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コミュニケーション(5)~発達~

 いくつかの視点からコミュニケーションについて考えてきましたが、今回のテーマは「発達」です。生き物は総じて「コミュニケーション」を行っています。それは、「生」の動きであり、「知」の伝達方法でもあります。人間もまた同様に「生きる営み」としてコミュニケーションを行っています。つまり、幼いころからコミュニケーションは存在し、それが現在の形に変遷しているといえます。ここでは、「コミュニケーション」の最終項として、その「成長の流れ」を追っていきます。
 それは、「コミュニケーションの意味」を探す道ともいえます。
 

 我々人間のコミュニケーションは、産れた瞬間に存在することが明らかになっています。それは「カンガルーケア」に代表されるように、生後すぐの赤ん坊がお母さんと目を合わすこと(お母さんを確認する動きをすること)にも確認できますし、赤ん坊が自身の意思(非常に原始的ではあるものの)に基づいて行動することも明らかになっています。
 特にD.Stern の「乳幼児の精神世界」(2002)はとても貴重な乳幼児精神発達の科学的理解を提供しており、その中でも、母乳とミルクとを左右の管に分けて流す時、赤ん坊が母乳側に首を向けること によって、乳児にある「自己」や「意思」を証明していることは、多くの示唆を生んでいます。それは、乳児に積極的に外界に働きかける力、つまり「コミュニケーション」をする力が存在していることを示しており、それに環境(主に母親)がどう応えるかが、コミュニケーションの発達に影響していると考えられるからです。 このコミュニケーションが「自己」の発達を促し、「言語」の獲得へと導きます。D.Stern(2002) は、自己の発達を「新生自己感」「中核自己感」「主観的自己感」「言語的自己感」に分類しています。これらは、環境(主に母親)との関わりの発達、つまりコミュニケーションの発達を伴うものです。具体的には、視線や動作などの非言語的コミュニケーションに対する養育者からの言葉がけ、「あ~、う~」などの発声に対する養育者からの意味づけ、「マンマ、ブーブー」などの単語に対する意味づけ(子供が興味があるものを全て「ブーブー」として呼ぶ時、その物の分化を養育者が促すことで、語彙と関心の幅が広がります)などです。したがって、「自己」と「コミュニケーション」の発達は相互促進的な関係にあるといえるかもしれません。

 少し話が理屈的になりすぎました。ここで大事なのは、「成長」と「コミュニケーション」が相補的な関係にあるということです。「成長」とは「維持」であり「改善」でもあります。それは「細胞分裂」みたいなものでしょうか。「呼吸」のようなものともいえるでしょうか。このように考えていくと、「コミュニケーション」がとれないこと、つまり「やり取り」ができない状態とはとても苦しい状態ですし、「成長」も難しくなるといえるかもしれません。
 ここまでの文脈から、我々が「想い」や「考え」を「伝え、受け取ること」=「やり取り」をすることは、「生きること」につながっているということがみえてくるでしょうか。

 「コミュニケーション」=「やり取り」は、我々を織りなし、人生に色をつけていく営みであることが、その「発達」が教えてくれています。願わくば、伝えるだけでなく、受け取る感受性も持ちながら、周囲との「やり取り」をしたいと感じます。

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