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Risk of a thrombotic Event after the6-week postpartum period

雑誌名

THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE 2014;370:1307-15

背景

出産後6週間は血栓症のリスクが高いとされていて、脳卒中で3~9倍、MIで3~6倍、VTEで9~22倍というデータもある。でも本当に6週までのリスクなのか、どこまでリスクが続くのかわかっていない。2012年Chestで発表されているガイドラインでは、WTEのhigh riskの妊婦には抗凝固療法を6週間で中止するとある。しかしこれが本当に6週間で良いのであろうか。

研究デザイン

retrospectiveに調査 カリフォルニアにおける非連邦病院の急性期の病院での診療報酬正球データを用いて陣痛と出産のために入院した女性を同定し調査。2005.1-2011.12.31のデータを参照。
出産後6週間の最初の血栓症発症率と1年後の6週間の血栓発症率を比較。

患者は12歳以上の女性で帝王切開も経腟分娩の患者も含まれるが、出産以前に血栓症のあった人、カリフォルニア住民出ない人(移動する可能性から)、フォロー中に2回目の出産をしたひと(血栓のリスクが同じでない)は除外されている。

Primary outcome: 脳梗塞(CI)、AMI,VTEの複合的転帰 (A)
secondary outcome: (A)にその他の血栓症も含めた転帰(B)
subgroup 解析:血栓症のリスク因子による解析 35歳以上、過凝固の因子をもつ、eclampsia、たばこ、帝切
動脈性血栓(CI,AMI)静脈性血栓症(VTE)の比較

結果   対象1,687,930人

フォローアップ 1年と24週の間に1015人の血栓症があり
(CI:248人, AMI47人,VTE720人)
(1) 血栓症をおこした人はそうでない人に比べて年齢が高く、白人か黒人であくことが多く(ヒスパニック、アジアは少ない)、個人保険に入っている人が少なく、血栓症の因子(35歳以上、eclampsia、もともとの過凝固状態、たばこ、帝切)を持っている率が高かった。
(2) 血栓症の発症 6週間以内411人 1年後 38人 odds比10.8
       7-12週 95人  1年後44人  odds比2.2
              13-18週 55人  1年後39人  odds比1.4
              19-24週 52人  1年後53人  odds比1.0
    ☆☆ 12週までは血栓症の比率が高く、これまで言われているのと同じように6週以内が多い。12週を超えると血栓症の比率はさほど大きくなくなる。
動脈性、静脈性のおきる比率に差はなし。
後半になるともともとの血栓症のリスクのある人でもない人でも、その血栓症の起きる比率に差はなかった。

今回の調査の限界
(1) prospectiveではない 病院に行く頻度もまちまち。また、出産後時間が経過すればするだけ病院には行く頻度が減る。血栓症が起きた時に必ずしも病院にすぐには行っていない。ただしCI,MIはERにかかっているから動脈性の血栓症はデータは正しいだろう。また6週間の血栓症の比率もこれまでのデータと似ている。
(2) フォローが落ちている。転居の問題など。
(3) リスク因子は細かく調査できていない。
(4) 政府の病院は含まれていない。


今回のデータでわかったことは、出産後の血栓症のリスクはこれまで通り6週間までが最も頻度が高いが、それで急激になくなるわけではなく12週まで続く。ガイドライン通り6週間で抗凝固の予防投与を終了してよいのかどうか、検討が必要であろう。