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iPS細胞で輸血は可能になるのか?

輸血を外来でしている患者さんが当科は多いのだが、まだ神奈川県は供給に関して恵まれている。それでも緊急の時には手に入らないこともあるし、今後献血者はますます減るのでは、とも言われている。iPSからの血液細胞産生はどうなんですか?という質問を受けたが、ちょうど内科学会雑誌に京都大学の杉本直志先生が書かれた文章があったので紹介します(日本内科学会雑誌 106巻 第4号 843-849,2017)。
血小板を輸血量まで産生させるには大量な製造技術が必要であるということだが、それが莫大な手間がかかり実現されていなかった。しかし杉本先生のグループではヒトiPS細胞から不死化巨核球株を作成し、それにcMYC.BMI1遺伝子、次にBCL-XLを発現させることで自己複製能を獲得し増殖するようになった。それを凍結保存して必要時に解凍し、培養すれば短い期間で血小板が製造できる。またこれだけではダメで、巨核球が成熟して血小板を産生してくれなくてはならない。そのために薬剤を投入することで、良質な血小板が生体ほどではないが産生されるようになっているという。さらに産生された血小板が止血のために必要な分子を出していなくてはならず(CD42b)、それらの機能を維持させることも実現に近づいてきているようである。
また、こういう製剤は輸血しても血小板が上がらない輸血不応症に対しても期待されている。血小板輸血については実現に向けてだいぶ進んでいるようであるが、赤血球は輸血のために必要とされる赤血球数がさらに多く必要であり、赤血球産生の最終段階である脱核が難しいようで、実現にはまだまだのようである。