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ヒトパルボB19感染症と貧血

子供の頬が赤くなるリンゴ病として知られる伝染性紅斑が昨年から流行していて、過去10年で最大の患者数であるという。通常は夏に感染が多いが、冬である現在も患者数が多い状態が続いているらしい。
成人だと紅斑はりんごというより頬紅を差したくらいの症状しか出ないことが少なくなく、非典型的な皮疹を呈する。また、歩行が困難になるほどの関節痛を訴えたりする。この感染症はヒトパルボB19というウイルスでおきる。
伝染様式は飛沫(ひまつ)・接触感染で、患者の咳やくしゃみなどを介して感染する。潜伏期間は5-10日。感染早期にウイルス量が多いとされる。また、妊婦が感染すると胎児の組織などに水分がたまる「胎児水腫」や流産の恐れがあるため、ニュースでは妊婦への注意を呼びかけていた。

さて、血液内科医はこのウイルスに対して敏感だ。というのも、このウイルスは前赤芽球といった若い赤血球に感染して増殖する。その若い赤血球がやられてしまうために溶血性貧血、鎌状赤血球症という病気などで元々赤血球が壊れやすく普段から多く作らなくてはならない人は影響を受けやすい。突然重度な貧血に陥ることがあり輸血を要し、入院が必要となることもある。鉄欠乏性貧血の治療中の人もなりえる。これをapalastic crisisという。
通常は赤血球がやられるのだが、白血球も血小板も低下することもある。
ウイルスが排除されれば1-2週間で造血は回復する(末梢血で回復するまでにはもう少し時間がかかる)。しかし免疫力が低下した人がこの感染症にかかると抗体産生が十分でなく慢性的な持続感染を続けることがあり、貧血が長い間続くこともある。
このウイルスが流行っているというので、自分の溶血性貧血の患者さんが罹らないといいな~と思っている。

その他の症状としては、免疫のしっかりした人では25%は無症状、50%はインフルエンザのような症状で筋肉痛、関節痛、発熱がみられる。残りの25%に関節症状と皮疹がみられる。このウイルスでは関節症状が特徴的である。急性発症で左右対照に手の小関節、手首、膝、足に症状がおきる。女性に多く、こわばりがよくみられる。3週間位で良くなることが多い。

急性パルボB19感染症の診断はIgM抗体によりなされるが、抗核抗体、リウマチ因子、EBウイルスIgMが上昇していると偽陽性になることがあるという。成人のパルボB19は見過ごされていることが多いのではないか、と言われている。(UP TO DATEより)