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ダウン症と急性白血病

ダウン症は染色体21番目のトリソミーによりおきるヒトの染色体異常でよく知られていた疾患であるが、体表面の異常だけではなく血液の異常がしばしば生じる。
新生児の時に白血球数が異常に増加するのがダウン症の5-10%に認められる。これは一過性異常骨髄増殖症(TAM)と言われ、近年の遺伝子研究により21番染色体異常と、GATA1遺伝子変異が関与していることが解っている。このTAMは末梢血に芽球が出るので白血病かと思われるが、数週間から3か月前後で消失し自然寛解に至る例が多い。ただし約20%に肝不全になり出血傾向、黄疸を示す例があり、そのような症例では生後3か月以内に死亡するリスクが高い。初診時に白血球数が10万/μL以上の症例、早産、肝脾腫、全身浮腫、胸水、腹水がある症例が重症化リスクが高い。
またこのTAMになった症例の20-30%は生後3年以内に急性巨核球性白血病(AMKL)になる。このタイプの白血病は一般的に非常に稀なのであるが、ダウン症ではなりやすい型で正常児の400-500倍の率で発症すると言われる。この白血病になる場合には、TAMの時からさらに遺伝子異常が追加されて起きてくるということが、研究にて解っている。特にコヒーシンという蛋白の遺伝子変異がみられるという。
このコヒーシンという蛋白は、細胞分裂するときにリングの形を作って染色体を束ね、分裂する先の細胞にDNAが正確に分配されるようにするのに大切な働きをしている。

遺伝子の解析手法が進歩して非常にスピーデイーに検査が行うことが出来るようになり、遺伝疾患の病態の解明も進んでいる。それが成人における疾患の解明のヒントにもなっている。学生の時にはただただ面白くなかった染色体異常の遺伝疾患が、体表奇形だけでなく様々な機能異常、免疫異常、血液異常とも関連しており、分子、病態も解明されてきて面白いな~と最近感じる。