湘南鎌倉総合病院
  • 湘南鎌倉総合病院ホーム
  • 湘南鎌倉総合病院アクセス
  • 湘南鎌倉総合病院お問い合わせ
  • 湘南鎌倉総合病院プライバシーポリシー

 

iPSが可能性にする新しい医療

神奈川県の大学病院を中心にして行われている血液・免疫関係の研究会があり、そこでiPSの最先端の話が聞けるとのことで、横浜に後期研修医の先生と出掛けてきました。講演終了後は二人ともどこか高揚感をもち、感動して会話が止まらず帰宅したのでした。

まず、iPSの前にクローン胚などで注目を集めたES細胞はもうこの世から消えたのかと思っていたら、アメリカではまた研究が盛んにおこなわれているようです。ヒトクローン胚の作製技術も発達していて、iPSが3週間程度かかるのに対して24時間程度で出来るとのことでした。
また患者由来のiPS細胞を取ってくることにより、病気の病態の解明、薬はどれが効きそうかのスクリーニング、毒性試験、遺伝子治療などが出来るようになると。また血液の分野はiPSを用いた輸血の代用が考えられていて(将来献血者は明らかに減ります)、血小板については臨床試験が近いうちに始まるそうです。赤血球は脱核が難しいとのことですが、研究は進んでいるようです。ただ、血液センターのようにiPS血液が供給されるようになるのは、まだまだ10年以上先のことらしいです。さて、がん免疫療法がなかなか進歩しないのはT細胞が何度も分裂する中でテロメア(老化とともに短くなる染色体の一部分)が短くなってキラー活性(殺す能力)というものが低下増殖能力も低下するためだという理論のもと、患者のT細胞をとってきてそこからiPSを作り、若返ったT-iPSからT細胞を再度増殖させるようにすると、キラー活性、増殖能が回復し、さらにテロメアも長くなる。つまり期待通りの細胞が増加してくれるということでした(この技術は将来老化防止に研究が発展していくような気がする)。さらにたまげたことは、iPSから細胞ではなくて臓器を作る研究がすすんでいるということ。立体構造がある臓器を作るのはとても難しいそうですが、膵臓のないマウスを作製してここにほかのマウスの多能性幹細胞をいれたら膵臓がつくれるようになったと。つまり移植しないでも臓器のないところにiPS由来の細胞から構成する臓器を作ることができるのです!それでは異種の動物の臓器を作らせることができるのでしょうか。研究ではラットの体内にマウスのiPS由来の幹細胞を入れて臓器を作らせたキメラマウス(ラットとマウスの混在した動物)に成功しています。将来は人の臓器をブタに作らせるようになる??? 衝撃的でした。
この話を聞いた私達は脳みそをノックアウトされた感じになりました。ここまで研究がすすんでいるのかという驚きとともに、人とブタがキメラ??且つこれが間違って人の脳細胞を持った賢いブタが出てこないのか?こんなためにブタが利用されるなんて・・・と複雑な気持ちにもなりました。