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ブログ

ダニ媒介感染症

2013年1月、国内で初めて死亡者が確認されたダニ媒介性疾患「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」について今回は取り上げます。
現在、北海道から九州まで少なくとも30都道府県でウイルスが確認され、これまで国内で21人が死亡しています。草むらや藪に生息するマダニ(体長2~10mm)に咬まれ感染したようです。
マダニは山の中ではイノシシなどの野生動物の表面について吸血していますが、ペットの犬や猫などに付いている場合もあります。
ワクチンはなく暖かくなるにつれマダニの活動が活発になることから、ペットへの対策も大切です。

重症熱性血小板減少症(Severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)とは?

「SFTSウイルス」を体内に宿すフタトゲチマダニ(写真:国立感染症研究所)
「SFTSウイルス」を体内に宿すフタトゲチマダニ(写真:国立感染症研究所)

2011年に初めて特定された新しいウイルス(SFTSウイルス)に感染することによって
引き起こされる病気です。主な症状は発熱・消化器症状(下痢や嘔吐など)、全身に紅斑が出るなどで重症化すると死亡することもあります。
インフルエンザのように人から人へ容易に感染するものではなく、海外ではウイルスを保有しているマダニに咬まれることによって感染しています。
SFTSは中国で2009年頃から発生が報告されていた感染症で、中国ではすでに200人の患者が報告され致死率は10%を超えています。ウイルスに感染したら10人に1人が死に至るため見過ごせない問題ですが、国内に前例がなく感染経路やその生態については現時点では有効な治療法は確立されていません。
日本に生息するマダニは名称が付いているものだけで47種類いるとされています。(世界中には800以上の種が知られているとのこと)
今回確認された新型ウイルス遺伝子が検出されているのは“フタトゲチマダニ”“ヒゲナガマダニ”などの複数のマダニ種ですが、詳細な情報については現在調査がすすめられているところです。

検査所見の特徴

血小板減少(10万/mm3未満)、白血球減少、血清電解質異常(低Na血症、低Ca血症)、血清酵素異常(AST,ALT,LDH,CKの上昇)、尿蛋白異常(タンパク尿、血尿)などがみられます。
血液腫瘍疾患(白血病や悪性リンパ腫)や膠原病・血管炎(血栓性血小板減少性紫斑病、全身性エリテマトーデスなど)と同様の症状を呈し得るので鑑別を要します。

予防策

① マダニに咬まれないようにする。特に春から秋にかけてはダニの活動が活発です。
② 草むら・藪などに入る場合は帽子、長袖、手袋、長ズボン、長靴など肌を露出しない服を着用し、長靴の中にダニが入らないよう長靴でズボンを覆うなどしてマダニが体に接触しないようにする。服はマダニが確認しやすい明るい色が推奨されています。
③ マダニは山の中ではイノシシなどの野生動物の表面について吸血しているほか、ペットの犬や猫などに付いている場合もあります。ペットについているマダニに触れたからといって感染することはないそうですが、マダニに咬まれれば感染する危険性があるためペット用ダニ駆除剤を使用してください。
④ 防虫スプレーなどは効果がありません。
⑤ 感染者の血液、体液、排泄物との直接接触を避けるようにしてください。

江里's アドバイス

血小板減少で来院された人の中で、特に重症な人の中にはこの病気も鑑別診断に入れなくてはいけないなと思っています。ダニに刺される状況があったかどうか、病歴を詳しくきくことも、また大切だと思います。

関連情報サイト

・国立感染症研究所 感染症情報センター
   http://www.nih.go.jp/niid/ja/from-idsc.html
 ・神奈川県衛生研究所
   http://www.eiken.pref.kanagawa.jp/
 ・厚生労働省
   http://www.mhlw.go.jp/