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チロシンキナーゼ阻害剤による血管合併症

慢性骨髄性白血病の治療はチロシンキナーゼ阻害剤の登場により大きく予後を変え、患者さんは長期生存が得られるようになっている。今は複数のチロシンキナーゼ阻害剤(グリベック、タシグナ、スプリセル、ボシュリフ、ポナチニブ)がでているが、薬剤による副作用プロファイルが異なる。
その中で最近話題になっているのが血管系の副作用である。薬によりその頻度が大きく異なる。これまでの臨床研究をさかのぼり、どのくらい動脈性の副作用(動脈閉塞など)がでているかが論文でまとめられていた。

チロシンキナーゼ阻害剤を使用していない人での年間100人中の動脈性の副作用の比率は0.8人なのに対してimatinib(グリベック)は 0.1人、dasatinib(スプリセル) 1.1人、bosutinib(ボシュリフ) 0.4人。それに対してnilotinib(タシグナ)2.8人、ponatinib(ポナチニブ)10.6人と高い。私の患者さんでも若いのにタシグナにて下肢動脈閉塞をきたした人がいた。
そのメカニズムが完全に解っているわけではないが、タシグナにはアテローム形成促進の作用があること、また血管新生を抑制する作用があることがわかっている。また血糖値を上昇させる作用もある。これらにより動脈硬化を促進させるとともに自然治癒を抑制し、動脈閉塞にいたるのかもしれない。またすべての人がなるわけではなく高血圧、肥満、喫煙、高齢のリスクがある人ほどおきやすい。よってタシグナ、ポナチニブを使用する場合ではそれらのリスクの高い人は動脈合併症の話をし、リスクを下げる対策、もしくは他剤への変更を検討したほうがよい。またスプリセルでは頻度は少ないが肺高血圧症、ポナチニブでは動脈、静脈血栓症がおきる市場から一度消えたことがある。
予後がよい疾患となっただけに予後に影響を与える合併症には注意しなくてはならない。
参考文献:Feb5,2015 Blood 125(6)   2016 Jun;57(6):1300-10