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ブログ

Monoclonal B-cell lymphocytosis in healthy blood doors: an unexpectedly common finding

雑誌名

Blood 2014;123(99)1319-1326

背景

正常成人にも血液中に循環しているモノクローナルなB-cellがあることは知られている。(MBL:monoclonal Bcell lymphocytosis).MBLはCLLやその他のB細胞性腫瘍の前段階としても重要だとされているが、その頻度は検査方法、対象とする人によりまちまちである。MBLにはいくつかのtypeがあり、CLLに似たtypeが多く、それらは循環しているB細胞の数が少なく(low-count MBL)CLLへの進行は少ないとされる。しかし中には循環中のクローン数が多いタイプもあり、それは年に1-2%の比率でCLLになるものもある。また一部にはCLL以外のB細胞性腫瘍になるriskが高いtypeもある。
 当然移植ドナーとなる血液中にもMBLはあり、さらに最近のメタ解析では輸血するとB細胞性腫瘍の発生リスクが高まるという報告がでた。
ということから本研究では移植ドナーのサンプルを用いてMBLの頻度を性別、年齢などで解析した。

方法

アメリカ、ミネソタ州のカンザスcityの45歳以上のドナーサンプルを2010.5-2011.11を調べた。採血はヘパリンチューブでとって室温保管したあと24時間以内のSt.Lukes病院へ送りフローサイトメトリーを行なった。その他の情報として年齢、性別、12ヶ月以内の輸血歴、ドナートなった日、悪性疾患の既往、HBV,HCV,HIVを調べた。ドナーは1回以上のサンプル採取はしていない。また2回以上ドナーになっている人は除外している。

フローサイトメトリーの方法:CD45,SSCでCD45陽性の細胞をゲーテイングし、その細胞を抽出。さらにゴミや単球をFSC,SSCを用いて取り除き、B細胞をCD20,CD19で単離、さらにB細胞をCD20,CD5でプロット。CD20の発現が弱いB細胞領域はさらにCD5の強さはκ、λでわけた。可能ならCD5陽性細胞とCD5陰性細胞にわけた。
50個以上その領域にB細胞のクローンがあったらMBLと定義した。

採血はCBCを行い、全B細胞数、その領域のクローン細胞数をそれぞれ出した。
また一部ではIgHVDJ領域の遺伝子再構成を調べた。

結果

2098人のドナーが調査対象となったが平均は57歳で54%が男性、94%が白人であった。平均の白血球数は5700,全リンパ球数は1760、全Bリンパ球数は171
MBLの頻度は7.1%、男性の方が多く、これは全年齢層についていえた。
多変量解析をすると、年齢(高齢になるほど)、男性がMBLの独立した危険因子。男性は女性の1.5倍となる。45-54歳を1とすると、55-64歳では2.1倍、65歳以上では2.7倍となる。また癌の既往がある人のほうがそうでない人と比べてMBLの比率が高い。(11.4%VS6.8%)

■タイプは3つ
(1) CLL-like MBL(CD19+CD5+CD20dim)
(2) AtypicalMBL(CD19+CD5+ CD20bright)
(3) CD5-MBL(CD19+ CD5-)
 
最も頻度が高いのはCLL-like MBLで67.8%、atypical15.4%,CD5- 14.1%
CLL-like MBLで男性57%、atypical91%と男性に顕著に多い。
またCD5-ha高齢者に多くCLL-like MBLで61歳、atypical62歳、なのに対してCD5-は67歳が平均年齢。

■全リンパ球数、モノクローナルBリンパ球数
MBLの人もリンパ球数が多いかと思うと、その多くはB細胞数は正常な人よりも低いくらいであった。またクローナルなB細胞数もほとんどのMBLでは10/μLと少ない状態だが、MBLtypeの中では差があった。CLL-like MBLで5/μL、atypical 26/μL,CD5- 51/μL
とCD5-では多い傾向があり。

■IgHVDJ遺伝子再構成
53人に再構成が認められた。再構成がある方がない群と比べてクローナルなB細胞数が多い傾向にあった。(44/μL vs  6 /μL)
Type別にみるとCLL-like MBLで32人、atypical 11人,CD5- 2人
遺伝子再構成の部位はIGHV3かIGH4に属していてよりIGHV3に頻度が多い。CLL-like MBLで多いのは、IGHV3-7かIGHV4-59に多かった。CLLに多いとされるIGHV1-69,IGHV3-07にはすくなく、HCDRregionにも少ない。つまりCLLとおきている遺伝子変異の部分が違う。 82%にmutationがあった。

今後

MBLがドナーからレシピエントへ移行したというデータはある。しかしこれまで輸血でレシピエントにMBLは王国されていないし臨床試験は行なわれていない。同種移植と悪性リンパ腫の関係に対する臨床試験は行なわれているが、個々の結果は様々だがメタ解析するとNHLのリスクが増加するという結果がでた。そのタイプは他のNHLに比べてCLL/SLLに多いことがわかった。輸血者に対する観察研究が必要ではないか。輸血したB細胞がモノクローナルなB細胞が維持されたり増殖されるのかはわかっていない。州土の外傷の患者で輸血したWBCが何十年も残っているかもしれないという論文も出ている。

まとめ

(1)これまで報告されてきたよりMBLが多いこと
(2)多くはlow-countのCLL-like MBLでリンパ球系腫瘍になる可能性は低いと考えられる。
(3)一部にはモノクローナルなB細胞数が多い症例があり、輸血はやはりしないほうがよいという
         考えにも通じる。
(4)今後輸血された細胞がどうなるのか、生物学的に同定が必要なのと、また長期観察により
         low-countMBLの人がどうなっていくのか調べる必要がある。


それと関連して・・・

MGUS

M蛋白はあるが3g/dl以下で骨髄中の形質細胞は10%以下、臓器障害なし。
成人の1-2%に認められ、診断の平均は70歳、40歳以下では2%、男性に多くアフリカ系に多い(2-3倍)。50歳では10万人あたり男性120人、女性60人、90歳では10万人あたり男性530人、女性370人というデータもあり。
男性のMGUSの比率では50歳以上3.2 70歳以上5.3 85歳以上7.5 明らかに男性に多い。日本人の研究もあるが、日本人では少ない。
親戚にMGUSがいるとCLLになる確率は2倍、MGUSは2.8倍、MMは2.9倍 原発性マクログロブリン血症4倍というデータもある。