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ブログ

急性内科疾患におけるリバーロキサバン

雑誌名

The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE 2013;368:513-513

背景

急性内科疾患により入院した患者における血栓予防の、臨床的に適切な期間は明らかにされていない。多施設共同無作為化二重盲検試験において、リバーロキサバンを長期間経口投与した場合の有効性と安全性を、エノキサパリンを標準期間皮下投与した後にプラセボを投与した場合と比較評価した。

方法

急性内科疾患(感染症、心不全、呼吸不全、虚血性脳梗塞、がん、炎症性リウマチ疾患)により入院した 40 歳以上の患者が対象。エノキサパリン 40 mg 11 回の皮下投与を10±4 日間、プラセボの経口投与を 35±4 日間行う群と、プラセボの皮下投与を 10±4 日間、リバーロキサバン 10 mg 11 回の経口投与を 35±4 日間行う群に無作為に割り付けた。主要有効性転帰は無症候性近位部静脈血栓塞栓症、または症候性静脈血栓塞栓症の10 日目までの発生(非劣性検定)と 35 日目までの発生(優位性検定)の複合とした。主要な安全性転帰は重大な出血と、重大ではないが臨床的に重要な出血の複合とした。

結果

8,101 例が無作為化された大規模な試験。平均年齢71.6歳で75歳以上を各群とも38%含む、高齢者の含まれた試験。主要有効性転帰イベントは10 日目の時点ではリバーロキサバンを投与した 2,938 例中 78 例(2.7%)と、エノキサパリンを投与した 2,993 例中 82 例(2.7%)に発生し(リバーロキサバンの相対リスク 0.97、95%信頼区間 [CI] 0.711.31、非劣性についてP0.003)非劣性が確認された。また35 日目の時点ではリバーロキサバンを投与した 2,967 例中 131 例(4.4%)と、エノキサパリンを投与した後にプラセボを投与した 3,057 例中 175 例(5.7%)に発生し血栓症の比率は低下した。(相対リスク 0.77、95% CI 0.620.96P0.02)主要安全性転帰イベントは10 日目の時点ではリバーロキサバン群 3,997 例中 111 例(2.8%)と、エノキサパリン群 4,001 例中 49 例(1.2%)に発生し(P0.001)、35 日目の時点ではそれぞれ 164 例(4.1%)と 67 例(1.7%)に発生した(P0.001)。

結論

急性内科疾患患者において、リバーロキサバンは標準期間の血栓予防としてエノキサパリンに対して非劣性であった。リバーロキサバンの長期間の投与によって静脈血栓塞栓症のリスクが低下した。しかしリバーロキサバンは出血リスクの上昇に関連した。

コメント

リバーロキサバンは(イグザレルト)は日本では非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制にのみ保険承認されていますが、EUなど世界ではその他に肺塞栓症の治療、肺塞栓症や深部静脈血栓症(DVT)の再発抑制にも承認されている薬剤です。作用機序は第X因子で阻害剤で、ワーファリンのようなモニタリングがいりませんが腎障害の人には減量が必要ですし、出血のリスクが高い人にも慎重な投与が求められる薬剤です。日本では保険適応が限られているため、一般内科系の入院患者における肺塞栓やDVTの対策が非常に遅れている点が問題です。心不全、肺炎などで全身状態が悪く長期臥床が起きうる患者さんに対して、海外でこのような薬剤が経口で用いることができるのは有用性が高いと思われます。