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1月ローテートの上原です。

上原幸治先生
上原幸治先生

ある患者様に出会いました。その方の病名は急性骨髄性白血病、血液のがんです。その患者様は目が見えなくなる病気に侵されつつありました。私がローテートした初日、その患者様は目が見えていました。朗らかな笑顔で「今月は上原先生か。よろしくな」と握手をしながら迎え入れて下さいました。初めは私の顔も分かるくらい視力はハッキリしていたのですが、日に日に光が失われ、ついには見えなくなってしまいました。そして、私が血液内科のローテートを終了するその日、その患者様は言いました。「もう一度上原先生の顔を見たかったなあ。」研修医になって10カ月。様々な患者様に出合いました。温かい言葉もたくさんいただきました。しかし、今月は心からの訴えに直面することの多い1か月でした。

 

血液内科は血液疾患と戦う診療科です。血液疾患でも分類は様々ですが、入院患者様はいわゆる「血液のがん」と戦っている方が大半です。患者様を元気にしたいと考えている医療者にとって、血液疾患ではくじけることが多いかもしれません。もちろん中には闘病の辛さ、化学療法の副作用に打ち勝って退院し、現在穏やかに日常生活を過ごされている方もいます。しかし、血液疾患と闘うということは厳しい現実と直面するということです。

様々な人の物語があります。世間では「ある日ポックリ逝く方が病気で苦しまなくていい」という意見があると思います。確かに苦しみは少ないかもしれませんが、残された家族にとっては急に旅立たれる方が心の整理がついていないことが多いと感じます。やはり、家族にとっては最期を共に過ごせる時間は必要ではないでしょうか。終末期医療というものは患者様の医療であるのと同時に、残された家族の医療でもあるのではないでしょうか。

私は今、忙しいといわれている当病院の研修の合間に一冊の本を読んでいます。

『死ぬときに後悔すること25』。著者は大津秀一先生。緩和医療医であり、現在終末期医療を担いながら、著作講演を行っている方です。本には様々なエピソードが載っています。「夢をかなえられなかったこと」「行きたい場所に旅行しなかったこと」「記憶に残る恋愛をしなかったこと」など。

終末期医療に関わられたからこそ、身に沁みる言葉がたくさんあります。興味があったらぜひ一度読んでみるといいと思います。