湘南鎌倉総合病院
  • 湘南鎌倉総合病院ホーム
  • 湘南鎌倉総合病院アクセス
  • 湘南鎌倉総合病院お問い合わせ
  • 湘南鎌倉総合病院プライバシーポリシー

ブログ

江里ブログ 2017年1月~6月の記事一覧

2017年

5月

13日

ATLに対する講演会 in 九州

ATLL(成人T細胞性白血病)が日本の九州に多いことは知られている。ATLの講演こそ九州の先生のものを聞いてみたいと思い、この日は他の講演会も重なるなか福岡に出掛けた。九州がんセンターの末廣陽子先生によるATLのワクチン療法のお話し、鹿児島大学病院の石塚賢治先生によるATLの治療の展望のお話しは、共に非常に充実したものであった。末廣先生のお話しは感銘を受けたのでまとめてみる。
 ATLは母乳感染が多いHTLV-1ウイルスによる疾患で、キャリアの5%が免疫抑制、あるいは高齢者になると腫瘍化してくる。免疫監視機構が低下し、遺伝子異常が集積して発症してくるのだと考えられている。その責任遺伝子としてTax遺伝子とHBZ遺伝子が知られている。
このTax特異的な細胞障害性Tリンパ球(CTL)が細胞増殖を抑制しているが、この働きが進行とともに低下している。そこで末廣先生たちは樹状細胞ワクチンを開発して臨床試験を行った。アフェレーシスで得られた患者自家末梢血から単球を分離し樹状細胞への分化誘導、成熟刺激後Tax ペプチド添加後に凍結保存した細胞を2週毎に計3 回、所属リンパ節近傍の皮下に接種して安全性・忍容性の検証を行った。急性型の患者 3 症例が登録され、その経過をお話しいただいた。
先生も強調されていたが4年以上も未治療で観察できる症例があり、一度効果が得られると長く効くようだとのこと。ほとんどのATLの進行期では強力な治療をしても13か月程度、移植しても4年生きられるのは27.8%ということからしても非常に患者にやさしく、良い治療であることがわかる。ATLは免疫関与が強い疾患でもあり、今後モガムリズマブ(抗CCR4抗体)、免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療開発が進んでいくであろうと、石塚先生も話されていた。将来ATL患者は母乳感染予防などの取り組みにより減っていくであろうが、なくなりはしない。むしろ高齢者の発症が増えてくるだろう。そんな中、強力な治療や移植に取り組めない患者さんにこの免疫療法は有用であろうし、将来発症しそうな段階でこの治療を行うことで、また落ち着いた状態にもっていけるのではないか、と考えられる。勉強になった会であった。

2017年

5月

12日

シクロスポリンと中枢神経障害

シクロスポリンは我々の領域では免疫抑制剤として、主に再生不良性貧血や赤芽球癆に用いられる薬剤である。経口剤は主に小腸で吸収されるが、体内薬物動態は個人差が大きく、血中濃度をチェックする。また脂肪に溶けやすい性質から脂肪の多い組織での局所濃度が高い(例えば肝臓、膵臓、腎臓、甲状腺、副腎、皮膚など)。脳血液関門は通過しない。
シクロスポリン投与中は血圧が急に高くなってくる人がいる。それにより頭痛などが生じる可能性もあるが、それ以外にも血中濃度の増加で振戦、しびれ、頭痛やけいれん、幻覚、小脳失調、白質脳症などまで神経障害を起こすことが知られている。
シクロスポリンを飲んでいる人は他にも複数の薬剤を免疫抑制に対して飲んでいることも多いため、それらの影響も考えつつシクロスポリンによる腎障害、腎臓からのマグネシウム再吸収低下で低マグネシウム血症になるなども関係しているかもしれない。臨床では様々な原因を同時に考えつつ、でもシクロスポリンそのものでも中枢神経副作用が起きることを知っておくことが必要である。

2017年

5月

07日

中枢神経リンパ腫 

悪性リンパ腫が脳だけに出ているものは原発性中枢神経リンパ腫といわれ、再発時に出てくるものを2次性中枢神経リンパ腫という。
リンパ腫の初診時から頭に病変があることは少ない。その後に出てくるものとしては精巣リンパ腫、乳房リンパ腫、副鼻腔、副腎などが知られているが、あとは文献により骨髄、肝臓、腎臓などと書かれているものもある。また血管内リンパ腫といわれるリンパ節を形成しないで血管内にリンパ腫病変が広がるリンパ腫では最初から中枢神経病変が存在することがしばしばある。バーキットリンパ腫でも中枢神経浸潤が多い。
これらの病変に対しては中枢神経に病変がなくても予防的に髄注の抗がん剤投与をしたり、大量MTXが入るメニューを行う。それ以外のもっと多い瀰漫性大細胞型、濾胞性リンパ腫ではどうしたら良いか。濾胞性リンパ腫では中枢神経再発の頻度は低いため、よぼど腫瘍量が多い場合を除いては予防投与はされていない。瀰漫性大細胞型でも最初からすべての中枢神経予防をしなくてはならない、とは書かれていない。しかし骨髄浸潤があるような症例や、非常に悪性度の高い場合には行うようにしている。

2017年

5月

06日

集中治療室患者での血小板減少症

集中治療室には重症な患者さんが入る。心臓外科や緊急の外科手術、脳外科手術などのかただけでなく、内科系でも重症な人が入室する。そのようなかたではしばしば血小板減少がおき、時々当科に相談がある。
 心臓外科のように体外循環といって血液を一度体内の外に出して循環させるような処置を手術中に伴うと、血小板減少はしばしば起きるとされる。また循環器系の疾患でカテーテルや心臓手術などを受ける際にヘパリン(血液を凝固しないようにする薬剤)を使用するが、5-14日くらいで血栓症状を伴いながら血小板が減るHIT(ヘパリンinduced thrombocytopenia)という病態がある。HIT抗体を調べて診断するが、実は心臓手術をした人の10%に抗体が陽性になるという報告もあり、診断は簡単ではない。
重度の外傷などで大量の輸血を要するような状態では、血漿が希釈されて血小板低下が起きることがある。
内科系では敗血症になった人では重症の人ほど血小板減少が起きる率が高く、またそれが長い人ほど予後が悪いということも解っている。敗血症で血小板減少が低下する要因としては複数の要因があり、血小板の骨髄での産生が低下することに加えて薬剤の影響、免疫が異常亢進することで血小板破壊が進ことや、DICという状態を合併することで血小板低下がみられる。1-2日で急激な血小板低下をきたした場合には、免疫関与が強いとされる。
 さらに難しい問題は悪性疾患を持っていたり、長期臥床の状態を強いられると血栓症が起きる可能性が高くなるが、そのような場合に血小板が低いとどうしたらいいか。つまり出血もしやすいし、また凝固もしやすいときにどちらの処置を優先するかである。中でも悪性疾患では、しばしば肺梗塞を起こしたりする。そのようなときには血小板が5万以下なら抗凝固療法は半分量で、3万以下なら予防投与量で、2万切ったら抗凝固は中止するという一つの基準が『blood』 のレビューに紹介されていた(Blood. 2016;128(26):3032-3042)。
 血小板低下した人が急激に回復する途中で血栓症を起こすことも知られている。とくにAPL(急性前骨髄球性白血病)では最初は重症な出血傾向だったところから、治療の過程で脳梗塞や血栓症をきたす率も他の白血病よりも高いことが知られている。

2017年

5月

03日

バラの開花が遅い今年

当院近くにある大船フラワーセンター(神奈川県立フラワーセンター大船植物園)は、私たち地元住民の憩いの場。いつもゴールデンウイークには家族づれが大勢訪れ、シャクヤクやバラが咲いて楽しませてくれる。が、今年はなぜかこの時期どちらの花も開花が遅れている。朝夕の気温がまだ低いため?藤は見事に咲いているし、つつじもそこそこ時期どおりなのにどうしてだろう?と思ってしまう。

このフラワーセンターは大規模回収のために7月3日から3月31日まで閉園となるそうだ。縮小されるのかどうなのか。何度も完全閉園の危機を迎えながら私達に季節の美しい花々を見させてくれたフラワーセンター。入園料を上げてでも、是非是非存続してもらいたいと、心より願っています。

2017年

5月

01日

AIが精神科の診断

人工知能がどんどん実臨床の中に入り込んでいる。IBM watson summit2017が4月27-28日と東京で開催されていたことが報道されていた。さまざまな事業への応用ということでビジネスモデルを紹介するイベントであったようだ。今、人工知能に関しての話題を見ない日はないくらいだから、きっと盛況だったのであろう。
医療に関連するというところではどうなるのか?ヘルスケアということで健診データなどからの健康管理、人事、労務管理への応用。また本当の臨床の現場では医師の代わりに診断補助がなされるようになるかもしれない。
あるニュースでいわれていたのは、精神科の診断を人工知能にさせたところ、50%の精度で診断が出来たという。これからは患者さんが自分で、病院に行く前にもっと簡単に診断補助出来るようになったり、病院でも問診である程度簡単に診断ができて、医師はその診断の間違いがないかどうかや、治療の選択肢が出てきたときの選択補助などをするようになるのかもしれない。今よりもっと心のケアなどをするようになるのか、それとも医師も過剰時代になってしまうのか。遠くない未来に我々も働きかたを変える時代が来るように思われる。

2017年

4月

20日

iPS細胞で輸血は可能になるのか?

輸血を外来でしている患者さんが当科は多いのだが、まだ神奈川県は供給に関して恵まれている。それでも緊急の時には手に入らないこともあるし、今後献血者はますます減るのでは、とも言われている。iPSからの血液細胞産生はどうなんですか?という質問を受けたが、ちょうど内科学会雑誌に京都大学の杉本直志先生が書かれた文章があったので紹介します(日本内科学会雑誌 106巻 第4号 843-849,2017)。
血小板を輸血量まで産生させるには大量な製造技術が必要であるということだが、それが莫大な手間がかかり実現されていなかった。しかし杉本先生のグループではヒトiPS細胞から不死化巨核球株を作成し、それにcMYC.BMI1遺伝子、次にBCL-XLを発現させることで自己複製能を獲得し増殖するようになった。それを凍結保存して必要時に解凍し、培養すれば短い期間で血小板が製造できる。またこれだけではダメで、巨核球が成熟して血小板を産生してくれなくてはならない。そのために薬剤を投入することで、良質な血小板が生体ほどではないが産生されるようになっているという。さらに産生された血小板が止血のために必要な分子を出していなくてはならず(CD42b)、それらの機能を維持させることも実現に近づいてきているようである。
また、こういう製剤は輸血しても血小板が上がらない輸血不応症に対しても期待されている。血小板輸血については実現に向けてだいぶ進んでいるようであるが、赤血球は輸血のために必要とされる赤血球数がさらに多く必要であり、赤血球産生の最終段階である脱核が難しいようで、実現にはまだまだのようである。

2017年

4月

16日

異常ヘモグロビン症

夜桜と満月・・・なかなかよく撮れています。
さて、異常ヘモグロビン症に対しての演題が日本内科学会総会で出ており、勉強になる症例でした。自分ではサラセミアを除いては見つけたことがないので、どのようにしたら見つけられるのか勉強してみました。
国内でも異常ヘモグロビン症の症例論文をみてみると、最近ではHbA1cが血糖値と比較して異常な値であったり、また検査場所により結果が大きく異なることで解るようです。
通常測られるHPLC法(高速液体クロマトグラフィー法)で異常値を呈するため、そのクロマトグラムと言われる蛋白のグラフを実際みて、正常と違うカーブが出ていないかどうか見ることが発見につながります。HbA1cについては免疫法などの他の手法で測定することが出来ますので、糖尿病疑いの人でHbA1c異常値の場合にはそちらを用いるといいでしょう。異常ヘモグロビン症が疑われたら、次はヘモグロビンの電気泳動を行います。もしくは福山臨床検査センターなどに送って検査していただくことも出来ます。
日本には3000人に1人位いるとも想定されており、しかし多くは無症候性です。20%が溶血性貧血などの症状を呈するとのこと。中には多血症傾向となることもあります。よってデータで多血症傾向+溶血パターンの人では鑑別にヘモグロビン異常症を思い浮かべたほうが良いと言えます。またRBCが多いがMCVが小さめで、貧血はそれほどないという人では注意して調べると良いでしょう、とある先生より教えていただきました。

2017年

4月

13日

MPN case study in 横浜

福島県立医科大学の池田和彦先生をお招きし、講義をお願いするとともに骨髄増殖性疾患の症例検討を行う会が横浜で開催された。
池田先生の研究から骨髄増殖性疾患、ことに骨髄線維症で全例に発現するとされるHMGA2というがん遺伝子が病態と関係していることをお話しされた。HMGA2が増加すると巨核球が増加することは解っており、またLDH、脾腫、血栓症の頻度とも関係するようである。またこれが増加すると骨髄増殖性疾患幹細胞が自己複製能を増すことも解っていて、さらにこの遺伝子が抑制されると貧血、脾腫が改善する。しかしこの遺伝子は骨髄線維症から白血病になることとは関係していないようで、TP53が白血病にはより関係しているようだ。
症例は若手の先生がたが3例提示。当院からは佐藤淑先生が症例提示した。池田先生も多くの患者さんを診ているようで、治療アドバイスも実臨床に則していた。

 

2017年

4月

08日

慢性リンパ性白血病とイムブルビカの講演会

イムブルビカは昨年発売された薬で、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤という薬剤の種類です。内服薬で、保険適応は慢性リンパ性白血病(CLL)とマントル細胞リンパ腫(MCL)に通っています。
作用機序はブルトン型チロシンキナーゼを阻害することで、腫瘍性B細胞をリンパ節などから末梢血に遊離され、血液中に流れていく中でアポトーシス(細胞死)をきたすと考えられています。
白人には慢性リンパ性白血病CLLが非常に多いのですが、日本人などのアジア人には少なく、我々もまだ使用経験がありません。CLLになってもすぐに治療を開始するわけではなく、貧血や血小板減少、リンパ節が急激に増大したり脾臓が大きくなったりすると治療の対象になってきます。これまでは治療対象の患者さんでは元気であればFCR(フルダラビン、リツキサン、エンドキサン)を基本にした治療が行われてきましたが、この数年で他にも抗体薬で使用出来るものが出てきました。欧州のガイドラインではCLLにもTP53の変異がないかどうか(TP53変異があるものが一番予後が悪いとのこと)をみて治療方針を決定するようです。また、病気が進行してくるとともにTP53が強く出てくるようです。TP53の変異があればイムブルビカ投与、なければ元気ならFCR、もしくはBR(ベンダムスチン、リツキサン)、元気がなければリツキサン、ofatumumab、Alemtuzumabなどの抗体薬を考えるということでした。ただ、このイムブルビカの副作用で最近注目されているのが出血することと心房細動。やめても心房細動は残ることもあり、そうなると抗凝固療法の問題も出てくるのでやっかいです。
慢性リンパ性白血病の勉強は疾患数が少ないだけにあまりないのですが、レビュー出来て勉強になりました。

2017年

4月

07日

骨髄腫の治療 VRD単独と VRD+自家移植

多発性骨髄腫の診断後すぐの治療メニューとしては、元気であれば初めはベルケイドを用いた治療、高齢者で元気がなければレブラミドを用いた内服治療という感じで選択されることが多い。初回治療では3剤のほうがより効果が高いとされる。その中でもVRD(ベルケイド、レブラミド、デキサメサゾン)は強力な治療であるし、有効でもある。
その治療だけでいくのが良いか、自家移植を組み込んだほうが良いのかという研究成果がNEJM(The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE/ニューイングランド ジャーナル オブ メデイシン 有名な医学雑誌)に発表された。
700例という大規模な研究。1つの群は3回RVDをやり引き続きRVD5回追加してレブラミド1年維持療法。もう1群はRVDを3回やり高用量メルファランと自家移植をやる、さらに2回のRVDをやり1年間のレブラミド維持。その結果、無増悪生存期間(再発しないで生きている期間)の中央値は移植群のほうがRVD療法単独群よりも有意に長かった(50 ヵ月 対 36 ヵ月,P<0.001)。また完全寛解率も移植群のほうがRVD療法単独群よりも高かった(59% 対 48%,P=0.03)。以上から、良い薬剤が出て成績が上がっても自家移植が出来る場合には行ったほうが治療成績が良いことが示された。

2017年

4月

04日

湘南鎌倉総合病院の将来構想

玉縄地区の社会福祉協議会で発行されている冊子に当院の院長が今後の当院の構想を紹介していましたので、それをここでも紹介します。
当院は隣接している武田薬品工業の土地の一部を購入し敷地面積が2.7倍となり、そこを含めた土地を利用して7階建ての外傷センターを建て、救急センターをさらに拡充します。またがんセンターも併設し、最先端の放射線治療機器を充実させ総合病院と併設することでリスクの高い患者さん、末期がんなどにも総合的に対応できるセンターを作る予定です。また再生医療のセンターも構想しているようです。
月日の経つのは早いものです。工事も年内に始まるようです。こちらの新病院に移転してからも早6年半をすぎましたが、日々の着実な医療は地道に続けていかねばなりません。働く職員にも誇り高く仕事を続けられる組織になっていかねばなりません。まだまだ発展する余地のある病院だと思います。

2017年

4月

03日

新入職員がオリエンテーション開始

いよいよ新入職員が入ってきました。
当院でも大企業並みのオリエンテーションが約1週間かけて行われます。医師も看護師、その他の職員もまとめて行われるものもあれば、各部署ごとに分けて行われるものもあります。
初期研修医は今年22名が入ってきます。女子も5名。
本当に初々しい。
今の気持ちを失わないでと言ったところで仕事に入れば医療者としての側に立ってしまい、その立場で物事を考えてしまう。だからこそ大切な今の気持ちを・・・ということで毎年アンケートを書いてもらい保存し、卒業のときに渡しています。これから我々の病院の歴史を一緒に作っていきましょうとお話ししました。

2017年

4月

01日

MPN Asia in Tokyo

2回目となる骨髄増殖性疾患(MPN)の国際的なシンポジウムが東京で行われ、参加してきました。
骨髄増殖性疾患はここ5年位で治療や診断がすすんできた分野です。疾患そのものは以前からあり、外来でも初診でこられる軽症のかたが多く血小板増多症、多血症として紹介されるかたもこれらに含まれます。そして10-20年という長期的なお付き合いになるかたもいます。
例えば真性多血症では90%の人が持つといわれるJAK2遺伝子の変異。変異が加わることで恒常的に細胞に刺激が加わり造血が盛んになる、という病態メカニズムが解っています。それ以外にもCALR,MPL遺伝子の変異が疾患に関係しており、それら遺伝子異常により血栓症や予後の違いが言われるようになってきましたが、日本ではまだ保険で検査ができません。
今回のシンポジウムで新しい話題は、これらの骨髄増殖性疾患に対してインターフェロンを使用するというものでした。インターフェロンIFNはJAK2変異のある幹細胞にも影響し、そのような細胞を減らすことができるというデータもありあす。脾腫も改善されるそうで、ハイドレアという一般的に血球をコントロールしたり脾腫を改善する薬剤と同等の効果があるようです。
副作用としてインフルエンザ様のような症状やうつ、甲状腺機能低下などがあります。多血症の診断をされて間もないころ、全体の骨髄の細胞内でまだJAK2変異のある細胞が少ないときにIINFを行うことで、治療が長期的に行わなくても治癒を目指せるかもしれないという仮説が出されていました。血栓症などの副作用コントロールのため長期フォローが必要ですが、治癒するのであれば早期の治療にも意味があるのかもしれません。今後の研究結果が待たれます。

2017年

3月

25日

BNCTの講演会

徳洲会の東京本部にて2か月に1回全体の院長や事務長、看護部長らが集まる会議が行われる。以前ボストンに見学に行ったBNCTという新しい放射線治療の研究チームがフィンランドとボストンからそれぞれ来日し講演するというので幕張メッセまで聞きにいった。
BNCTはホウ素を体内に取り込ませて、それが腫瘍組織に特異的に集積する性質があり、それに中性子を当てることで細胞内でホウ素からアルファ線が出され腫瘍細胞を特異的に殺せるというもの。そのホウ素をどのように体内に運ぶか。その化学物質の開発や、中性子線を出すための機械の建設がなかなか大変らしい。
まだ広範囲の腫瘍に行うことは出来ずフィンランドで主に行われている研究であり、その施設の建設がそろそろ始まる。2018年には臨床試験が改めて始まるそうである。これまで脳腫瘍や頭頸部の腫瘍への照射が多く、血液疾患へ応用はまだ少ないようだ。ただ回数が少なくて済むようであり、脳腫瘍では1回で行うことで認知症などの合併症も少なくて済むと言っていた。深い組織へは治療が難しいようだが、血液分野でいえば進行した菌状息肉症のような皮膚に大きな腫瘤を持つようなものや、骨髄腫が進行して出来る形質細胞腫、髄外腫瘤などの適応になろう。もっと全身照射が出来れば、末期の人で全身に腫瘍が広がっている人などの緩和的照射療法として応用が期待出来るように思う。今後の研究結果に期待したい。

2017年

3月

24日

血液スメア・エキスパートmeeting in 横浜

骨髄を採ったあとのスライドをみるのは血液内科医にとって重要な技術であるが、検査技師のほうが読めることが多い。その技術を学ぶのに貴重な勉強会がこの血液スメア・エキスパートミーティングである。横浜市立大学の医師、検査技師のために開かれているところ、当院も一緒に参加させてもらっていて、もう18回になる。ここでは皆でスライドを前もって見てきたあとカウントし、それを当日エキスパートの先生のカウントと比較する。ばらつきが多いような細胞をなぜそのように読むのかということを中心に解説していただく。
とくに専門家との違いで思うのは、まず細胞の大きさを周囲の細胞と比較すること。核網の読みかた(繊網か顆粒状か)、そして周囲の細胞質の好塩基性が我々と評価するよりも大切にしていらっしゃるように思う。また骨髄液をすぐにその場でスライドにひかないでEDTA管の中に(固まらないように)いれておき、あとで作成すると核の変性がみられ、時には分葉して見えることもあるらしい。そのようなことはなかなか教科書にも書いていなかったりするので、生の声が聞けて勉強になる。これが年2回開催だったのが、来年からは1回になるとのこと。そのうちすべて機械が読むようになるとの噂もありますが、まだまだ細胞を読む技術は必要である。ぜひ続けていただきたいカンファレンスだ。

2017年

3月

23日

貧血網膜症 Anemic retinopahy

貧血網膜症Anemia retinopathy をご存知だろうか。貧血が原因で網膜に異常が起き、出血や白斑が出現して視力障害が起きるものである。網膜の所見としてRoth's spot(ロート斑)と呼ばれる真ん中が白い網膜出血やcotton wool spotsといわれる白斑、浮腫、多数の出血などがみられる。貧血の程度が強い場合、または血小板減少が一緒にみられる場合に起きやすいとされるが、そのメカニズムはまだよく解っていない。
貧血により網膜の低酸素が一時的に生じたり、血管のスパスム(収縮)が生じたり。毛細血管の透過性が亢進したりするらしい。もともとロート斑というのは細菌性心内膜炎のときにみられるものとされたが、白血病や糖尿病、膠原病などでもみられる。(Review of Optometry Sep 10, 2009)
強い貧血がみられたときに患者さんが視力がちょっと・・・と言うれたら、一度網膜を調べてみるのも大切です。

2017年

3月

21日

2年目研修医卒業式 in 藤沢

毎年恒例の初期臨床研修医の卒業式が開催された。今年は総勢22名、なかなか多かった。研修委員長から卒業証明書が渡されスピーチを行う。これだけいると一人ひとりが思いを伝えるのは時間的になかなか難しい。
また、毎年この場では評価にて選ばれたベストレジデントが表彰され、教え方が良かったベストテイーチャー賞もある。今年は当科の佐藤淑先生が第2位に選ばれた。初期研修医に近いところで親身に教えていることが評価されているのだと思う。残念ながら時間の関係で来て下さっているスタッフの先生方や師長達からの一言がもらえなかった。一部の科の先生方が来てくれなくなっていることも残念であった。多くのスタッフに参加してもらえる会になるよう何か工夫が必要であると感じた。

2017年

3月

19日

慢性骨髄性白血病の長期予後 in NEJM

慢性骨髄性白血病(CML)はグリベックをはじめとするチロシンキナーゼ阻害剤が使用出来るようになり早10年以上が過ぎ、長期生存するかたも多くみられる疾患となった(とても悪性と言えないくらいだ)。
かつては移植をしなければ急性転化し(急性白血病のようになり)、しかも難治性で死に至るような疾患であった。今は内服で副作用管理は必要なものの、移植が必要となる人はあまり多くない。
さて、これらの人がどのくらい本当に生存しているのか?それらに答える論文が今月の『THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE』掲載された。
グリベックを長期間内服したCMLの患者さんがどのくらいの割合で生存しているのか?平均約11年観察をした研究であるが、内服開始後10年の全生存率は83.3%(当然CML以外でも死亡する可能性もあるわけだ)、長期投与による細胞遺伝学的完全寛解率(望ましい効果の率と考えてよい)は82.8%にもなるという。
私にも10年を超えるグリベック内服の患者さんが何人かいるが、いずれも非常に良い病気コントロールがされている。一時はタシグナやスプリセルといった第2世代の薬剤が出て効果が早いとされたが、長期に内服すればグリベックはやはり良いコントロールが出来る薬剤なのだと改めて今回の論文をみても解ったし、実際の診療でも感じているところである。これら10年以上良い状態である方達が、もうそろそろ薬剤を止められるのではないかと考えてるところである。

2017年

3月

18日

日本医療安全学会学術総会 in 東大

日本医療安全学会第3回学術総会が東京大学の本郷キャンパスで開催された。当院の医療安全管理室の代表として勤めてきたこの5年間、医師のインシデントレポート(問題があったときに報告するもの)の件数増加にどのように取り組んできたかを発表した。
医師のインシデントレポート(ニアミスや医療事故)は重大なものを含むことが多く、病院で早期に対応しなくてはならないことも多いが、このようなレポートを書きたがらないのも医師である。これを増加させることでみえないアクシデント、問題点を早期に見つけることを目標として取り組んできた。
私がこの業務についたころの2011、2012年は医師のレポート提出率は全体の件数の1.5%前後であった(看護師さんやほかの業種の人が多くかいていた)。しかしその後医師への啓蒙活動や診療部長会議、医局会での報告を行い、外科系の医師達にはレポートを書く基準を自分たちで決めてもらったり。死亡事例、ICU症例などをこちらからレビューすることで重篤な合併症を早期に見つけたり・・・。
そんな活動をしてきて最近では医師のレポート提出率は7~8%に増えている。この活動を来年はもう少し内科系に広めていこうと考えている。合併症なのかインシデントなのかを判断することはしばしば難しいことがあるが、すべて合併症としてしまうと、問題にされてきた群馬大学や千葉県立がんセンターの症例と同じようなことになりかねない。報告して小さいうちに危機対応を考える文化、それを醸成することが大切である。
それにしても歴史ある東京大学の教室に入れて壇上に立てて。ちょっと良い気持ちでした。

2017年

3月

17日

湘南鎌倉総合病院 内科後期研修医卒業式

今年度当院内科後期研修を卒業する4名の終了式がこの日、横浜のグランドインターコンチネンタルホテルにて行われた。
当科にも研修医が2~3か月単位でローテーションしてくる。最近は私が手取り足取り教えるというようにはいかなくなり研修医との距離も遠くなってきてしまったが、それでもこのような節目の時には参加し、心からお祝いしたいと思っている。

終了する研修医は自分の研修の思い出をスライドにまとめ、発表する。皆とてもプレゼンテーションが上手だ。それもこの研修の中で数多くの症例検討などから身につけたものであろう。
チーフレジデントという業務は5年目のときに3~4か月間研修医のトップにたち、皆のスケジュールをまとめ、患者さんの割り振りやサポートなどを行う。カンファレンスの症例選びもある。内科のそれぞれの科(専門科)が大きくなったことで、どこの科とも言えない患者さんの割り振りなどは苦労すると思う。また最近では満床状態がしばしばあり、入院適応でも入院させられないこともある。そのような対応もチーフレジデントが判断して行う。
若い時に一度組織のトップに立つことはとても良い経験となり、また将来自分が組織の上に立つときに役にたつ。また上級医の苦労も自分が味わったからこそ理解できるというものである(とかく文句をいう人は自分がそのような苦労をしていない)。
一部の研修医は当院に残り、一部は外に出る。将来の成長を期待したいと思います。

2017年

3月

15日

輸血部のキーパーソン 当院を去る・・・

当院の検査科で輸血を担当している槇さん。このたび転勤することとなり、お別れ会が開かれた。
輸血部といえば血液内科も本当にお世話になっている。緊急の無理な輸血だけではなく、輸血に関する大きな問題がおきたときにも彼と共に対応した。そして輸血に関する安全な文化を作ってきた。何か起きたら、まず彼に聞けば情報が引き出せた。その彼がいなくなるのは、病院にとってもとても大きな痛手である。
また、彼は採血がとても上手かった。治療をして本当に血管が見えなくなってしまった患者さんの外来での採血。何度も刺されている患者さんからは「槇さんにお願い」というリクエストを何度も聞いた。その彼がいなくなることは、患者さんにとっても大きな問題である。
とは言えご家族での移動とのこと、やむを得ない。これほどまで皆に慕われるのは彼の仁徳であると思った。部下も育ちつつある。他の病院での彼の活躍を祈りつつ、またいつか仕事が一緒にしたい、と握手して別れた。

2017年

3月

11日

ITPに対するリツキサン使用

リツキサンはB細胞性リンパ腫に使用される代表的な抗体薬ですが、難治性ネフローゼやwegener肉芽腫にも適応があります。また日本には保険適応がありませんが、抗体によっておきる疾患、たとえばITPといわれる血小板減少症、TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)、溶血性貧血などにも用いられて有効性が知られています。
ITPに対してステロイドくらいしか薬剤がなかったころ、当院でもITPに対してどの治療も無効で治療がなく、出血症状がある人にリツキサンによる臨床試験を行ったことがありました。一部の患者さんではたった1回の投与でも(リンパ系腫瘍に対しては週に1回、4~6回使用します)効果が示された症例がありました。その後は企業が積極的な臨床試験を進めない状態の中で医師主導の臨床試験が行われ、その効果もあることが改めて示されこの度薬事・医事法制審議会より公知申請(こうちしんせい)を行っても差支えないと承認されました。公知申請とは、日本における医薬品について外国での承認や実績が十分ある場合に科学的根拠に基づいて公知であると認められ、臨床試験をすることなく承認されることです。今後運用などについて正式に企業より発表がされると思います。
ITPの患者さんの中にはステロイドが切れない方、新しい薬剤であるレボレード、ロミプレートを投与してもよくならない患者さんがいますが、それらの方にはまた選択肢が増えたということになります。

2017年

3月

10日

Ai(Autopsy imaging) の講習会

Ai情報センター代表理事の山本正二先生をお招きして、今年も年に1回の勉強会が院内で開催された。Aiは今よく使われている人工知能の略ではなく、死亡時に原因追及のために行われる画像検査のことで、主にCTが行われる。2015年から始まった事故調査制度と併せて以前よりも死後行われることが多くなったが、当院ではその前(2010年頃)から委員会を作ってそのやり方、撮影方法、患者家族への説明、読影の提出の仕方などを取り決め運用してきた。当時から読影に関しては通常のCT検査とは読み方が異なり、難しいことがあるため山本先生にお世話になっていた。
今日も現在の事故調査制度の問題点と、当院の症例について解説をしてくださった。当院では救命救急センターに風呂場での溺水事例の搬送が多いが、その読み方についても解説していただいた。副鼻腔に水があるか、咽頭に水があるかをみるという。本当に溺水かどうか確認するためだ。胃の液面形成が行われていると、存命中に死んだと考えられるそうだ。また、心肺停止に伴う心臓マッサージでは胸部前面のやや横の肋骨が両側性に折れることが典型的であること、その前に外傷があったかどうかとの区別の参考にするそうだ。また普段の臨床でも我々は患者さんの状況をとても細かく聞くが、Aiでも臨床情報はとても大切であるそう。例えば交通外傷ではエアバックが動いていたか、スピードがどうであったか、どの部分に座っていたかなどが重要な情報だそう。ここまで深く読むことが出来るのか、と感心した今年のカンファレンスだった。

2017年

3月

04日

難治性成人T細胞性リンパ腫にレブラミドが適応に

レブラミドは多発性骨髄腫に用いられる治療薬である。非常に効果的な薬剤であるが、この度再発、難治性成人T細胞性リンパ腫(ATL)に対して保険が通り、患者さんに使用することが出来るようになった。びっくりである。
ATLはHTLV-1ウイルスに罹患した人(多くが母乳感染)が長期間を経てリンパ腫を発症してくるもので、九州地方に多いが最近ではヒトの移動により全国で発症がみられる。当院にも患者さんはいらっしゃる。最初はゆっくり成長する形であるものが、やがてその殆どが症状を有し治療を要するようになる。進行してきたときにはCHOP療法などを行うが、一度は効いてもまた再燃することがしばしばある。そのような疾患に対して日本で開発されたCCR-4抗体(mogamulizimab ポテリジオ)が一部の患者さん(CCR-4を発現している患者)に使用出来、効果はおよそ50%程度と言われている。
今回レブラミドは再発、難治のATLに対して内服で使用することが出来、連日内服で42%に効果がみられたという。完全に治ることは少ないのだが、平均生存期間は20か月と持たせることが出来、頻回に病院への通院が難しい人、その他の治療を試してもダメであった人に選択肢がまた一つ増えることとなる。

2017年

3月

03日

横須賀共済病院の医療安全のかたと交流

横須賀共済病院は当院と同じ医療圏で、急性期病院のライバル病院でもある。救急疾患も強く心臓血管系も強い、また腫瘍系も強い病院である。逗子、葉山の患者さんの一部は横須賀共済病院に行く。
このたび横須賀共済病院の医療安全部の方々と交流をもつこととなり、先週は我が病院へ、今週は当院から私達ががお邪魔して見学や議論をさせていただいた。

医療安全は地味な仕事である。医療というのは非常に複雑な過程をとり多くの人が関わり、また多くの工程があって、機械はますます複雑になっている。ひとたび大きな事件がおきれば何千万円というお金がかかり、また心理的にも何年にもわたり訴訟や弁護士対応に追われ辛いものである。それを小さな事例のうちに発見し、皆で共有することで防ぐのが仕事。どこにミスが発生するのが議論して解決策を探し、それを進めることが仕事。これらのことが出来たらコスト的にも大きいのだが、目立たぬ仕事である。どの病院でもそれほどこの業務が好きな医者はいない。
横須賀共済病院も一般の病院であり、なかなか協力してくれる先生はいないと言っていた。また病院代表として患者さんの前に出ることも年に数年あり。週に1回は院長室にてインシデントレポート(事例の報告)を議論しているという。また我々がまだ経験していない事故調査制度も経験されていた。他の病院の内情はなかなかみせていただけないだけに、このような機会があって議論できるのはありがたい。他にもこの地域の中核病院の医療安全のかたと交流をもち、互いに工夫している方法を共有できたら良いと思う。本日はとても有意義であった。

2017年

3月

01日

遠隔医療は離島だけにあらず

患者さんからスマホで診療をやるようになりますかね~と聞かれた。これは遠隔医療というやつである。
遠隔医療というと離島と都会の病院をつないで医療というイメージであるかたが多いだろう。1997年、厚生省(当時)はすでに直接対面が困難な場合に糖尿病やぜんそくなど9疾患を例示し、遠隔医療について通知を出していた。最近はスマホなどの進歩により画像も良くなり、皮膚疾患、顔の表情などもかなりよく見られるようになった。2015年8月厚生労働省から再び通知があり、遠隔診療の対象として離島や疾患の解釈を狭くしすぎなくてよいとされた。

都会でありながら人口10万人あたりの医師数が少ないところとして埼玉、茨木、千葉が全国トップ3。小児科、産科などは非常に少ない地域があり、都内まで出れば・・・と言うが、わざわざ都内まで出るのは余程の特殊疾患である。それを解決するために遠隔医療が試されているそう。大病院が混まないようにするためにも、この方策は必要ではないか。施設の担当医師が画面で患者のバイタルサイン(熱や血圧など)と状態をみせて、それにより抗生剤の指示など対応してもらったり。また簡単に血糖が測れたり、あるいは薬局などで簡単な血液検査が出来ればデータを転送してもらい、血糖調整や食事指導するのでも十分な気がする。ただそれをするには初診は対面で、また病状が安定していることが必須である。

私も経験がある。住まいが遠く且つどうしても休みがとれない人で、薬剤の副作用としての発疹がどうかをスマホで報告してもらい、それでもともと出していた薬剤の指示を変更した。対面のほうが診療報酬の加算が多いそうで、あくまでもこのような遠隔診療はサービスでしか導入されていないそうだが、高齢者の運転も危ないからと免許返上してなかなか病院にくることが出来ないと言っている人達に、ケースワーカー等が手伝いながら自宅で薬剤の管理、副作用の報告をタブレット端末でするのも良いのではないか。他にどんなことが出来るか、ニーズを現場で拾い上げていくことも遠隔診療を進めていくのに必要だと思う。

2017年

2月

25日

14階病棟で火災訓練

この日は血液内科の病棟が火災になったという想定のもと、防災委員会のメンバーを中心に火災訓練が行われました。私は病棟で業務をしていましたが、急きょ借り出され参加することに。急に消火器を持たされて消火活動。消火器は安全ピンを外して消火。なんなく出来ました。普段から消火器、消火ポンプがどこにあるのか意識していませんが、覚えておく必要がありますね。また防火扉を閉めることや、患者確認、誘導はとっさのことだとなかなか出来ないかも。14階ですが逃げる際には屋上ではなく非常階段で少しでも下の階へ。動けない患者さんはシーツで運ぶのです。2人がかりでも相当大変です。現実的にはそんなにスタッフもいないから厳しいな~と思いました。下肢の不自由な人は車いすで防火扉の向こう側へ移動。それも抗がん剤点滴していたりすると移動は大変。だからこその訓練ですが、シナリオが出来ているのと咄嗟の判断は本当に難しい。特に上層階のため、いざ下の階の医師が飛んでいけないということもあります。火災訓練、参加してみて考えさせられました。

2017年

2月

24日

医療法人沖縄徳洲会 中部徳州会病院がJCIを取得しました。

我々の病院も沖縄徳洲会という医療法人に属していますが、その仲間である沖縄徳洲会 中部徳州会病院も国際的な病院評価であるJCIを今週受審し、見事合格しました。我々の周囲では湘南藤沢徳州会病院、葉山ハートセンターもJCIを取得しています。
 JCIを何故取得するのか、その意義は?とよく聞かれます。受審のためには病院内で多くの決まり事を文書化しなくてはなりませんが、これは病院における法律です。これを作るのは大変ですが皆に浸透させるのはもっと大変。病院は人が次から次へと入れ替わるからです。毎年教育していかなくてはならない。でもそれが当たり前となれば自然に文化となっていきます。旧病院に比べて医療安全の文化(患者確認、安全管理)については各段と質が上がっていますし、隠す文化ではなく報告して皆で共有する、そして改善する文化になってきていると思います。これをまた継続してくことが大切です。

2017年

2月

17日

湘南血液カンファレンス

藤沢市民病院血液内科の藤巻克道先生と私とで始めた年に1回のカンファレンス。大学病院の先生でなく一般病院の湘南地域の血液疾患を扱う先生に集まってもらい、ざっくばらんに話をする会としています。
今回は「CML/Ph+ALLの治療戦略」と題して国立病院機構 災害医療センター血液内科の竹迫直樹先生を、また「再発難治の多発性骨髄腫の治療戦略」と題して国立国際医療センター病院血液内科の萩原将太郎先生をそれぞれお招きして講義をしていただきました。
いつも関心するのですが竹迫先生は勉強家であり、さらりと知識を披露なさります。そして臨床経験もあり、実地の質問にもしっかり答えて下さいます。
CML(慢性骨髄性白血病)としては薬剤を中止出来るかどうかが話題ですが、Euro-SkiというスタデイやDADI trial, D-STOP trial などのデータを紹介され、やはり概ね60%くらいの人が中止出来そうであるということでした。しかしImatinib抵抗性の人は中止出来ない可能性があるそう。またうまく中止できている人ではCD4+CD8-が多くなっており、これはT細胞の活性が得られている人は中止できるのかもしれません。またTNFα、INFγが高い人もT細胞が活性化されている証拠でもあり、中止出来る可能性があるといいます。またCMLにも複数クローンがあり、ゆっくり増殖してくるクローンもあるようです。
フィラデルフィア陽性のALLはグリベックやダサチニブが出てくる前では2年生存率が60%にも満たない予後の悪いものでしたが、ダサチニブを用いたデータでは移植なしでも35%は10年生きるようになってきています。
萩原先生の講義はクイズ形式で、今意見の分かれる難治性の骨髄腫に対して治療をどのようにもっていくか議論しました。これもそれぞれの先生の個性が出て、おもしろいものでした。

 

2017年

2月

17日

骨髄腫エクスパート ルル先生(Leleu)による講義

骨髄腫の治療は毎年毎年進化が早く、我々でもついていくのが必死。欧州で骨髄腫のエキスパートであるルル先生が来日され、講演をされたので出掛けてきました。その要点をまとめてみます。

(1)治療を考えるとき、移植出来るか出来ないかとまず分けて考えるが、そこにfrailかfitか(治療についていけるか合併症などがあって難しいか)という概念を常にもち、一律年齢で切ることはしない。個々での治療を考えよう。
(2)初回の治療が大切であり、2回目以降は強くいけなくなることがあるので初回にしっかりした治療をやる。
(3)レブラミド、デキサメサゾンはこれから出てくる新薬にほとんど入るようになっている。高齢の場合にはデキサメサゾン量の調節するが、レブラミドは出来るだけがんばっていく(と言うのだが日本人では痒みや皮膚発疹があり、また血球が減って十分量がいけないことが多いのですが)。
(4)レブラミドもベルケイドもだめであれば彼はポマリドマイドを選択すると言っていました。奏効率は30%。
(5)高リスク(予後の悪い染色体異常を持つもの)では維持療法と考えるのではなく、出来るだけ3剤で治療を続けていく。
(6)最近はRVD(ベルケイド+レブラミド+デキサメサゾン)を使用されることが多いが、神経障害をどう管理するかについてのアドバイスとして、4週間毎の治療としベルケイドを2週間やって2週間休みくらいにすると、十分管理出来る。

という話でした。高名な先生ですが実際患者さんを診療し続けているため、アドバイスにも実臨床に応用出来そうな話が散りばめられていて、とても参考になりました。

2017年

2月

16日

主治医もつらい・・・

富士山が大きく見える場所というのが神奈川県にはあります。当院14階血液内科病棟も冬は富士山と丹沢山系、箱根まで見え絶景で大きくみえます。ちょっとした場所からでも富士山がそれはそれはよく見えるところというのがあります。写真は私の家の近く。なぜか雪を被った部分がとても大きくみえるスポットです。
さて、話は変わりこの日は主治医として辛い1日でした。血液内科の主治医は疾患が重たく生命に関わることが多いためでしょうか。付き合いが深くなることもあり、また身体の問題があると血液意外でもまず主治医に相談、ということもあって主治医感を強く持つ医師が多いと思います。治療を共にする者同士、という感じだからだと思います。だから若手医師には急性期の辛い時でも主治医が諦めたらだめだと常々言っているし、戦ってもダメな時には主治医も本当にガックリすることがあります。
今日は患者さんの急変があり、まったく予測出来ませんでした。なんとか助けてあげたい、そんな一人であり、辛いはずなのに前向きに本当に頑張っていた患者さん。つい2日前はいつもの様子であったばかりだったのに・・・。どうしてあげられたか?もっとやれることがなかったか?私も肩を落として涙した1日でありました。

2017年

2月

16日

玉縄桜がNHK ニュースウオッチ9で紹介されました。

玉縄桜が2月16日夜9時のNHKニュースで紹介されました。案外長い時間報道されていました。大船にある神奈川県立フラワーセンター大船植物園で早咲の桜から選ばれて開発された桜で、付近のマンションや病院施設にも植えられています。当院の自転車置き場でも既に満開。ただでさえ早咲きなのに、更に今年は朝晩は寒いにも関わらず早咲き。日中の寒暖の差が関係しているのでしょうか。昨日の報道では今年の桜は例年並みの時期に開花といっていましたが、今年は梅も早かったし、既に沈丁花が香りはじめているので桜も早いのではないかという気がします(例年沈丁花は3-4週間先のように思いますが)。桜は先週の雪で花びらがやや傷んでしまっています。病院に立ち寄られるかたは、少し病院脇の自転車置き場や隣りのマンションの庭を眺めていただくと早めの春を感じることが出来ます。

2017年

2月

11日

International Symposium for Myeloma 2017

このシンポジウムは骨髄腫のエキズパートであるルル先生の講演の他にもおもしろい講演があり、質の高い講演会でした。基礎研究から骨髄腫の薬の効きかたを解明されている自治医大の古川先生が登場。おもしろい講演だったのでまとめてみます。
(1)骨髄腫は多クローン性の疾患でMGUSの時点で既に複数クローンがある(ancestor clone)。そこから様々な遺伝子修飾をうけて多様性が広がり、Ras,Mycなどの遺伝子変異が加わると腫瘍が広がる。髄外腫瘤が出るような状態はかなり進展していると考えられ、17p delを獲得することが多い。また急に血中に形質細胞が出てくること(形質細胞性白血病)があり、これも進展した状態であるが、このクローンはAncestor cloneから出てくるらしい。これはピーカドヘリンがなくなり骨髄のニッチ(幹細胞が隠れているところ)と相互作用が出来なくなり、血中に出てくるのではないかと考えられている。
(2)ベルケイドは形質細胞の中でも成熟した骨髄腫細胞に効きやすく、逆にレブラミドは未熟な骨髄腫細胞に効きやすい(おもしろい!!)。そのためレブラミドとベルケイドを併用して使用するメニューの治療を早めの段階でしっかり使うことは、治療意義が高いということであった。
(3)骨髄腫では今、免疫療法で話題のPD-L1が発現している。MGUS(骨髄腫の前段階)では出ていなくて、進行してくると出てくるらしい。難治性とも関係している。レブラミドには免疫調整作用があることが知られているが、このPD-L1を抑制することで自分のT細胞を活性化し、T細胞性の細胞障害が強くなるということであった。
(4)レブラミドやポマリドマイドなどを長期使用すると、それらの薬剤が効くメカニズムに重要な基質蛋白であるセレブロンという蛋白が減って効果が落ちるらしい。ここにもう一度ベルケイドを追加投与することで、セレブロンの自己分解を抑制出来ることにより、また感受性をアップさせることが出来るという(ベルケイド、レブラミドそれぞれは互いに相互補助している薬剤なんだ~)。
(5)ベルケイドのユビキチンβ5への結合は110分と短く、ベルケイドによる自己分解のことなども考えるとベルケイドとレブラミドを併用するときには4時間空けたほうが良い。
臨床家からしてもとても解りやすい、納得のいく講義でした。

2017年

2月

10日

予報になかったのに鎌倉でも雪

鳥取の方面の雪は本当に大変そうです。尋常な積もり方ではありません。交通事情がこれほどになって医療機関もかなり大変だろうと思います。雪国で生活をしたことがないので想像ができません。

この日天気予報は雪にはなっていませんでしたが、雲ゆきがあやしくなり鎌倉でも夕方から雪が降りました。屋根にうっすらと積もり、車はワイパーに少し積もっているくらいで数時間で止んでしまいました。3年前のこの時期に大雪が降ったことを思い出します。
朝の通勤時間は寒い日がまだまだ続きます。

2017年

2月

04日

溶血性貧血をきたす感染症 クロストリジウム感染症

抗生剤を長期投与することで腸内細菌のバランスが崩れておきる下痢のことを聞いたことがあるかたも多いであろう。その原因となるのがクロストリジウムデイフイシルという菌による毒素である。
腸内に存在する細菌、このクロストリジウム属。消化管に常在していて、腹部のその他の感染でも問題となる菌である。腸管の穿孔(穴があくこと)がリンパ腫や大腸がんなどが原因でおきることがある。その際に問題となる菌であるし、また重篤な腸管粘膜障害(抗がん剤などで)のあとの菌のtranslocationで問題となったりもする。婦人科関連の感染症もおきうる。
さて、これらの感染症の中でも最も重要なのがウェルシュ菌(Clotridium perfringence) C. septicum腸内に存在するこれらの細菌は化膿を引き起こす毒素を産生するし、食中毒の原因にもなる。その毒素の中のレシチナーゼという毒素が赤血球膜を破壊するので溶血性貧血を起こすことがある。重症の腹部感染症と重度の溶血を伴っていたらクロストリジウム敗血症を考える必要がある。

2017年

2月

03日

徳州新聞にとりあげられました。

今週の徳州新聞に当科のことが紹介されました。日本血液学会は全国の血液疾患の把握をするために、教育認定施設に疾患登録をすることを義務付けています。この疾患登録は秘書の村松さんにお願いしていますが、大学病院でも人材の問題からなかなかそれが出来ていないと聞きます。それを当院では秘書さんが医学用語も理解しながらこつこつ日々行ってくれています。昨年学会総会で発表されたところでは全国でも8番目の疾患登録数でした。これは医師が診療の合間に片手間にはなかなか出来ないことです。事務方の力で病院の知名度を上げることも十分可能であるということです。他の科でもそれぞれ秘書さんが手術のデータ管理をしたり研究会の手配をしたりしています。医師は俳優みたいなものですから、それらの仕事やスケジュールを管理したり、またその仕事を外部に紹介する仕事などなど、事務方の果たす役割は大きいと思います。

2017年

2月

02日

玉縄桜が咲き始めました。

当院の住所は<鎌倉市岡本>ですが、少し大船駅寄りの住所になると<玉縄>という地域になります。その地域の名前がとられた桜<玉縄桜>が先週位からもうほころび始めました。病院やこの地域のマンション、託児所などに植えられていて、その基になる原木は神奈川県立フラワーセンター大船植物園(大船フラワーセンター)にあります。早咲きに開発された桜ですが、今年は寒いのに日中との寒暖の差が原因でしょうか、例年よりも早く咲き始めているように思います。また周囲の梅も咲き始めていますね。朝夕は寒い日が続きますが、あと1か月もすれば暖かく感じられる日が増えてくるのだと思います。また花の咲くのが楽しみになる季節となりますね。

2017年

2月

01日

インフルエンザによる高齢者の入院が増えています。

インフルエンザが猛威をふるっており、今年はインフルエンザで入院される重症なかたが多いように感じます。インフルエンザは高熱であっても院内感染対策の点からは積極的には入院させず自宅で看てもらうことが多いのですが、高齢者で脱水を伴っていたり、特に今年はインフルエンザに関する肺炎を合併して入院されるかたが多い印象を持ちます。
インフルエンザに合併する肺炎としてはインフルエンザウイルスそのものによる肺炎と、一度インフルエンザから回復後改めて細菌性肺炎にかかる2次性肺炎があります。インフルエンザ肺炎は例え若い人でも急性期に重症化することもあります。また2次性肺炎はインフルエンザにより気管支粘膜や上皮の損傷から肺炎球菌が侵入しやすくなり、肺炎球菌の罹患が多くなること。その他ブドウ球菌、インフルエンザ桿菌に罹りやすいとされます。
また肺炎だけではなくインフルエンザに罹患すると急性期に心電図変化が出やすく、一部のデータでは50%近くが心電図変化するといいます。またもともと心疾患、虚血性疾患がある方ではその症状が強く出たりすることがあるとされていますので、インフルエンザ急性期には狭心症状、心不全にも注意が必要です。

2017年

1月

28日

ゴーシェ病と骨髄増殖性疾患の勉強会

福岡にてゴーシェ病と骨髄増殖性疾患の講演があり参加した。
ゴーシェ病は稀な疾患で、先天性疾患ではあるものの成人になってから血小板減少症、肝脾腫で見つかることもある疾患で、見逃されているとされる病気。成人でどのような形でみつかるのか、具体例を示されながら鹿児島大学医学部歯学部附属病院の吉満誠先生が講演された。
最初はWBC2000、PLT7.8万くらいで肝臓、腫大がみられたとのこと。その後受診されず、肝脾腫がひどくなったそう。ひどくなると治療しても血小板数の戻りが悪いし、脾臓も完全には元のサイズにならないようだ。そのゴーシェ病、最近では骨髄腫やM蛋白との関係も注目されているという。

また骨髄増殖性疾患のところでは日本医科大学の猪口孝一教授、順天堂大学の小松則夫教授が講演ざれた。最近では骨髄増殖性疾患ではJAK2,CALR,MPLという遺伝子異常が知られている。それらがすべて陰性の症例は全体の18%程度を占めるとされ、日本人では多いそうだ。その他に比べて若く発症しているが予後が悪い。これらの遺伝子検査は日本では保険適応がない。一般病院では真性多血症でJAK2遺伝子変異を取るくらいが精一杯である。
そのJAK2遺伝子変異をETで調べてみると、ET(本態性血小板増多症)でJAK2遺伝子変異陽性の症例は血栓症が多いとのこと。一般的にはETで若い人は治療はしないことが多いが、年齢が若くてもこれらの症例では血栓予防をしたほうが良いかもしれない。逆に低リスクでCALR遺伝子変異のある人にアスピリンを投与すると、出血が多くなるそうだ。これらの遺伝子検査をすべての骨髄増殖性疾患でやっていくことも検討したいと思った。
骨髄増殖性疾患もまた血栓症のリスクで、その理由としてWBCと巨核球は互いに刺激しあっているそうだ。それにより血小板が活性化されて血栓が起きやすくなる。そのような症例に対してはハイドレアが良いという。WBCも低下させることで血小板の凝集も抑えられるようになる。また網状血小板(若い血小板)が多い症例もトロンビンに対して反応しやすいため、血小板の凝集がおきやすい。JAK2遺伝子変異陽性のほうが、網状血小板が多いそう。これもハイドレアが良いそうだ。
アナグレリドは日本では2年ほど前から使用できるようになったETに対する薬剤である。DNA合成に影響しないので白血病発症リスクが少ないとされ、海外でも若い人に対してはハイドレアよりもアナグレリドが多く使用されているようだ(最近ではハイドレア単独ではそれほど白血病になるリスクは高くないとされているが)。アナグレリドの血小板に対する効果はゆっくりで60万以下になるのには平均99日もかかるそうで、ハイドレアからアナグレリドに変更するときは、ハイドレアは併用しながらゆっくり治療薬を移行させていったほうが良いという。新しい知識をまた得ることが出来た勉強会でした。

2017年

1月

26日

医療ルネサンスで血液のがんが紹介

読売新聞の医療ルネサンスはよく読まれている医療関連記事。1月26日から血液のがんが始まった。初回の1月26日は慢性骨髄性白血病の薬剤中止の話。まだまだすべての人が止めていいわけではなく、この記事を読んで自分も止めても大丈夫と思って薬のコンプライアンス(しっかり定期的に飲むこと)が悪くならないほうが良いなと思う。

1月27日の記事は急性リンパ性白血病に対する臍帯血移植の話。紹介されている症例は慢性骨髄性白血病から進展してしまった患者さん。そういう症例は多くないのであるが、患者さんは記事やテレビで情報に敏感であるから、心配になってしまっている慢性骨髄性白血病のかたがいた。

ワイドショーも含めてすべての医療情報にはなかなかアクセスする暇もない我々。でも突然外来で患者さんに質問されることもある。血液関連の先生方、5回シリーズなので記事を追って読んでみて下さい。

2017年

1月

24日

透析医療を最初からみつめてきた女性医師の講演

昭和43年に人工腎臓、透析が始まったときからその診療に携わり、その後阪神大震災の中で奔走、喜寿になる今も神戸で複数の透析クリニックを経営される女性の先生 酒井瑠実先生が当院の腎臓内科主催のセミナーに招聘されて院内で講演をされたので聞きにいきました。透析医療がまだなかった頃の腎不全患者さんの水分制限が厳しかった時代の話に始まり、透析が始まった頃はそのコスト高ゆえに田畑を売って治療費を工面したり、患者さんが支払いが出来ず逃げ出すようなこともあった・・・という話など、透析の歴史の話は興味深く聞かせていただきました。
先生は透析の患者さんに自己管理をさせるという意識づけを積極的に行っていて、患者さんに透析のラインを組み立ててもらったりすることも。診察券には常に最新の透析条件が書かれているものを持たせているそうです。また自宅で寝ている間に透析を行うことで長時間透析が出来、また家族の時間などを生み出せると教育をして、自宅透析を試みているかたもいるそうです。
透析は基本的に週3回、1回3時間と思っていましたが、合併症やかゆみ、骨症状、胃腸障害、色素沈着なども含めて長時間透析が良いということも訴えてました。
それにしてもエネルギーのある先生だな~と思いました。酒井先生の研修医時代は女子も少なく辛い差別などもあったであろうにと思いながら、年齢を感じさせずまだ新しいことにチャレンジする姿勢を勉強させてもらいました。

2017年

1月

21日

韓国からきた看護師さんのお別れ会

当院は海外からの看護師を採用するようになってきています。語学の問題がありまだまだ難しいのですが、フィリピン、韓国といったところが多いです。当然日本語をマスターし、さらに医療を行うのですからすごいと思います。私たちの14階病棟で約3年間頑張ってくれた看護師さんがこのたび韓国に戻ることになり、この日送迎会が行われました。
日本の文化に溶け込む努力、さらに状態の悪い人を観察・判断し、時には患者さんに説明しなくてはならないのですから本当に大変なことです。立派です。おまけにカルテにも記載するのですから。「漢字大丈夫?」と聞いたら自分で書くのは難しいが変換機能で大丈夫なのだそうです。
彼女は点滴の針を刺すのも上手で、患者さんから指名されたほどです。病棟のチームにも溶け込んでいました。
辛いことも多々あったことでしょうが日本で働けていたこと、自信をもって頑張ってほしいです。

2017年

1月

19日

骨髄増殖性疾患の勉強会 in Yokohama

骨髄線維症、真性多血症に用いられるジャカビという薬剤の使用経験の症例発表と、骨髄増殖性疾患の最新の知見の講演が横浜で行われ、参加しました。ジャカビ使用によりウイルス性疾患に罹患しやすくなるなどの感染し易さも知られており、当院で経験した播種性の水痘症を佐藤淑先生に発表してもらいました。
骨髄増殖性疾患の講義では、昨年のWHO分類により新しく覚えておく必要になったことのオーバービューがなされました。
真性多血症と診断するのに2008年WHO基準よりもHbの価が男性16.5、女性16と基準が低く設定されましたが、それはmasked PVといわれる一群があることが解ったため。Hb低めでもケアを受けておらず、血栓症が同じような頻度でおこる人たちがいることが解ったためだそう。
また骨髄線維症はpre MPFとovert MPFに分けられ、線維化の程度でgrade1,preMPF, grade2-3,overt MPFとする。その中でpre MPFとET(本態性血小板増多症)との鑑別がとても大切であり、核の異形成や赤芽球が低形成になているか、顆粒球系が増加しているかなどにより区別される、というがその鑑別はなかなか難しいようです。
しかし予後にも影響してくるし、リスクが上がるそう。またCARL mutationはETと骨髄線維症に特異的な遺伝子異常で、CALRがあると骨髄線維症では予後が良いとされる。
このように遺伝子異常により骨髄増殖性疾患でも予後が判断されるようになっています。triple negativeといわれるJAK2,MPL,CARLの遺伝子変異がすべてない群では最も予後が悪いとされ、骨髄線維症の10%程度います。しかしこれらを次世代シークエンサーで調べるとsplicesomeやepigenetic に関係する遺伝子変異があることが解ってきています。これらの一部ではMDSに用いられるビダーザが有効な症例もあるはずです。

2017年

1月

17日

ドクターゴン在宅医療の話

「ドクターゴン」という名前は、聞いたことがあるかたも多いことでしょう。ドクターゴン診療所はこの鎌倉地域で在宅診療を行っているのですが、本名は泰川恵吾先生です。我々血液内科の患者さんもお世話になっており、重症で自宅では無理かしら・・・と思うような患者さんでも引き受けてくれる。そんな存在です。
この日当院のがん病診連携の会にお見えになり、お話しされました。先生が東京女子医大の救急医としてバリバリに救急医療をされていたこと、その後出身地の宮古島にH9年9月診療所を開設、鎌倉にはH17年10月常盤にクリニックを開設。現在は宮古島と鎌倉を行ったり来たりされています。コンピューターに強い先生で、自ら電子カルテを作られたり、東日本大震災のときには診療所の先生に電子カルテを貸してサポートしたり、現在も工夫されているネットワークシステムのことなど、お話しは多岐にわたりました。泰川先生は色々なところに記事を書いていますが熱い先生です。どこまで医療を行うことが良いのか、救える命は救う必要は救急医としては十分知りながら、しかし最大限の医療をしても幸せではない。それがすべてではない緩和医療、終末期医療、寄り添い経過を静かに一緒に共有する医療。その両極端の医療に身をおいてきた立場だからこそ、仰る言葉には重みがありました。研修医の先生にも興味があったらドクターゴンのところに研修に行ってもらいたいと思いました。きっと実体験から学ぶことが多くあるはずです。

2017年

1月

13日

沖縄徳洲会の病院に応援に

この冬一番の寒さが本州を襲う中、1月13日沖縄にある中部徳洲会病院に見学とJCI(世界的な病院機能評価)を取得するためのアドバイスに当院からチームで出掛けました。沖縄とは温度が12度以上差があり、半袖姿の人を見かけてビックリです。
病院は昨年新築移転し、非常に綺麗でした。私は院長はじめ人がとても素朴で優しいと感じました。どこか話していて懐かしさを感じたのです。以前の茅ヶ崎徳洲会病院や当院を思いだしました。
もともと数年前からJCIを取得することを目指して準備しており、職員の安全に対する意識は初めて取得を狙う時期としては高かったように感じました。病棟に行っても看護師をはじめスタッフの人達は好意的で、熱心に我々の対応をしてくれました。私達だって初回の時にはどういうものか分からなかったですから、先に取得した兄弟病院としてはコツを教え導いてあげることは当然だと思います。また人間ドックの部屋はなかなか綺麗でしたし、病院から見える沖縄の海もさぞかし綺麗なはず・・・(この日は雨でよく見えなかったのです)。
また血液内科を診ている若い先生がいらっしゃり、脳のリンパ腫の治療などをされていました。交流などが出来たら良いと思います。
沖縄徳洲会という法人にいながら沖縄の病院とはあまり縁がなかったのですが、こういうことを機会に知り合いが出来て良かったと思います。

2017年

1月

06日

話題の腸内フローラと疾患の講演会

今年の大河ドラマは私の故郷である浜松の北に位置する井伊谷という場所です。正月に出掛け、その谷が見えるかつて城があったという山に登りました。谷が開け稲作が広く行われており、ここからの同じような風景を当時の人も見ていたであろうと思われます。右方面にみえるのは浜名湖です。

さて、正月早々病院内では色々な病気に関係するとされる腸内フローラの勉強会が開催されました。腸内フローラは約1000種、100兆個もあり便の10%を占めます。最近ではmicrobiotaと言うそう。腸の上皮に付着して宿主である人に対し色々なことをしています。最近の検査方法で次世代シーケンサーを用いることによりこれまで培養出来ていなかった菌も解るようになってきたといいます。ここでも遺伝子を用いた検査か・・・と血液疾患に関係する遺伝子が急に解明されてきたのと同じだなと感じました。
さて、腸内フローラが色々な疾患と関係していることが知られきていています。まず肥満と腸内フローラも関係しています。動物実験では肥満マウスのフローラを無菌マウスに入れると肥満になるそうです。人でも肥満の人とそうでない人とでは腸内フローラの違いが研究されていて、それらを肥満の治療に用いることが出来るのではないかと検討されています。また年齢で腸内フローラは変化するようです。3歳から60歳くらいまでは同じような腸内細菌なのですが、80歳位になるとビフィズス菌が減り大腸菌が増加するなどの変化がみられるそうです。元気でいるためにも特に高齢者ではビフィズス菌を飲ませるなどしたほうが良いのでしょうか。日本人が好きな発酵食品、また年をとると自然にさっぱりしたもの、野菜が摂りたくなるのも体が自然にそうさせているのかもしれません。
また高脂肪食が腸内細菌のバランスを変え、それが腸の細胞のバリアを低下させることで(tight junctionに関係)血液中に菌が回り、炎症を起こして糖尿病などのメタボを引き起こすという説が説明されていました。Ⅱ型糖尿病の人ではよく調べると28%の人が血液中から少量の菌がでるそうです。またICUなど重症な状態の人は腸内フローラが乱れ、24時間以内という早期に嫌気性菌・ブドウ球菌が増え、それらが乱れるほど死亡率が高いことも出ているそうです。
腸内有機酸(酪酸、酢酸、乳酸)は腸内細菌から作られますが、腸管の蠕動運動を亢進させたり、また腸管上皮の主なエネルギーになるようです。そして殺菌作用も持っています。糖尿病や重症患者ではこれらが低下することも知られています。腸内環境を改善することで疾患の予後も改善できるということが試みられており、腸管の手術の術前からヤクルト、ミルミル、オリゴ糖を投与することで腸管からのバクテリアルトランスロケーション(細菌の血中への移行)が抑制され、術後感染も抑えられるそうです。我々の化学療法の患者さんにも有効な考えかもしれないと思いました。まだまだ面白いことが出てきそうな領域です。

2017年

1月

02日

これから世界はどうなる?医療はどうなる?

年末年始の番組や雑誌の特集では、昨年話題になったことを元にこれからどうなるのかを考える編集がかなりありました。
2016年は当たり前のようにニュースの中に人工知能(AI)の話題が出てきて、トラックの自動運転もアメリカで実験が行われたり、ドローンによる物の運搬が実験されたり、すでに色々な領域で新しいことが猛スピードで変わろうとしているのを感じます。私はそれが医療にどのように入ってくるのか、それが大きな関心です。
ダボス会議や世界のトップの人々がどうなりそうか、どこまで確証しているのか、そんなこと垣間見えるのが<『第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来』クラウス シュワブ・著 日本経済新聞出版社>です。具体的な例も紹介されていますが医療としては以下のような点があげられています。
今もっていう携帯電話が埋め込み型(ウエラブルを超えて)になり、そこから人体データも取り出せて血圧などの健康管理から更には治療まで(血糖測定が出来インスリンが微量調節出来たら良いですね)行われるかもしれない。また衣服で発汗量、脈拍などを感じるものも出来ており、それが病衣に活用されたり自宅にいる高齢者の健康把握に利用出来るかもしれない。絨毯にとりつけたセンサーから歩き方をみてリハビリメニューを決める・・・等の例があげられていた。
また我々の仕事を一部肩代わりするのに診断分野を人工知能が担うようになるのでしょうか。すでにIBMのワトソンが医療データを大量に読み込んで診断に役立てる研究が行われているそうです。肺がんの診断率はAIのほうが良かったというデータもあります。ますますこの分野については短期間で進化が進むと予測されます。それらについていくことが出来るように「情報をもつ」ということはますます大切になるでしょう。

2017年

1月

01日

新年あけましておめでとうございます。

2017年 新年あけましておめでとうございます。雲一つない空に日が昇ってくるところを拝みました。
年々自らの欲を祈るというよりも、皆の健康・自らの健康を祈るようになってきました。

12月末は風邪をもとに体調を崩し忘年会などもすべてキャンセルしてしまいましたが、体のコンデイショニングの大切さ、また患者さんの症状を訴える気持ちがよく分かる年末でした。

今年も当科がまとまり、そして診療にあたれること。患者さんにもたくさん来ていただいて診療できるように日々感謝して診療を行いたいと思います。そのために近隣の病院、医院の先生方にも挨拶して症例の結果をお伝えするなど、診療以外の仕事もしていこうと思います。