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Bay Area Hematology Congress in 横浜

これまで主に横浜市大の先生を中心に行われていた血液の勉強会を一般病院にもオープンにして下さり、テーマが面白そうでしたので参加してきました。
まず、藤沢市民病院の藤巻先生が多くのMDSに対しアザシチジンにて治療し、その予後について解析して先日のアメリカ血液学会で発表されたデータを中心にお話しされました。アザシチジンはMDSの人に輸血依存を減らし芽球の増加を抑え生存を延長させますが、高齢者にとっては連日の注射のための通院が困難なことも多いのです。注射の為だけに入院はそうそうさせられないし、また土曜日が休みの病院では困っていて、週5日でも良いのではないかと考えている人も多いのは確か。週5日にすると効果がみられるのがやや遅れることはあっても、効果、副作用ともに大きな問題はないようですし、また海外では同系統の薬剤で週1回で治療することをチャレンジしているところもあるようです。また女性のほうが効果が高いというのも面白いと思いました。
次に特別講演として佐賀医大より小島研介先生がおみえになり、”P53と造血器腫瘍”と題して講演されました。p53はもともとDNA修復のために備わっている蛋白で、DNAが治せると思ったら細胞サイクルを止めてDNAを修復し、治せないと思ったら細胞を死へもっていく働きをしていて、ストレスがかかるとp53は活性化されます。ところがこれまでの白血病の治療として用いられる抗がん剤はDNAにダメージを与えるのでp53は活性化されますが、ここで修復に失敗して細胞死に至らなければ2次発がんに関係してきます。
また、がんでは本来内因的にDNAが壊れているとされp53が活性化されているはずですが、p53が変異したり(造血器腫瘍でも10-50%あるとされる)、働きが抑制されています。p53変異はMDSでは複雑型の核型や5q-に関係があり、これがあると他のパラメーターとは独立して予後不良とされます。同様に急性骨髄性白血病においてもp53に変異があると予後は移植をしても著しく不良で、治療関連の(抗がん剤関連の)白血病などでもその頻度が高くなるとされます。ほとんどの抗がん剤はp53変異があると効果がありませんが、アザシチジンにはp53変異のある細胞クローンを減らす働きがあるという点はおもしろいと思います。そこでアザシチジンと他の新薬を組み合わせた治験が海外では行われているようです。
ただ、このp53変異はまだ発症していない一般の人も高齢になるにつれ持つ比率が高くなります。これは他の急性白血病やMDSにみられる遺伝子についてもその傾向があるということが、2014.12に『THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE』にでています。老化と疾患との関係にも関与し、非常に興味深いことです。