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血小板・巨核球学術講演会

毎年1回、この季節に血小板・巨核球だけをテーマにした研究会が開かれる。今年で6回目。基礎的な研究の話しも聞けるので楽しみにしていて、出来るだけ参加するようにしている。今年は会場が大阪で、当日はとんぼ帰りで話を聞きに行った。

1.まず一つ目は大阪薬科大学の藤井先生からTMEM16Fという遺伝子と血小板活性化の話。細胞膜を構成するリン脂質は非対称性を有しており、ホスファチジルセリン(PS)は細胞膜内側に、ホスファチジルコリンは細胞膜外側に位置している。この非対称性は生体内において様々な局面で崩壊する。例えば血小板が活性化するとPSが細胞表面に露出され、血液凝固因子が働く足場として作用するらしい。スコット症候群という稀な先天性の出血性疾患の患者では血小板においてPSを露出できないため、血液凝固に異常があることが知られている。TMEM16F は血小板の膜を不安定化させてマイクロパーテイクルを放出し、血小板が活性化されトロンビン産生が上昇し血栓が出来るが、これが欠損すると血栓が出来にくくなる。これがスコット症候群の原因遺伝子であると考えられている、というお話。<次へ> 

2.次の基礎的な研究の話は造血幹細胞のニッチ研究をしている尾松芳樹先生による講演。白血病細胞が骨髄で生存出来るようにするための微小環境を作っている細胞は何なのか。
先生はCAR細胞に着目。CAR細胞は骨髄内でネットワークを作っており、静脈洞の傍にある。脂肪細胞にも骨芽細胞にも分化できる間葉系の細胞で、骨髄中に存在する。Foxc1(転写因子の一つ)が骨髄では良くCAR細胞に発現されていて、これがなくなると造血不全や脂肪細胞への変化を来たすという。再生不良性貧血や骨髄の老化と関係するメカニズムとも関係していそうな気がする。

3.また九州大学の赤司先生のお話しでは、急性骨髄性白血病の幹細胞では T-cell immunoglobin mucin-3 (TIM-3) が多く表出されていて、そのリガンドである galectin-9 (Gal-9)とでペアになりautocrine loop を作り、 これがself-renewal と白血病のの進展に関係があるという。TIM3/Gal-9-mediated はNF-κB and β-catenin signalingをともに活性化し、それが self-renewalと関係するという。難しくてなかなかついていくのに大変であった。

普段ふれることが多くない基礎的な話だったが勉強になった。これらが将来の創薬や病気のメカニズムの解明に関係していくのかもしれない。