Blood 2013 122:1946-1953
ITPに対して海外ではリツキサンがB細胞を減らす治療として用いられ、60%程度に効果があるとされるが、2.3%に重篤な感染症がおきるとされる。またITPでは脾摘も行われるが、術前に肺炎球菌、髄膜炎菌、Hibワクチン(Haemppholus influennzae typeb)が行われるが、リツキサンを投与しているとワクチンでの免疫応答が低下している可能性がある。
そこで今回はリツキサン投与後のワクチンに対する免疫応答を調べた。
多施設 RCT、double blind lTPに対するリツキサンのメイントライアルの副研究として企画された。
脾摘をしていないITP患者(PLT<3万/μL)
除外:2次性ITP、以前リツキサン治療歴がある、感染がある、心疾患、肺疾患
リツキサン群かプラセボ群にわけて、投与後6か月後に23価肺炎球菌ワクチン(pneumovax皮下注)、Hibワクチン(ActHib筋注)それに加えてT細胞の働きを見るために破傷風トキソイドを打つ。そして前、1週間後、4週間後6か月後に採血をして抗体量、殺菌能、B細胞、T細胞 その機能を調べた。
(1)まず抗体:肺炎球菌にチアする抗体、Hibに対する抗体をERISA法で測定
(2)Bactericidal assay:Hib抗体の細菌増殖抑制の機能を調べるもの :抗体を2倍に希釈して1容器
1000個のHibをいれバッファー、Ca、Mg、BBL、補体をいれて培養。Bactericidal titerは
life tecnology社の蛍光代謝法で測定するらしい。50%の細菌が殺される希釈値としてあらわされる。
肺炎球菌ワクチン、Hibワクチンの抗体産生反応ありとは抗体価が4倍増殖したものとする。
またHibについては特異的IgGが>1μg/mLで予防的とする。
またBactericidal assayは最初1か月以内に4倍の殺菌能となれば反応良好とする。
(3) B細胞、B細胞のサブセット、T細胞を検査、CD19とCD3の比率
B細胞サブセットとはナイーブB細胞 (CD19+,CD27-)resting memory cell
(CD19+CD27+CD38-),preplasma cell blasts(CD19low,CD27high CD38high)
(4) T細胞の機能としてELISPOT(human INF-γ enzyme linked immunosorbent spot)asssayで破傷風毒素に 対するT細胞の反応をみる。INF-γと抗体が反応してspotに、それを機械が単核細胞中の量をカウントする。
患者は24人(リツキサン17人、プラセボ7人) 平均40歳
(1)抗体 リツキサン群14人,プラセボ群6人が評価でき
肺炎球菌ワクチンでは3/14(21%)vs 4/6(67%)
Hibワクチンでは4/14(29%)vs 5/9(83%)で反応あり(4倍以上の抗体上昇)
(2)Bactericidal assay リツキサン群ではワクチンを打って1週間の反応が特に低下している。
4倍以上の変化がみられたのはリツキサン群で2/14(14%)、プラセボで5/9(83%)
(3)B、T細胞変化
まずリツキサンの投与でCD19B細胞は著しく低下、12か月たっても低下している。
それに対してCD3T細胞は影響を受けていない。ナイーブB細胞についてはリツキサン投与後に
1か月位から少し低下して1年までにはもとに戻る。しかしresting memory B cellsは
リツキサン投与後著しく低下して1年経っても80%以上低下している。
またpreplasma cell blastsは6か月の時点でリツキサン投与群でもほぼ正常レベルでもその程度には
患者ごとにばらつきが大きい。
絶対数が測定できた患者でみてみるとプラセボ群ではワクチン投与後にpreplasma cell blastsの
急激な上昇burstが4/5でみられるが、リツキサン群では1/4にしかみられなかった。
(4) T細胞の反応 T細胞の反応をみたところ、IFN-γ産制T細胞はリツキサン群で低下している。
(38細胞vs93細胞/500000細胞 1週間、14細胞vs43細胞/500000細胞 1か月)
(5) ワクチン失敗例
リツキサン投与後では6か月の時点でも肺炎球菌ワクチン、Hibワクチン(HaemppholusInfluennzae typeb)に対する反応は低下している。殺菌能も低下している。ワクチン投与後の反応として働くと考えらえるpreplasma cell blastsは数は低下していないが、その反応性が低下している。そしてT細胞の機能も低下している(リツキサンの及ぼす影響はT細胞にも間接的に影響しているということ)。