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集中治療室患者での血小板減少症

集中治療室には重症な患者さんが入る。心臓外科や緊急の外科手術、脳外科手術などのかただけでなく、内科系でも重症な人が入室する。そのようなかたではしばしば血小板減少がおき、時々当科に相談がある。
 心臓外科のように体外循環といって血液を一度体内の外に出して循環させるような処置を手術中に伴うと、血小板減少はしばしば起きるとされる。また循環器系の疾患でカテーテルや心臓手術などを受ける際にヘパリン(血液を凝固しないようにする薬剤)を使用するが、5-14日くらいで血栓症状を伴いながら血小板が減るHIT(ヘパリンinduced thrombocytopenia)という病態がある。HIT抗体を調べて診断するが、実は心臓手術をした人の10%に抗体が陽性になるという報告もあり、診断は簡単ではない。
重度の外傷などで大量の輸血を要するような状態では、血漿が希釈されて血小板低下が起きることがある。
内科系では敗血症になった人では重症の人ほど血小板減少が起きる率が高く、またそれが長い人ほど予後が悪いということも解っている。敗血症で血小板減少が低下する要因としては複数の要因があり、血小板の骨髄での産生が低下することに加えて薬剤の影響、免疫が異常亢進することで血小板破壊が進ことや、DICという状態を合併することで血小板低下がみられる。1-2日で急激な血小板低下をきたした場合には、免疫関与が強いとされる。
 さらに難しい問題は悪性疾患を持っていたり、長期臥床の状態を強いられると血栓症が起きる可能性が高くなるが、そのような場合に血小板が低いとどうしたらいいか。つまり出血もしやすいし、また凝固もしやすいときにどちらの処置を優先するかである。中でも悪性疾患では、しばしば肺梗塞を起こしたりする。そのようなときには血小板が5万以下なら抗凝固療法は半分量で、3万以下なら予防投与量で、2万切ったら抗凝固は中止するという一つの基準が『blood』 のレビューに紹介されていた(Blood. 2016;128(26):3032-3042)。
 血小板低下した人が急激に回復する途中で血栓症を起こすことも知られている。とくにAPL(急性前骨髄球性白血病)では最初は重症な出血傾向だったところから、治療の過程で脳梗塞や血栓症をきたす率も他の白血病よりも高いことが知られている。