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悪性リンパ腫(初級)

Q.悪性リンパ腫ってどんな病気?原因は?

血液のガンの約半数を占める悪性リンパ腫は高齢化に伴い増加している疾患であり、決して稀ではありません。(図1) 赤血球・白血球・血小板などの血液成分のうち、白血球の一種であるリンパ球がガン化して、無制限に増殖していく病気です。血液中のリンパ球がガン化し、全身に点在するリンパ節でかたまり(腫瘤)を作り、様々な症状を起こします。
病気の進展とともにリンパ組織だけでなく全身の臓器にも拡がっていきます。
遺伝性はハッキリとしたことは言えず、また原因も同定出来ないことが多いです。

年齢階級別がん罹患率2005年度(図1)

悪性リンパ腫の分類

分けかたには複数の方法があり、悪性リンパ腫を初めて勉強する方には分かりにくいので、簡単な分類を紹介します。その他の詳細なものについては、また別のところで紹介します。

  1. リンパ球には大きく分けてB細胞、T細胞の2種類があります。 それにより使用する薬剤が変わってきます。
  2. 「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」に分けられます。 日本人に多いのは非ホジキンリンパ腫です。

ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫では治療方針が異なります。

非ホジキンリンパ腫では悪性度が治療方針を決める指標となります。
悪性度は病気の進行のスピードから「低悪性度」「中悪性度」「高悪性度」に分類され、それぞれに応じた治療法があります。

治療方針を決める際には、こうした病気の性質(悪性度)と、病気がどのくらい進行しているか(病期)、体力や全身の状態はどうかなども考慮して慎重に検討します。

悪性度による分類

  進行のスピード B細胞性 T細胞性
低悪性度 年単位でゆっくり進行 濾胞性リンパ腫
MALTリンパ腫
形質細胞リンパ腫 など
菌状息肉腫
中悪性度 月単位で進行 マントル細胞リンパ腫
濾胞性リンパ腫(ろほう)
びまん性大細胞リンパ腫 など
末梢T細胞リンパ腫
鼻型NK/T細胞リンパ腫 など
高悪性度 週単位で進行 リンパ芽球性リンパ腫
バーキットリンパ腫
成人T細胞白血病リンパ腫など

Q.症状は?

悪性リンパ腫の多くは全身に点在するリンパ節(リンパ球が集まる場所)に発生します。
ガン化したリンパ球が増えるとリンパ節にかたまり(腫瘤)を作ります。
リンパ節は腸や肝臓、気管支の周囲など、身体の中のさまざまなところにありますが、 首や腋の下、足の付け根のリンパ節にかたまりが出来ると皮膚の上から腫れやしこりとして直接触れ、確認することが出来ます。
悪性リンパ腫の中にはリンパ節以外の場所に腫れやしこりが出来るものもあります。
(脳、目、鼻、胃、小腸など) これらを「節外性(せつがいせい)リンパ節」と呼びます。
このように、悪性リンパ腫は全身のどこからも発生する可能性があります。

どんな検査をしますか?

リンパ節の腫れに気付いて病院を受診する患者さんもいますが、最近は健康診断や定期健診の血液検査で異常を指摘されるケースが増えています。
リンパ節は全身にありますから、検査では全身を詳しく調べなければなりません。

主要な検査の種類

1、血液検査

血液の数や状態はもちろん、LDH(乳酸脱水素酵素)の数値からは、体内にあるガン細胞が だいたいどのくらいあるか推測できます。
しかし、血液検査のみで悪性リンパ腫の診断をつけることは出来ません。

2、画像検査

リンパ節やリンパ組織は全身にあるのでCTやMRIなどの画像検査で全身を調べることも重要です。身体の中のリンパ節などの腫れを評価します。

3、必要に応じて行われる画像検査

超音波検査・PET検査・内視鏡検査・全身や骨のシンチグラム
悪性リンパ腫には胃や鼻、脳などにできるタイプがあります。腫瘍が出来た部位によって画像検査が追加されます。

4、リンパ節生検

これがもっとも大切な検査です。十分な量の組織をしっかりとることがポイントです。
悪性リンパ腫かどうかを確定するためには、実際に腫れているリンパ節を切除して(生検といいます)詳しく調べて病気のタイプを確定します。この生検では悪性リンパ腫の種類や悪性度なども分かります。通常1~2果がでるのにかかります。

5、骨髄検査:ステージング(病期)のための検査

悪性リンパ腫の細胞が骨髄の中まで及んでいるか否かを調べるには、骨髄検査が欠かせません。骨髄に針を刺してリンパ腫の細胞があるかどうか調べます。
細胞の形だけでなく、染色体異常の有無なども参考にして浸潤の有無を判断します。

【病期の決定】病気の拡がりは大きく4段階に分けられます(病期分類といいます)。(図2) 

悪性リンパ腫の治療方法

悪性リンパ腫の治療では、抗がん剤による化学療法が一般的です。
タイプによって様々な抗がん剤の組み合わせが選択されます。
また、化学療法に放射線療法を加えることもあります。

化学療法

悪性リンパ腫では複数の抗がん剤とステロイド薬を組み合わせた多剤併用療法が一般的です。
ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫では使用される抗がん剤の組み合わせは異なります。

非ホジキンリンパ腫

最も標準的な治療法はB細胞性リンパ腫ではR-CHOP療法、T細胞性ではCHOP療法(チョップ療法)です。3-4種類の抗がん剤とステロイド薬を組み合わせて使います。
一定の間隔を空けて何度か点滴をする必要がありますが、外来で実施可能な治療法です。
初回は副作用の確認の為に入院して治療することもあります。
21日間で1コースです。高齢者の場合は28日毎に行う事も多いです。
悪性度や本人の全身状態によって総コース数は変わります。

「チョップ」とは使用する薬を英語で表記した時の頭文字を組み合わせた呼び方です。

♪R:リツキシマブ(リツキサン)を併用する『R-CHOP療法』ではこの前日にリツキサンと投与します。リツキシマブは2004年に承認された薬ですが非常に効果が高く、悪性リンパ腫の治療成績を著しく変えた薬といわれています。高齢者の方でも問題なく使用できますが、点滴時に悪寒・動悸・呼吸苦などがでることがありモニターをつけて管理します。

外来でも十分できるメニューですが、高齢者の方や消化管に病変がある場合、初期は入院して治療を行います。
副作用としては、前半は吐き気・便秘が主です。薬剤で十分対処が可能です。また10日目前後になると白血球低下がみられるようになり、感染症にかかりやすくなります。もともと弱い場所が感染のもとになりやすく、呼吸器(肺炎など)、蓄膿症の悪化、歯肉炎、腸炎、点滴挿入部の皮膚炎、肛門周囲の炎症などがおきたりします。その際には抗生剤の使用をおこないます。また白血球低下に対しては適時WBCを増加させるための注射(当院では商品名グラン)を使用します。
2週間位すると脱毛がみられます。しかし、どんなに高齢の患者さんであっても治療終了後には必ず生えてきますので安心してください。またしびれがその頃からみられます。両方の手先・足先がしびれ、時にはペットボトルのキャップなどをあけるのも難しくなる時があります。
これも治療終了後に徐々に戻ってきます。

ホジキンリンパ腫

欧米では多い病気ですが、日本ではホジキンリンパ腫はそれほど多くありません。 ホジキンリンパ腫では一般的にABVD療法と呼ばれる4種類の抗がん剤を組み合わせた化学療法が一般的に使われる事が多いです。 28日間で1コースです(14日間のサイクルを2回で1コースと数えます)。

4つの薬を英語で表記した時の最初の文字を組み合わせて「ABVD療法」と呼ばれています。

化学療法中、日常生活で注意すること

  1. 生ものを控える。特に白血球が減る時には要注意です。
  2. 人混みを避ける。
  3. 手洗い、うがいをしっかりと。
  4. 園芸、土いじりは避ける。土の中には細菌がいっぱいです。
  5. ほこりの舞う場所へ行くのは避ける。押し入れの掃除などはしない。かびくさい空気を吸わないように。
  6. 小さい幼児との接触、病院への見舞いは避ける。
  7. ペットの抱擁も避ける。