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Multiple major morbidities and increased mortality during long-term follow-up after recovery from thrombotic thrombocytopenic purpura

雑誌名

Blood 2013;122(12)2023-2029

背景

TTPは以前は90%の致死率であったのが血紫交換導入後の死亡率は20%に減少。再燃を除けば急性期を回復すれば完璧だ!と思われている。
米国オクラホマTTP-HUS Registryは継続した長期的な観察を行うことを目的に1989年に設立され、1996年から患者フォローアップのためのmeetingを行っている。その中で明らかになってきたことは多くのTTPの患者が完全に回復していないということ。患者は記憶、集中力、忍耐力に問題があることが続いている。これらの重要な問題はQOLを評価する標準的な指標のSF-36という測定方法でも証明された。小さいけれども明らかな認知機能の障害がそれらの問題であることもわかった。
 今回の研究は2012年までのフォローアップにて書かれたものである。後天的TTPの患者に焦点をあわせると、自己免疫の要素、再発のリスクが高い人が死亡率と関係していることがわかった。またうつ病の評価もしたのは、うつ病が認知機能などの影響を与えるし、またTTP生存者が精神面でのQOLスコアが異常であることがほかの研究で発表されているからである。また認知機能の低下が虚血との関係も考えられ、腎機能も調べた。またその原因としてのHTN、DMの併発も調べた。これらを長期的な観察とともに調べたところ、予想外の大きな死亡率と早期死亡が認められることがわかった。

方法

オクラホマTTP-HUS Registryに登録されているのは1989.1からオクラホマ州でTTP、HUSに対して血漿交換を行われている患者。すべての患者は少なくとも年1回電話かはがきでフォローがされ、2004.からは重症患者(ADAMTS13 活性<10%)を年に1回検体検査と診察をしている。うつ病はPHQ-8を用いて気分を評価。比較はNational Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)にての標準データと行いmortalityに関してはCDCからのデータと比較。

結果

採血結果が追える1995年から2011年までで311人
 (1)重度 ADAMTS13活性く10% 70/311(23%)
 (2)重度70人のうち57人(81%)が初回エピソードを生存
 (3)重度で生き延びた57人中46人特発性、3人出産後、2人下血、4人SLEの既往、2人全身感染症
 (4)重度で生き延びた57人すべてが後天的ADAMTS13活性低下。
 (5)初回エピソード平均年齢は39歳、79%が女性、37%が黒人であった。
 (6)重度で生き延びた57人のBMIはあきらかに米国の平均より高かった。

寛解期のADAMTS13活性(年1回のフォローアップ時のものを評価 49人がフォローうけていた)

(1)49人中24人(49%)が正常(活性>50%)、12人が少なくとも1回は10-49%(うち8人は1回以上活性>50%の正常になっている)
(2)49人中13人(27%)が活性<10%が少なくとも1回はあり(重症)。その13人でも9人は1回以上活性50%の正常になっている。
(3)寛解中の活性<10%は治療なしで観察された。13人の活性<10%のうち11人は再発なし。再発した2人は、1人は4年活性<10%が続きその後16ケ月たって再発、もう一人は寛解中に32ヶ月後に再発。

再発

57人の初回エピソード生存者中21人(37%)が1-4回の再発 (1回が最も多い)。21人中、活性がその前の寛解期間中に測定されていたのは9人で、3ケ月以内測定はたったの2人(1人は31日前で活性14%、もう1人は51日前で活性30%)

腎機能

GER、albumin/Creともに期待値と比べて差はなし。

HTN,DM

初診時のHTN,DMの頻度は予測値と比べて差はなし。HTN(19%vs16%),DM(9%vs7%)
生存者57人中フォローできた46人を平均7年間フォローしてみるとHTNの頻度は明らかに予測値と比べて高かった(40% vs 23%)が、DMは差がなかった。(14% vs 10%)
TTP患者の障害を通してのHTN有病率は45%、DMは24%にもなる。

SLE

生存者57人中4人(7%)に診断前SLEがあり。予測されるのが0.3%であるから頻度は高い。またTTP診断後にSLEと診断された人が4人。初診時からSLEのあった症例の2人、TTP後診断された症例のうち1人がフォロー中に死亡。SLE有病率は12%、生涯擢患率は14%。

うつ病

2012年の時点で生きている46人中80%の37人にPHQ-8テストを行った。うつ病のテストである。7人(19%)が大うつ病、(予測6%よりもはるかに多い)うち2人はすでに内服しており、また残り30人中8人も内服していた。大うつ病点数の7人中2人は梗塞の症状があったがてんかんや昏睡はなく、平均18回の血漿交換を受けていたが誰も再発していない。その他残りの30人のうち2人は梗塞症状、5人がてんかん、昏睡はなし。寛解までに平均15回の血漿交換を受けていたが再発は9人だった。

死亡 平均7.8年の観察 2012までの記録から

平均7.8年の観察 2012までの記録から
(1)初回エピソード生存者57人中11人(19%が死亡)死亡した患者の年齢は明らかに予測される年齢よりも若く、平均30歳であった。
(2)死亡原因 1人再発、1人TTP再発から回復期で心筋梗塞、9人TTP死亡時に再発なし
(3)再発した人21人をみてみると6人死亡(29%)に対して、再発を一度もしていない人36人中5人が死亡(14%)
(4)ADAMTS13活性でみると死亡した11人中活性を測定していた7人のデータ
       活性く10% 1人、活性100% 4人、残りは11%と14%

まとめ

重度活性低下の生存者57人について観察すると
(1) HTN
(2) 大うつ
   の有病率が高くなる。
(3)また平均年齢より死亡年齢が早期である。
(4) 死亡は再発とは明らかには関係していない。
(5)ADAMrS13活性が再発のリスクをあげるのかどうかということは結論が出ていない。
(6)微小血管血栓により恒常的な組織障害がおきるのかどうかについては、腎機能障害はないが認識能低下はみられる。心機能は評価されていない。
(7)TTPでは自己免疫疾患の頻度が高くなるとほかの論文で報告されている。本研究でもSLEの頻度は高かった。
(8) 大うつ病の頻度も高い
(9) 肥満の頻度も高い。またこれはHTN,心血管イベントとも関連

終わりに

非常に稀な疾患を長期にフォローしたデータ。
ひとつひとつの症例は少ないが、フォローにおける予後、その他の疾患の合併にも注意してみていく必要がある。
TTPは急性期だけで終わりではない!!