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赤芽球癆 診療の進歩

雑誌名

臨床血液 Vol.57(2016)No.2 p.110-116   秋田大学医学部附属病院 廣川誠先生

1. 赤芽球癆の診断 H27年から難病指定
  正球性正色素性貧血 網赤血球の著減(<1%) 骨髄赤芽球の著減(<5%)

2. 薬物服用歴 せん孔感染症について必ず確認する。

3. 若年成人女性の赤芽球癆をみたら妊娠も疑う。

4. 上記骨髄の状態で、可能性のある薬剤を中止して1ヶ月経過しても貧血が軽快してこないときには
  慢性赤芽球ろうと診断し治療開始。

5. 検査:骨髄検査、染色体検査も含めて
  胸部CTにて胸腺腫の有無確認、エリスロポエチン、自己抗体、抗EPO抗体(必要に応じて)、
  ヒトパルボB19-DNA(持続感染があるので)。

6. MDSの前兆として赤芽球癆の形をとることもある。

7. 免疫抑制療法
  ■治癒が期待できるのは
   (1)赤芽球ろうと同時発症した悪性リンパ腫
   (2)免疫不全症を背景とするヒトパルボB19持続感染
  ■治療は(1)は化学療法(2)はガンマグロブリン製剤投与
  ■胸腺腫関連では胸腺腫だけで治るのは最近ではほとんどないとされる。
  ■異時発症した悪性リンパ腫関連では、化学療法後の免疫不全でヒトバルボB19感染のことがある。
   この場合もガンマグロブリンが有効。
  ■薬剤性は急性のことが多いが、エリスロポエチン製剤で発症した抗EPO抗体によるときには自然軽快は稀で、
   免疫抑制剤を投与しなくてはならない。

8.免疫抑制療法
 (1)特発性慢性赤芽球瘻における奏効率はシクロスポリンで74%、副腎皮質ステロイドで60%、
    併用では100%、奏効する例では1ヶ月以内に輸血不要となる。
 (2)胸腺腫関連赤芽球瘻でもシクロスポリンが最も使用されていて奏効率は95%。
    治療効果の出現は特発性よりもさらに早いとされる。
 (3)大顆粒リンパ球性白血病における免疫抑制療法の奏効率はシクロホスファミド75%、
    シクロスポリン25%、ステロイド0%と低い。
 (4)維持療法 続けている例が多い。シクロスポリン中止で貧血再燃と強く相関している。
    大顆粒リンパ球性白血病でも同様で免疫抑制療法の中止と赤芽球瘻の再燃が関係がある。

9.再燃の治療 再発後の寛解導入では免疫抑制薬の再開は有効だが、初回に比べて有効性が落ちる。

10.妊娠と赤芽球癆 
  稀だが妊娠に関連して認められ、若い女性で赤芽球癆をみたら妊娠を鑑別する。
  どの妊娠時期にもおき、報告のある患者さんではすべての人で輸血が必要である。
  しかし子どもにおいて血球異常はなく、また娩出後3ヶ月以内に貧血は自然軽快することが多い。
  免疫抑制療法は一般的に不要とされる。ただし次回妊娠時に再燃するリスクが高い。

11.予後
  特発性慢性赤芽球癆の予測平均生存期間は212.6ヶ月、胸腺腫関連142.1、大顆粒リンパ球性白血病147.8。
  主な死因は感染症と臓器不全で、貧血の再発は死亡リスクとなる。