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ブログ

造血器疾患のクローン性

1.良性病変でクローン性が証明される疾患

良性疾患でもクローン性が証明されることがあること知っておく必要がある。
(1)B細胞性:若年者のろ胞過形成性病変、若年者のマージナル層過形成性病変、Sjogren症候群の唾液腺炎、
         高齢者の末梢血Bリンパ球増多症、免疫不全者
(2)T細胞性:ウイルス感染:EBV, CMV, HIV自己免疫性疾患、皮膚のT細胞増殖性病変、健常人の末梢血顆粒
         リンパ球増殖、免疫不全者

2.抗体の構造

免疫グロブリンの多様性:遺伝子再構成
重鎖可変領域(VH)をコードする遺伝子:VH,DH,JH 可変領域の遺伝子断片からそれぞれ1種類ずつ選ばれて組み立てられる(遺伝子再構成)。最初にDJ領域から行われ、次のV-DJ領域が行われる。またDJだけで終了する不完全再構成がある。
軽鎖可変領域(VL)をコードする遺伝子は重鎖よりも少なくVLとJLの2つの部分からなる。重鎖のVDJ,軽鎖のVJの遺伝子断片の組み合わせにより多様なB細胞を作り多様な抗体が産生されることとなる。

SHM:somatic hypermutation 体細胞高頻度突然変異 幹細胞が体細胞に分化していくときに、稀に遺伝子に変異が出ることがある。B細胞の変異の頻度が高く1万倍にもおよび、活性化されたB細胞は胚中心を形成してそこでV領域が様々な点突然変異(塩基置換)を起こす。これをSHMというが、これははやく抗原に対応出来るようにするということをもたらし、これにより抗体が抗原とよく結合するようになったりする。

3.T細胞受容体 TCRの構造

TCRはγ、δ、α、βがあり、それらの遺伝子再構成によってγδT細胞とαβT細胞に分類されるがαβT細胞が95%以上を占める。

4.クローナリティをみる手法

PCR法とサザン法・・・PCR法が主流となりつつある。
(1)PCR:簡単でコストも安い、日数も1週間から10日。感度も非常に高く、少ないDNAでも出来る。
                    そして新鮮、凍結検体のほかにもホルマリン検体でできるが偽陰性、疑陽性が問題となる。
(2)サザン法:手技がやや煩雑でありコストも高い。必要なDNA量が十分ないと偽陰性となってしまう。

5.B細胞のクローナリティ

(1)完全型IGH遺伝子再構成  SHMのためプライマーのアニーリングが失敗し偽陰性となることがある
(2)不完全型IGH遺伝子再構成 SHMが頻発する腫瘍では標的として重要
(3)Igκ遺伝子再構成            SHMが頻発する腫瘍では標的として重要
(4)Igλ遺伝子再構成             すべてのIg λ陽性B細胞とIg κ陽性B細胞の5-10%に検出される
                                               SHMの影響をうけないので頻発する腫瘍では標的として重要

6.T細胞のクローナリティ

(1)TCRβ遺伝子再構成  
   これはすべての成熟αβ型T細胞性腫瘍およびALLを含む多くのγδ型T細胞性腫瘍にも生じる。
   使用するプライマー数が必要に多くなる。
(2)TCRγ遺伝子再構成 
   TCRδに続いてT細胞発生初期に再構成するのですべてのT細胞性腫瘍に検出される。組み合わせが単純で
   ありプライマーの設定が容易。しかし腫瘍細胞が少ないときにはピークがみつけにくいことがある。
(3)TCRデルタ遺伝子再構成 未熟T細胞性腫瘍、γδ腫瘍のときに有用な標的。

成熟T細胞性腫瘍ではTCRβ、TCRγで遺伝子再構成がみられることが多い。
これらの検査はαβT細胞かγδ細胞かを決める解析ではない。

■参考文献:血液フロンテイア vol24,No6,2014 P61-71