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加工肉と大腸がんの関連は?

WHOが加工肉の摂取が大腸がんのリスクを上げると発表してから、当院の先生でも朝のソーセージの量が減らされた・・・と言っているのを聞きました。やはり肉はがん全体にいけないのでしょうかね~、と患者さんにいわれ、調べてみました。

日本のデータでは国立がん研究センターの多目的コホート研究があります。全国10保健所管内の45-74歳の健康な人約8万人を1995年頃から2006年まで追跡。肉の総量、加工肉の摂取量と大腸がんの関係を調べたものです(大きな研究です)。追跡中1145例の大腸がん(結腸癌+直腸がん)が見つかりました。そこで解ったことは肉量の摂取が多いグループ(週に400-450g以上)では男性の結腸がんのリスクが高くなり、特に赤肉の摂取量が多いグループで女性の結腸がんのリスクが高くなりました。また男女ともに加工肉の大腸がんのリスク上昇はみられなかったそうです。<次へ続く>

201510月にWHOの専門組織である国際がん研究機関が公表した研究結果では、加工肉は発がん性につながる物質が加工段階で生成されると指摘し、1日50gの摂取で大腸がんリスクが18%増加するとし、大きな話題をふりまいた。これってソーセージなら2-3本、ハムなら3-4枚。まるで食べるな!と言っているようなもの。
加工肉で産生されるヘテロサイクリックアンはNAT2
Nacethytransferase2 酵素)により代謝されます。この酵素、実は抗リウマチ薬のサラゾスルファピリジンや抗結核薬のイソニアジド、抗てんかん薬のクロナゼパム、不整脈薬のプロカインアミド、睡眠薬のニトラゼパム、我々のよく使用するST合剤のもとであるスルファメトキサゾールなどの薬剤の代謝も調節している酵素なのです。これの酵素の遺伝子にはいくつかのタイプがあって、その組み合わせにより酵素の働きに個人差があります。アセチル化の速度が速いrapid acetylator,中間タイプのIntermediated acetylator,アセチル化の速度の遅いslow acetylatorに分類されるとか。これが実は民族差があるらしく、欧州では多くがslow acetylatorであるのに対して東アジアはrapid acetylatorが主。この民族差が面白いですが、実は結核治療に用いられるイソニアジドの薬剤の量も民族で差があったこともあるようです(このように薬の代謝に関係する酵素のパターンに民族差があると、薬の効き方とて差があったり、副作用の出方にも差がでるわけだ!)。

さて、このNAT2のタイプと肉の摂取量、大腸がんのリスクが最近注目を浴びていて、白人においてNAT2のタイプと発がんと関係があるとするものからそうでないものまで報告があり。では日本人はというと、日本人はrapid acetylatorが多いので大腸がんの関係はどうなんだという論文がPLoS One. 2015 Dec 18;10(12) に出されました。彼らの結論は加工肉と大腸がんの関係がrapid acetylatorでより強い関係になるというもの。やはり日本人は加工肉の摂取は気を付けたほうが良いのかもしれません。