが報告されていて、日本ヘリコバクター学会で今年6月発表されたところによると、ヘリコバクター陰性の日本人胃疾患の半数にNHPHが陽性であった、つまりこれまでの予想よりも多いのだとか。症例数がまだ少ないので断定はまだできないようだが、我々の血液内科の扱う胃マルトーマでHelicobacter pyloriが陰性であっても除菌はやってみることも意味があるのかもしれない。

2015年

8月

12日

他人の言葉で不幸になるなんてやめよう

相手はいやみで言っているのではないのに自分でいやみにとってしまう人。鈍感も困るが敏感も困る。行間を読む、先を予測する力は、時には仕事に有利に働くことがありますが、過剰すぎると自分が不幸になります。妄想にまで発展してしまうこともあるでしょう。

他人は自分の一面しかみえていませんし、また感情もうつろいます。昨日の感情と今日の感情はもう変わっていきます。小さな出来事でまったく別の感情に様変わりすることもあります。
他人の言葉でいちいち不幸になっていては次の仕事に、患者さんでいえば次の治療に差しつかえます。よいパフォーマンス、結果を出すためにも、一晩ねて翌朝忘れる。それが一番です。私の得意技。すぐに忘れる!(これは復讐にならないからよくないこともある。)

今日患者さんにアドバイスした言葉でした。




2015年

8月

10日

幸福を感じる能力を伸ばすには

昔ある患者さんからいただいた手紙に書いてあった言葉です。同じことが書かれていた本を見て思い出しました。

その患者さんには次から次へと治療関連の合併症が重なり、担当医としてもつらいなというところでした。でも患者さんは乗り切って今も元気です。
そのかたの手紙には<幸福を感じる能力を伸ばす方法をみつけました。>とありました。それは不幸になることですと。不幸の中でも愚痴をいわず誰かをうらまず感謝し乗り切ろうとすることで、知らずと得ているものがある。それが幸福を感じる能力だと。いい言葉であり重たい言葉です。
患者さんをみていると私だったらもう負けているような場面でもよく耐えているなと思うことが多々ありますが、そんなつらい時にも他人を気遣うことができたり感謝を述べている姿をみると、たとえ学歴などなくても美しい人だと思います。私などはその立場になったら泣いて自分の不幸をののしるレベルにしか達していないに違いありません。突然そのようなときとは襲ってくるもの。病気したら誰にみてもらおう・・・。最近思うことです。

2015年

8月

09日

来年度の後期研修プログラム参加 メンバーを集める!

8月2日、東京にて湘南鎌倉後期研修プログラムの紹介をしたのを皮切りに、2年目の先生達に来年内科に入ってもらうよう勧誘する活動が開始された。いつも内科は出だしが遅かったので、今年は精力的に今月から行われる予定。血液内科単独で勧誘しても、まだ2年目で<血液内科やる!>と決断できる人は多くない。
また血液内科は腫瘍を多く扱うこと、長期にわたるフォローが必要なことから総合的な内科の力をより求められる領域である。
そのため少なくとも2-3年は全体的な内科をまわったほうがよいと考えている。よって私としてはまず内科に入ってもらい、ローションで血液内科に回ってきてくれた人の中から関心をもってくれる人を集めたいと思っている。日本の水泳界やフィギュアスケートが強いのも層が厚いからであって、レベルアップするためにも毎年数人でもいいから着実に入ってもらうことが大切である。
昔に比べると、総合内科に対する関心が若い人で増えているように思われる(まぁそのような思考をもった人が当院に集まっているともいえる)。学会としても専門を選ぶ前にまず総合内科的な研修をするように仕向けており、世の中の流れからして当院に有利であるといえる。こういう時期に着実なシステム化を行うことが必要であり、当院には先見の目があってプログラムはかなり出来上がっている。ただ、油断しているとすぐ人は来なくなる。毎年毎年勧誘のためにエネルギーを割く人が必要なのである。

2015年

8月

08日

第34回 湘南鎌倉血液患者の会 開催

8月8日、第34回血液患者の会を院内で開催しました。2000年から始めたので15年間続けてきた息の長い患者の会で、現在は年に2回開催しています。主に造血器腫瘍(白血病、リンパ腫、骨髄腫、骨髄異形成症候群)の方々にお声掛けをし、多くの患者さんがご家族とともに参加して下さるので120名程度が出席されます。この会を始めたきっかけは<患者の本当の気持ちは患者でないとわからない>といったところからです。患者さん2-3名ほどお話をしていただくのですが、人間というのは<自分だけではない。皆も同じだ。>と思うだけで安心出来ます。元気になった人の生の声は、やはり病闘中の人にとってはとても励みになるようです。
第2部では今年韓国で流行り、ようやく終息宣言が出たMERSの話を院内の感染対策室室長であるの佐藤守彦先生にお願いし、私が骨髄腫の話をして盛り沢山でした。また、今回は体験談を話してくださった方達が音楽に関係していたこともあり、最後は<夏の思い出>という歌を歌って締めくくりました。かつてウクレレを弾いてくださる方とともに歌を歌っで会を終えたことがありましたが、今回もとても良かった!大成功でした。また話してくださった方々、準備してくださった秘書の村松さん、どうもありがとうございました。また1回1回と、続けられる限り会を重ねていこうと思います。

2015年

8月

07日

隣りの武田薬品の研究所と共同研究

当院の隣に武田薬品工業㈱の研究所があります。日本随一の研究所です。今年4月、武田と京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥先生のグループが共同研究、ならびに武田側が10年間で200億円の資金提供を行うことが発表され、すでに研究者の方達がこちらに移ってきているようです。我々血液内科もせっかく武田の研究所がこんなに近くにあるのだから、何か共同研究は出来ないだろうかということで、新しい骨髄液もしくはリンパ腫疑いの人のリンパ節生検での検体を出来るだけフレッシュな状態で提供し、動物モデルを作成してもらうことになりました(急性白血病の動物モデルは作成が難しいそう)。そしてリンパ腫に関しては患者のT細胞をiPS化して若返らせてから投与することで、動物モデルのリンパ腫が縮小するかどうかの研究を次に行います。当院としては検体の提供ですが、まさしく15分以内に検体のやりとりが出来ること、凍結せずにそれだけフレッシュな状態で提供することにより良い結果が生まれるかどうか。7月より始まったばかりですが、すでにリンパ節の検体、骨髄液の提供をそれぞれ1名ずつ患者さんに承諾をいただきました。当院には利益はありませんが利益供与なくても協力しあい、日本から良い成果が発表させることを期待したいと思います。

2015年

8月

04日

人生は能力ではなく気力と思いで決まる

人生は能力ではなく気力で決まる。
<人間の分際>(幻冬舎)という本の中で曽野綾子氏が書いている。

当院の研修医をみていると、昔に比べて本当に頭の良い優秀な人が来てくれている。東大や京大を卒業してきた人の頭の回転をみて、やはりものの考え方にもランクの差があるな、と思うこともしばしばだ。ただ確かに能力だけでは決まらない。そこに掛け算するかのように、やる気力がないと伸びていかない。また、その気力が時間軸で維持できるかどうかも最終的な結果に関わってくる。
物事が出来なかった時に、本当にそれを成し遂げたいと強く思ったか?そのような気力があったか?実際にはその思いは大したことがなかったことのほうが多い(念じたってどうにもできないことはあるが)。

ジェームス・アレン曰く<心の中の思いが私たちを作っている。>
凡人であればそれを成し遂げたいという強い思いを持ち、それを正しい方法で維持し続けることで成し遂げられる。
自分も若者に負けないようにと気力だけは維持するようにしている。この暑さで少し出勤する時間を遅くしようか、と誘惑に負けそうになるが、「朝の回診、先生が来てくれるのを楽しみにしています」と言ってくれる患者さんがいると元気の源となり、また頑張れるのであります。

2015年

8月

02日

TPP交渉 合意見送り

堤未果さんはジャーナリスト。現在のアメリカや日本政府がどのように庶民をだまして情報操作し、政策が権力のある者の良いようにねじ曲げられていくのか綿密な取材をし、とても鋭いタッチで書き表しています。これまでの作品は全て読んできました。今回の作品はアメリカにおけるオバマケアの内情や、日本とのTPP交渉の内容とも関係することが書かれています。政府がどのように国民をだますのか、我々も他人ごととは言っていられないような気がしてきます。無知は一番の敵。物事を複雑にして納得させるやり方は、なんだか今の国会で繰り広げられている安保関連法案のことと似ている気がします。
先日のTPP交渉は、医療分野での知的財産権を何年にするのかというところで最終合意が得られなかったと報道されました。たしかに開発にはお金がかかりますが、最近の薬剤費の異常なほどの高騰はアメリカでは薬剤費を企業が決めることが出来ることと関連があります。そしてそれが知的財産権という名のもとに長期間守られたら、我々は高い薬剤費をアメリカに本社がある企業に払い続けなくてはならず、国民皆保険も持たないであろうことは容易に想像されます。TPPの抜け穴が怖い・・・。そんな気がしていて、国民はしっかり実情を知らされるべきだと思います。


2015年

8月

02日

ホジキンリンパ腫の勉強会 in 東京

ホジキンリンパ腫は非ホジキンリンパ腫と比べると少なく、使用される薬剤もそれほど開発が進んでいないので勉強会も少ない。そんな微小管阻害薬結合CD30抗体 商品名”アドセトリス”による臨床試験の成績などを勉強する機会があり、東京に出掛けてきました。
ホジキンリンパ腫はもう15年以上前からABVd療法が初回治療として使用されていて、ステージが限局期(Ⅰ,Ⅱ)であれば80-90%の寛解率であるし、進行期(III,IV)でも60%以上の寛解率であり治りやすいというイメージがある。しかし再発した場合には話が異なる。年齢が若ければ化学療法を再度行ったあとに自家移植が行われる。しかし自家移植をしても再発することがしばしばみられ、日本のデータでも40%に上るという。再発時にB症状といわれる発熱、体重減少、寝汗などがあること。初発治療から1年以内の再発、節外性病変が再発時にあると治療効果が良くない。これに対して自家移植後にアドセトリスを投与したらどうなるか、という臨床試験の結果が紹介された。
移植後約1年間にわたり投与されると無病生存期間(再発しないで生きていられる期間)は延長がみられたが、全体の生存期間には差がみられなかったこと。結論として絶対投与をしたほうが良いというわけではないけれども、再発しないで生きていられる期間が長く、さらに副作用としても末梢神経障害、好中球減少なのであれば投与してもいいのではないか、というのが講演をして下さった先生の意見でもあった。知識をアップデート出来た、良い勉強会でした。

2015年

8月

02日

湘南鎌倉総合病院内科後期研修センター説明会 in TOKYO

今年も来年度の後期研修医の先生の勧誘イベントが始まった。これまでは院内で説明会をしてきたのだが、今年は東京のホテルを借りて行うこととなった。新幹線や羽田などを利用してくるのに便利なように、大崎のホテルで行われた。第一部はアメリカでホスピタリストと活躍され、今は新潟の病院で勤務されている石山貴章先生と、当院のブランチ先生との症例思考を披露する対談。これは臨床的な鑑別をどのようにするか、診断推論を得意とする二人の思考過程が十分堪能でき、良い本を読ませてもらっているような感じであった。第2部では内科各専門科が話をしたのだが私は最後。みんな疲れがみえたきていたので血液内科のことは簡単に済ませ、今日何の目的のために集まってもらったのか、それを訴えかけるように話をした。プレゼンテーションの成功とは結局のところそこに集まってもらっている人に説明し、どのように行動してもらいたいか、そして行動してもらえるかである。一人でも多くの人に当院内科に関心をもってもらい、その中で一人か二人が血液内科を志してもらえたら、と思う。

2015年

7月

31日

1年生 阪野先生研修2か月終了

昨年は1年目の先生のローテーションがなく触れ合う機会がなかったが、今年は1年目の先生も2か月毎まわってきてくれている。血液内科も最近では入院患者さんが40人を超えることがしばしばあり、忙しくなっている中患者さんのもとに良く行き病棟医としての仕事を担ってくれた。1年目の先生にとって血液内科の疾患はとっつきにくいし難しい。だから当科のチームになることははずれ・・・と思う研修医の先生がいるのも事実。でもそう思われないようにするために、少しでも時間を作って教育するようにした。今年は研修医の先生と『ハリソン内科学』教科書を少しずつ読むようにしている。また他のスタッフや後期研修医にも、それぞれの立場で教育をしてもらった。色々な味が楽しめてフルコースデイナーみたいなものだよと彼には言ったが、とても勉強になったのではないかと思う。
若い人がいるということは自分も学ばなければならず、自分に学ぶことを強いることができる。先日私の同級生が言っていた<出来るだけ開業しないほうが良いよ・・・>という意味も、こんなところからも分かる気がする。
阪野先生は患者さんから忠告や成長を褒める言葉をいただいた、と言っていた。それって若いうちはとても大切なこと。患者さんが言ってくれるのは患者さんの近くにいられたから、入り込めたことの証。得た教訓を大切にしてほしいと思う。

2015年

7月

20日

梅雨があけ猛暑が始まった。

梅雨があけ、すごい暑さがこの数日続いている。家にいるより病院にいたほうが過ごしやすい。これじゃ家は暑いので退院したくありません、という患者さんと同じになってしまう。
鎌倉は内陸の地域に比べたら風が流れる地域であり、気温は上がりにくいとされる。でも窓を開けたまま寝ていても風が止まることがあり、寝苦しい。
週の半分の朝は歩いて通勤するようにしようと心掛けているが、この暑さでは一日に使うエネルギーが半減してしまう。たとえ朝早くても汗が後頚部に吹き出ている。先日はそのあと体を冷やしてから回診したのだが、白衣が厚いためか下に着ていたシャツが汗でじっとりと重くなっていた。若者の着る半袖の白衣(スクラブ)にこの夏は変えてみようかと思うほどである。
さてさて、今年はエルニーニョで天気不安定と言われたり、でも暑くなりそうだったり。体調の悪いかた、外で働く作業のかた、とても心配です。普段利尿剤を飲んでいる心疾患、高血圧の方達は食事が摂れなくなったりすると容易に脱水気味になったり、腎機能が悪くなります。私達も外来で診る人の血圧が普段より下がりすぎていないかチェックし、20mmHg近く下がっている人は夏だけ量を減量したりしています。


2015年

7月

19日

私の初期研修医時代の同窓会 

私の初期研修医時代はすでに23年前になる。当時は茅ケ崎徳洲会病院で研修医を10名採り、湘南鎌倉総合病院はまだ小さかったので研修医が向こうから派遣される、というような体制だった。当時は大学に残る人が60-80%といわれた時代で、外部の病院で研修を開始する人、しかも徳洲会でする人というのはちょっと変わり者か一癖あるか者、ガッツがあるかという人が多かった。今ほど恵まれた研修医制度ではなかったが、当時はローテーションが当たり前ではない時代であったにも関わらず我々は1年目で内科、外科、産婦人科、小児科をローテーションし、2年目からはそれぞれの専門科に進んだ。その仲間10名中9名がこの日集合(女子は1名)。すごいことだ!!。これだけ集まったのはバラバラになってから(2年間で出た人もいる)初めてだ。今もまだ徳洲会で働いているのは私を含めて10名中4名。何人かは本当は残っていれば各病院を代表するメンバーになっているような人たちばかりである。でもこれだけ会っていなかったのに、一度会えばまたあの時代に戻れる。あの当時の研修の大変さ、爆笑の芸などなど、ついこの間のことのように思い出され大笑いした。脱徳(徳洲会をやめること)した人も皆仲間には変わりない。開業したメンバーからは出来るだけ辞めないほうが良いとのアドバイスももらった(その理由は男性的な発想だったが)。それぞれがどのように歩んできたかをおいしい食事とともに語り合い、また2年後の再会を誓い別れた。
とても良い会であった。年をとってからの同窓会、自慢話でなく互いの悩みを話し合える、良い会だった。幹事さん御苦労さま。

2015年

7月

17日

初期対応の大切

韓国のMERSの報道は最近下火ではありますが、患者が爆発的に増えたときには初期対応のまずさが散々報道されていたことと思います。それから1か月もたっていないのに我々の地域でも実際には医療現場の初期対応も決していいとはいえないと思うことがありました。
この暑い夏なのに、当院救急にインフルエンザの患者さんが搬送されてきました。しかも一人ではなく複数、連日でした。施設に入所中のかたであり職員も発生しているとのこと。そこではデイケアも行われているとのこと。その後大きな広がりはみせていませんがこの時期に多数罹患するのはやや不可思議です。

おかしい!と思うのはやはり現場の医師です。複数のあれっと思うことが起きたら臨床医は保健所に連絡し、早く初期対応をするように動いてもらうしかありません。当院ではさっそく感染症医に保健所への連絡をお願いしアウトブレイクを抑えるように指導をお願いしたそうですが、行政が違うと動くことができない・・・などの理由から思いのほか対応が遅かったようです。残念です。デイケアを止める、入所者の予防内服、職員全体の検査を行うなど、施設には常勤の医師がいるでしょうが一人では対応が難しいと思われますので、そこでこそ保健所が入りアドバイスするなり関係する医療機関に応援を頼んで早期に対応する必要があると思います。軽症のケースでやっておけばこれが訓練となりいざ大きなことが発生したときにすぐに動きやすいのに・・・と思ったのでした。

2015年

7月

14日

東京西病院に医療安全の講演にいきました。

東京西徳洲会病院は東京都の昭島市にあります。当院の渡部先生が院長に就任され、外科チームも立て直しのために入って懸命にがんばっています。研修医の先生達もローテーションする関連の病院で、オープンしてすでに10年になります。この日は職員研修の一環として医療安全の文化を作ろうということで、私が湘南鎌倉総合病院にて医療安全管理責任者としてやってきた約3年間のこと、また自分の経験などをお話させていただきました。
以前当院の公開講座で医療安全に関する講演をしましたが、あまり反響がよくありませんでした。歴史や制度の羅列で現実味がないと興味がもてず、面白くなくなってしまいます。そこで今回は自分の体験や当院で起きたことなど、出来るだけ実例を交えて飽きない工夫をしてみました。また、ハンドアウトを用意してしまうとそちらにばかり観衆は目がいきがちであるということから、今回は用意しないで行いました。後の講評でなかなか良かった、医療を知らないコメデイカルの者でも理解出来た、とお褒めの言葉をいただきました。
しかし部屋の大きさに比べてスクリーンのサイズが合わず、部屋の状況を確認してから講演すべきであったと反省しました。プレゼンテーションは得意なほうではないのですが、どうせやるなら少しHow-to本も読みながら進化していこう、とよい機会を与えていただいたことに感謝です。

2015年

7月

10日

訪問専門の診療所が解禁に

7月10日の日経新聞の朝刊の見出しがこれ。<訪問専門の診療所解禁>であった。来年4月を目途に解禁にするようだ。これまでは訪問診療をやっている診療所は外来部門も持たねばならず、決まった時間に施設内で診察に応じる必要もあるほか、一定の広さの診察室や医療機器の設置を義務付けられていたという(知らなかった)。それが訪問専門となれば外来診察をするための診察室や、医療機器がいらなてもよいということで、開設時にかかるコストが抑えられるメリットがある。国としては今後さらにベットを削減していくわけで、自宅で介護をしていくためにはその介護手不足も問題であるが、外来に通えない、通うためにさらに人手がかかるという状況をなんとかしなくてはならない。
しかし訪問専門の先生は大変だと思う。比較的重症でない人であれば多数診れると思うが、重症な人が複数いて急変時の対応を24時間受け付けながらやるには、スタッフも複数いる。また緊急時に備えて病院との連携が重要であろう。このような訪問専門の開業を希望する先生方にはまず行政としても優遇し、地域の基幹病院で1-2年働いたあと病院の近くで小さなオフィスを構えて(それも地域がサポートする)開業し、入院中もカンファレンスなどに出られるようにして入退院をスムースにするシステムが構築できれば・・・と考えたりもする。やりたい人が十分いるどうかも問題だ。

2015年

7月

08日

重大な時ほど

自分にとって一番大切なものを失うとき。
誰でも自分が一番ではないか。いや子供がいれば子供か?
命にかかる病気になったと宣告されたとき、自分はどんな態度をとるだろうか。今のままではいられないだろう。慌てふためくか怒るか、あきらめるか。
本当のところで患者さんと同じ気持ちにはなれないといつも思っている。特に血液疾患の患者さんは一度は死について考えたりすることが多いと思うが、その恐怖、不安は計り知れないものだろう。
 患者さんがたくさん待っている外来の最中に、いきなり紹介状を書いてくれときた方がいた。しかもそれを第3者を介してプレッシャーをかけてきた。他の人の命はどうでもいいのか?私は基本的に虎雄先生が言われていた<すべての人の命は平等だ>の理念を、常に実行している。高齢の人も体調が良くない人も待っている。それを差し置いて・・・。私の倫理観が許さなかったが、しかしそこまでなってしまっている人に、理解は求められないだろう。私はそこで5分手をとめて紹介状を書いた。待っている他の患者さん達には申し訳なかったが。
怒りもあったが少し経ってみると、そこまで患者さんを慌てさせてしまったのには私の話のもっていきかたにも問題があったからかもしれない、とも思えた。生命にかかわる病気になったとき、そこにその人の人間性がでる。そのようになった時も普段の理性を失わないでいられるか。自分にも出来ない感じがする。

 

 

2015年

7月

07日

千葉の病院にて手術中止のニュースから

千葉市立海浜病院の心臓血管外科で手術後に患者の死亡が相次いだため、7月6日保健所の立ち入り調査が行われ全ての手術を中止することを決めたというニュースが報道された。今年に入り千葉県がんセンターでも同様に腹腔鏡の手術で死亡が相次いだということで、保健所の立ち入り調査が行われた。

群馬大学における腹腔鏡の手術の問題、小児耳鼻科手術後管理の問題と、今年は医療安全に関する大きなニュースが続く。厚生労働省は手術合併症の率を出すことを求めたり、院内内部にて検討会をするなど医療安全対策を手術分野に対しても求めていくと報道されていた。手術には合併症なしというものはい。しかし合併症として処理されてきた事例であっても、一人の医師で続くのであれば問題が隠れている可能性がある。これまで報道されているケースも、誰かがおかしいと思っていたはずだ。我々の病院では手技における合併症でも再度手術を要したり、処置が必要となるケースについては、医療安全への報告をお願いしている。1回では責められないが、これが続けば病院として調査に入ることを検討する。手技をする先生方は面倒と思われているであろうが、世の中はそれを求めてきていると思う。小さいミスに気づき、それを修正することが大きな事故予防につながることは実証済である。その文化を病院の中で醸成することこそ医療安全である。

2015年

7月

05日

金沢大学 中尾教を囲んで再生不良性貧血座談会

中尾先生は日本において再生不良性貧血の第一人者であり、世界的にも有名なN.S.Young氏と組んで大きな仕事をされている。つい先日、2015.7.2のNEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE(世界で最も権威がある医学雑誌)に先生を含めた日本の研究者の論文が掲載された。その中尾先生を囲んで都内で年に1回座談会が開かれる。小さなグループで直接先生に質問ができるとあって、とても有意義な会である。

再生不良性貧血と骨髄異形成症候群とは区別がつきにくいことが多々ある。その中で何となく骨髄異形成症候群になっているケースが、本来の再生不良性貧血の治療である免疫抑制療法が行われずにいることも多いという。また免疫抑制療法が行われたあとに一部にEBウイルスの再活性化がおきて、まるでリンパ腫のようになる症例があるということから、EBVのウイルス量をチェックすべきであると(保険の問題がある)。国際的には免疫抑制療法とともに血小板産制を刺激するエルトロンボバグを併用した臨床研究が進んでいるようです。また再生不良性貧血で13q-の染色体異常を持つ人は予後が良いので、染色体異常があるからといってMDSではないかと間違えないように。

さて2015.7.2の論文について毎日新聞で報道されたが、そこで再生不良性貧血の多くが数年後に血液がんとなるように報道されて、患者さんが心配されているということであった。たしかに再生不良性貧血ではそうでない人に比べて骨髄異形成症候群になったりする比率は高い。しかしその大勢がなるというわけではない。患者さんは心配されませんように。

2015年

7月

03日

ALアミロイドーシスの講演

3日連続の講演会の中日である。この日は藤本製薬主催のMultiple Myeloma Forum in Yokohama という講演会であった。特別講演に信州大学の池田秀一教授が招聘されていた。タイトルは<ALアミロイドーシスの病態と治療戦略>。先生はアミロイドーシスにおいて日本の第一人者の先生であるが、血液内科医ではなく神経の先生である。アミロイドが末梢神経障害を起こすことから研究に入られ、その後ずっとアミロイドーシス一筋で研究し、昨年日本のアミロイドーシスについてまとめあげられた。何度か講演をお聞きしたことはあるが、今も全国から難しい症例を受けておられ、新しい話が聞けた。
忘れてはならないことは、アミロイド沈着は可逆性であるということ。メルファランとデキサメサゾンの治療のあと、末梢血幹細胞移植を行うことでアミロイドーシスの予後は著しく改善したが、最近ではBD療法(ベルケイド+デキサメサゾン)を最初からやることが多くなっていて、予後は良くなっているという。しかし骨髄腫に伴ったALアミロイドーシスはなかなか予後が悪いこと、また限局性アミロイドーシスの症例をご紹介いただいた。気管、気管支、喉頭に出来るアミロイドーシスは組織が硬いことから治療も難しいということ。またシェーグレン症候群と皮下結節、肺のう胞や結節性病変の症例もおもしろかった。講演でとったノートはまたまとめて、このサイトにアップさせようと思います。

2015年

7月

02日

みなとみらい血液治療研究会 in 横浜

神奈川県内には血液に関連する勉強会がたくさんある。表題の研究会は大学病院主体というよりも一般病院が主体となり結成されて、現在は移植適応でない多発性骨髄腫の患者さんの活動度を評価して治療を選択するという、臨床研究をしている仲間である。
この日はその研究の進行状況などの報告とともに、亀田総合病院から末永先生をお呼びして「多発性骨髄腫の診断とモニタリング」と題して講演をお願いした。先生は長年亀田総合病院で血液内科部長として勤められていて、大学病院ではないが積極的にデータをまとめ発表されている。臨床に則した疑問を明らかにしていくというところが、とても立派だと思う。

先生は海外では骨髄腫の微量残存病変の評価などに用いられている、マルチカラーのフローサイトメトリーを普段の診療に積極的に取り入れて臨床研究をされている。それらを用いると末梢血にも形質細胞は流れていることがわかっていて、MGUS・くすぶりがた骨髄腫・症候性多発性骨髄腫と腫瘍量が多くなるにつれて量も多くなることがわかっているという。また多発性骨髄腫でよくみられる腎障害が治りそうかどうかの予測は・・という疑問に対して調査をされ、尿中のアルブミンが少ない人は腎機能が回復する傾向にありそうだ、というデータを出されていた。早期にFLC(遊離軽鎖)が下がる人も良くなりやすいそうだ。また、骨病変の評価は全身のCTを撮って評価していると言っていた。亀田総合病院も高齢者が多い地域であり、80才以上の骨髄腫の患者さんが24%を占めるというが、80歳以上では入院時の全身状態・活動性が予後に影響するが、66歳-79歳ではそれほど差が出ないともおっしゃられていた。また、ベルケイドが導入されてから(2006年以降)の奏効率に大きな違いがあることは我々臨床家も実感しているが、それを数字ではっきり出されていた。
今後我々臨床家が日々の疑問をどのように解決していくか、自ら研究していくのか。とても参考になった。