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ブログ

江里ブログ 2016年7月~12月の記事一覧

2016年

12月

29日

GRIT やり抜く力

これは2016年9月にダイヤモンド社から出版された本のタイトルです。ニューヨークタイムズのベストセラーにもランクインした話題の本で、書評で紹介されたいたので読んでみました。
偉大な人と普通の人との決定的な違いは動機の持続性、粘り強さ、やり抜く力であるというのがこの本の言いたい点であり、それを様々な研究やインタビューから証明しようと試みています。
努力をしなければ才能があっても宝の持ち腐、上達するスキルも頭打ち。やり抜く力は持久力、そしてぶれない目標、やり抜くためには興味があり練習を怠らず目的を明確に。且つ他の人にも役立てるようなものであること、そして希望をもつことが必要だと。やり抜く力が強い人はそれに取り組む時間も長い。そのための意図的な練習をする(どこが弱いかなど分析してそこを改善させるための練習など)。メガ成功者は改善を行い続ける。かつてマイクロソフト社では技術者の採用に粘り強い、最後まで問題をやり抜こうとする人を採用していたというエピソードも紹介されています。子供についてはやろうと決めたことは1年以上続けさせる、そして最後までやり通す経験から人格を形成する・・・などなど。子育てに参考になる内容も書かれています。

自分を振り返ってみると、また本の中での自己採点をみてみてもやり抜く力が弱いことが分かります。分かっていてもなかなか粘り強くできないのは性格もあるとは思いますが、意識的に改善することも出来ると書かれていたので、来年の自己目標としてみたいと思いました。興味ある方は読んでみてください。

2016年

12月

27日

幸福と成功の意外な関係 ショーン・エイカー

ニュースはnegativeな報道が多い。戦争や事故、天災などなど。人々はそれらに惹かれる面もあるのだが、でもこのようなマイナスなイメージばかりをみていると、精神的には鬱っぽくなったりやる気がなくなることは知られている。東日本大震災の時もそうであった。
ここでポジテイブ心理学の登場である。ポジテイブな脳はずっとよく機能し、知的レベルも上がり、創造性も上がると言われている。医師であればポジテイブな気持ちでいると診断の正確さが19%上がるという(だから医師が元気でいること、精神的にもポジテイブでいることは大切なんだ!)。これはdopamineが出ることで幸福感が増し、学習機能も上がるためだという。ではどうしたらそうなれるか?
この証明はなかなか難しいと思うが、心理学者ショーン・エイカー(Shawn Achor)さんがTEDトークで語っていたのは感謝するこを1日3つ書くことを21日間続けること。最初は考え付かないことがそのような態度になることで、自分で感謝できるものを探し、目を配れるようになる。つまり世の中の出来事でnegativeな話題のものでなくpositiveなものを見つけようというふうになれると。
我々も患者さんのそんなシーンをよく目にする。よく患者さんが告知を受けて辛い治療になったとき、「どうして私だけが・・なぜ??」という内向きの心理になる。その当たり前の感情から徐々に治療を受ける中で、周囲の環境や家族に感謝したり、治療しながらも人に何かしてあげたりしている人は確かに治療も上手くいくことが多いし、辛さも少ないように感じる。
幸福になれるためのポジテイブマインド練習。どうなるか試してみましょうか。

2016年

12月

23日

17回目のクリスマス回診

今年も恒例のクリスマス特別回診を行いました。2000年に始めたので、今年で17回目です。
着ぐるみ着たり変装したりして患者さんのところをまわり、生演奏のもとクリスマスカードを渡します。私の患者さんの音楽教室の子供たちが毎年ピアニカで、また職員のご家族がヴァイオリンのプロ並みの演奏で演出してくれます。中には本当に泣いてくれる患者さんもいますし、意識のなかった方がふと目を開けてくれたこともありました。押しつけがましいところもありますが、患者さんにも世の中の人と同じ生活を・・・をコンセプトに続けてきました。
そのあとは約1時間の演奏会。子どもたちの演奏、朗読、琴の演奏と共に聞き慣れた歌を歌う。今年はプロの尺八奏者も参加して下さりレベルの高い演奏となりました。そして最後にヴァイオリンで『真田丸』のテーマ曲!なんともレベルの高い!!
でも毎年みなさんボランティア。子供たちには今年からボランティア証明書を渡すこととしました。いつまで続けられるか・・・もうやめようかと思ったこともありましたが今年も素敵な笑顔を見せてもらい、またやっていこうかと思った今年のクリスマス特別回診でした。

2016年

12月

13日

慢性骨髄性白血病の新規薬剤について講演

アメリカから帰ってきてから風邪をひいてしまった。
この日は慢性骨髄性白血病の新規薬剤に対しての話題を薬剤師の方々の集まる会で話すことになっており、講義をした。声が掠れて聞きとりにくく申し訳なかったが、せっかく勉強をしたこともあり、講義させてもらった。
CMLの今年の話題はT315Iというこれまでの薬剤に対して抵抗性のある遺伝子変異をもつ人に対しても効果のあるponatinibという薬剤が発売されたこと、しかしこの薬剤には非常に血管性の合併症(心筋梗塞や脳梗塞など)がおきやすい(長期でみると20%程度)のためその管理、早期発見と治療が求められる。またこの薬剤以外にもNilotinib(タシグナ)が末梢動脈閉塞症をきたしやすいこともしられていて、それがタシグナでの血糖上昇作用や高脂血症とも関係がある可能性がある。そのような血管合併症というのが以前から知られているがこのところより注目される知っておくべき合併症として認知されるようになった。最後にこれらの薬剤の中止の話だ。まだガイドラインではやめることを推奨していないが、少なくとも深いレベルでの寛解(MR4.5)を2年間くらい続けられた人では一部の人にやめることができるとされている。そして40%程度の人がやめても寛解を維持しているし、採血で少し再燃が疑われてもすぐに再開することでもとのレベルまで戻せているのがほとんどである。薬剤費も高くまた少しでもdrug freeになりたいという患者さんもいる。これが試されることが認められるように早くなってほしい。

2016年

12月

07日

ボストン見学ツアー その3

さて、今回のツアー中に私達徳洲会の活動をプレゼンテーションする機会が与えられました。放射線治療の研究企業でもそうでしたし、マサチューセッツ総合病院でもそうでした。そこで聞いていた彼らを関心させていたのは、利益重視ではない徳洲会の海外展開でした。アフリカの様々な国への透析技術、透析機器の援助。ブルガリアでの病院建設、JCI取得、それらが評価されていました。一般の病院の中でただ働いているだけではなかなか見えない海外での活動ですが、それらが病院のプレゼンス(presence)を高めてくれているのだということを知りました。
また今回マサチューセッツ総合病院を見学できたのは、東日本大震災の際にボランテイア協力を申し出たボストンの医師とのやりとりが繋がって実現したことでした。人との繋がりがまた新たな可能性を導きだすのを見させてもらったと思います。

2016年

12月

06日

ボストン見学ツアー2

午後は世界で一番有名な病院で、世界で最も信頼され有名な医学雑誌『THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE』に毎回登場するMASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL の見学でした。
エントランスは何とはいえない狭いところで、とてもゴージャスな病院とは言えませんでした。少しずつ継ぎ足したという感じで構造を理解するのに時間がかかる、迷ってしまうような病院でした。色々建物内を見させていただきましたが、決して日本の病院が設備で著しく劣っているとは思えません。
ただ看護師は手厚い。目の前に看護師さんがいるという感じで、がんの病棟では看護師1人に対して患者が2人くらい。
院内での安全対策、手洗い、衛生管理は、当院がJCIという世界的な認証を受けているため、全く同じことをしているなという印象でした(彼らも監査が入るときはすぐに片付けるそう)。
結局違うのは歴史と人なんだろうと思います。全米でも人気のあるこの病院で働くということで優秀な人が集まり切磋琢磨し、そして何かを作り上げていく。それが年を重ねて歴史となってく。
この写真は『THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE』のcase recordのところに掲載されている建物マークの元になっているものです。世界ではじめてエーテル麻酔をしながら手術を試みた場所がここだそう。歴史ある建物なのです。こういった歴史はまだまだ我々の病院では勝てません。

2016年

12月

04日

ボストン見学ツアー その1

12月4日から7日までアメリカ合衆国ボストンの施設病院ツアーに参加させていただきました(現地滞在1日の弾丸ツアーでしたが)。今回の目的は新しい放射線治療の見学と、世界一有名な病院マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)のがん病棟見学でした。将来当院の近くにがんセンターを作る構想があるためです。
見学はたった1日。でも充実した1日でした。午前中はボストン郊外にある新しい放射線治療機器を販売したいと考えている会社の見学。この新しい治療はホウ素中性子捕捉療法というものです。がんに集積する特性をもったホウ素薬剤を投与してがんに集積をするのを確認したあと、加速器にて作られた中性子を患部に照射するというもの。するとがん細胞内でホウ素と中性子の核反応で放射線が発生し、がん細胞だけが破壊されるというもので、浸潤性の強いがん、多発がんなどに効果が期待できるそうです。すでに筑波大学や大阪大学では試されていうようなのですがまだ広まるには至っていませんし、保険も通っていないものです。世界的にはフィンランドでの研究が盛んなようで、そこからアメリカ、さらには日本へのビジネスを広げていきたいと考えている企業とのことでした。
写真は加速器で、ちょっとした体育館のような中に留置されていました。以前のよりも小型化されているようですが、それでも広い場所が必要です。治療の可能性としてはまだ頭頸部が中心でしたが、その他のがんにもまだまだ応用が利きそうでした。

2016年

11月

20日

NHKスペシャル プレシジション医療

遺伝子発現をみて抗がん剤を選択する。すべての遺伝子を調べるというところまではいっていないが、大腸がん・肺がん・乳がん・一部の血液腫瘍では腫瘍の遺伝子発現をチェックして、抗がん剤が使えるかどうかみている。
NHKスペシャルで紹介されていたのは、可能性のある遺伝子変異を多数調べて治療薬があればそれ、臨床試験の薬剤があればそれ、というように効くかどうかわからない高額な抗がん剤よりも、より効きやすいものを選択して行うという方法が紹介されていた。いずれも新薬が高額であり、本当に効く人に投与をしていかなくては医療財政が破たんしてしまうという理由もある。また番組の中で紹介されていたのは、人工知能ワトソン君と患者の膨大な遺伝子データをもとにして今まで遺伝子異常がみつかっていない新しい遺伝子を発見し、創薬に結び付ける試み。ワトソン君には2300万件という驚くほどの文献を読み込ませているという(人では成せない業である)。今後は患者データを入れることにより診断や最適な治療のアシストをする役割をしていくであろうとのことであった。
急激に進歩している遺伝子と疾患の関連。そして遺伝子を好みのように改変できる技術もすすんでいる。10年後の医療はどのようになっているのだろうか、と未来の医療に思いを馳せてしまった。

2016年

11月

19日

ゴーシェ病フォーラムに参加しました。

ゴーシェ病に特化した勉強会が開催されるというので東京まで出掛けてきた。
ゴーシェ病というのはライソゾーム病の一種で、体の中にグルコセレブロシダーゼの欠損によりグルコセレブロシド、グルコシルスフィンゴシンが蓄積して様々な病態を呈する疾患である。遺伝疾患であるため小児の間に発生することが多いのだが、実は成人になってから診断される症例が日本では3分の1はいること、また小児では著明な肝脾腫で発生するのに対して成人では症状がなく、最初は血小板減少でみつかる症例が多いのだそうである。その違いなどまだ解っていないことも多い。私も診たことがないが、若年成人の軽い血小板減少症の中に混じっている可能性がある。また脾腫で来院されるかもしれない。ということで血液内科医が診る可能性のある疾患。
といっても、日本にはまだ150例くらいしかいない。私も患者さんを診たことがないのでどのような発症の仕方をするのか症例をみたいと思い、カンファンレンスに参加した。
この疾患では炎症性のサイトカインも多く出ているということや、また酵素療法などにより長期に生存できるようになっているようであるが、骨髄腫やリンパ腫などの血液疾患を併発してくる症例があるそうで、その関連性はおもしろいと思う。勉強になった会であった。ゴーシェ病一筋に研究をされてきた日本の先生がたが集まる会で、その歴史についてもまとめられていた。医療の発展がここでも大きくあったことを知った。

2016年

11月

18日

若手血液内科医のための勉強会 in 東京

東京で開催された若手血液内科医中心の勉強会。若手じゃないけど演者の先生の話がおもしろそうであり、若い先生とでかけた。日本医科大学の田村秀人先生が骨髄腫の検査の話、また東京医科大学の天野景裕先生が止血血栓関連の検査の話をしてくださった。
田村先生は主に骨髄腫細胞の表面マーカーなどからの予後進行予測の話をされ、この日発売になったelotuzumabの分子的な話をされた。おもしろかったのは進行してくるとelotuzumabの標的であるSLAMF7が進行とともに細胞膜からきれて血中に流されるようになり抗体の働きをブロックするかもしれず、効果が低下する可能性があるかもと言っていたことだ。早めに使用したほうがいいかもしれないとのこと。
また、血栓に関しては主に出血傾向のときにどのような検査をするかということを話された。多発性骨髄腫では後天性フォンビルブラント病が出る可能性があること、第8因子が低下していたらvWFを測定すること。後天性血友病でのクロスミキシングの結果解釈を復習しました。止血出血関連は血液内科医も不得意なところであり、今度は線溶系のお話しをきかせていただきたいなと思いました。

2016年

11月

17日

がんの診断がついたときのアドバイス

私の診察室の隣では週に1回、腫瘍内科の先生(日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授)が外来をしている。当院の外来診察室は隣の声が時々聞こえるので、良い対応やアドバイスをしていると自分の診療の参考にさせていただいたりしている。
勝俣先生は多くの新聞や雑誌などにも出ており、評判を聞いてセカンドオピニオンにみられる患者さんも多い。いずれの患者さんにも最初からゆっくり相手の話をきく姿勢をとられ、まず話したいだけ話してもらうというスタンスである。また明確に「どんなことを聞きたいですか?」と尋ねられている。
今日の診察中にはがんと診断された患者さんにアドバイスされていた。私は聞いていてとても良いフレーズだと思い、いつか使わせていただこうと思った。
「がんになった時、それだけに縛られるようになってはいけない。普通の生活に出来るだけ戻りましょう、戻しましょう。心の中がいつでもがんばかりが占めている状況、いつもがんのことを考えているのではなく、普通の生活が出来るように普通のことにも心を配れるように努力してみましょう。」

私も実は同様のことを感じている。血液系のがんになって治療しているかた、終わったかたを診ていて思うのは、自分以外に心を配らなくてはいけない対象(子供だったり介護が必要な親だったり。あるいは仕事など)がある人のほうが、病気で悩むことが少ないのは感じる。というよりも、他にも意識をもっていけることは心のバランスをとるうえで、とても大切だと思う。病気というのも大きなストレスであり、そのストレスにより海馬(脳で記憶を司るところ)の神経突起が痩せてくるのだという。そういうストレスそのものが病気の経過をさらに悪くしたり、自律神経に影響をきたして体調不良になることもあるのである。それを言葉の術や信頼関係により軽減させることは、治療経過を良くするのに影響を及ぼすと思う。

2016年

11月

16日

アメリカで活躍する後輩の訪問

当院にて初期から研修し、その後救急外来での研修を終えた後に目標としていた米国で研修を開始、今その真っ最中である今村先生が帰国し当院を訪問してくれた。学会があってのようであったが、米国のまさに生の医療情報を聞け面白かった。お金に厳しいアメリカだが、貧乏も金持ちも同じ基準で治療の選択がなされ医療が受けられているのか?医療破産という話聞くので、そこが一番聞きたいところであった。我々の使う骨髄腫などの薬剤は非常に高額で、それがアメリカで誰にでも投与されるはずはないと思うからである。
アメリカでのERの医療は、貧しくても金持ちでも平等に行われる法律があるらしい。しかし、骨髄腫などの治療のように高い専門的な医療では保険会社の力がとても強く、そこが認めなければやはり受けられないのだという。つまり医師の裁量の前に、お金による治療の選別がなされるのだ。だからアメリカではエビデンス(論文やガイドライン)だけで治療が選択されるのではないのだ。日本もやがてそれを追うことになるであろう、と私は思う。
また向こうの医師は良く物事を知っているし勉強もする、コミュニケーション能力も高いと言っていた。まだもう少しアメリカでがんばりたいと言っていた。せっかくかなえた夢。もっと学んで、吸収することはまだまだあるだろう。でもいつかは日本でその医療を実践してほしいと思う。
今村先生とはまだ当科が小さく医師が本当に少ない頃に病棟を守りあった戦士のような感じで、学年は離れているものの私の中では仲間という意識が強い。互いに変わらないと言いつつ(相手にしたらお世辞だろうが)、互いの健闘を祈った。

 

2016年

11月

13日

DEM(diagnostic error in medicine)カンファレンス2016 で研修医の先生が発表しました。

天目純平先生
天目純平先生

診断エラーというのは決して稀なことではなく、我々の普段の診療で最初から診断出来ないこと、経過の中でだんだん色々な疾患が除外されて最終診断出来ること、複数検査をして解ることはよくあります。診断は病気の名前を知らなくては出来ないということがありますが、稀な疾患を診断出来たようで実は大切な病気を見逃していることもあります。この学会はそのような診療エラーにどんなものがあったかを発表し、共有して診療レベルを上げようという学会で、米国で総合診療系の先生が主体で開催されていますが、同時にヨーロッパでも開催されているようです。
当院の若い研修医は良い症例があるとこれに参加出来ることを目標とし、準備しています。
今年は当科の症例が2例採択され1例はポスター発表で天目先生、もう1例は全体での症例プレゼンテーションに河東先生が選ばれ、11月6日から8日米国カリフォルニアにて開催されたカンファレンスに参加し発表してきました。<次へ>

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2016年

11月

12日

lymphoma symposium zenyaku in Tokyo

このlymphoma symposiumは、リツキサンを発売している会社が年に1回海外からリンパ腫の専門家を招き、また国内のリンパ腫専門家も加わり質の高い講演が行われる勉強会です。発表はすべて英語で行われます。
リンパ腫治療や研究がどこに今スポットがあたっていて話題なのかを知るうえでもとても勉強になる会なので、出来るだけ参加するようにしています。今年はイギリスよりPeter Johnson 氏が主にホジキンリンパ腫の話を、また米国よりJonathan W.Friedberg氏が主にび漫性大細胞型リンパ腫の遺伝子を評価に用いた治療について講演をされました。
 Peter先生の講演は非常に明解でした。ホジキンリンパ腫は予後が良いのだが肺などの合併症や2次発がんが問題になっているので、出来るだけ毒性を減らした、且つ治療成績の良い治療をしようと試みられている。特に初回治療の2回目終了後にPET検査をして、それで陽性(全体の16%)であればより強い治療を、また陰性(全体の84%)であれば強度を減らしたり或いは肺に毒性のあるブレオマイシンを後半抜く治療を行い、放射線治療も抜くことで全体の治療効果をほとんど下げることなく発熱や肺合併症を減らせていることを、報告されていた。ただし2回終了後のPET陰性でもその後治療成績が悪い人もいて、初診時のステージがⅣ(骨髄に入っているなど)の人は注意が必要だそう。
 また、び漫性大細胞型(DLBCL)についてはとにかくheterogenous(色々な性質をもつ)集団であり、遺伝子異常もDLBCLにこれという特徴的なものはなし。初回治療が上手くいかない人は15%、あとになって治療抵抗性になてくる人もいて、それらの治療をどうするかが問題。新薬であるPKC-βに対する薬剤Enzastaurin、 標準治療薬であるR-CHOPにbevacizumab、 もう一つの別の標準治療薬DA-R-EPOCHに骨髄腫で使用するBortezomibを加えてみても、あまりインパクトのある治療メニューにはなっていないとのこと。むしろ骨髄腫で使用するレブラミドをR-CHOPに加えたり、またはCAR-Tという細胞治療が今後話題になってくるようです。

とても勉強会になった会で、来年にも期待したいと思います。また20年ぶりに同級生に会い、懐かしく話が出来たことも良い出来事でした。地元を離れて23年。誰がどこで、どのポジションで働いているか等など色々な情報を教えてもらいました。静岡県と言えども血液内科医は十分おらず、アクセスなど考えての治療をしておりそれほど新しい治療をしているわけではないこと、やはりスタッフの人数の関係で皆週末も働いているとのことでした。互いの健闘を祈りつつ別れました。

2016年

11月

12日

富士山のきれいな積雪

寒くなると14階の血液内科病棟からはきれいな富士山がみえるようになります。昨日の雨から一転、本日は快晴。青空が澄み渡るとともに富士山に雪が美しく積もりました。朝の回診時、患者さんと一緒にこの景色を愛でました。本当に癒されます。また、このところの急激な寒さの進みで、例年よりいちょうや桜の木などの紅葉がやや早くすすんでいるように感じます。これも風景の美しさに色を添えています。治療をされている患者さんの多くが「この富士山に本当に癒される」とおっしゃいます。朝早い朝焼けの光景、また夕日の美しさは100万ドルの夜景よりもすばらしいと言います。ぜひ夕方のお見舞い時間にいらした方は、富士山の方向を眺めてみて下さい。

2016年

11月

09日

まどみちおさん曰く”幸せは心が穏やかで和やかなとき”

左の写真は14階病棟からの夕焼けです。富士山のシルエットともに雲、空の色も素敵です。

さて<ぞうさん>という童謡はみなさんご存知だ思いますが、その作者は知らないのではないでしょうか?作者はまどみちおさんというかたで、2014年に104歳で老衰により亡くなられました。他に<1年生になったら>という童謡も手掛けていますし、他にも多くの詩を残されています。平成6年には児童文学ノーベル賞ともいわれる<国際アンデルセン賞>を受賞、また作品は美智子皇后が英語で翻訳されて海外でも出版されています。
そのまどさんが『百歳日記』(日本放送出版協会)という新書を出されており、書評にあったので読んでみました。その文体は100歳というのにとても若々しい純粋な目でものをみて書かれています。きっと『ファーブ』昆虫記』の少年と同じような目で生きるものを今も見ているのだろうと思えてしまいます。そして生きていることへの感謝の気持ちがあちらこちらにちりばめられている、とても心温まる本でした。
私はその中の<幸せ>という部分が好きで繰り返し読み返しましたので、ご紹介します。
~現在を肯定的にみることができる人は幸せだと思います。・・・・生き物のすべてに言えることですが、幸せというのは心が穏やかで和やかなときだと思います。辛くて胸騒ぎがするようなときにはお金や名誉があっても、きっと不幸なのじゃないでしょうか・・・~

長生きになった現代、豊かになった現代。でも将来に対しての不安が募って幸せと思えない人が多い現代を表わしているように感じます。

2016年

11月

07日

Stein先生 来日指導始まる

Stein先生は20年ほど前から日本での臨床研修指導をされてきた先生です。フロリダから年に2回ほど来日され、当院をはじめ全国の名のある研修病院をまわっています。そこで患者さんの主訴に対してどのように問診し、どのように考えるかを指導されます。
私の若かりし頃は日本は臓器別に分けられた教育で、卒後すぐにその専門家になるということが多く、患者全体を問診・診察を重視しながらシステマテイックに鑑別をあげて診断をする、という指導はあまりされていませんでした。
米国ではそれが標準的な初期研修医師の基礎教育手法です。そのスタイルで教えて下さったのがStein先生で、私も若かりし頃当院でその指導を受けました。今でこそ日本でもそういうスタイルが重視されて広まっていますが、昔はごく稀なことでした。英語も我々が聞きやすいようにクリアに、ゆっくりした口調で話してくださいます。20年続けるなんて簡単なことではありませんし、また日本の医師教育の大きな変化を身をもって感じていらっしゃったと思います。来年も来ると仰っていましたので、またお会いしたいと思います。

2016年

11月

07日

人口知能と医療

人口知能の進化は予想以上に早いのかもしれない。恐れるばかりではいけない。どう変わっていくのか、常に情報に敏感になり、今どこまでいっていてこの先どうなっていきそうか。読んだ情報もすぐに陳腐になってしまう。その先端にいなくても、でも情報を得て考えていかないと、支配されるだけの側になってしまう。
ヒット曲や、しまいには小説なども人工知能の手助けを得ながら製作するうようになっている。医療の現場でいえば鑑別診断(症状やデータからこの診断の確率%というようなこと)や最適な処方薬の量、起こりうる副作用のデータまで多分人工知能がしてくれるようになり、医者は最終的な処方をするだけになるのか。あるいは人工知能がそこまでしてくれるようになるかもしれない。
また、点滴を入れたりカテーテルでの治療というのは残るかもしれないが、最終的には医師の仕事はそれらの援助と心のケアというほうに行くのだろうか・・・。
その心という点で面白い記事が載っていた。11月4日の日本経済新聞朝刊。中国北京にある1000年の歴史をもつ寺、"龍泉寺"にはロボットAI僧侶がいて、人々の相談に乗っているのだという。膨大な説法データを解析して人々の悩みに答えるのだという。占いみたいな感じだろうが、でも心のところは人間のほうがAIよりも・・・と言われていたが、ここでもAIか・・・と思ってしまった。

 

2016年

11月

05日

血小板・巨核球学術講演会

毎年1回、この季節に血小板・巨核球だけをテーマにした研究会が開かれる。今年で6回目。基礎的な研究の話しも聞けるので楽しみにしていて、出来るだけ参加するようにしている。今年は会場が大阪で、当日はとんぼ帰りで話を聞きに行った。

1.まず一つ目は大阪薬科大学の藤井先生からTMEM16Fという遺伝子と血小板活性化の話。細胞膜を構成するリン脂質は非対称性を有しており、ホスファチジルセリン(PS)は細胞膜内側に、ホスファチジルコリンは細胞膜外側に位置している。この非対称性は生体内において様々な局面で崩壊する。例えば血小板が活性化するとPSが細胞表面に露出され、血液凝固因子が働く足場として作用するらしい。スコット症候群という稀な先天性の出血性疾患の患者では血小板においてPSを露出できないため、血液凝固に異常があることが知られている。TMEM16F は血小板の膜を不安定化させてマイクロパーテイクルを放出し、血小板が活性化されトロンビン産生が上昇し血栓が出来るが、これが欠損すると血栓が出来にくくなる。これがスコット症候群の原因遺伝子であると考えられている、というお話。<次へ> 

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2016年

11月

05日

湘南鎌倉フェステイバル 開催

11月5日、当院の1階と2階で当院地域総合医療センター主催の湘南鎌倉フェステイバルが開催された。さすがに病院なので屋台が出たり食べ物が出されることはないのだが、医療相談に始まり介護犬(アニマルセラピー)が来たり、家での訪問マッサージの内容紹介、栄養摂取が十分出来ないときの栄養製剤・介護用具などのブースがロビーや2階廊下に設けられ、多くの人が立ち寄っていた。
 介護する時というのはいつか来ると思っていても、急にやってくる。家族が高齢で車ががなかったり、あるいは時間がなく情報を集める時間や手段が限られていて良い介護用品やサービスを知らなかったりする。
このような形でサービスをまとめて知る機会を院内に作るのは良い試みであると思う。もっと宣伝して多くの人が集い、また定期的に開催して地元の人もコンビニに寄る感覚で立ち寄値、色々な情報を集められたら良いと思う。当院がこのような集える病院になり、そして皆で病院を良くしていく。あるいは災害時などに助け合う。そんな地域の医療機関になっていけたら良いと思う。

2016年

11月

04日

喫煙はやっぱりがん発症と関係がある!

あらゆるがんは複数の遺伝子異常が重なり起きることが解ってきています。固形がんといわれる大腸がんや肺がんだけでなく、我々の治療する急性白血病や骨髄腫なども然り。
さて、その遺伝子異常の数がたばこの本数が多くなるほど多くなるという研究成果が、国立がん研究センターなどのチームから出されました。日本、米国、イギリス、韓国の共同チームで5,200人のがん患者を対象に、がん細胞の遺伝子を解析して喫煙歴の有無でみたところ、肺がん、喉頭がん、口腔がん、膀胱がん、肝臓がん、腎臓がんの6種類で喫煙により遺伝子の突然変異が有意に増えていたといいます。肺がん、喉頭がんでは特に多かった模様。遺伝という変異が起きやすい下地があって、さらにそれに環境が後押ししてがんは発生してくるのだということが、よく解ります。耳鼻科系、呼吸器系、上部消化管のがん家系の人で喫煙している人は要注意です。

2016年

11月

04日

鎌倉総合内科専門医会にて講演しました。

この日は鎌倉総合内科専門医会にお招きいただき、<改めて貧血診療について考える>と題して講演をさせていただきました。
貧血というと鉄欠乏性貧血がほとんどで、まあそれほど目新しいことないか・・・と思ってしまいがちで知識をアップデートする機会がなかなかありません。今回講演するにあたり自分でもレビューなどを探しましたが、最近NEW ENGLAND JOURNAL MEDICINEという有名な医学雑誌でも複数の貧血に関するレビューがでています。今回日本血液内科学会総会でも教育講演の中に鉄不応性の貧血というものがありました。
 鉄不応性の貧血ですが、まず吐き気や便秘などから十分に鉄剤がのめていないこと、出血が続いていないかを除外できたら、次に考えるべきこととしては萎縮性胃炎、ピロリ菌感染です。萎縮性胃炎では胃酸の低下により非ヘム鉄(植物からくる鉄分)の吸収が低下します。またVitB12,葉酸などの栄養素の吸収も低下することも貧血の回復の遅れと関係があります。今逆流性食道炎に処方されることの多いプロトンポンプ阻害剤は胃酸を低下させることで鉄の吸収を低下させることを内科医は知っているべきであると思います。また高齢者の貧血では栄養障害が原因となることが全体の1/3を占めます。歯が悪くて食事摂取が十分でなかったり、一人暮らしで食事がすすまなかったり、簡単なもので済ませてしまったり、アルコールを大量にのまれたり。そんなことが要因としてあります。ですから高齢者の貧血のときにすぐに悪性腫瘍だという前に生活状態がどうなのかしっかり問診することも必要です。また症状が軽いために見逃されている先天的な疾患としての先天性球状赤血球症や、国際結婚が増えてはハーフの子供が増えていることなどからサラセミアというヘモグロビン異常からくる溶血性貧血も診断されずにまぎれていると思われます。そのようなお話しをさせてただきました。とても自分の再学習になりました。

2016年

10月

28日

神奈川血液疾患セミナー in Yokohama

多発性骨髄腫であるelotuzumabが発売承認されて、またさらに治療選択の幅が広がった。それを記念して多発性骨髄腫の臨床治療に対するシンポジウムが開催された。当院の玉井医師もパネリストとして参加し、大分大学の微生物学の伊波英克先生がレブラミドをATL治療に応用研究中であるお話しを、また埼玉医科大学総合医療センターの得平道英教授が臨床的な治療のコツをお話しくださった。
得平先生は骨髄腫スペシャリストであるが臨床もかなりされている。早朝からのオンコールも受けて教育にも携わり、その臨床の姿勢を下に教えているという。そして難しい患者さんの診療をどのように行うか、エビデンスとは違うコツを伺うことができた。CRの方針を貫くのが必要かというと、それが上手くいかないでボロボロになってしまう人も多い。それよりもいかに薬剤感受性を維持するか、ということが大切であると述べられていた。今、維持療法はレブラミドを行うことが一般的であるが、一部の人ではベルケイドの維持療法を行うことを実践されていて、その治療実感は良いこと、また減量することで副作用も非常に少ないこと、そこに将来的にはelotuzumabを併用していくことを考えているとのことであった。骨髄腫の治療は幾通りもやりかたがあり、その先生のセンスが必要とされてくる時代にますます入っている。

2016年

10月

26日

病院機能評価を受けました。

日本医療機能評価機構による病院機能評価を10月26日から2日間、さらに救急部門の審査を10月28日受けました。病院機能評価は病院の運営管理、提供される医療について安全面・経営面から評価し、病院の質改善も支援するというものです。
多くの病院はこの審査を受けています。5年毎に評価を受けますが、JCI(世界的な病院評価)に近い形になってきたように思います。以前と比べるとカルテを直接患者ベースでレビューして、患者が入院してきてから退院までどのように評価し対策をし、治療につなげているか。どのように治療方針を決定しているか、特にチーム医療・多職種での治療方針の決定、ということをみられます。当科の病棟14Fも調査対象になり、看護師さん、医師のカルテレビューを受けました。全体の評価はとても好印象であったように思います。リハビリが休日なく介入していること、多職種でのミーテイングは高評価でした。今やっていることが評価され、各職員とも自信を持てたと思います。

 

 

 

2016年

10月

16日

骨髄腫の権威の先生とミーテイング

Paul G.Richardson先生を囲んで(前列中央)
Paul G.Richardson先生を囲んで(前列中央)

多発性骨髄腫の世界的権威であるダナファーバーがんセンター(Dana-Farber Cacer Institute,Boston,USA)のPaul G. Richardson先生と小グループでのmeetingがあるというので、横浜に出掛けてきました。私以外は日本の骨髄腫治療の臨床研究を積極的にされている専門家の先生ばかりで、正直やや場違いな感じではありましたが、それらの先生方と顔合わせが出来たことだけでもありがたいと思いました。
discussionの内容はほとんどがこれからの骨髄腫治療をどのように進めていくかという実臨床のことでした。というのも、この10月にも『The New England Journal of Medicine』という大きな医学雑誌に紹介されたように、抗体薬(Daratumumab)がこれまでのBD療法、Ld療法と併用して非常に良い成績を出しています。初回治療はだいたい多くの先生のコンセンサスが得られてきている中で再発症例、難治症例で何を選択していくのかは皆がまだ模索中というところです。副作用なく出来るだけ簡便に、そして効果も期待できる薬剤をどのように選択するか、本当に混乱を極めています。医師の匙加減が求められる中で、皆どのように工夫しているか知りたいところなのです。
Paul先生は私のような一般人に対しても非常に紳士的な返事をしてくれました。Panobinostatの臨床研究、論文をPaul先生は書かれていますが、個人的には再発早期に使用したほうが良いであろうと言っていました。また副作用の管理としては減量し、ときに週をあけて使用する、またなかなか治りにくい髄外腫瘤に対してはPanobinostatやベンダムスチン(日本ではリンパ腫にしか保険は認められていないが)が良いのではないか、と仰っていました。

2016年

10月

14日

今年度の日本血液学会学術集会が横浜で開かれました。

日本血液学会学術集会が10月13日から15日まで横浜で開かれました。東京都知事に防衛大臣、さらにはヒラリー・クリントンさんというように女性リーダーが注目される年ではありますが、今年は会長が獨協医科大学教授の三谷絹子先生でした。女性の研究者が発表するシンポジウムもあり、当院からは私が53例の血小板増多症をまとめたものをポスターにて発表、また佐藤淑先生が2題症例のポスター発表をしました。
血液領域も女性の先生方が増えたと思います。今年は教育講演が充実していたので、教育講演まわりをしていました。おもしろかった演題についてはまた適時ブログの中で紹介していきたいと思います。

2016年

10月

14日

日本血液学会 疾患登録

会場はパシフィコ横浜でした
会場はパシフィコ横浜でした

日本血液学会では研修指定病院になるにあたり疾患登録をすることを条件にしており、鉄欠乏性貧血以外の新規患者を登録します。これらの作業を長年秘書の村松さんにしてもらっています。大学病院でもなかなかこまめに症例を登録するのは難しいのですが、村松さんの努力により昨年は全国で14番目位の症例数だったのが、今年は10番をきり8位。他の先生方にも「先生のところは症例が多いね~。」と声をかけられました。
当院は臨床試験ではなく初診で来院された患者さんをすべて診断し、必要あれば治療をしフォローアップをしていますから、本当に実質的に診ている患者さんの数です。特別な治療でなく(東京や大学病院に行かなくても)地元で標準的な医療、治療を提供すること。それが当院に課せられた使命だと思います。高齢者も多い地域ですが(鎌倉市は日本全体の高齢化を5~10年先取りしているといわれている)、湘南地域の血液疾患を今後も受けて頑張っていきたいと思います。

2016年

10月

09日

相田みつを美術館から

相田みつを美術館は東京国際フォーラムのすぐ近くにあり、学会があった時などに立ち寄ります。また何となく人間関係で問題があったり、イライラしている時などにも深く考えるきっかけを求めて立ち寄ります。行けば何か心にずし~んと響くものがその時々で毎回あるのです。ある時には同じ言葉が、ある時にはまた違う言葉が。また最近は隣りに英訳が書かれていて、「あ~、この言葉はこんな風に表現するんだ」と勉強になります。

今日は<のに>even though という詩に目がとまりました。あれをしてやったのに・・・、この時こうしたのに・・・など<のに>が付く言葉がすべて<愚痴>。自分の今の心の中がこれ。
また自己顕示欲についての詩。<この花は自分が咲かせたんだと肥料はいわない><自然の樹木はかけひきなし>
これらを手帳にメモして帰ってきた。

相田さんの言葉は人間誰しもが陥る苦しみ、煩悩などを短い言葉と字体で簡潔に的をえて表わしているから、人々の心に響くのでしょうね。

2016年

10月

08日

内科学会地方会 2つの演題を出しました。

日本内科学会地方会は、研修医が症例をまとめて発表する最初の場としてよく利用されている会です。今回は当科より2症例だしました。
1つは骨髄線維症で、最近脾腫を小さくして全身状態を改善させる目的で用いられる<ジャカビ>という薬剤が免疫低下の副作用があるのですが、それが非常に強く出て播種性の水痘に加えウイルス性の髄膜炎になった症例。もう一つは輸血により3回もアナフィラキシーを続けて起こした症例をそれぞれ考察を交えて佐々木先生、岡田先生に発表してもらいました。
他病院からの発表が症例が稀であり”報告”をしているのに対して、当科からのはちゃんと考察していた(自分でいうのも何であるが)という点では良い発表であったと、満足な気持ちで帰ってきました。

2016年

10月

07日

免疫チェックポイント阻害剤講義が開かれました。

免疫チェック阻害剤は様々ながんに治療効果が期待される今話題の薬剤です。オプジーボという名前で知られています。すでに悪性黒色腫の治療を変えたとされていますし、高額という点でもメデイアにとりあげられている薬剤です。これまで免疫療法というとうさんくさい感じがいなめなかった点はありますが、まさにこの薬剤は、本来がんでおきてしまっている免疫のブレーキを取り外し、自らのT細胞を活性化させてがんをたたくというものです。はじめは悪性黒色腫にはじまり、肺がん、さらにはわれらの領域であるホジキンリンパ腫、泌尿器科系のがん などにも適応はひろがっていきます。このようなメカニズムの薬剤は、免疫を理解するところから始めなくてはなりません。そこでこの薬剤の理解を深めるための講義を、国立がんセンターの北野滋久先生をお呼びして、外部の先生、薬剤師の方々にも案内し院内で講演会を行いました。院内からも多くのスタッフが参加してくれ、70名を超える人たちが講演をききました。初めてきくにはやや難しかったという意見もありましたが有意義な時間でした。胆管系のがんにはややききにくいこと、将来抗がん剤にとってかわる治療になるかといえばそうとはいえないがまだまだ様々なこの分子に関係する抗体が創薬され700以上の臨床試験がすすんでいるということ。がんの第4の治療(抗がん剤、放射線、手術に加え手という意味で)になっていくのは間違いなく、ただ全身に免疫反応をおこすため思わぬところに炎症や自己免疫のような反応が副作用としてみられることがあるといいます。これらは薬剤使用中にもおきるし、その後もおきることがあり、これを扱う医師のみならずすべての医療系の人たちが、これが使用されるにつれ新しい副作用として増えるであろうこれらの症状に対して薬剤が関係するのだという知識をもつ必要があると思われます。急激な糖尿病、下垂体不全、甲状腺機能低下、重症筋無力症などなど副作用は本当にどこにどんな人に現れるかまだわかっていないそうです。チーム医療が求められますと先生は最後にいっておられました。成功裏に終わり、準備をしてきた私としてはほっとしました。

2016年

10月

05日

daratumumabの効果

daratumumabとはCD38に対する抗体で、すでに単剤でも治療抵抗性や再発の骨髄腫に対して29~36%の効果があることが知られていて、さらにこれまでの研究でベルケイド+デキサメサゾン(標準的な骨髄腫の治療の一つ)との併用では無病再発率61%という非常に良い成績が示されていた。
それでは再発時に用いられることの多いレブラミド+デキサメサゾンに加えてみたらどうだろうか、という研究の結果が有名な医学雑誌『The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE』に発表された。569人の患者が対象となり、daratumumabを加えた群(A)とそうでない群B(レブラミドとデキサメサゾンだけ)とで比較したところ平均13.5か月の観察で病気が進行したのはA群が18.5%に対してB群は41%、奏効率はA群92.9%、B群76.4%、完全寛解になる率もA群43.1%に対してB群19.2%と、どれを比較してもdaratumumabを加えたほうがレブラミド群よりも良かったという結果になった。好中球減少や血小板減少が副作用としてみられる。
骨髄腫の治療は次の時代に入ったといわれる。初期治療はそこそこ上手くいくようになったところで、再発や治療抵抗性の人にどのように治療を選択していくのかは、とても難しい。薬の種類がたくさん出てくる中で、臨床試験と現実の患者さんは同じようには結果が出ない。使ってみないと感覚はわからない。しかし様々な組み合わせの薬剤が出てくる中で何れの薬剤も高額であり、費用対効果も考えに入れて治療を選択していかなくてはならない。
患者さんにとっては薬剤の選択肢が増えた分、生きる可能性は広がるのであるが治療も続く。多方面のことを考慮に入れながら治療選択をしていかなくてはならない。

 

2016年

10月

01日

いろんなものがインターネットにつながるIoT

あらゆるものがインターネットにつながるIoT。そこに人工知能を搭載して進化する家電がすでに発売されているという。
日経新聞に載っていたこの記事。シャープが発売したオーブンは音声認識や人工知能を搭載していて、クラウドサービスを通じて献立相談をしたり出来るらしい。まだまだ音声の聞き取りなど十分でないものもあるであろうが、将来は体調に合わせて料理を提案し、さらに材料を入れたら作ってくれて出てくる、なんてことになるのではないだろうか。
例えば体重管理や血圧管理がスマホでなされて、それをみて塩分制限やカロリー制限が自動的にされる。さらに冷蔵庫の中にも余分なものがないようになり、必要であれば通販にてお届け。宅配冷蔵庫に保存される、なんてなるのもそう遠くないのだろうか。そのうちセンサーが体内に取り込まれてビタミンや血糖などを測定し、不足分をとる指示をする。用意までしてくれる機械が自宅に配備されるようになり、病院にもあまり行かなくて良くなるかもしれない(まるで機械人間のようだ)。ますます我々は便利になり自分で頭を使う意志・気力がなければ、それはそれで生きていける。
人間の頭は徐々に退化してしまい人工知能だけが発達してしまう。でも情報は一括されて似たような嗜好パターンになるはずで、画一的な好みの人を作ることにもなってしまうのではないかとも思う。今後も人工知能、IoTの話題から目が離せない。

2016年

9月

30日

金木犀が今年はよく香ります。

ある患者さんが、<金木犀を大切に育ててきました。この時期を逃すと残念なので、退院させて下さい>と退院を希望してきました。その気持ちわかる!!ということで、状態も安定してたため退院許可しました。病室では窓は大きく開けられないこともあり、芳しい香りを楽しむことが出来ません。

今週からいっきに香り始めた金木犀。私も一番好きな香りです。今年はいつもより香りが強く感じられます。この時期になると辺り全体が風の流れとともに金木犀が香るようになります。その場よりも少し離れたところから、もしくは通り過ぎてから香るということがよくあります。
丁寧に育てると大木になるのですが、一般家庭では刈ってしまうためになかなか大きくはならないでしょうが、植物園では桜の木よりも大きくなります。神奈川県立フラワーセンター大船植物園にも大木があり、傍を通るとふわーっと匂ってきます。病院の自転車置き場の垣根にも植えられていて、あと1週間位楽しめそうです。

2016年

9月

27日

大口病院における事件

神奈川県横浜市にある大口病院にて点滴内に消毒薬が混入されて患者が殺害される、というショッキングなニュースが舞い込んできてワイドショーはもちきり。それを食事をしながら、自らも点滴を受けながらテレビを観ている患者さんはどんな気持ちだろうと思ってしまう。実際患者さんからは「これはどんな点滴なの?色がついているけれども?」などの質問を受けることが多くなった。

そう、病院は安全な場所ではない。点滴には色々なものが混ぜられる。ビタミン、電解質にはじまりインスリン、ヘパリン、抗生剤などなど。これらは薬剤室で調整ではなく病棟で混注される。3日間も置きっぱなしということはないが、使用する点滴は前日に大きなカート(食事を運ぶような乗り物)に乗せられて各病棟に配分されている。誰でもが手をつけられないようにカバーはしてあるが、病棟で使用するときにはそこから出して点滴台という詰め物をする台の上に置かれる。担当の看護師が自らの患者の点滴を準備して電子カルテとともに患者のもとに行く。点滴類は当院ではバーコードシステムで管理しており、患者名をリストバンドと点滴の名前とで照合し、患者間違えをなくす仕組みをとっている。
だがいずれもやろうと思えば点滴内に物質を入れることは出来てしまう。今回はおそらく内部告発で、見ていた人は前から知っていたのだろう。今後厚生労働省がなんらかの規則改定を行ってくる可能性があるが、現実的には点滴を薬剤部内で一括して混注し病棟へ上げるということは出来ないであろう(大量の点滴を薬剤部だけでは処理しきれないはず)。どういう指導がされるのか、事件の推移を見守っている。

2016年

9月

22日

ボストンにて国際医療リスクマネージメント学会

私は医療安全管理者としても院内で勤務していますが、そのメンバーである看護師の鵜川氏らがまとめた院内での転倒転落のデータと、その対策からみえてきた改善データをボストンで開かれた国際学会にて発表し、私も同行しました。何度もプレゼンテーションの練習を行いその日に備え、当日は英語でのプレゼンテーションも成功させました。ポルトガルから来ていた看護師の研究者の人からの質問や、病棟における患者層の違いに意見が出されました(かなり高齢者だとおもったのでしょう)。
我々は入院してきたすべての患者さんを入院当日に転倒しやすいかどうかのアセスメントをし、点数に応じてリスクの高い人にはバンドやベットサイドにマークをつけたり、またリハビリを早期から取り入れたりしています。アセスメントは連日・随時行われ、患者さんに対しては最大限転倒しないための対策をとっていますが、それでも転倒はおきます。100%なくすことは無理なのですが、事前にリスクを限りなく回避して損傷(つまり骨折など)を起こさないようにすることが大切なのです。血液内科でも比較的意識のはっきりした人が治療を受けているわけですが、熱がでたり鎮静薬、鎮痛薬を使用することで急に転倒しやすくなるため、同様の対策・リハビリとの情報共有は毎週行われています。

2016年

9月

19日

10月2日にテレビ神奈川で放映されます。

お知らせです。「秋のかながわ献血キャンペーン」と題して、テレビ神奈川で当院の輸血部門が紹介されます。先日取材がありましたので興味あるかたは是非ご覧ください。

10月2日(日)TVK朝9時半から10時放送予定です。

2016年

9月

18日

来年度初期研修医採用試験 開催

今年も初期研修医選考試験の時期がやってきました。日曜出勤だから大変でもあり、しかしやる気のある若い学生さんたちの面接をすると、こちらも勇気をもらいます。若かりし頃そんな夢をもっていたな~、なんて思うのです。私たちの頃は面接くらいでマッチング試験なんてなかったけれど、今の人たちは病院見学に行って面接受けてマッチングがあって・・・とさながら世間の就職活動のようです。本当に当院に来たい学生さんは何度も見学にきているようです。
それにしても優秀な若者がたくさんいるもんだな~と思ってしまいます。我々の頃に比べたら英語に対する抵抗のない人が多いですし(当院にはそういう人が集まりやすい)、将来のビジョンを持っている人が多いように見受けられます。ただし面接だけではわからないものもしかり。今年からグループワークを取り入れながら違う方法でその人を評価するということを試みました。グループワークでの印象と面接での印象が違う人もいて、人を評価するのはとても難しいところです。
専門医制度の混乱の関係から今年は大学に残ろうとしている学生さんも多いようです。我々にとって研修医のエネルギーが病院のエネルギーともなっていますから、しっかり確保することが我々の重要な仕事なのです。

2016年

9月

16日

たとえ90歳になっても世界記録はとれる

こちらの外来の患者さんが途切れているとき、隣室の患者さんの声はよく聞こえるもの。
先日も隣りから聞こえてきた話から、すごい患者さんがいるもんだと感心してしまった。声からしてどうも90歳前後の女性。とてもはつらつした元気な様子。週2、3回水泳をされているようだ。先日チームのタイムトライアルのようなもので世界記録を作ったというではないか。その年齢まで趣味ではなく記録に挑戦するなんてすごい。病気はあってもそれは病気ともいえないなと思う。
60歳を過ぎてからその半分をまた繰り返さなくてはならないほど人生があるということ。がんばれば第2の得意なものを作れるだけ時間があるということでもある。朝日新書から出された斎藤孝氏の『年をとるのが楽しくなる教養力』というのを読むと、年をとるのを怖がるのではなく前向きにとらえようと思えてくる。また日経ビジネスでもサラリーマン終活として特集が組まれていた。このようにこれからどうしようと悩んでいる人も多いということか。周りには参考になる方々が意外とたくさんいるように思います。

2016年

9月

13日

イタリアの歴史教科書にあるすごい言葉

歴史を勉強し直すための本が、今たくさん書店に並んでいる。懐かしい山川出版社の世界史教科書があったり、あるいは売れている作家の切り口でまとめた歴史書だったり。でも西洋の英雄を学ぶなら塩野七生氏の作品でしょうか。
『ローマから日本が見える』(集英社文庫)という作品は2008年のものですが、ローマの英雄達をずらっと評価していておもしろい。ローマ人の物語を全部書き終えての貫禄ともいえる人物評価、歴史観に圧倒される。最後についていた付録の英雄たちの通信簿というのがこれまたおもしろい。そこにまず出てきたのがこれ。
<指導者に求められる資質は次の5つである。知力、説得力、肉体上の耐久力、自己制御力、持続する意志。カエサルだけがこのすべてを持っていた。>とイタリアの普通高校の歴史教科書にこのように書かれているのだという。すごいことがイタリアの高校の教科書には書いてあるもんだと思ったけれども、この5つの基準に基づいて英雄たちをばっさばっさと評価しているその後の文章もおもしろいので、ぜひ将来リーダーを目指されるかた、かたいリーダーシップの本だけではなく、読んでみてください。

2016年

9月

12日

ホジキンリンパ腫と心血管系の病気

若いときにホジキンリンパ腫になって治療をうけ生き抜いた人では一般人に比べ心血管系の病気にかかるリスクが高くなる。そんな報告がだされた。(Lancet Oncology July25)

350人のホジキンリンパ腫の治療を終えて12年以上たつ人と、それと対照になる年齢、性別の人を比較して調べたところ、50歳までに重い心血管系の病気にかかった人はホジキンリンパ腫46%に対してそうでない人16%と大きく差がでた。治療はもう10年以上前である人達のため、放射線治療は90%の人がうけていて、36%が心毒性のあるアンソラサイクリン系の薬剤を投与されていた。放射線治療の量が多いほうがよりその頻度が高かった。放射線治療(特に胸部)+抗がん剤治療が心臓にダメージを与える。とはいえホジキンはしっかり治療をすれば治癒が望める病気であり、しっかり治療をして疾患を治すことが大切だ。最近ではステージの低い人には治療サイクルを減らしたり、放射線機械の進歩により、より照射野を減らすことがなされている。しかしホジキンリンパ腫は2次発がんの問題もある。治療を終えた患者さんにもますますこの心血管系の問題とともに長期的なフォローが必要であろう。患者さんもそのような治療を受けた人では高脂血症や糖尿病、肥満に留意することが大切であろう。

 

2016年

9月

09日

本年度QI大会が開催されました。

病院経営にQIという指標が用いられて久しい。QIとはquality indicatorの略で、医療の質をデータで測ろうというものです。同じ定義を用いれば病院間で比較することも出来ますし、また院内でより良く改善するためにある測定指標を決めてそれを追い、データを出して結果に結び付いているか評価するというものです。例えば術後の感染症、手術の合併症率というのもありますし、また私がグループ長を務める離職防止のプロジェクトや待合時間の短縮というプロジェクトも病院内では行われています。それらの結果報告がこの日開かれました。各部門、医師以外の職員もかなり色々な点からデータをとっており、気づきがおもしろいなと思わせるものもたくさんありました。
当院ではこのような発表会を数年前から行っているのですが、全国規模でも広げようということで徳州会全体の大会が行われることになったそうです。

2016年

9月

08日

ダブルレインボーが西の空に

この日の朝の出勤時、病院近くの跨線橋で女性が西の空に向かってカメラを向けていました。なんだろう・・・と思い見てみると、虹が出ていました。いやいや、ただの虹ではありません。2重の虹、ダブルレインボーです。さっそく自転車を降りてカメラを向けた私。おかしな人と思われていたかもしれませんが、必死でシャッターを切りました。最近大気が不安定で急に雨が降ったり日が差したり。他の日も虹が見えましたがすぐに(数分で)消えてしまいました。
そんな儚いものですから、この珍しいダブルレインボー。見逃すわけにはいきません。実際2分後違う場所からはもう見えませんでした。
ダブルレインボーには「祝福」と「卒業」という意味があるとか。この写真をみていただいたかたにも良いことがありますように。

2016年

9月

06日

楽器から生じる肺炎?

ある楽器を演奏する患者さんから自分は大丈夫かという質問うけたので、その医学記事を紹介します。バグパイプで過敏性肺炎となり死亡した症例です。

今回報告されたのは、2009年に過敏性肺炎と診断された61歳男性の症例。男性は症状が悪化して呼吸や歩行が困難になり2014年に入院。過敏性肺炎と診断されていたものの、原因は不明のままだった。男性はハトを扱うことはなく、喫煙もせず、自宅にカビや水害の徴候はみられなかった。趣味としてバグパイプを毎日演奏しており、楽器内部の数カ所から検体を採取し検査したところ様々な種類の真菌Paecilomyces variotti, Fusarium oxysporum, Penicillium species, Rhodotorula mucilaginosa, Trichosporon mucoides and Exophiala dermatitidis.など多数認められた。

管楽器の内部は湿度が高く真菌やカビの増殖が促進され、これを日常的に吸い込むことで過敏性肺炎という肺の慢性炎症性疾患を引き起こした可能性があるとのこと。
男性は治療の甲斐なく死亡し、剖検の結果肺が著しく損傷していたことが判明した。これまでトロンボーンやサキソフォンの奏者では過敏性肺炎の症例が報告されている。バグパイプに関係する症例はこれが初めて。使用後はすぐに楽器を掃除し、乾燥させることでこのリスクを軽減できる可能性があるという

過敏性肺炎では、その菌が増殖して起こしている肺炎とは病態が異なる。本来病原性や毒性を持たないカビ(真菌)や動物性蛋白質などの有機物、あるいは化学物質などを繰り返し吸い込んでいるうちに肺が過剰反応を示すようになり、その後に同じもの(抗原)を吸入すると肺胞にアレルギー性の炎症が生じて発症する。この炎症にはTリンパ球や抗体とよばれる免疫分子が深く関わっている。
抗原にさらされると強い炎症が生じ、発熱やせき、呼吸困難感、だるさなどの症状があらわれ、環境から離れると症状が軽快・消失し、再びその環境に戻ると悪化する。このような状態が続くと肺に線維化とよばれる不可逆的(もとに戻らない)な変化が生じ、抗原にさらされていなくても常に咳や呼吸困難感で悩まされるようになってしまう。(日本呼吸器学会ホームページより抜粋)

日本に多い過敏性肺炎には、
1)夏型過敏性肺炎:高温多湿になる夏季に発症しやすく、風通しや日当たりが悪く湿気の多い古い家屋を好むトリコスポロンというカビが抗原です。
2)農夫肺:北海道や岩手県などの酪農家にみられ、干し草のなかの好熱性放線菌というカビが抗原です。
3)換気装置肺炎(空調肺、加湿器肺):清掃を怠ったエアコン(空調)や加湿器に生じたカビ類を吸い込むことによって発症します。
4)鳥飼病:鳩やインコなどの鳥類を飼育している人に発症します。抗原は鳥類の排泄物に含まれる蛋白質といわれています。
5)職業性の過敏性肺炎:キノコ栽培業者がキノコの胞子を吸入して生じる過敏性肺炎やポリウレタンの原料であるイソシアネートを吸入して生じる過敏性肺炎などが知られています。

肺に陰影があるとなにか感染症であろうとすぐ考えてしまいますが、このようにアレルギー的な反応としての肺炎があることを改めて意識して問診で詳しく聞くことが大切です。

 

 

2016年

8月

28日

骨髄腫新薬daratumumabとBD療法の臨床試験結果

daratumumabは形質細胞がもつ表面抗原CD38に対する抗体薬剤である。最近の血液関連の国際学会でも話題になっているがまだ国内使用は認められていない。直接的、間接的に形質細胞に作用し治療効果をもたらす。補体関連、抗体依存性などの細胞障害の方法のほか、細胞の貪食を高めたり、Tリンパ球を増加させたり活性化させる作用ももつようだ。単剤でも31%の効果があるということで非常に期待されていたが、これを現在の標準的な骨髄腫の治療であるBD(ベルケイド+デキサメサゾン)療法に加えてどのくらい効果があがるのか、副作用がどうなのかをみた研究の結果がこのたびNEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINEに発表された。498人の治療抵抗性、再発の骨髄腫の患者さんを対象にBD療法群とdaratumumabをBD療法に追加した群の2群にわけて治療が行われた。平均年齢は64歳、診断時から平均3.8年経過、少なくとも2つ以上の治療をうけていて、65.5%は以前にベルケイドの治療を受けていた。平均7.4か月が経過観察されているが、予測値で12か月の無増悪生存期間はdaratumumab群では60.7か月、BD群26.9か月、奏効率もdaratumumab群では82.9%BD群63.2%、VGPR以上の奏効率もdaratumumab群では59.2%BD群29.1%とよかった。副作用としては点滴投与する際のinfusion reactionが45.3%と高いものの対処可能であり、またWBC減少、PLT減少が主なものであった。
非常に期待される薬剤であり、この結果から多くの血液内科医が期待している。ますます骨髄腫の治療選択に幅ができることになる。

2016年

8月

27日

顔認証システムの進歩

あるテレビ番組で顔認証システムの進歩について紹介されていた。日本は世界最先端をいっているらしい。単なる輪郭の認識だけではなく、眼鏡をかけていても、帽子をかぶっていても横顔でも認識するらしい。また10年くらい年をとっても認識できるようだ。

あるスーパーでは万引きに困っていたところこの顔認証システムを導入して半分以下にする成果をあげている。またデパートなどでは顔認証から男女、年齢層を割り出し、それを顧客データに用いているという。顔登録をすれば顔認証で支払いができるコンビニなどもあるようだ。

私は病院でも早くこれを導入したらいいのではないかと思っている。まずは患者さんも顔登録すれば患者確認が認知症でいえなくても家族が付き添いでいなくても患者確認できてカメラを通れば受付ができたらいいし、またそのままカード決済ができたらいい。病院にも泥棒がでたり不審者がでたりするのもわかるし、患者の無断外出もわかる。医師やスタッフの出勤退勤も顔認証で早いものですし、こんでいる病院コンビニも顔認証決済で給料天引きされたら便利だな~と思う。電子カルテも顔認証でパスワードなどいれなくても起動したら、手にものをもちながらでもカルテが開け、本人がいなくなって時間がたてば自動的に消えるのであればそれも便利。

企業はオリンピックのある2020年には多くの施設で導入して海外にもアピールしたいと考えているよう。ますますいろんな施設で導入される日も近いかもしれません。でもよく似た顔ってあるけどそれは大丈夫なんでしょうか、疑問に思います。

2016年

8月

25日

シンクロナイズドスイミング 井村監督の言葉

リオオリンピックが終わった。日本人の活躍は本当に目覚ましいものであった。帰国したメダル選手がいろんなインタビューにでていますが、それもつかの間でまた4年後の東京にむけて試練がはじまるのですね。さてシンクロナイズドスイミングは鬼監督といわれる井村監督のもと、期待どおりデユエットもチームも銅メダルを獲得した。井村さんは必ず選手を高みに押し上げて結果をだす。なぜなんだろうと思っていた。一流の監督、指導者はどんな姿勢で才能のある選手に臨むのだろう。そして自分ではなく他人に結果をださせるのだろう。とても関心がある。
その答えは帰国後のインタビューや練習風景などの中で語っていた井村氏の言葉の端々にあると思った。若い人たちを指導するのにヒントとなる言葉があったので紹介します。

私(井村氏)が心がけているのは、わかりやすい指導者であるということです。怒られる基準が曖昧だと、選手は何をしていいのかわからず不安だと思うのです。だから、私は選手に「私はこういうことが大嫌い。こういうことをしたら怒るから」と、怒るポイントを必ず伝えています。
指導をする上で「具体的なゴールがしっかり見えている」ことが何といっても大切です。その子をどうしてやりたいのか。どんな演技をさせて、どんな結果を出させてあげたいのか。そのために、どんな技術をいま身につけさせなければいけないか。そういうゴールがあやふやなままで、ただ「頑張れ」なんて言っている人は指導者失格です。
ほめていたらだめなんです。自分はもうここでいいんだと思ってしまうから。結局のところ、世界で戦えるレベルにまで登りつめるには、ほかの人より努力するしかないんです。

ほめて伸ばすことを推奨される世の中ですが、一流を目指すのにはほめてしまっては個人の限界をきめてしまうことにもなるということなんですね~。そして明快なゴールを具体的に示すことが大切なんですね。そしてやはり人より努力。これはいつでも変わりません。演技をする前の選手が、<これだけ練習したのだからあとは出すだけと言い聞かせられた>といっていたのを思い出しました。

2016年

8月

14日

世の中のお盆休み

世の中は8月11日からお盆休みに入っている。病院も今週は空いていて、患者さんから「こんなに採血の待ち時間が少ないのは初めてだ」と言われた。しかし毎週輸血される方などはお盆休みなど関係なく、いつも通りに通院されている。
お盆休みも週末になると開業医も休み、公立病院も休みであるために、しばしば救急や転院の受け入れをしなくてはならなくなる。今週もそんなことがあったが、当科の若い先生が自分の休みがなくなることも承知で重症な人の転院を引き受けた。誰もが週末の午後遅くの転院なんて受けたがらないものだ。それを快く引き受けたことを聞き、私はとても嬉しかった。当院には昔から<患者さんのため、困っている人がいれば受け入れる>というポリシーがある。その気概を若い人が受け継いでいてくれていたから嬉しかったのである。患者さんに罪はない。治療が遅れたり上手くいかなかったとしても、縁があって当院に来たからには来て良かったと思う医療を提供したいと思う。それを提供できる人材、技術が当院にはあると思う。

でも、ふと働き始めてからお盆休みは一度もなかったな~と思う。一般の方々が孫が来る話や家族での食事の話など楽しそうに話しているのを聞くと、ないものねだりで羨ましく感じることもある。
しかし自分には別の与えらえたものがあるであろう、と思うことにしている。

2016年

8月

13日

湘南サマーセミナー 開催

湘南サマーセミナーが8月13日土曜日に開催されました。これは毎年夏休みのこの時期に医学生を対象に、当院の研修を知ってもらうために開催されるもの。今は内科、救急、外科に加えてブランチ先生のレクチャー、外科手技の講義など盛り沢山だ。私もスメアのみかたの講義をさせてもらった。
当院の研修を考える学生にとってはとても魅力あるプログラムであると思う。録画も撮り、病院あげての行事となっている。でもこのセミナー、一番最初に始めたのは私である。もう誰も覚えていないだろうが。当時研修医を集めるのは、大学やその周辺のホテルで説明会を開催する方法が主体であったのを病院内で開催する方式をとってブランチ先生の講義なども取り入れた新しい方式をとった。でも研修事務局もなく、医学生への連絡やプログラム作成、食事の準備、開催すべて自分1人でやったんだよな。協力をしてくれる人は少なかった。もう10年以上前であろう。今はプレゼンテーションの得意な若者が主に運営し、事務的な作業は事務局がすべて請け負ってくれている。人集めが本当に大変な時代があったことを忘れず驕らず、若いかたには新しいものを作っていってほしいと思う。

2016年

8月

06日

リオオリンピックが始まった

リオオリンピックが始まった。この日の朝の患者さんのテレビはどこも開会式の映像であった。このオリンピック、なんか不思議である。ブラジル大統領が業務停止されたままであったり、またロシアのドーピング問題もオリンピック直前でとても政治的なきなくさいにいがするし、ジカウイルスの問題もしかり、いまだにオリンピック反対運動があったり、また海の水が汚れ過ぎて海で行うスポーツ選手には海の水をのまないように警告があったり、健康被害を恐れて一部の選手は参加をみあわせたりと、いろいろあって、でもなんとかりっぱな開会式を終え、魔訶不思議なオリンピックである。しかし五輪は五輪。名誉ある勝利めざして選手は戦う。私はとても試合全部をみる勇気がない。はらはらしてしまってだめなのだ。好きなのは陸上と水泳。限界まで鍛えられた肉体美を感じる。これからの2週間は回診ではさりげなくテレビの映像もみせてもらいながら談笑しながらの回診となるだろう。

2016年

8月

02日

作家 澤地久枝氏の言葉

作家の澤地久枝氏のインタビューが日本尊厳死協会の冊子の中にのっていてれがとても素晴らしかったので紹介します。

澤地氏の作品を私は読んだことがなかったのですが、妻たちの2.26事件などのノンフィクションをてがけておられる。3度も心臓手術を受けられておられるが今も85歳でもあるがまだ作品を発表されている。
彼女がいっていたのは、64歳でまだやりのことしたことがあるとスタンフォード大学に訪問研究員として留学しています。そして70代はまだ若いと80代になって体の弱さ、疲れの程度が違うことを自覚されていると。そして<生活が自分の力で営まれている、誰かの助けでなく自分の意志を通してここまで生きているのは本当に幸せなことだと思うんです。生きてきた果ての答えとして今の自分の人生があるわけです。>と述べられています。作品を世に出す人は作家であれ、画家であれ長生きなかたが多いとどこかで読んだことがありますが、それにしても<生きてきた果ての答えとしての今の自分>といえるようになりたいものです。

2016年

7月

30日

湘南鎌倉総合病院 後期研修医 来年度募集の会

この日毎年行われる湘南鎌倉総合病院内科後期研修医の説明会が都内で開催された。
本当は来年度から新しい研修専門医制度が開催される予定であったがこの7月に1年延期が決定された。とはいえ、これまで通り我々の病院はかなり自由度の高い研修プログラムで各科をローテーションできる。当院はマグネットホスピタルとしても機能し、離島応援やその他の研修病院へ応援を出すための基幹病院となっている。だから当院に研修医がしっかりきてくれないと徳洲会の離島派遣もうまくすすまない。しかし離島応援は若い先生がたにとっては魅力的であり逆にそこに人気もある。
さてこの日は聖マリアンナ医科大学の北野夕佳氏が登場してブランチ先生との臨床診断をどうやっていくかという実力みせあいカンファレンスが行われた。我々上級医にもためになるものであった。診断を得意とする二人がどのような思考過程で診断に至るのかを垣間見ることができた。また北野氏の、常に診断の中にもコモンなもの(一般的なものから)順位をつけて、また検査をする前の予測をつけて検査結果をみること、といった診療における姿勢も話され共感できた。

2016年

7月

30日

14F病棟の看護師さん 新しい旅立ち

14F病棟の中堅ナースとして長い間支えてくれた成田さんが今月いっぱいで病棟を去ることになった。そのお別れ会がこの日開かれた。
彼女のもつ新しい夢にむけていったん病院を離れる。またいつかやはり湘南鎌倉がよかった~と戻ってくれるのではないかと私はおもっているのだが・・・。
彼女とは患者さんについて深く討論したこともあった。長期的な方針について自ら投げかけてくれた。優秀で前向きなので、ナースプラクテイッショナー(一般看護師よりも医師の補助がでてきる新しい資格)をとってみたら・・・なんて話もしたこともあった。お別れ会の最後では若い看護師さんはまるで姉貴が嫁にいく・・・みたいな感じで涙涙の最後であった。いかに慕われていたかがわかる。元気でまたお会いできる日を楽しみにしています。

2016年

7月

29日

内科チーフ交代式

内科初期研修医、後期研修医のまとめ役をやるのが5年目の役割である。これをチーフレジデントという。今は業務も大変なので4か月交代である。そのチーフの交代式はいつも若者が勢ぞろいしてその労をねぎらう。チーフの仕事は、各科の利害関係調整、研修医の調整、カンファレンス調整などなど。いろんなところに気をきかせなくてはならないし、各科の間にはさまれて患者のやりとりでつらい思いをしたりする。それもでも人生経験だと思うので、若い研修医の人たちにはぜひその仕事をするようにすすめている。だってビジネスマン、大学などなど実社会もっとつらい思いすることがあるはずだから。人生において若い時期に一度はこのような仕事をしておくと将来リーダーになるのに何が自分に不足しているか、自分がどんなことが得意かわかるのではないかと思うし、そういうことをやっているとまた上の苦労もわかるというものである。もう20歳以上も離れてしまってこういう会にいっても場違いな感じがして居所がつかめないというのも事実ではある。

2016年

7月

27日

フルオロキノロン系の抗生剤

フルオロキノロン系の抗生剤(シプロキサシン、レボフロキサシンなど)は、内服でかなり広範囲の菌をカバーすることもあり使用しやすい。我々血液内科医もよく使用する薬剤である。免疫力が低下した人の発熱時に外来で飲ませたり、また急性白血病の治療の感染予防投与に使ったりする。
しかしこれらの薬剤にはかなり深刻な副作用が出ることがあり、アメリカのFDAが今回注意喚起を改めて行った(これにはアメリカの抗生剤使用減量したいキャンペーンもあると思われるが・・・)。この薬剤の重篤な副作用には腱の炎症、腱の断裂、筋肉痛、筋力の低下、関節痛、関節腫脹、末梢神経障害、中枢神経症状(うつ病や神経症など)が含まれる。すべての人におきるというわけではないし、それほど腱や筋肉の副作用が多いかと言われれば私も使用頻度に比較してほとんど経験がない。しかしFDAの医療関係者は副作用のことを考えて、単純型の尿路感染症や急性副鼻腔炎、慢性気管支炎の急性増悪などにはキノロン系の薬剤は第一選択薬ではなく、他の薬剤が使用できない時などの選択肢とし、そのような腱や筋肉疾患の既往がある人には使用は避けたほうが良いと提言している。少なくともこれらの副作用に気を配りながら使用していくことが必要であろう。

2016年

7月

23日

病院周辺地域の夏祭り ロジュマン祭り

病院の周辺にはマンション群が立ち並ぶが、中でもロジュマンというマンションは築40年になり、中には広い敷地をもち広大な所有面積である。バス停もあって、洒落たベランダからはかつてはさぞかし富裕層のマンションであったことがわかる。年数を経て住人が高齢化する中でも自治活動をよく行っているマンションであり、ここの自治会長さんには当院の研修委員会の外部委員も務めていただいていてお話しを伺ったことがある。

さて、このロジュマンで毎年夏祭りが行われる。出店もでて盛大であり、他に後から建ったマンションも参加し、また当院からも出店がでるので少し覗きにいってみた。地域の子供たちも大勢遊びにきていて、地域の夏祭りとしては盛大であった。続けるのはなかなか大変であろう。リーダーの方々、住人の努力であると同時に、このような組織は災害時にも強いだろうなと思った。マンションを選ぶうえで、新しいだけじゃなくてこのような地域活動がどうなのかも、その価値を見極めるうえで大切であろうと思う。

2016年

7月

22日

aHUSの勉強会 in yokohama

この日横浜で非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の講演を、その第一人者である東京大学医学部附属病院の南学正臣先生がされるというので聞きにいった。とても分かりやすい講義で、自分の頭も整理できた。
 この疾患は溶血と血小板減少で来るのだが、非常に腎障害をきたしやすい疾患である。血液内科にくることもあれば腎臓内科、あるいは総合内科で診たりと色々な診療科にかかる疾患であり2013年に一度国内で診断基準が出されたが、国際的な動きや薬剤の保険適応などから2015年に診療ガイドが出されこの疾患概念が変わり、補体に関与する分子の異常で起きているものをaHUSと診断つけることとなった。ここがポイントである(以前の診断では補体制御異常のほかに、薬剤や感染、自己免疫異常などでおきるものもaHUSに含まれていた)。
補体の制御異常でおきるものではエクリズマブという薬剤が非常に効果があり、1週間以内で血小板減少が回復してくる。しかしこれを長期的に2週間に1回使用すると非常に高額な医療費となることもあり、正しく患者に使用するということもあり、このような改定がなされたようだ。
このaHUSは先天性と後天性があり、先天性でも成人になって感染を契機に発症することもある。後天性は全体の10~20%で、補体の制御因子であるH因子に対する抗体をもつ。aHUS事務局があり、診断のための特別な溶血検査や抗H因子検査、遺伝子検査などを行ってくれる。ただし血漿交換を行う前に多めに血漿、血清を(容器4本ずつ以上)とっておくのが良い。
aHUS事務局のアドレスが紹介されていましたのでここにご紹介します。ahus-office@umin.ac.jp  です。

2016年

7月

22日

湘南藤沢病院のJCI受診前サーベイに行きました。

湘南藤沢徳洲会病院は我々の兄弟病院のようなもので、もとは茅ヶ崎市の駅前にあった茅ヶ崎徳洲会病院が移転したもの。
実は私の初期研修の開始はこの茅ヶ崎徳洲会病院であり、どこか他人事とは思えない懐かしい病院であり、かつて教えていただいた看護師さんや当院で働いていた職員が転勤していたり再雇用されているので、他病院という感じがしない。かつて20年以上前に一緒に働かせていただいていた消化器の先生が副院長としていらして、これまたびっくりした。
 さて、この病院が移転して新しくなったこともあり国際病院評価であるJCIという認証を受ける準備をすすめている。来月審査の予定であり、その前に出来ていない点などをJCI経験病院である我々が指摘するサーベイに、この日各部門から代表がでて私も参加してきた。
 改革を行うときにいつも障害になるのは医師。私も自分達がJCI受審の時には乗り気でなかったので、そちらの病院の医師の気持ちは分かる。しかし、受診して確かに病院の安全に対する意識はレベルが上がったと思うし、そういう病院で働いているという意識が職員には自信となる。国内の大学病院でも受審を諦めた病院もあると聞く。職員全員の意識改革がかなり大変なこと、お金もかかるため上層部の絶対やるんだ!という意識がないと、なかなか受けるところまでもっていくのは難しい。
 直前1か月。まだまだ職員教育に時間をかけなくてはならないが、がんばってほしいと思う。

2016年

7月

21日

高額薬の適正投与に厚労省が指針

新規抗がん剤は我々血液内科の領域も含め、非常に高額な薬剤費となって保険財政を圧迫しているのは事実。現場の医師はこのままでは保険が維持出来なくなるのでは、とますます心配になってきている今日この頃である。特に話題になっているのはオプシーボといわれる小野薬品の薬剤。現在悪性黒色腫、肺がんに対して保険適応されているが、一人あたり年間3500万円かかり、しかもすべての人に効果があるわけではない。近いうちにホジキンリンパ腫でも承認されるといわれている。
さて、この日日経新聞の朝刊一面トップでこの薬剤に関係する記事が報じられた。厚労省が使用できる病院に専門医がいること、緊急対応ができることなどの要件をつけるということらしいが、それでも多くの抗がん剤を使用する病院ではそれらを満たすことになるため、医療費の高騰は避けられないであろう。ある程度の自己負担を多くするようにするのか、使用患者をもっと制限するなり踏み込まないと、本当に制度としての保険が危うくなってしまうと臨床医は心配する日々である。

2016年

7月

20日

”賢者は話すことがあるから話す、愚者は話さずにはいられないから話す” プラトンいわく

ある本の中に登場したプラトンの言葉。

会議の中での発言や皆で集まっているときに自分だけ話す人、時間を考えずにいつまでも話す人。思い浮かぶ人がいませんか。頭の良い人ほどまとめて要点をうまく話し、他の人の話を引き出したりする。そういう人が会議をすると短い時間で終わり充実した会議となるのだが、なかなかそういう会議は作れない。
いつまでも電話をかけている人、べらべら話している人をみると、ただ捌け口を求めているだけだな~なんて思ってしまう。ユダヤの格言の中にも意味のない習慣として”無駄話”というのが書かれている。

2016年

7月

19日

歯科との病診連携

当院には歯科口腔外科がない。厚生労働省は歯科との病診連携を周術期、腫瘍関連の管理で推進しようとしている。
当院でも今年にはいり特に14F病棟で血液に関連した治療をしているかたを中心に、週に1回往診をお願いしている。骨髄腫でビスフォスフォネートを骨の疼痛や骨折予防に使用するが、その患者さんでは顎骨壊死が合併症として知られるので元々歯の問題があるかどうか、より注意が必要な人かどうか診てもらっている。また急性白血病の人なども長期的な治療になり、中には移植を検討する人もいることから早めに口腔内のケア、抜歯すべき歯などを診てもらっている。
7月19日には鎌倉市内の歯科の先生と当院の医師看護師などを含めたスタッフで今後の医科、歯科連携に関してどのように進めていくか、病診連携の会が開かれた。周術期(手術の前後)で口腔内ケアを重点に行うことで誤嚥性肺炎を減らすことが出来たり、栄養状態の改善がみられたりという効果が知られている。今後当院ではその分野も進めていく予定。全国どこをみても、なかなか出来ていない歯科医科連携のようである。

 

2016年

7月

17日

北海道後天性血友病診療ネットワーク

後天性血友病というのは生まれながらにして遺伝的な血友病とは違い、凝固因子に対する抗体が出来てまるで血友病のような出血症状をきたす疾患です。100万人に1人ともいわれ疾患を知らないと見逃すことがありますが、最近では疾患の知名度も上がってきています。
さて、これらの出血性疾患は我々血液内科医が苦手とする領域です。診断がつかない出血性疾患もあります。そのようなときに相談先として”北海道後天性血友病診療ネットワーク”というのがあるのを、たまたま参加していた研究会で聞いて知りました。原因不明の出血性疾患についても相談を受けつけてくれるようで、北海道医療大学歯学部内科学講座で検査などをしていただけるようです。困ったときには参考にしてみたいと思います。

2016年

7月

16日

骨髄腫髄外腫瘤とHDAC阻害剤

Novartis㈱が主催し東京で開催されたHematology Forum2016に一部参加してきた。3連休の始まりで都内から出る車はものすごーい大渋滞、逆は空き空きであった。
さて、話の中で参考になったのはHDAC阻害剤のファリーダックについてである。これは骨髄腫の髄外腫瘤にも効くらしい。髄外腫瘤の遺伝子を調べた研究ではp53の転座、欠失といった遺伝子の異常が多くみつかるようで、この薬剤によりp53の発現が誘導され、アポトーシスが誘導されるメカニズムが考えられているそうである。
髄外腫瘤は骨髄腫の進行期、末期にしばしばみられるもので色々な薬剤が効きにくく、骨髄腫の治療が急速に発達してきた中でもまだ難しい分野である。
またファリーダックの副作用のメカニズムが紹介されていた。血小板減少症がしばしばみられるが、これは巨核球という血小板の親の細胞が作られないのではなく、巨核球のtublinのアセチル化がおこり、血小板が産生されにくくなるのだという。だから薬剤を止めればすぐに回復する。また疲労の問題もしばしば取り上げられるが、これはファリーダックが腫瘍に働いてTNFαを産生することが関係しているようで、ステロイドを併用することで改善がみられるという。

2016年

7月

15日

自分が好きかどうか

ある人から自分を好きになれないと相談を受けたことがある。とても難しい。その人にだって私の目からみれば良いところがいっぱいあって羨ましいのに、自分ではそう思えないそうだ。
自分を最も好きになってくれる人は自分ではないか。それがそうなれないとしたら、人生生きていくのに長すぎる。その生い立ちから振り返ってみないと解決出来ない心理療法的なアプローチが必要なのかもしれないが、ただ他人は自分が思うほどには見ていないし関心をもっていない。だとしたら自分を良く見せるためというのではなく、自分を好きになるために自分を磨く努力をしていくしかないのではないか。
今までが好きでなくとも、これからの自分はまだ好きになれるかもしれないのだから。

2016年

7月

14日

グロブリン点滴をしたあとの検査結果偽陽性

免疫グロブリン補充療法は、化学療法や疾患により低グロブリン血症(IgG,IgA,IgMが低下)になったかたが感染をひきおこしやすい場合に月に1回程度のペースで点滴補充をする。またそれ以外にも血小板減少症や神経系の免疫疾患などで使用される。これは血液から濃縮されて製造されるため製剤の中に様々な抗体が様々な程度で含まれる。
今回出された論文はそれらの抗体が、測定に影響を与え治療を過剰にしてしまう可能性がでてくるというものである。

悪性リンパ腫の治療でリツキサンを使用する場合にはB型肝炎の再活性化が問題となり、我々は治療前にB型肝炎の抗体をチェックする。その他の免疫抑制剤を使用する場合も注意が必要とされる。また好中球が著明に低下する急性白血病の治療などでは真菌性肺炎 なかでもアスペルギルス肺炎が問題となる。これらB型肝炎のスクリーニングとして行われる抗体検査(Hbs-Ab,Hbc-Ab)やアスペルギルス肺炎のスクリーニングとして行われるアスペルギルスGM抗原の検査が、グロブリン点滴により偽陽性となることが示された。
80人のグロブリン点滴をしている人の投与前の検体と投与後の検体を調べたところ、(1)まずB型肝炎の抗体では投与前HBs-Ab 80人中9人、HBc-Ab 80人中1人、だったのが投与後ではHBs-Ab 79人中79人、HBs-Ab 37人中9人が陽性となりいずれも肝炎の発症はないという。投与中に陰性になったものもいるようで、製剤により含まれる抗体は異なるようだ。(2)アスペルギルスGM-EIA法では37人5例が投与前に陽性、投与後は15例に陽性になっていた。
以上から免疫グロブリン投与にてHBV抗体とアスペルギルスGM法が偽陽性に出てしまう頻度が高いことを知り、それらが治療に影響を与える疾患では投与する前に測定をしておいたほうがよいということになる。これをよんで思い当たる患者さんがいて納得!!注意が必要だと感じた。

 

 

2016年

7月

13日

帯状疱疹後神経痛がでやすい血液疾患

帯状疱疹後神経痛(PHN)は帯状疱疹の水疱は良くなって皮膚も良くなりましたね~と言われたあとに、いつまでもビリビリ、ピリピリと続くことがある。患者さんにとって苦痛を伴う痛みである。最近ではリリカという薬剤が奏功することもあるが、何年も悩む方もいる。しかしすべての人にみられるわけでもない。抗ウイルス薬を早く投与することがいいのか、その他のリスク因子があるのか、大規模なデータをもとに解析された論文がイギリスよりでた。

2000年から11年にわたり約12万人の帯状疱疹の患者を調査。5.8%の人が帯状疱疹後神経痛となった。年齢とともにその比率は50-79歳の間で急激に高くなる。中でも免疫抑制をかけているかた、つまり抗がん剤をしている人、ステロイドを使用している人などが多い。リンパ腫、白血病、骨髄腫といった血液疾患、最近ステロイド治療をしている人、リウマチ患者さん、糖尿病、喘息の人も含まれる。リンパ腫、白血病、骨髄腫といった血液疾患ではそうでない人に比べ、帯状疱疹になった時に2倍の比率でPHNになるリスクがある。
また自己免疫性疾患であるSLEはしばしばPHNと関連する。抗ウイルス薬は明らかにPHNのリスクを減らすというわけではないが、白血病、SLE、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喫煙者では少しPHNになるリスクを下げるかもしれないと述べている。Neurology. 2016 Jul 5;87(1):94-102

帯状疱疹を予防するにはワクチンが効果的であるが日本ではまだ使用できないし、そもそも免疫抑制のある人では使用しにくい。高齢者で強い免疫抑制をかける人には抗ウイルス剤による予防投与が必要ということになるのだろうか。

 

 

2016年

7月

11日

不安や恐怖に対する一番の薬は行動である

患者さんが急に白血病と言われたり予後の悪いリンパ腫だとか言われたりして心が不安になるのは当たり前の反応である。すべてを短時間の間に整理して入院し、1か月近く入院だ、途中で具合が悪くなるかもしれないなんて言われたら、そりゃ誰だって心ここにあらず眠れないはずだ。こういう時はとにかくしっかり診断をつけ、早く治療のための道筋をつけ治療にはいってしまうことである。
抗がん剤の説明は我々も行うし、また入院すると薬剤師も改めて行う。それでも言われたことの半分程度は忘れてしまうという。しかし口で説明されても実際やってみなきゃ分からないというのが本当で、一度骨髄抑制期、白血球がどんな感じか、吐き気がどんな感じかが分かり、2回目以降は治療に慣れて取り組める人が多い。最初の不安な気持ちに寄り添うのも医療である。週に1回のリハビリ、看護師、ケースワーカー、薬剤師、医師らを交えた多職種カンファレンスを病棟で行い、情報共有に努めている。

2016年

7月

09日

Carfizomib承認を得て東京で勉強会開催

この7月4日、Carfizomibという薬剤が多発性骨髄腫の治療抵抗性の人に対して厚生労働省に承認された。それにあわせて都内で勉強会があり参加してきた。

国内での臨床試験の成績が紹介された。これまでの治療に抵抗性であった骨髄腫の人にレブラミド+デキサメサゾンと併用して3剤で投与された。Carfizomib(商品名 カイプロリス)は10分程度で行われる点滴である。多発性骨髄腫の現在の治療の主流になっているベルケイドの親戚のような薬剤であるが(プロテアゾーム阻害剤)神経障害が少ないとされる。治療効果も非常に良く、4種類以上の治療をしていても78%効果がみられ、またベルケイド使用例でも100%、レブラミド使用例でも87.5%、予後の悪い染色体異常をもっていても78.6%効果が認められ、しかも多くの症例が3サイクル以内に50%以上蛋白が減少するという切れ味の良さももつ。ただし副作用として血球減少がおきるのと、注意が必要なのは心血管系の副作用であるといわれる。心不全、狭心症にはじまり高血圧になる患者もいるという。高齢者、心疾患をもっている人はその副作用が出るリスクが高いが、予測出来るわけではないらしい。それらに注意して使用すれば、効果は十分期待できる薬剤らしい。使用できるのは8月半ば過ぎであるので、期待して待ちたい。

 

2016年

7月

08日

神奈川骨髄腫研究会 in Yokohama

11回目になるこの会は、骨髄腫の薬剤としてベルケイドが発売されたころに発足した会である。初めの頃ベルケイドによる腫瘍崩壊症候群が起きて、その症例発表したのを思い出す。
骨髄腫の治療はますます進歩し、まるで慢性疾患の管理のようになってきた。あと10年もすると、すべての血液疾患があまり死を考えなくても済む疾患になっていくのではないかとも思えてくる。
さて、この日は横浜市立大の髙橋寛行先生が腎障害のある骨髄腫症例をまとめられて発表。腎障害のある人は効果が出てもやはり予後が悪いことが改めて確認された。
また特別講演として今後の多発性骨髄腫の治療の展望について埼玉医科大学総合医療センターの木崎昌弘教授が話された。今年はCarfizomibという薬剤とElotumumabという薬剤が新たに発売される予定。次から次に出てきてどのように使用していくか、というのが主治医の腕のみせどころとなる。
どれも高価な薬剤だが、これまでの治療薬に効果がなくても効果があるということ、特に木崎先生は抗体治療薬に期待しているという話であった。抗体薬は副作用が少なく、単なる分子的にくっつくという以外に免疫が関係しているであろうとのこと。昨年発売されたPomalidemide、Panobinostatとあわせてどのように使っていくのか、誰も本当の答えは分からないというのが実情である。そしてそれらの治療薬が月間100万円台となり、保険財政の問題とあわせfinancial toxicityという言葉もあるほどであると紹介された。

2016年

7月

07日

人の失敗を許すということ

あるとても優秀な研修医がいたが、どうしても人を許せないところがあった。私も若い頃は自分の倫理観は優れていると自惚れていて、その倫理観から他人に偉そうなことを言っていたのを思い出す。しかし色々な研修生をみて、色々な患者さんをみて、また色々な辛いことがあってすぐには怒らないで、その人がなぜそのような行動に走ってしまったか、なってしまったかの背景要因を考え許せるようになった。人生の学ぶべきことの中でも大事なことである。これが良き人間関係を続けていくことにもなる。
多くの人は間違えをしたときに自分でも悪いと思っていることが多い。その人が十分反省しているのであれば(反省していなければ教えてあげなくてはいけないが)許してあげるということをしてあげましょう。そうしないといつまでも許していない自分も嫌になってきてしまいます。

2016年

7月

05日

T細胞性リンパ腫の勉強会 in 湘南鎌倉

最近製薬会社が主催して行う勉強会は、外の会場で行うことよりもネット回線を通じて院内で開催するものが増えてきている。良い点はすぐに会場にいけること。良くない点としては外出しないことで気分転換が図れない、他施設の先生との情報交換が出来ない、やはり仕事のあとで眠たくなることなどがある。
さて、この日はT細胞性リンパ腫のWeb講演会が院内で開催され、久留米大学医学部病理学教授の大島孝一先生と、九州大学加藤光次先生が末梢性T細胞リンパ腫について講演された。大島先生の話は多くの病理標本をみている経験に基づくもので、特に参考になったものとしては表面抗原蛋白の陽性、陰性の結果がフローサイトメトリーと染色法で異なること(細胞表面のCD3と細胞質内のCD3では結果が異なってでること)、一つの検体に複数の組織像が含まれているとき染色体異常がみられた場合、細胞増殖回転の速いほうの染色体のみが出てきて全体を示しているとは限らないこと、T細胞性リンパ腫がヘテロな細胞集団(色々な種類が混じっている)であること、さらにその中の各分類された組織の中でもまたヘテロであるということを述べられていた。またT細胞のクローナリテイー(一つの細胞由来であること)を示す遺伝子再構成という検査(主にTCR Cβ)は腫瘍細胞の数が少ないと出ないこともあり、それだけで判断は難しいことも注意が必要な点である。

また治療としてはT細胞性リンパ腫はホジキンリンパ腫やB細胞性リンパ腫と比べても明らかに予後が悪い。通常のCHOP療法では病勢がコントロールできないことがしばしばみられる。その中でCD30が陽性であればアドセトリスという薬剤が効果を発揮する。保険的には同薬剤はホジキンリンパ腫、未分化大細胞リンパ腫のみ通るが、理論的にはその他の末梢性T細胞性リンパ腫、一部のB細胞性リンパ腫でもCD30が出ていれば効くようである。
自家移植については議論が残るところであろうようだが、CHOP療法では20~30%程度の生存率を40~50%程度上げる効果はみられるという。そこでCHOPにエトポシドという薬剤を併用してみると(15年以上前は新薬がなくて治療困難なリンパ腫によくCHOP-Eというのをやったんだよな~。知る医師は減ってきている・・・)成績はどうかという研究があり、若年者の末梢T細胞性リンパ腫では追加により効果が期待されるが、60歳以上ではそれが期待されなくなるという。この領域でも新しい薬剤がまた出てくるようである。

2016年

7月

05日

ビスフォスフォネートによる耳の骨の障害

ビスフォスフォネート系薬は骨粗しょう症や骨の転移、多発性骨髄腫の骨関連事象の予防に用いられている薬剤で、我々の領域では骨髄腫で骨痛のある患者さんに月に1回程度点滴をしているゾメタがこれにあたる。

この薬剤の合併症として特徴的なものとして顎骨壊死がよく知られており、歯科治療をする際には薬剤を止めるなど注意が必要である。この合併症はあまりにも有名で、治療医も歯科医もビスフォスフォネート治療患者には注意を払っている。
ところが新に外耳道の骨壊死も起きるとして今年1月、FDAが副作用として注意喚起文書を出している。1万人に1例未満と稀で日本国内では発生例はないそうであるが、ビスフォスフォネートを使用している患者で慢性の耳感染症など耳の症状を呈している場合、あるいは真珠腫が疑われる場合には外耳道骨壊死の可能性を考慮すべきであるとのこと。ビスフォスフォネート系薬による治療中に生じた耳痛、耳漏、耳感染症は耳鼻咽喉科にかけて注意深く観察したほうが良いとMRさんが情報をくれた。

 

2016年

7月

02日

人を助けるという幸福は独り占めにしてはならない

曽野綾子氏が中心になって行ってきた海外邦人宣教者活動援助後援会というNGO組織の活動が25年を迎えたということで書かれた活動記録<神さま、それをお望みですか>を読んだ。もう17年前に出版されたものである。韓国にあるらい病の村の医療施設の支援に始まり、マダガスカルの乳児にミルクを送る仕事、アフリカの様々な教育支援、南米にフィリピンと世界中の国に医療支援、教育支援をしている活動内容を持続させ、企業のサポートなしで寄付により運営。誠実に支援内容を吟味しながら自立を促し、それが正しく使われているかまで確認するという地に足のついた確実な仕事に感動した。我々の医療が無駄だとはいわないが、そこに出てくる現実をみると人間の命には世界で差があることをまざまざと感じさせられる。この状況は20年前と今とほとんど変わっていないだろう。難民が増えているからもっと悲惨かもしれない。今の高度で、時に過剰に行われている医療に対して疑問を感じたときに読むのに良い本だと思う。
 最後にこの本の中で曽野氏も何度か引用されていた韓国の李牧師の言葉を紹介します。<人を助けるというような良いことは、一人の人が独り占めにしてはいけない。多くの人にそのチャンスを分けてあげるようにしてください。>その気持ちで行動する人が増えたら、人はすぐ手の届く身の回りにある幸福をもっと感じられるのではないかと思います。

2016年

7月

02日

臨床研究の講習会 in 湘南藤沢徳洲会病院

徳洲会系列の病院でも臨床試験を行っている病院は多いが年々その施設基準、プロトコール(臨床試験の内容)、実施医師の基準など厳しくなっている。我々も単独ではなく他病院との臨床試験に参加しているが、そのような試験の実施責任者になるにあたり年に1回の講習会が徳洲会内で義務付けられた。そのため、この日湘南藤沢徳洲会病院で開催された研修会に参加してきた。
林健一先生が臨床研究におけるプロトコールの書き方について講演してくださった。試験を組むうえで発表ありきではなく何を解明したいか、それは一般化できることなのか、どのような人に応用したいのか、それが基本として一番大切であること。文章を作成するうえでプロトコールの読み手は(特に審査の段階では)その分野の専門家ではない者が読むことを想定し、特に背景のところに教科書的なことではなくて「なぜその試験が必要なのか」をわかりやすい言葉で述べるのが良いと強調されていた。その点は初めて教えていただいたことでもあり、勉強になった。

 

2016年

7月

01日

血液スメアエキスパートミーテイング in 横浜

このカンファレンスは横浜市大の先生達が骨髄のスメア(スライド)の見方の疑問について検査のエキスパートの先生をお呼びして答えていただくというもので、半年に1回開催されている。そこに我々の病院の血液内科の医師と検査科の人も参加させていただいている。今回で17回になる。
いつも思うことだが、細胞が造血細胞のなんであるのかは簡単であるようでとても難しい。専門家が3人揃っても答えが3つ出ることもしばしばである。だから細胞は1つだけ見るのではなくて全体を通して観察すること、またその患者さんの状態がどんなであるのかの情報はとても大切である。
今回教えていただいたことで印象に残っていることは、健常者でもみられる異形成である。骨髄異形成症候群は芽球の多さや異形成(形がおかしい)がポイントとなるのだが、その異形成が健常者でもみられるとなるから問題だ。高齢になるほどその率は高くなり、特に赤芽球系では1~10%程度にもなる。また喫煙者には赤芽球の異形成の率が高くなるそうだ。でも環状鉄芽球というのは健常人ではみられないそうだ。薬剤性、感染症などでも骨髄異形成症候群(MDS)に特異度が高いとされる偽ペルゲル核もでるというから、これを1~2個みつけてもMDS疑いと決めつけてはいけない。スメアはだから難しい。個々の細胞の顔つきが違うのだ・・・。