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濾胞性リンパ腫の治療 watch and wait

非ホジキンリンパ腫の中で濾胞性リンパ腫というタイプはび漫性大細胞型についで2番目に多い。ただその治療戦略は様々であり、専門家でも悩むところである。ゆっくり進行するものが多いが、その分化学療法の切れ味は悪く、完治は難しいとされる。そのため進行していても”watch and wait”という、治療をしないで様子をみるということが以前から治療の選択肢として行われてきた。しかし、そうは言っても最近では進行期の人は治療をしたほうが病気が進行しないで未治療でいられる期間も長くなるため、することも多い。
さてそんな中、『British journal of haematology』に濾胞性リンパ腫ステージII-IVの人を調べた成績がだされた。(Br J Haematol. 2016 Mar;172(5):724-34)2004年から2007年アメリカのある地域で治療を受けていた濾胞性リンパ腫の患者さんを調査。治療した人とwatchful waitingの人(未治療で経過観察)を1754人比較して、生存率がどうだったか調べられた。
治療はリツキサン単独(副作用が少なくて我々も濾胞性リンパ腫にはよく行う)、リツキサン+他の治療が行われていた。結果は当然治療をしたほうが病気と一時的にでもおさらばする期間は長くなり、次の治療に入る時期もより延ばされたのだが、8年の時点では全生存率(病気があろうがなかろうが生きている率)はともに74%(なかなか良い成績である)で両者に差はみられなかった。筆者たちはこの新しい時代であってもまだwatch and waitは一つの選択肢として存在すると述べている。
私の患者さんでがんセンターと当院の両方受診している濾胞性リンパ腫のかたがいるが、骨髄にリンパ腫細胞がいても量が少なく、また血液データにほとんど異常がないということでがんセンターの方針で経過をみている人がいるが、進行してくる様子はない。ただし放置していてよいというのではなく、どこかで急に悪性度が高くなることがあるのも濾胞性リンパ腫を含む低悪性度のリンパ腫の特徴であるから、5年といわず長期的にフォローする必要があると思う。高齢者のかたにみられる濾胞性リンパ腫では症状があまり強くなかったり、あるいはたまたま腹部の中に発見されたというかたもいて、そのような場合には経過をみても良いのかもしれない。