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メッセージ(2) ~個の空間~

 現在の子供たちに、社会が与える「ゆとり」が少なくなっているかもしれないことを考えてきました。そして、これらは子供たちの成長における大事な機会を目減りさせているかもしれません。
 今回は、「自分自身を形成していくこと」について考えます。難しくいうと「identity」の話です。

 前回述べたように、最近の子供たちは「自分の理解し得ないところ」で、より個別的な情報が、両親、もしくは社会に知らされる状態にあるようです。何度も述べますが、これが「いい」とか「悪い」とか、そういった考えは難しいものです。その状態が必要とされるくらいに社会への信頼が揺らぎつつあることもあるでしょう。要因はどうあれ、子供たちの「空間」が、より体制的に管理されるようになってきている面がありそうです。

 この状況が何を意味するでしょうか?・・・・極端になってしまいますが、子供たちが自身の意思を社会(世界)に反映することが難しくなってきます。また、子供が「自律性」を育てるには、大人(社会)からの信頼が不可欠です。年齢水準に沿わない「管理(保護)」は、子供の自信を弱めるかもしれません。
 
 これらは、子供に対する 「君たちの意思は社会に活かされない。社会は君たちを信頼していないよ」 という 「メッセージ」 を送っているといえるかもしれません。

 その過程の中で、 子供 は 「個」であることや、「個」としての「空間」を作ることが難しくなってきます。つまり、「秘密」を持つ力です。「秘密」にはいろんな形があります。「両親に黙って好きなものを買う」のも「秘密」ですし、努力している姿を見られなくないから、「陰で勉強をする」のも「秘密」です。つまり「個」が理想とする「個」になっていこうとすることが難しくなってくるかもしれないということになります。

 「個」が理想とする「個」になっていくこと。そして、「個」の向かいたい方向性を持ち、現実に反映させようとする「個」。それを「identity」と呼びます。
 
 もちろん、発達過程の中で、大人による「管理(保護)」は必要ですが、それは年齢相応のものであることが重要です。少なくとも、中学生が<「親に何を伝えるべきか」を選択する主体を持っていない>という「保護(管理)」は、「個」を伸ばしていくこととは逆の方向性のように私には感じられます。

 「identity」、つまり「個体性」を持つには、「保護する」愛情と同時に「信頼する(放っておく)」愛情の両方が必要なことがみえてきます。バランスが大事ですから、少し「窮屈」になっている分、我々は子供たちに「信頼」の「メッセージ」を送る必要があるでしょうか。

 それは、子供の「権利」に関わってくるかもしれません。         ・・・・・ つづく